許容できるコンテント
スタイルガイドの他の章では、テキストのレイアウトや構造について取り上げました。ここではちょっと脱線して、スタイルという言葉の範囲を拡大して、ウェブに掲載される情報の実際の内容としてどんなものなら許容できる(acceptable)のかといったことを考えてみましょう。
ウェブは社会一般の知識を網羅することを狙いとしており、特定のフォーマットやレベルに限定されることはありません。ですからそこでは走り書きのノートから百科事典までどんなものでも見いだせる可能性がありますし、そのスタイルやマナーもさまざまです。しかし、情報は広く一般にアクセス可能となるわけですから、まさにその素材が出版(公表)されるという理由において、なにがしかの許容範囲という考え方が存在します。
インターネット上では、ニュースとメールはごく非公式なメディアであると考えられ、そこではある程度の自由が認められます。しかし、公開されたウェブ上のドキュメントには、誰がリンクし、あるいはたどりつくかは知り得ません。国によっては、法律上の規制や情報に関する倫理コードが存在することもあります。私は世界的な検閲を支持するつもりはありませんが、だからといって次に挙げるようなことがあなたの書くドキュメントに当てはまるかどうか、考えなくてよいというわけではありません。
適切なクレジット
ある作品の見つけやすさは、特にウェブ上では、どこで参照されるかという点に依存しています。もし学術論文がある事象の説明を目的としていながら、関連する作品への言及を欠いていたら、学術規定(academic code)によってきちんと参照するように要求されるでしょう。
商品を販売する商用サーバーは、そのようなコードには拘束されていません:競争相手の製品へのリンクを見いだすことはないでしょう。ですから、あなたの一連のサービスは公平であることを旨としているのか、もしくは商用目的で利害関係があるのかをはっきりと示してください。どちらの情報もひとびとから歓迎されるものです。しかし、何か他のものの仮面をかぶった宣伝というものは歓迎されません。
許容できるコンテント
ポルノグラフィは、一般に受け入れ難く違法とされるコンテントのうち、最もよく議論の対象となるものです。他にもあります:誹謗中傷、著作権やそのほかの知的所有権を侵害するもの、犯罪行為を助長するものなどはやはりやめておくのが賢明です。これを考えるには次のものを念頭においてください:
- あなたの読者
- あなたの時間、機材、接続性といったものを提供してくれる人々
- あなたの国の政府
あなたの読者に害があると考えられるところでは、そこへのパスが警告のページを経由するようにし、そのページに関連するURIは同様の警告なしでは決して配布しないようにすることで、あなた自身と読者をある程度守ることはできます。もちろんこれは、絶対に安全とはいえません。
W3CのPICSはあなたのページをあなた(あるいは他の誰でも)がその許容度を格付けできるようにするということを目的としています。親や教師が、格付けを使って子どもにとって適切な内容を選別できるようにしようというものです。この技術は1996年には商業ベースで利用可能になることが期待されています。
許容できる用語法
許容できない用語法とは、許容できないコンテントの最も単純な形態です。基準は国によって異なります:アメリカにおいては厳しいものになっています。次に挙げるのは、徹底的でも完全でもありませんが、避けるべき種類の用語法のチェックリストです。
- 性差別的
- 男女どちらでも構わないときに、男性もしくは女性を指し示す言葉を使う用語法。利用者のことを「彼」とか「彼女」とか読ぶのは、どちらも好ましくないとされます。
- 「アダルト」
- 性的な風刺やあからさまな用語は、あきらかに「ノーノー」です。
- 人種差別的
- 民族を表すポリティカリ・コレクトな用語法(差別的でないとされる表現)は、人によってずいぶん違うようです。これは強く意識されるものなので、注意を払っておくのが賢明です。
- 宗教上の仮定をする
- 宗教について議論することは理にかなっていますが、読者がある特定の宗教を信仰している、あるいはしていないと不用意に仮定することは危険です。