4月の編成替えでNHK-FMのニュースのイントロ音楽は何とも安っぽいものに様変わりしてしまったが、ベストオブクラシックのテーマはお馴染みの曲のままだったので一安心。北爪道夫によるこのテーマ音楽が実は結構好きで、番組が早めに終わってエンディングのテーマが長く流れたりすると、ちょっと得した気分になる。

北爪道夫は、2003年のサントリー音楽財団「作曲家の個展」で取り上げられていて、先日その演奏会のライブCDが発売された(fontecc FOCD3505)ので、購入してみた。収録されているのは、「始まりの海から」「クラリネット協奏曲」「管弦楽のための協奏曲」「映照」の4曲。

ゆったりと響きを味わう「始まりの海から」、弦+ハープ+ピアノ+ホルン1本という伴奏とのコンビネーションが絶妙な「クラリネット協奏曲」、微妙な音色の組み合わせからかなり激しい盛り上がりまで変化していく「管弦楽のための協奏曲」、多重刷りの版画のような(by 作曲者)響きの重なりがいろいろな強度と表情でうねりながらクライマックスに向かう「映照」と、どれもなかなか面白い。響きは精妙で複雑だが、あまり破壊的な要素はなく、ブックレットの作曲者紹介に「自然との対話から紡ぎ出された音響によるそれらの作品」とあるのも分かる感じがする。

北爪は、今年の吹奏楽コンクール課題曲のひとつ「祈りの旅 Pilgrimage」を委嘱されるなど、吹奏楽や合唱方面でも活躍しているので、これから少し目にしたり耳にする機会が増えるかも知れない。

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