Ccの活用による情報共有

 仕事の基本は「報告・連絡・相談」というコミュニケーションにあると言われる。当たり前のことなのだが、これがなかなかきちんと実行できずに失敗することは少なくない。電話やFAXでの連絡は、まず相手とのやりとりが先決で、関係者へのレポートは後回しになったり抜け落ちたりしがちなのだ。

 こういうときこそ、電子メールのCc(カーボンコピー)の出番である。Ccとは、手紙をタイプライターで作成するときに、カーボン紙を挟んで同時に複数の用紙にタイプし、関係者にそのコピーを配布したことに由来する呼び名だ。取引先や他部署とのやりとりの要所で上司や関係者にメッセージのCcを送っておけば、それがそのまま「報告・連絡・相談」となる。手間もかからないし、タイムリーで確実な情報共有が無理なく実現する。

 電子メールでは、宛先(To)に複数のアドレスを記述することも可能だが、これとは敢えて別にCcという機能が用意されていることに注意しておこう。Toで示される宛先はそのメッセージを本来受け取るべき人であり、Ccはあくまでも参考や報告として情報を共有するために送るものだ。この使い分けをきちんとしないと、受取人はメッセージに返信するべきか目を通せばよいだけなのか即座に理解できず、処理に手間取ってしまう。

 電子メールには、さらにBcc(ブラインド・カーボンコピー)という機能もある。Ccの宛先はヘッダに書きこまれて、本来の受取人に加えて参考で情報を受け取った人が誰であるかが明示される。これに対しBccは受信ヘッダに記載されないために、Bccの宛先にメールが届いているということは当人以外はわからないというものだ。プライバシーの配慮などで、宛先のメールアドレスを他の人に知らせたくない場合などに用いられる。クレーム対応の返信を関係者にも同報するような場合にも、相手を刺激しないようにBccにしておくほうがよいかもしれない。

 電子メールによる情報の共有は、仕事をスムーズに進める上で非常に有益だ。ただし、便利だからといって何でもかんでもCcしてしまうと、管理職などにメールが殺到して処理不能に陥る危険がある。あまりのメールの多さに、Ccで届いたメッセージは読まないなどという話にでは、せっかくの情報共有も意味をなさなくなってしまう。電子メールは簡単で低コストなだけに、それほど重要でないメッセージまでどんどん送りつけられ、受信者にとっては暴力的な情報洪水を引き起こしかねない。関連情報は、あくまでポイントを押さえて、To、Cc、Bccをスマートに使い分けて送るようにしたい。

『プロフェッショナル電子メール』第3章より