圧縮・添付以外の選択肢
添付ファイルは、送信側にとってはワンタッチでとても便利な方法だ。しかし、ファイルのサイズが大きい場合など、受信者から見ると必ずしも望ましくないこともある。
圧縮しても1MBを超えてしまうようなファイルはいきなり添付して送りつけないほうがよいだろう。受信側の環境や都合を確認し、大きなファイルも受け取れる態勢であるとわかってから送信ボタンを押すようにすべきだ。
相手が常時接続でサーバーにもゆとりがあるなら、お互い添付ファイルが手っ取り早い。ただ、朝のメールチェック時や出張帰りなどで大量のメールを受信する時に巨大なファイルが混じっていると、イライラする人もいるに違いない。大きなファイルを送信するときは、事前に予告して了解を得てからにすると、物事がスムーズに運ぶ。
きわめて巨大なファイルの場合や、相手がダイヤルアップ環境の場合には、郵送やバイク便の利用も検討しよう。電子メールでは相手にも転送費用の半分を負担させることになるから、特にこちらの都合でファイルを送る場合は、少々高くついてもMOやフロッピーを直接送るほうが望ましいこともある。
もう一つ考えたい点は、そのファイルは本当に手元に届けなければならないものかどうかということだ。たとえば記念写真を見てもらいたいのなら、画像を直接添付せず、Webサイトに写真をアップロードしておいて、そのURLを電子メールで送るという方法でも構わないわけだ。
メールなら受信1回で済むのに、WWWでは受信後にもう一度ブラウザでアクセスしてもらわなければならないので、かえって二度手間で迷惑をかける? いや、これは受信する立場から見れば、決してそうではないことが分かる。電子メールは普通は一括受信するので、受け手には選択の余地がほとんどない。巨大なファイルが添付されていても、POPサーバーにアクセスしたら受信が始まってしまうのだ。忙しいときやモバイルでメールをチェックしているとき、これはかなり困る。それに対して、メールにURLが記述されている場合は、自分の都合に合わせてWWWにアクセスすれば良い。他のサイトを見るついでに立ち寄ることもできるから、別に二度手間にもならないのだ。
添付ファイルは便利だが万能ではない。どんな方法が相手にとってベストなのかを常に考えながら、電子メールの能力を最大限引出すようにしたいものだ。
『プロフェッショナル電子メール』第5章より