ちょっとしたメモ

RDFでのNotの表現

Norman WalshがNot in RDFという記事で、RDFでNot(否定、より正確にはcomplement)を表現することについて、面白い考察を記している。RDFは開いた世界(既知の文以外の言明も存在しうる)を前提としているので、XMLで「文字色青、イタリック」ということを表現できないのと同様、RDFでは本質的にNotは表現できない。ただし、アプリケーションがXMLのデータを解釈して「文字色青、イタリック」にすることは可能なように、RDFのNotもアプリケーションの解釈によって可能になるという。Normanはここで、cwmを使った例を紹介している。

Normanは、次のような5つの文を前提にしてRDFのNotを考察する。

  1. 楓の木の葉は緑
  2. 紅葉した楓の木の葉は赤
  3. 樫の木の葉は緑
  4. ニレの木の樹皮は茶色
  5. サクランボの木の実は食べられる

これらの情報(文)から、「葉が緑ではない木はどれか」というNotの問いを立てることができるかというわけだ。これが閉じた世界(つまり5つの文が世界を完全に記述している)なら、答えは紅葉した楓、ニレ、サクランボということになるが、もちろん、ニレの木もサクランボの木も実際には緑の葉を持つ。RDFはこのように開かれた世界に関する記述なので、手元に(たまたま)情報がないからといって、Notであると結論することはできないのだ。

そこでNormanは、「ほとんどの木の葉は緑である」という一般的な知識を利用して、「葉が緑ではない」という問いに答える方法を示している。cwmを使って実際にどうやっているかは、Normanのサイトをご覧下さい。

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