ショスタコーヴィチ交響曲第7番の概要(a.k.a.ショスタコービチ)

曲の概要

曲名
交響曲第7番 ハ長調 "レニングラード" op.60
作曲時期
1941
初演
1942-03-05 @ クイビシェフ:文化宮殿講堂
楽章構成
  1. Allegretto-Moderato
    ハ長調 4/4拍子
  2. Moderato (pocp allegretto)
    ロ短調 4/4拍子
  3. Adagio
    ニ長調 3/4拍子
  4. Allegro non troppo-Moderato
    ハ短調 2/2拍子
楽器編成
Pi:1; Fl:2(+1); Afl(1); Ob:2; Eh:1; Cl:2; Ecl:1; Bcl:1; Fg:2; Cfg:1; Hr:4; Tp:3; Tb:3; Tub:1; Timp; Hp:2; Pf:1; Perc; Str
備考
Alto Flute:1;バンダ(Tp3;Hr4;Tb3)
ノート

(打楽器はCym;Trg;BDr;SDr;Tmbr;ドラ;Xyl)

第二次大戦中、レニングラードがヒトラー軍によって900日にわたって包囲されるという極限状況で書かれた曲で、ショスタコーヴィチ自身が「戦争をあつかった標題音楽」として次のような説明を演奏会のプログラムに寄せている:

第一楽章では、わが国のすばらしい平和な生活に恐しい力―戦争が侵入してきたことが語られる。(…)第二楽章は、きわめて抒情的なスケルツォである。ここには、なんと楽しい出来事、なんと嬉しい話があったかの思い出がある。(…)第三楽章は、激情的なアダジオである。生活の歓喜、自然にたいする讃嘆などが、第三楽章の思想である。(…)第一楽章は戦いであり、第四楽章は来たるべき勝利である。この楽章はみじかい序曲ではじまり、そのあとにきわめてにぎやかな、興奮した第一のテーマの叙述がくる。そのあと、厳粛な性格の第二のテーマがはじまる。この第二のテーマは全曲のクライマックスである。このクライマックスは、静かに確信をもって発展し、大きな厳粛なひびきの終りへとすすむ。(『ショスタコーヴィチ自伝』の孫引き)

もっとも、『ショスタコーヴィチの証言』では「第七交響曲は戦争のはじまる前に構想されていたので、したがって、ヒトラーの攻撃にたいする反応として見るのはまったく不可能である。(…)第七番が《レニングラード交響曲》と呼ばれるのにわたしは反対しないが、それは包囲下のレニングラードではなくて、スターリンが破壊し、ヒトラーがとどめの一撃を加えたレニングラードのことを主題にしていたのである」(文庫版pp.318-319)と述べられていて、話はなかなか複雑である。

第1楽章は4度、5度の跳躍を持つ力のこもった主題で始まり、穏やかな第二主題、木管のモノローグを経て「戦争の主題」が登場する。小太鼓が延々と刻むリズムに乗ってさまざまな楽器で主題が繰り返されながら高揚していくこの部分は、ラヴェルの「ボレロ」を思わせる。「メリーウィドウ」の第1幕の“ダニロの歌”を引用したという説もある(主題後半の下降音型)。

歌詞:Da geh’ich zu Maxim, Dort bin ich sehr intim;

(2楽章については後日。)3楽章は木管、Hr、HpによるコラールとVnの民族風旋律が交互に歌われたあと、Flの素晴らしいソロを経て、中間部は鋭いリズムとシンコペーションの伴奏にのって荒野を駆けるような音楽。Flの旋律は、Vaによって再現される。切れ目なく4楽章に突入し、油断ならないリズムで緊張に満ちた展開を行った後、最後は1楽章冒頭の主題が輝かしく奏でられ、Timpが楽章のテーマをうち鳴らして曲を閉じる。

いくつかの演奏=録音情報

演奏者、録音情報と楽章別演奏時間
指揮者演奏CD番号録音年月1234備考
Leonard BernsteinChicago s.o.DG 427-632-21988-0631:4314:4819:2518:5284:48
Eliahu InbalWiener s.o.Denon COCO-99421991-03-18/2228:3811:4619:0716:3776:08
Rudolf BarshaiWDR s.o.Brilliant 6324/41992-0926:2010:2418:1616:3471:34

※録音年月順 (3 records)

※個人的な関心で手元の資料を中心に調べたデータであり、網羅的な情報ではありません。入力ミスなどによる誤りが含まれる可能性があります。年月(日)はISO-8601スタイルで、1806-10は1806年10月を、1806/10は1806~1810年を示します。演奏時間は、の解釈ほか詳しくは内容に関する説明を参照してください(特に古い録音ではリピートが省略されていること多々がありますが、今のところ区別していません)。