スケジュールをネットワークで共有する

ネットワークでファイルを共有したり電子メールを利用すると、仕事の能率は格段に向上します。さらに進んでお互いのスケジュールを確認したり打合せの設定をその場でできれば、いっそう便利になるでしょう。適切なツールを使えば、これらの情報をWWWで公開することも可能です。

ネットワークと情報共有

ネットワークでコンピュータをつなぐ大きなメリットは、メンバー間で情報を共有できるということです。「ファイル共有」機能でお互いの作成した資料を再利用できるようにしたり、共通のデータベースをサーバーにおいて一元管理できるようにすれば、情報は何倍にも活用されます。また、電子メールなどを用いて連絡を素早く確実に行うことで、動きの早いビジネスにも迅速に対応できるようになります。

このような仕事のスタイルが定着したら、その次のステップとしては、お互いのスケジュールを確認したり、共同作業を効率よく進められるようにする「グループウェア」を検討してみたいもの。例えば会議を開催するにしても、電子メールだけで参加者全員の予定を調整するのは簡単ではありません。オンラインで直接メンバーのスケジュールを確認し、その場で会議出席依頼を行うことができれば、グループとしての仕事がよりスムーズに進むようになります。

Now Up-to-Dateのスケジュール管理

マッキントッシュの代表的なスケジュール管理ソフトの一つであるNow Up-to-Dateを用いると、こうしたグループ作業の調整が簡単に実現できます。このソフトは、個人的な情報やスケジュールを手際よく管理してくれるだけでなく、ネットワーク上のサーバーを通して、グループ全体のスケジュールの面倒も見てくれるのです(図1)。

ネットワーク上でスケジュールを共有するためには、専用のサーバーソフトPublic Event Serverを用います。Now Up-to-Dateのインストール時に同時に作成される「Public Event Server フォルダ」を開き、アプリケーションを起動すると、基本的な設定を行う「サーバー手続き」ダイアログボックスが表示されます。そこに管理用のパスワードなどを入力して「OK」をクリック。サーバーのウインドウが現れたら、準備完了です(図2)。

次に、Now Up-to-Dateに戻って、「定義」メニューから「サーバーに接続...」を選んでください。左下の「追加...」ボタンをクリックして、接続可能なサーバーのリストから適切なものを選び、OKすると接続したサーバーが表示されます(図3)。ここでまた「OK」をクリックしてウインドウを閉じると、現在開いているスケジュールファイルがサーバーに接続され、同じサーバーを利用するメンバーと予定表を共有できるようになります。

パブリックイベントで予定を共有する

Now Up-to-Dateでは、カテゴリーという単位で予定(イベント)を分類することができます。これによって、スケジュールを仕事とプライベートに分けて管理したり、プロジェクトごとにスケジュールを色分けして表示したりすることが可能になっているのです。

サーバーに接続すると、「定義」の「カテゴリー...」メニューで表示されるウインドウのポップアップリストにサーバーの名前が加わります。ここでサーバーを選択して新しいカテゴリーを定義すると、それはサーバーに接続した利用者が共有できる「パブリックカテゴリー」となります(図4)。

定義したカテゴリーのうち、現在のスケジュールファイルで利用するものを「定義」の「セット...」メニューで設定します。「イベント情報」ウインドウを開いてみると、セットで指定したものがカテゴリーリストに加わっていることがわかりますね(図5)。予定を入力する際に、カテゴリーをこれらの一つに設定すると、そのイベントはサーバー側に保存され、ネットワーク上で共有できるようになります。また、他の利用者がこのカテゴリーを指定して入力した予定は、自動的に自分のスケジュール表にも表示されます。このしくみにより、いちいち予定をメールで伝達しなくても、関係者全員の予定表に即座に新しいイベントを反映させることができるわけです。

会議開催の可能な時間を調べて連絡する

グループウェアの強力な機能は、複数のメンバーを集めて会議を開催しようというときに威力を発揮します。電子メールで会議を調整するためには、まず開催の候補日時を複数用意して関係者に一斉に連絡し、その返信を待って全員の予定が合うところを確認し、あらためて決定連絡を流すという段取りが必要です。候補日時でうまく折り合いがつかなければ、また別の日時で調整をやり直さなければなりません。

Now Up-to-Dateには、同じPublic Event Serverに接続している利用者同士で効率的に会議日程を調整する「グループスケジュール」機能が用意されています。この機能を利用するためには、まず「ミーティング」メニューの「ログイン...」を使って、自分の名前をグループメンバーが確認できるようにします。そのうえで、「ユーザーと資源...」メニューを開いて、関連するメンバーや会議室などの情報を自分のカレンダーファイルに取り込んでおきます(図6)。

これらの準備ができたら、ツールバーの「新規ミーティング」ボタンをクリックし、会議に割り当てるカテゴリーを選択した上で、ダイアログボックスで出席を依頼するメンバーや利用する会議室を指定してください(図7)。ここで「自動設定...」ボタンをクリックすれば、関係者全員の予定が合う時間帯が候補としてリストアップされます。「グループビュー...」ボタンを選ぶと、関係者の予定がバーチャートの形式で表示され、適当な時間を選択できます(図8)。時間を設定してOKすると、新規ミーティングのイベント情報ウィンドウが表示されるので、会議のタイトルなどを入力してウィンドウを閉じてください。これで、関係者全員に、会議の開催案内が送られます。

会議の案内が届くと、メンバーの画面にはダイアログが表示されます。ここで「ミーティングの通知」ボタンをクリックすると、会議の内容を知らせるウィンドウが開き、出席するかどうかを返信できるわけです(図9)。

スケジュールをWebで公開する

Now Up-to-Dateは、パブリックカテゴリーを割り当てられた予定をWWWの情報として公開する機能も備えています。

まず、Public Event Serverの「サーバーの手続き」ダイアログボックスで「Web設定...」ボタンをクリックし、WWWに関する設定を行うウインドウを開いてください(図10)。ここで「自動的にHTMLを生成」をチェックすると、Public Event Serverが働いているマッキントッシュがWWWサーバーとなり、Now Up-to-DateのスケジュールをWeb利用者にも提供できるようになります。 イベントを全て公開してしまっては具合が悪いこともあるので、実際にどのスケジュールをWebを通じて提供するかを「カテゴリー...」ダイアログボックスで指定します(図11)。ここで適切なカテゴリーにチェックを付けた上で、このサーバーに接続してみましょう。最初のページを開くと、選択したカテゴリーがリンクの形で表示されます。そのひとつをクリックしてみると、該当するカテゴリーのイベントが、カレンダーの形で表れますね(図12)。

Webスケジュールのカスタマイズ

これらのWebページは、Public Event ServerフォルダにあるSysHTMLというフォルダ内の特定のファイルを使って組み立てられます。最初に表示されるトップページは、HomeHead.htmlとHomeFoot.htmlという2つのHTMLファイルに、カテゴリーへのリンク部分がサンドイッチになる形で構成されています。これらのファイルを編集することで、ページの先頭にロゴを加えたり、最後に別のサイトへのリンクを加えたりすることができるわけです。

同様にして、カテゴリーのカレンダー表示をカスタマイズするには、同じフォルダにあるCatHead.htmlとCatFoot.htmlという2つのファイルを編集します。これが、カテゴリーレベルの標準的な表示スタイルとなります。また、Public Event Serverの「サーバーの手続き」でカテゴリーを指定したときに表示される「カテゴリーヘッダファイル」と「カテゴリーフッタファイル」欄で個別のHTMLファイル名を指定しておけば、カテゴリーごとにきめ細かな情報を提供することも可能です。

WWWでのスケジュール公開

WWWで公開されたスケジュールは基本的に閲覧専用で、ブラウザから新しい予定を入力することはできません。また、会議開催通知やNow Contactとの連動といった高度な機能を利用するためには、Now Up-to-Date本体が必要です。こうした制約はあるものの、WWWで共通スケジュールを公開し、Webブラウザさえあれば誰でも予定を確認できるという仕組みには、様々なメリットがあります。

例えば研修会のような全社に共通するイベントを主催する業務を考えましょう。このような情報がイントラネットで提供されれば、利用者にとってはブラウザ一つであらゆる情報を集めることができ、とても便利です。しかし、そのためにはイントラネット向けに情報をHTMLで提供しなければならず、多くの場合、担当者は自分の業務ソフトとイントラネット情報の二重管理が必要になってしまいます。

こんなとき担当者の予定管理ソフトがNow Up-to-DateのようなWeb公開機能を持っていれば、通常のイベント管理をきちんとこなすだけで、研修会情報をそのままイントラネットに提供することができますね。この結果、利用者はいちいち担当部署に問い合わせをすることなく、簡単に研修会の予定を確かめられるようになります。しかも、担当者は予定が変わるたびにイントラネットの情報を書き換える必要はありません。Public Event Serverに登録されたイベントは即座にイントラネットにも反映されるので、つまらないミスによる伝達漏れがなくなるのです。

同様にして、インターネットで一般向けのイベントスケジュールを公開すれば、さらに応用の範囲は広がるでしょう。各地のショールームでの展示会の予定をNow Up-to-Dateで管理し、それをそのままWWWで告知しておけば、より多くの人に訪問してもらうことが期待できますね。このようなイベント情報は、維持更新の手間が大きすぎて公開を躊躇する場合が多いことを考えると、この機能の果たす役割は極めて大きいと言えます。

グループウェアを使えば、部署内の仕事がスムーズになることは請け合いです。そのうえ情報が簡単にWebで公開できるのなら、これは試してみる価値がありそうですね。

(MacFan 1998-08-01号)