W3Cの進める「Semantic Web」にはまだリアリティを感じられなくても、自分の文書のマーク付けを工夫して、より正確な情報を提供したいと考えている人は少なくない。RDF/XMLを直に記述するのではなく、従来の(X)HTMLを利用してメタデータの提供を試みようという「小文字のsemantic web」が、静かに広まっている。
Real World Semanticsとも呼ばれるこの「小文字のsemantic web」の代表例としては、<a>要素のrel属性に"friend", "met"といった値を記述することで知人関係を表現するXFNがある。クリエイティブ・コモンズも、最近これと同様に<a>要素のrel属性を利用して、ロゴ画像のリンクにrel="license"というメタデータを埋め込むようになった。先頃登場した日本語版ライセンス生成ページを利用すると、次のようなコードができるはずだ。
(例)
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/nc-sa/2.0/jp/">
 <img alt="クリエイティブ・コモンズ・ライセンス"
   src="http://creativecommons.org/images/public/somerights2.gif" />
</a>
これらはRDFが不要という主張ではなく、「文書作者」の立場では、普段利用しているXHTMLを工夫して意味ある情報を与えよう(そしてそこからメタデータを抽出できるようにしよう)というものだ。実際、こうしたマーク付けの施されたXHTMLからは、GRDDLなどでRDFを生成することができる。あと必要なのは、これらのマーク付けの意味をきちんと定義するスキーマだけだ。
先日#foafで、Dan Brickelyが「XFNのRDFスキーマを書こうと思うんだが、だれかXFNからRDFを生成するXSLTを作らないか」というので、テスト版XSLTを作ってみた。XFNのマーク付けを組み込んだサンプルファイルを、たとえばW3CのオンラインXSLTサービスで処理してみると、XFNの語彙を使ったFOAFが生成される(XFNの名前空間は仮。FOAFは更にXSLTで視覚表現処理をしている)。クリエイティブ・コモンズのrel="license"を利用して、文書のRDFを作るのも難しくない。
このような小文字のsemantic webは、XFNをはじめいくつかの方法がすでに提案されており、今すぐにでも自分のサイトで実行してみることが可能だ。これから少しずつ、こうした試みをとりあげてみようと思う。
- Dublin CoreとRDFのメタな関係 (2004-03-10)
 - Relationshipボキャブラリ (2004-03-13)
 - XHTMLとメタデータ:汎用的な方法 (2004-03-15)
 - 困ったちゃんのprofile属性 (2004-03-17)
 - Vote Links (2004-03-30)
 - GRDDLがW3Cのグループ・ノートに (2004-04-14)
 - profile属性でのGRDDL指定 (2004-10-20)
 - RDFブックマークレット (2004-10-21)
 - FlickrからRDFメタデータへ (2005-01-12)
 - rel="nofollow"ほかメタデータのプロファイル (2005-01-21)
 - XHTMLにメタデータを埋め込む (2004-02-26)
 


