エルガー交響曲第1番の概要

曲の概要

曲名
交響曲第1番 変イ長調 op.55
作曲時期
1907/08
初演
1908-12-03 @ マンチェスター:ハンス・リヒター指揮ハレ管弦楽団
楽章構成
  1. Adagio. Nobilmente e semplice-Allegro
  2. Allegro molto
  3. Adagio
  4. Lento-Allegro
楽器編成
Pi:(1); Fl:3; Ob:2; Eh:1; Cl:2; Bcl:1; Fg:2; Cfg:1; Hr:4; Tp:3; Tb:3; Tub:1; Hp:2; Timp; Cym; BDr; SDr; Str
ノート

ノビルメンテの言葉通りの高貴な序奏がモットー主題となって、全曲を通して登場する。ニ短調の主題が登場するアレグロ以降は、様々な要素が凝ったオーケストレーションで組み合わされて進む(全音階的な順次下降で長いフレーズを持つモットー主題と、それと対照をなす半音階的な上昇音型でリズミックな第1主題から、このあと多様なテーマが生み出されていく※注)。時折リテヌートで奏される六連符の下降音型が印象的。第2楽章は一貫したAllegro Moltoのテンポの中に、細かい音符と行進曲風のテーマが交錯する主部と、エルガーが「川辺に降りた時に聞こえる何かのように」と言った瑞々しい中間部がおかれている。第3楽章はこの上なく優美なAdagioだが、その主題は2楽章の忙しいテーマと全く同じ音の並びによるもの。フィナーレはLentoの序奏で1楽章の回想あるいは派生的な要素や新しい素材が示され、Allegroの主部では付点のリズムの主題のあと序奏の素材などがさまざまに展開されていく。コーダから最後のGrandiosoに向かい、モットー主題が戻ってくるところは、神々しい雰囲気すら漂う。

例えば第1主題の最初の小節(譜例1)から派生する要素をいくつか拾い出してみよう。

譜例2は第2主題に移行する6/4の部分でHrなどで奏され低音にも引き継がれるモチーフだが、半音上昇に始まり4音目までクレシェンドで駆け上って下降するという動きが譜例1と一致する。譜例3はその直後に2nd Vnに現れ、しばらく後に木管にも見られる動機で、半音上昇してから4音目まで跳躍していく形が(1)と同様。これらを発展させると、展開部で激しい曲想に移行する部分(練習番号24)の譜例4の音型が導かれる。これは第4楽章冒頭でも登場し、さらに譜例5(やはり4音目までクレシェンドで上昇してから下降する)に連なっていく。譜例1からは他の形でもいろいろな楽想が導かれており、全曲を緊密に構成する核とも言える。

もうひとつ、テーマの連携の例を挙げておこう。

譜例6はモットー主題、譜例7は第4楽章のテーマのひとつ。全く雰囲気は異なるが、最初のミレドシ(移動ド)という下降がぴったり一致し、後半の4音が上昇する点も同じで、両者が強く関連していることが分かる。さらに言えば、譜例7のリズムは冒頭のモットー主題が伴うベースの3小節目に出てくるものと同じなのだ。また、譜例6後半のドレミファという上昇音階が第2楽章や第3楽章の主題の205音目に一致するのも、多分関連づけて考えてよいだろう。

いくつかの演奏=録音情報

演奏者、録音情報と楽章別演奏時間
指揮者演奏CD番号録音年月1234備考
Edward ElgarLondon s.o.EMI 5-67296-21930-11-20/2217:227:3710:1811:1346:30
Bernard HaitinkPhilharmonia o.EMI 5-69762-21983-0421:566:5012:3312:2253:41
André PrevinLondon s.o.Philips 454-251-21985-0719:226:1512:5712:2250:56
Andrew DavisBBC s.o.Teldec 0630-18951-2199120:437:4911:5812:0452:34
Roger NorringtonSWR StuttgartHänssler 93-0001999-10-27/2918:347:4910:4011:0648:094.拍手が30"

※録音年月順 (5 records)

※個人的な関心で手元の資料を中心に調べたデータであり、網羅的な情報ではありません。入力ミスなどによる誤りが含まれる可能性があります。年月(日)はISO-8601スタイルで、1806-10は1806年10月を、1806/10は1806~1810年を示します。演奏時間は、の解釈ほか詳しくは内容に関する説明を参照してください(特に古い録音ではリピートが省略されていること多々がありますが、今のところ区別していません)。