昨年2月に東京でも都響と演奏して話題になっていた、バルシャイ版のマーラー10番のCDが発売されたので購入。ユンゲ・ドイチェ・フィルとの2001年9月のライブ録音だ。
クック版をベースにしていると言われるが、打楽器を増強(何と17種類!)したほか、ホルンが4→6本に、テナーホルン、コルネットの追加、ハープも2台、それにチェレスタ、ギターまで加えたという豪華な編成(Pi:(1); Fl:4; Ob:4; Eh:(1); Cl:5; Bcl:(1); Fg:4; Cfg:(2?); Hr:6; TenHr:1; Tp:4; Corn:1; Tb:4; Tub:2; Timp; Perc; Hp:2; Cel; Guitar; Str)。響きは当然ながらリッチで、色彩豊かだ。バルシャイ独自の補筆もかなりたくさんある模様。いくつかあるマーラー10番の補筆完成版に、また面白いバージョンがひとつ加わった。
最初の主題からポルタメントを強調してたっぷりと歌い、スケルツォはガンガンに鳴らしていくが、意外にさらりとした部分もあり、そのバランス感覚がなかなか興味深い。「ショスタコーヴィチの世界に近づいている」と評する向きもあるが、どんなものだろう。聴いてのお楽しみだ。
5番とのカプリングの2枚組で1500円しないというのも、ブリリアントの面目躍如というところ。