NHK FMのルツェルン音楽祭シリーズで、ベルチャ・カルテット(Belcea Quartet)の演奏会(2002-09-12)を放送していた。このカルテット(a.k.a.クァルテット)は第1バイオリンのコリーナ・ベルチャが率いるイギリスの四重奏団で、1994年の結成。1999年に大阪国際室内楽コンクールで優勝、2001年のグラモフォン新人録音賞(best debut recording)を受賞するなど若手カルテットの中でも注目株という評判通り、切れ味の良い演奏を聴かせてくれる。

メインのバルトーク弦楽四重奏1番も得意のレパートリーという趣で良かったが、2曲目のタチアナ・コマロヴァ(Tatjana Komarova)作曲の「描かれなかった絵画(Ungemalte Bilder)」が面白かった。この音楽祭が世界初演で、エゴン・シーレをイメージして、この画家が生きていたらどんな絵を描いたかというのを音で表現した、という解説だったか。The Times紙のレビューを借りれば「1910年頃のシェーンベルクを思わせる表現主義の世界」ということだが、もう少し聴きやすい感じ。現代曲は、管弦楽曲ではどうも音響効果のほうに比重がかかりがちというか、がちゃがちゃあれこれ鳴りすぎて落ち着かないものが多いのに比べ、弦楽四重奏だと音楽に集中しやすいということもある。昨日の音楽祭の放送(サロネン+L.A.p.o.の第九)がつまらなかったので、今日は録音しないで放置していたのだけれど、こりゃ失敗だったな、惜しいことをした。

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