念願適ってエルガーの交響曲第1番を弾く機会を得た。オーケストラ・ディマンシュの第17回演奏会で、指揮は金山隆夫。不覚にも2~3日前からやや体調を崩して微熱のある状態だったものの、本番はまずまず集中できて、エルガーを堪能できた。しかし、金山さんも言っていたが、社会人でこんな難曲をきちんとさらって演奏してしまうというのは、すごいことだと思う。いつもの強者どもも、今回は一様に「難しい」と漏らしていた。
金山さんは、練習からずっとエルガーの暖かさを伝え、表現することを目指していた。印象深かったのは、レセプションで、エルガーを指揮しながら脳裏に浮かんだあれこれを話してくれたこと:またもや愚かな戦争を犯しそうな人間の弱さ、またその戦地に行ってしまう友人のこと(金山さんはワシントンで指揮をしている)、爆発したスペースシャトルに乗っていた知人のことなどを。特に第4楽章の中間部でハープを伴ってテーマが柔らかく歌われるところ(130
)は、こうした思いに通じる切々とした響きがある。ベースとしては、まず音をしっかり鳴らすことを考えて弾いていたのだが、この暖かさや悲しさは表現できていただろうか。