過酷なスケジュールが一山越えて、次のマーラー9番の演奏会までは3週間。やはりこれ位の期間は準備に充てたいものだ。

さて、先日久しぶりに国際マーラー協会のサイトを眺めていたら、交響曲第9番の協会版スコアの正誤表なるページに行き当たった。1969年校訂のユニバーサル版の楽譜に、30数カ所のミスプリントがあるんだという。多くは、他の楽器群が sf なのにひとつのパートだけ落ちているといった比較的単純なミスだが、中には音を変更するものもあって、ややびっくり。

手元の音友版スコア(ユニバーサル版のリプリント)を開いてみたところ、確かに正誤表の箇所は訂正前の形になっていて、他のパートなどと見比べると明らかにおかしい(2004年1月の増刷分でも同様)。コントラバスの訂正は1箇所だけだが、今回配られたパート譜でも同様に訂正前の状態だ。この正誤表はあまり知られていないように思うんだけど、もしかしたら常識? トリルの半音間違いなどは演奏していると気付くだろうから、演奏者が適当に直していたところも多いかも知れない。でも、第2楽章520小節目の3番ホルンなんて、そのまま吹いて七の和音をでっちあげてしまいそうな気もする。

と思いつつ、念のためフィルハーモニア版のポケットスコアを見ると、こちらは正誤表の箇所は全て修正済になっている。手元にはユニバーサル版の大型スコアはないので確認できないのだが、最近のものは修正されているんだろうか。確認してみたらやはり修正が必要なようだ。あるいは、大型スコアは1969年刊なのに対し、ポケットスコアは1970年発行なので、この時差で修正が加えられたのかも。面白いことに、1912年の初版のリプリントであるDover版では、正誤表のいくつかの問題点は正しい形になっている(誤りの形の部分もある)。

重箱の隅をつつくような話なわけだが、それだけにパート譜がきちんと修正されていないと見過ごされかねない差異なので、ご参考まで

ちなみに、他の曲に関しては、5番の新校訂版(2002)への正誤表が1箇所、6番が5箇所、嘆きの歌第1稿が5箇所それぞれ公開されている。第1番の1992年校訂版については「スコアとパート譜の差異表はユニバーサル社かマーラー協会から取り寄せられます」なんて書いてあるが、これはパート譜のみ旧版のままということらしく、山江さんのマーラーの交響曲第1番の新校訂版(正誤表)というページでその翻訳が紹介されている。なお、フィルハーモニア版のポケットスコアはこちらも新しい校訂に対応済。

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