第22~24集を購入。これで全集完結かと思ったら、すでに第25集の予告が出ている。どうやら全26集ということになるらしい。まず第22集から。
- 第22集:セレナーデ&ディヴェルティメント
- 10枚のCDにディヴェルティメント10曲、セレナーデ9曲、カッサシオン2曲、音楽の冗談、ガリマティアス・ムジクム、いくつかのマーチを収めたもの。管楽器のためのディヴェルティメントやセレナーデは、これとは別の第3集に収められている。
- 最初の5枚はフロリアン・ヘイエリック(Florian Heyerick)指揮マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団(Kurpfälzisches Kammerorchester Mannheim)による2002-07の新録音。初めて目にする団体だが、特に“マンハイム楽派の音楽の発見”に力を入れているそうで、なかなか切れ味のよいピリオド系の演奏を聴かせてくれる。4~5枚目のK100, K113, K131, K204, K205はジリ・マラート(Jirí Malát)指揮。なお3枚目のうちK251はブルクハルト・グレツナー指揮ノイエ・バッハ・コレギウム・ムジクムの1989年の録音。
- 6枚目はトーマス・フューリ指揮のカメラータ・ベルンによるK247とK287のディヴェルティメント(1989-11-28/30録音)。ひどいビブラート漬けでがっかりさせられる。せっかくの新録音に、こういうものを混ぜないで欲しい。
- 7枚目はコリン・デイヴィス指揮バイエルン放送響(1986-10録音)によるK239、K320 (Posthorn)とヤーノシュ・ローラ指揮フランツ・リスト室内管弦楽団(FLCO)のガリマティアス・ムジクム。バイエルンのK239は勘弁して欲しい演奏だが、K320はまだまし。FLCOは17人の弦楽器奏者からなるアンサンブルで、緻密な演奏を聴かせてくれる。スタイルとしてはピリオド系みたいだ。8枚目はやはりバイエルン放送響によるハフナー・セレナーデK250(1988-01録音)で、これも聴ける範囲だ。
- 9枚目はFLCOによるK185と、ギル・シャロン指揮アマティ室内管弦楽団のK203(1996録音)。ここでもFLCOはなかなか好演している。アマティc.o.はFLCOよりビブラートが大きく少し違和感を感じるが、それほど悪くない。
- 10枚目はハンス・グラーフ指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団による17曲の行進曲集(1988-05録音)。珍しい曲もあるから、まあいいかなと。演奏も悪くはない。
いろんな演奏が混在しているので評価しにくいが、セットで3000円台なのだから、マンハイム・プファルツとフランツ・リスト室内管を聴くだけでも十分値打ちありとは言える。
引き続き23~24集を(12/22追記)。
- 第23集:皇帝ティートの慈悲+偽の女庭師
- 「ティート」(ティトゥス)はお馴染みイェド・ヴェンツ指揮ムジカ・アド・レーヌムによる2002-08の新録音、「女庭師」はシルヴァン・カンブルラン指揮モネ王立歌劇場管の1989-06のライブ(第5集と同じ組み合わせだ)。前者はシャープで溌剌とした好演。後者は録音がいまいち?なところがあるものの、雰囲気が出ていて悪くない。
- 第24集:コンサート・アリアと歌曲
- 8枚組のCDで、歌はあまりで得意ではないにもかかわらずシリーズで何となく買ったのだが、これはよかった。1~2枚目はソプラノのコンサート・アリアで、ソロはそれぞれフランシーヌ・ヴァン・ヘイデン(Francine van der Heyden)、ミランダ・ヴァン・クラリンゲン(Miranda van Kralingen)、オーケストラはエド・スパンヤールド(Ed Spanjaard)指揮ヨーロピアン・シンフォニエッタ。歌もまずまずだがこのオケは結構掘り出し物という感じ。3枚目はテノールのアリアで、ソロはマルセル・レイヤン(Marcel Reijans)。4枚目はバスで、ソロはエツィオ・マリア・ティシ(Ezio Maria Tisi)。3〜4枚目のオーケストラはヴィルヘルム・ケイテル(Wilhelm Keitel)指揮ヨーロピアン室内管弦楽団(COEとは別物らしいが、明るく素直な音色で悪くない)だ。以上は2002-06の新録音。
- 5~6枚目は旧録音のライセンスによるソプラノのアリアで、クリスティアーネ・エルツェ(Christiane Oelze)+ハルトムート・ヘンヒェン指揮C.P.E.バッハ室内管(1993-03録音)とシルヴィア・ゲスツィ(Sylvia Geszty)+オトマール・スイトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1970-04録音)の演奏。ソプラノの歌い方やドレスデンの演奏のスタイルが古いのは否めないが、意外にまともだ。
- 7~8枚目は鍵盤伴奏によるリートで、バス・ラムセラール(Bas Ramselaar)のバス/バリトンと、クラロン・マクファッデン(Claron McFadden)のソプラノ、バルト・ファン・オールトのフォルテピアノによる演奏(前者は2001-11-28/29、後者は2002-05-13/14録音)。ラムセラールは同じブリリアントのバッハのカンタータ全集でバスを受け持ったという。マクファッデンの歌は、清潔でのびのびとしていてすごく良かった。歌の善し悪しが言えるほどこのジャンルは詳しくないが、オールトの伴奏とともに、これはいいと思った。