モーツァルト・イヤーの2006年の冒頭を飾って、In Search of Mozartという映画が本日(1月4日)ロンドンのバービカン・センターで公開される。モーツァルトの足跡を辿って25,000マイルの撮影旅行を行い、80に及ぶ曲を収録し、42人にのぼるインタビューを織り交ぜて綴ったドキュメンタリーで、ロジャー・ノリントンが「これまで見た中で、モーツァルトに関する最も包括的な(most comprehensive)フィルム」と賛辞を送っているという。
監督は、「モハメド・アリ」などのノンフィクションを撮影しているイギリスの映像作家、フィル・グラブスキー(Phil Grabsky)。いくつかのレビューやグラブスキーの会見記事によると、フィルムはモーツァルトの住んだところ、旅したところを年代順に追って行き、各地の映像に絵画や彫刻や手紙の朗読をまじえ、さらに現代の演奏会を収録したシーンとインタビューが重ねられていく。アマデウスのような、大がかりなセットと衣装による「復元」の手法は取らず、演奏家や音楽学者らのコメントを活用しながら映像を様々に組み合わせ、ドキュメンタリーを構成しているようだ。
インタビューを受けているのは、ノリントンをはじめ、ルネ・ヤーコプス、チャールズ・マッケラス、ルネ・フレミング、ジョナサン・ミラーなど。収録されている演奏は、交響曲などの多くがブリュッヘン指揮の18世紀オーケストラによるほか、全て演奏者のクレジットが示されていて、気合いの入っていることが伺える。
映画は、ロンドンを皮切りに、欧米の映画祭などで上映され、14カ国でテレビ放映も予定されている。DVDは公式サイトから直接注文できるほか、1月下旬からは英アマゾンでも扱われる模様。調べた範囲では日本での上映、放送、販売の計画は今のところないようだが、DVDのサブ言語には日本語も含まれているので、そのうちどこかが放映したり、購入可能になるのではないだろうか。