一度取り組みたいと思いながらこれまでチャンスの無かったプロコフィエフを、作曲者の没後50年という年に、Iさんの紹介でようやく弾く機会を得た。今日のメニュー交響曲5番は、旋律の魅力、巧妙なリズム、調性の凝った扱いなど、プロコの面白さが詰まった、言うまでもない名曲。実は数多の交響曲の中でも結構好きな1曲だったりする。交響曲に限らず、ピアノやバイオリンの協奏曲とかソナタとか、何やら肌に合うというか、密かにプロコ・ファンなのであった(この機会にプロコフィエフを少し掘り下げようと、ワーナーの没後50周年記念24枚組CDセットとか、RobinsonやJafféの本も購入して意欲を見せたものの、途中で息切れ)。

5番のベースパートの譜面はそれほど難しくないのだが、弾いてみると意外に捕まえどころがなく(特に第1楽章)、ころころ変化する調に目がくらんでいるうちに、曲の中でのポジションを捉えきれないまま進んでしまう。どうも、単語は見たことがあるのに文法がいつもと違うという感じか。オーケストレーションは、CDなどから耳で聞いている以上に複雑な仕掛けがたくさんあって、それらもひとつひとつ吟味して丁寧に合わせるときっと面白い効果が得られるのだろうけれど、なかなかそこまで手が回らない。本番でやっと「なるほど、こういうことか」と感じながら弾けたのは幸いだったが、もうちょっとたくさん練習に出席できる状況じゃないと、満喫するというのは難しいかな。

この曲の第2楽章のような、メカニカルなリズムをリレーのように受け渡していく曲は、会場のコンディションとテンポによってはすごく難しいことになる。客席が空の状態でのステリハでは、どうなることかとハラハラしたが、本番はなんとか様になったようだ(前プロのショスタコ9番の方がスリリングだった)。全体としては、初プロコは、なかなか楽しむことができた。

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