何となく独り言のつもりで書いたrfの謎に意外に反響があったので、少々おまけを。前回はリンフォルツァンドの一般的な意味と、ブラ1の2楽章での位置づけの両方をざっと考えたが、今回はブラームスの自筆譜をチェックしながら検討してみる。
第2楽章の12小節目付近の弦楽器セクションは、出版譜とほぼ同じだが、Vaパートにはrf が落ちており、逆にアウフタクトの八分音符はないのにクレシェンドが書かれている(11小節目で八分休符を削除して四分休符に改めているので、2nd Vnと同じようにアウフタクトを奏させるつもりだったのかも知れない)。バスの強弱記号はいったん書いたものを消して、rf dim > p とかなり細かく減衰が指示されている(出版譜ではdim はない)。消されたところは判読しがたいが、どうもrf p という具合に、すぐに音を小さくするようになっていたみたいだ。
一方、木管楽器セクションを見ると、これはかなり違いがある。出版譜では、アウフタクトから小節の前半までが<(クレシェンド)で小節の後半に>(デクレシェンド)が書かれているのに対し、自筆譜ではアウフタクトの八分音符にrfが付けられ、12小節目に入ってからdim という指示だ。
これらを合わせて考えると、少なくともこの部分でのrf は、頭から強いアタックを置くというより、ぶうんというニュアンスの、少しふくらむアクセントなのかなという感じがする。シュターミッツのころの《短く強いクレシェンド》という奏法ともつながるか。
今日の阪さんの練習では、そこまでずっとディミヌエンドしてきた1st Vnが、dolce でクレシェンドしてrf にたどり着くという過程を繰り返して表現を確認していた。バイオリンだけがクレシェンドするのではなく、ほかのパートもその感覚を共有すると、rf が自然にはまりそうではある。
25小節目のrf はpp のあとで突然出現するものだが、こっちはどうだろう。12小節目の自筆譜の木管楽器のように、《短く強いクレシェンド》を内包するものという捉え方はできるようにも思うのだが。