FMでエンシェント・コンソート・プラハによる弦楽五重奏版の第九を放送していた(2001年12月15日の演奏会:ナーブラット編曲)。この団体が弦楽五重奏で録音したベートーベン交響曲5番、8番(C.F.エバース編曲)というのは颯爽としていて面白かったので、期待して聴いたのだが、さすがに第九は難しかったか。コンサートのライブなので仕方がないにしても、かなり音程が怪しげ。音楽も意外に大仰なロマンチックなつくりの箇所が多かった。2楽章のティンパニや、4楽章のマーチの鳴り物を弦に移し替えるのは、かなり苦しい。たまに和音が違って聞こえたのは、編曲のせい?
室内アンサンブルならではの響きはもちろんあったし、4人のソリストと12人の合唱とのバランスも悪くなかったので、試み自体は評価していいと思う。ベートーベン交響曲の編曲は、ピアノ向けがいろいろ録音されているが、室内楽はあまり例がない(オルフェウスがベートーベン自身の編曲による管楽器9人の7番を録音しているらしい)。コンソート・プラハは全曲録音に取り組むということだから、ぜひ頑張って欲しいところだ(1999年にエロイカを録音済みであることを発見。また、プロ・アルテ・アンティクァ・プラハが3,5,7を出している)。
シンフォニーの室内楽版といえば、昨年マーラーの4番(リノス・アンサンブル)と、大地の歌(アンサンブル・ムジク・オブリク/ヘレヴェッヘ)のCDを買ったんだった。いずれもシェーンベルクとその周辺による編曲で、こちらは管打楽器も使い、さらにピアノも加えている。弦楽五重奏と同列に比較するのは無理があるが、さすがに表現力豊かで、いろんな仕掛けが鮮明に分かるだけに聴いていても面白い。
フル編成のオーケストラは、運営もたいへんだしメンバーの質を揃えるのも困難だから、自分たちでもこういう楽しみ方はありだな。昔はこれが普通だったというわけだし。そういえば以前、シェーンベルク編曲の皇帝円舞曲に、無理矢理コントラバスを加えて演奏したんだっけ。懐かしい話だ。