Planet masaka played list
Naxos Music Libraryで聴いてPlanet masakaにメモした最近の曲と2008年からの月別リストです。
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レーラ・アウエルバッハ:
パルティータ
(クリスティン・ベルンシュテッド)
古風な形式を用いながら主題は超高音から、時おり激しい不協和音を交えるといった趣のVn独奏で原題はPar.ti.ta。「孤独の組曲」も静謐で古風な姿を持ちつつ奇を衒わずにモダンな顔がのぞく。《孤独なVn奏者のためのバレエ》だという。「祈り」はホロコーストへの思い。「記憶よ、語れ」はナボコフ自伝のタイトルでもあり二声の対話が一つの線に収斂していく。Naxos 9.70376 ()
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福士則夫:
青海波
(上野信一+フォニックス・レフレクション)
6打による高低さまざまな音のきらめき。フィボナッチ数列による縦の杭の隙間にトリボナッチ数列による響きのかけらが散りばめなれる。8打の東日本大震災の鎮魂「海を渡る鐘の音」に続く四方の静かな海。「海流」は6打でMrmbが導く。「カップル」は2打で台詞もある。「ていろ」は4人の手拍子。以下ソロで「グラウンド I」「赤道のゼフィルス」「スコール!」。楽しく面白い。ALM Records ALCD-7288-89 ()
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クヌート・ヴォーゲ:
メドゥーサ
(インゲラ・オイエン)
Fl独奏が息音の鋭い音だったりゆらぎを加えたりして抜き足差し足で進む3部構成。「あなたに似てもいいですか?」は特殊技法なし。「失われた闘い」はMrmbほか打を加えさらにハンネ・ブランネスの詩の朗読も加わる。「ヤヌス」は管弦楽伴奏のFl協奏曲で独奏はいろいろ技法を駆使するがオケはわりと普通ぽい。「エレクトラ II」は電子音との共演だがかなり耳障り。LAWO Classics 7090020183503 ()
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伊藤祐二:
振り返り I
(松岡麻衣子+井上郷子)
ぽつりぽつりと断片的な音がゆっくりと奏でられ途中からグリッサンドや重音などが混じってくる。「ヴァシレ・モルドヴァンの7つの詩」はSop+Pf。「ソロイスト」「メレタン」はPf独奏で「偽りなき心 II 」もここではピアノ版。良く言えば切り詰められた静謐な音の瞑想だが。先の前田からミニマルな音が続いたからというのもある。ALM Records ALCD-140 ()
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前田克治:
影と形
(前田)
ピアノのペダル操作で音の残響というか減衰を際立たせるという作風で、ここではパーカッシブに集合音を鳴らす。「とぎれない夢」はそのIIとされて少し変形。「曙光」は一つの和音を中心に、「三和音」はスローな分散和音、「イン・ビトゥイーン」は五度を繰り返しIIでは内部の打的奏法なども。ぼんやり流すにはいいかもだけど。ALM Records ALCD-139 ()
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ヨハネス・マリア・シュタウト:
おそらく最初は本当に
(クリスティーン・ホイットルジー+アンサンブル・モデルン)
Fl+Tp+Va+Cb+Hp+打にSopを加えマックス・ベンゼの詩を用いて能のようなゆっくりした動き。「麦じゃなく小麦です、恐れながら」はFl+EHr+Cl+Vn+Va+Vc+打でゆっくり溶けるような。「八つ」はCl+Fg+Hr+弦5でグリッサンドが面白い。ピアノ三重奏曲第2番「流れる大地」は反復される16分音符と息も含む弛緩する部分が交代、「バーリント・アンドラーシュ・ヴァルガのために」は抜き足差し足から激しく、「ラグレイン」はClを加えて静謐な世界がベース。 NEOS12425 ()
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尹伊桑:
Vnソナタ
(ウ・イエジュ+パク・トモキ)
トリルを多用して目まぐるしく動いたのち最後にゆっくり音が重なる瞑想的な第2部が置かれる単一楽章。「歌詞」はゆったりした舞のように始まり激しい中間部を経て静かな世界が戻る。以下Vn独奏で「大王の主題」は《音楽の捧げもの》による十二音技法的な7つの変奏。「庭園のリーナ」は孫娘のために猫、兎、小鳥などを描写した優しい5章。「コントラスト」はPizzとレガート、細かな動きと透明な音などが対比される2章。Kairos 0022045KAI ()
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エレス・ホルツ:
ある人物が自分が人間でなかったことを知る
(E-MEX-アンサンブル)
Fl+Ob+Cl+Trb+Vn+Vc+Pf+Accrd+打にライブエレクトロニクスを加え、タイトルにもなっているスヴェーニャ・ゴルターマンのテキストを投影しながら演奏するという。微分音を含む不協和な音がゆっくりと変容しながら不条理な世界を描く。「死」は2BCl、「マッハ」はTrbにそれぞれライブエレクトロニクスを加え、不気味な不安の音楽を繰り広げる。なかなか厳しい。 NEOS12431 ()
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モートン・フェルドマン:
ピアノとオーケストラ
(アラン・フェインバーグ+マイケル・ティルソン・トーマス+ニュー・ワールド・シンフォニー)
Pfと管、弦が入れ違いに鳴ったり重なったりしながらゆっくり動いていくフェルドマンの世界。「チェロとオーケストラ」は同様のVc協奏曲。「コプトの光」は音の織物が重なりめくられていく。Universal 00028948468645 ()
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平義久:
トリクロミー
(トリオ・クセナキス)
和太鼓の連打のような威勢のよい導入から徐々に浮遊空間のような高音打の響きに移っていく。クセナキスの「オコ」は南の島の太鼓という感じの低い重心。フィリップ・ユレル「典礼トリオ」は一斉打が文節する隙間に硬質な断片がさまよう。スティーヴ・ライヒ「マリンバ・フェイズ」「ナゴヤ・マリンバ」はMrmbの反復音型がズレてゆき「クラッピング・ミュージック」はそれを手拍子で。ピエール・ジョドロフスキ「24のループ」は異なる楽器の各パターンが重なり執拗に反復される。B Records LBM070 ()
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カロリナ・ノゲラ・パラウ:
チョンタの他の作品
(ピアノ・デュオ・コンドラシェヴァ/チカ)
南米(コロンビアの舞曲?)の素材を不規則に反復しながら変形し混沌としたノイズも組合せる。アントニオ・コレアの「マキナIII」は反復分散和音に時折打ち込みが入りながら変化。「マッカーサー氏」は強烈な低音打撃から柔らかな表情へ。「アポロ」は柔らかい電子音(?)との瞑想。A・P・サルダリアガ「音型」は対角線とかブロックを表現する2章。ディエゴ・ヴェガ「ラプソディア」は少しのロマンと奔放。J・アントニオ・クエラル「8つの小品」は伝統的形式に少し民族の風味。D・ポンセ・デ・レオン「開拓者の道」は太鼓を加えリズム主体。ニコラス・オスピナ「漸進的な痛み」はミニマル反復が徐々に展開。arcantus ARC22036 ()
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ソフィア・グバイドゥーリナ:
オッフェルトリウム
(ギドン・クレーメル+シャルル・デュトワ+ボストン響)
バッハ“音楽の捧げもの”の主題がウェーベルン風の音色旋律で始まるとそれを独奏Vnが鋭く遮りさらに主題が両端を1音ずつ切り詰めらつつさまざまな技法と音色で自在に変奏されそしてまた復活していく。「T.S.エリオットへのオマージュ」はCl+Fg+Hr+弦5の八重奏にSopを加えての7楽章。弦、管、声、Pizz弦と楽器群を変えながら5楽章で全合奏、3,5,7楽章でエリオットの詩による歌、2楽章では自然倍音が駆使される。DG 00028942733626 ()
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ソフィア・グバイドゥーリナ:
弦楽四重奏曲
(モリナーリ四重奏団)
静謐な中に不安や不条理をいろんな技法で織り込んでいく。さらに「BACH主題による反映」、「弦楽三重奏曲」。リジョイスはVnとVcのソナタ。ピアノ五重奏曲は初期作品。グバイドゥーリナが亡くなったとの報を受けて追悼に。以前聴いたATMAの番号が改まったらしい。ATMA Classique 00722056647328 ()
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エルナズ・セイエディ:
私のなかの太陽
(コマス・アンサンブル)
BCl+Fg+Hr+Vn+Va+Vc+Cbで低いG音の周囲に微分音的ゆらぎというかノイズのような音の帯が。「あらたな海へ」はCl+Accrdでハーモニクスや息音も用いながら長音がゆらゆら変化する。「可能性の予感」はVc+Hpで最低音域の蠢きが時々発火する。「純然たる雪」はCl+Hr+Vcで厚みのある音と孤独な音の交差。「内側のかけら」はFl+Cl+Hr+Va+Cb+Pfにハリー・パーチの作ったカノン(微分音ツィター)を加えて荒々しい低音と内部奏法らのグリッサンドそしてカノンの侘しい反復音。Wergo WER6444-2 ()
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ドビュッシー:
歌劇「ペレアスとメリザンド」
(シャルル・デュトワ+ヴェルビエ祝祭管ほか)
ドビュッシー的な旋法というか語法(メシアンがペレアスの和音というVII/Iとか)に満ち、ただぼんやり聴いているだけで私とドビュッシーみたいな世界が広がるというのも老人めいてるがそんな感じ。DG 00028948667932 ()
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レイ・リャン:
6つの季節
(マルコ・フージ+チャールズ・デルーガ+雷身(自身))
アラスカの北チュクチ海の水中録音から得られた氷や海洋哺乳類の音を電子処理しVn/Vaダ・モーレのゆっくり蠢く(胡弓を思わせる)即興を組み合わせた不思議な作品。伝統的な中国絵画の静謐なモチーフと北極圏の風景を融合したという。新しい氷ができ、暗闇、夜明け、融合、騒音、開花と季節が移るということになっている。Kairos 0022054KAI ()
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ポウル・ルーザス:
ピアノ・ソナタ第1番
(レオナルド・ズニカ)
「神曲」に触発された“ダンテ・ソナタ”だそうで力のみなぎる前半と俯いて歩くような後半2楽章。ガブリオ・タリエッティ「悪の嚢」はEギターと格闘するデュオで地獄篇第八圏の第1,4,5嚢を描き、「フランチェスコ・ランディーニの3つの歌」は古風なピアノ曲ながら最後にEギターが加わり、この2曲の3楽章が交互に出現する。レアンドロ・ロー・ビアンコ「ラウシェンバーグによる3つの即興」はEギター独奏でハーモニクスを駆使したりする3楽章。これも副題「ダンテの地獄」というダンテ尽くし。Stradivarius STR37250 ()
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ダニエレ・ヴェントゥーリ:
否
(ミリアム・ガラニャーニ)
ピアニストが"Nan"と呟きながら即興のようなお経のような断片の連なりを奏する。Pf版と電子音響を加えた(空間化ピアノ)長い版が収められている。「アケルナル」はより動きが増して込み入ってくる。こちらは空間化ピアノ版とPf+電子音による架空オケ(打?)版の2バージョン。Stradivarius STR37309 ()