吉松隆交響曲第4番の概要

曲の概要

曲名
交響曲第4番 op.82
作曲時期
2000
初演
2001-05-29 @ 藤岡幸夫指揮関西p.
楽章構成
  1. Allegro
  2. Valse
  3. Adagietto
  4. Allegro molto
楽器編成
Fl:3; Ob:2; Cl:2; Fg:2; Hr:4; Tp:2; Tb:2; Tub:1; Perc:4; Pf:1; Str
ノート

1998年にアレグロとフォルテに徹した〈交響曲第3番〉を書いた後、その反動のような交響曲を一つ書いてみたいと思った。それは、最初の構想では重く暗いアダージョ交響曲だったのだが、ミレニアムの区切りに降臨した奇妙なミューズ(楽想の女神)の微笑みのせいだろうか、第3番という嵐の後の「谷間に咲く小さな花のような」間奏曲風で軽やかなミニ・シンフォニーのイメージがそれを押しのけて鳴り始めた。それは新しい世紀に遊ぶ子供のイメージを持った、春の緑をたたえる小交響曲であるとともに、雑多な音楽の記憶を並べた音の「オモチャ箱」でもある。だから、この交響曲をひとことで言うなら、「パストラル(田園)・トイ(おもちゃ)・シンフォニー」ということにでもなるだろうか。

  • 第1楽章:アレグロ。さまざまなビート(リズム)とモード(旋法)の間を走り回る〈鳥〉の思考によるアレグロ楽章。少年時代の夢の中で、機会仕掛けの鳥、木彫りの操り人形、すましたお姫さまの人形、ブリキの兵隊たちとネズミたちなどなど、様々な玩具が春の田園を夢見ながら飛び回る。
  • 第2楽章:ワルツ。歪んだワルツがひたすら堆積してゆくリズムの万華鏡としてのスケルツォ楽章。後半では過去のさまざまな交響曲作曲家たち(ベルリオーズ、ブルックナー、ショスタコーヴィチ、マーラー、ベートーヴェンetc)のワルツが乱舞しつつ織り込まれてゆく。
  • 第3楽章:アダージェット。ノスタルジックなメロディと甘いハーモニーによる後期ロマン派風の緩徐楽章。中間部とコーダには、遠い春の記憶がふと頭をよぎるように、ピアノによるオルゴールのメロディが走り抜ける。
  • 第4楽章:アレグロ・モルト。春を讚えてひたすら明るく軽やかに走り抜けるロンド風フィナーレ。鳥たちのパッセージと、幸せに満ちて春の野をスキップするようなリズムとが艶やかな饗宴を繰り広げ、最後は夢の向こうに消えてゆく。

作曲者自身の解説より

※個人的な関心で手元の資料を中心に調べたデータであり、網羅的な情報ではありません。入力ミスなどによる誤りが含まれる可能性があります。年月(日)はISO-8601スタイルで、1806-10は1806年10月を、1806/10は1806~1810年を示します。演奏時間は、の解釈ほか詳しくは内容に関する説明を参照してください(特に古い録音ではリピートが省略されていること多々がありますが、今のところ区別していません)。