吉松隆交響曲第5番の概要

曲の概要

曲名
交響曲第5番 op.87
作曲時期・場所
2001
初演
2001-10-06 @ サントリー音楽財団作曲家の個展「吉松隆」にて藤岡幸夫指揮東京都s.o.
楽章構成
  1. Allegro
  2. Scherzo
  3. Adagio
  4. Finale
楽器編成
Fl:3; Ob:3; Cl:3; Fg:3; Hr:6; Tp:4; Tb:3; Tub:1; Perc:5; Pf:1; Cel:1; Str
備考
ノート

〈第5番〉というナンバーの付く交響曲を書くにあたっては、ひとつの夢があった。それは「冒頭は(例の)運命のモチーフで始まり、最後はハ長調の主和音(ドミソ)で終わる」ということである。(中略)ただし、この交響曲は「運命」交響曲ではなく、一種の「ファウスト交響曲」(文学で言うなら「モン(我が)ファウスト」)である。それゆえ、前半の3つの楽章では(誤解を恐れずに敢えて説明するなら)それぞれ、ファウスト的な「思索し(後悔し)疾走(暴走)する自我」、メフィスト的な「幸福と地獄とを共に見せてくれる悪魔」、そしてグレーチェン的な「悲しみとしての永遠なる女性性」が語られる。それらが交錯し錯綜する4幕からなる(芝居がかった)人間ドラマ。…とでも解説すれば、この奇妙な交響曲の内容の一部を語ったことになるだろうか。(もっとも、作曲者のそんな解説を本気にする人はきわめて少ないとは思うけれど…)

  • 第1楽章:3つの異質なモチーフが登場する軋んだ序奏と、後悔と希望とが歪(いびつ)に錯綜しながら疾走する分裂症的なアレグロ。
  • 第2楽章:冷笑的で悪魔的な乾いたスケルツォ。ジャズ風のベース・ラインに乗って悪夢が皮肉な笑みの中で跳梁跋扈する。
  • 第3楽章:女性性によせる悲歌風のアダージョ。星くずの下での鳥たちの夢と回想、そして亡き妹へよせるワルツの残像。
  • 第4楽章:祝祭的なファンファーレで始まり、ロックのビートで駆け抜ける錯乱した舞踏としてのフィナーレ。夢の収斂と昇華。

作曲者自身の解説より

※個人的な関心で手元の資料を中心に調べたデータであり、網羅的な情報ではありません。入力ミスなどによる誤りが含まれる可能性があります。年月(日)はISO-8601スタイルで、1806-10は1806年10月を、1806/10は1806~1810年を示します。演奏時間は、の解釈ほか詳しくは内容に関する説明を参照してください(特に古い録音ではリピートが省略されていること多々がありますが、今のところ区別していません)。