music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2016-10
シェーンベルク :
弦楽四重奏曲
(アサセッロ四重奏団 )
第4番から逆順の構成。3番のほうがつながりを捉えやすいこともあり最初はいいかなと思うのだが、やはり4番の変幻自在な音が一枚上手かな。2番になるとぐっと時代が引き戻されてしまい、歌が入って最後は無調だとはいうものの、まぁね。第1番は浄夜の香りが少しあるが、もういいよとなってしまう。Genuin
GEN16429
(2016-10-31 )
フリードリヒ・チェルハ :
夜
(ポマリーコ+南西ドイツ放送響 )
まっすぐに飛翔していって炸裂して花火のように降り注ぐ音のエネルギー、最後がやや予想外。併録シャリーノ「謝肉祭」は多様にカーブする断片を5人の声で、それに絡む10人の器楽、これも直進してから変化する。スラヴニクス「内なる声」はポルタメントしていく微妙なずれと不協和。面白い。2014ドナウエッシンゲン音楽祭の9作品。
NEOS11522-24
(2016-10-30 )
ハウベンシュトック=ラマティ :
星座
(クラングフォルム・ウィーン )
図形楽譜を駆使した挙句、エッチングの版画作品 www.ariadne.at/?picture_id=3135 が「楽譜」として演奏されるという越境が。併録の「マルチプル」の楽譜が解説に収録されているが、この演奏指示を適用すれば確かに可能なんだろうな。通常楽譜の弦楽三重奏曲やモレンドも十分刺激的。Kairos
0015003KAI
(2016-10-30 )
ストラヴィンスキー :
ミサ曲
(ヘレヴェッヘ+ヴォカーレ・ゲント+ロイヤル・フランダースpo )
合唱と10本の管楽器による、新古典というよりはほとんど疑ルネサンスという趣で、見通しがよくクールな響き。詩篇交響曲では、合唱は素朴なホモフォニーながら管弦楽はいろいろ忙しく仕事をする。無骨な響きだが、最後に降り注ぐ光は暖かい(数年置いて聴き直すと面白い)。PentaTone
PTC5186349
(2016-10-30 )
ストラヴィンスキー :
レクイエム・カンティクルス
(ヘレヴェッヘ+ヴォカーレ・ゲント+ロイヤル・フランダースpo )
入祭唱、怒りの日の抜粋とリベラ・メおよび前奏、間奏、後奏を12音技法で作曲した。各テキストの特色が簡潔に鋭く表現されるだけでなく、器楽だけの楽章が効果的。併録のトレニはエレミヤの哀歌だが、より12音ぽく音が跳んで、歌はこちらの方が難しそう。いずれも晩年のさすがの傑作。PHI
LPH020
(2016-10-29 )
高橋悠治 :
柳蛙五句
(笹久保伸 )
秩父事件の中心人物の一人である井上伝蔵の俳号が柳蛙で、その俳句を笹久保が朗読しつつギターを奏でるというもの。ほか合わせて9曲、語り入りあり独奏あり、断片的素材を積み重ねるという感じ。いろいろギターの可能性を探ろうというのは分かるが、あまり伝わってくるものがないような。ALM
ALCD-104
(2016-10-29 )
オネゲル :
喜歌劇「ポゾール王の冒険」
(スパンヤールト+オペラ・トリオンフォ+ニェーウ・アンサンブル )
架空の国トリフェームが駆け落ちした娘を捜しに出ていろんな騒動というお話らしい。華やかでリラックスして、ジャズの要素も取り入れた正統オペレッタ音楽。オネゲルの管弦楽の手さばきを味わうぶんには楽しめる。Brilliant
BC9152
(2016-10-28 )
ダグラス・フィンチ :
廃墟
(ネルセン+菅野美絵子+シラム )
静かでシンプルながら何となく伝わってくる短い5つの断章。ピアノ独奏、Vn、Vc、Flを組合せた室内楽曲集は、どの曲も声高にならず、密やかな対話という趣なのだけれど、なんだか説得力あるような気がする。Prima Facie
PFCD040
(2016-10-27 )
ハンス・クラーサ :
弦楽四重奏曲
(アダマス四重奏団 )
ツェムリンスキーに出会った頃の作品で、和声的に影響を受けつつ、ボヘミアの要素(売られた花嫁の引用も含め)を生かし、しなやかに仕上げた。併録タンスマンのトリプティークは緩急の部分対比が鮮やかフランス風の響き。クシェネクのSQ5番は1930年作で新ロマン主義というのか、新しい試みが叙情に包まれている。
Gramola99109
(2016-10-25 )
ハルトマン :
バイオリン組曲&ソナタ
(トゥルバン )
各々第1番、第2番で計4曲。22歳時の作品だそうだが、静動いろんな要素が分裂症寸前の様相で組み合わされつつ、ぐいっと伝わってくる力作。演奏が的確で一段と映えている。最初にエッゲブレヒトのを聴いて、これはなおアグレッシブで良かったのだが、編集の失敗かNMLがまたやらかしたか、おかしな音のつながりが頻繁にあって残念。Claves
CD50-9518
(2016-10-24 )
テレマン :
12のファンタジー
(ビオンディ )
1767年ガリアーノ製作の楽器を弾いているそうで、ずいぶん流麗な印象の響き。部分的に(第5番あたりから?)どうにもしっくりこない音律というか聴くのが辛い感じがあって、最後の方は気にならなかったから調性の問題なのか、何なんだろう。Glossa
GCD923406
(2016-10-24 )
ザンボーニ :
リュート・ソナタ集
(ヴァッレロトンダ )
拡張バス弦をもったアーチリュートの深い響きが魅力的な素敵な曲集だが、調弦が難しいのか、途中で微妙な狂いが生じたまま収録されている曲があるのは惜しい。Arcana
AD101
(2016-10-24 )
アルトゥール・ルリエ :
大気のかたち
(モリッツ・エルンスト )
ピアノ曲の大半を年代順に並べた3枚組で、ドビュッシーかスクリャービンかという初期から12音技法、切り貼り図形楽譜の草分け「大気のかたち」、そして語りを加えた「死の過ち」まで、いろいろと変遷していく。ストラヴィンスキーと同世代で交流もあったようだけど打楽器みたいな使い方はしない。Capriccio
C5281
(2016-10-24 )
メシアン :
ハラウィ
(ドロシー・ドロウ+カール=アクセル・ドミニーク )
愛と死の3部作の最初の作品で、ペルー民謡に影響を受けたもの。詩はメシアン自身が、ペルーの古詩をもとにシュールレアリスム風に仕立てたということで、クチョワ語のオノマトペがたくさん使われたりする。Pfは鳥になったりあちこち飛び跳ねたり色彩的だったり八面六臂。いろいろ興味が尽きない曲。演奏もよい。
BIS-CD-86
(2016-10-22 )
メシアン :
神の降臨のための3つの小典礼
(クリンスキー+ロリオ+プラハ響ほか )
合唱と弦の旋律にPfとVn独奏、打楽器が絡み合う。第2曲からはOndも。メシアンらしい色彩感で、ゆったりした流れと溌溂リズムの交錯。併録「5つのルシャン」はア・カペラ(クーン指揮)。トゥランガリーラからの愛と死の3部作(直接の共通点はない)。独自の旋法やリズムの難曲にして名曲。Supraphon
11-0404-2
(2016-10-21 )
シュニトケ :
バイオリン・ソナタ
(ロマン・ミンツ+アペキシェヴァ )
1~3番のソナタはそれぞれアイデアあふれる多様な変化を見せながら語りかける。「古い様式による組曲」はビオラ・ダ・モーレに打楽器とチェンバロを組合せて、懐かしさを装いながら一筋縄では行かない。面白いと思う。Quartz Music
QTZ2116
(2016-10-20 )
コレッリ :
バイオリン・ソナタ集Op.5
(ガッティ+アンサンブル・アウローラ )
軽やかで香り高い。もっともライナーノートでは、遅い楽章でディミニューションを加えることや、ルクレールが「アレグロというのは速くではなく楽しく」と言ったことなどを踏まえて、テンポはゆっくりしたと述べられていけれど。ときどき右手のビブラートかと思うような不思議なゆらぎが。Arcana
A397
(2016-10-18 )
ショスタコーヴィチ :
弦楽四重奏曲
(ブロドスキー四重奏団 )
28年ぶりの全集再録音で、しかもライブだそうだが、エネルギッシュで集中力がある。しかし中期あたりの、黒いエネルギーが炸裂する叫びは、もう辛いな。分かるとはいえ、客観的にしか聴くことができず距離を感じてしまう。今は。Chandos
CHAN10917-22
(2016-10-17 )
ヴレバロフ :
シー・ランチの歌
(クロノスQ )
Sea Ranchは海岸を共有し環境を保護するコミュニティプロジェクトだそうで、その50周年を記念した曲。本来は映像とセットらしい。13の曲は、チャペル/虹とか星月夜のように美しかったり、いろんな強度の反復が用いられたり、ときどき建築家らへのインタビューらしき音声も重ねられたり、ランチのさまざまな姿なのか。Cantaloupe
CA-21122
(2016-10-16 )
ヨハン・ヤコブ・ワルター :
ケリュスの園
( ワン+シルズ+ダースト )
28の組曲からなるVn+通奏低音の曲集で、重音奏法の可能性を追求したそうな。派手さはないがいろいろ技巧が凝らされて楽しめるバロック・ソナタ。王雍翔というVn奏者は初めてだけれど、安定したいい演奏している。Centaur
CRC3493-96
(2016-10-13 )
リゲティ :
アトモスフェール
(アバド+WPh )
少しずつ異なる旋律が狭い音域で絡み合いながら景色を変化させていくミクロポリフォニーの音楽。併録のヴォルミナはオルガンのトーン・クラスターで、ロンターノでは色彩の変化が徹底的に扱われる。メロディーエンに至ると旋律的な運動を中心にソリスティックな要素も加わりすっかり異なった様相を見せる。変幻する世界。DG
00028947905677
(2016-10-09 )
ヴァイス :
リュート・ソナタ
(ミシェル・カルダン )
ロンドン手稿譜による作品全集、CD12枚組の力作(これとは別にドレスデン譜というのもあるらしい)。13コース24弦の大型バロック・リュートだそうで、豊かでちょっと鄙びた響きをたっぷり楽しめる。たまにこういうのを聴くと耳が洗われるね。Brilliant
BC95070
(2016-10-08 )
ウォルトン :
5つのバガテル
(ロヴシャン・マメドクリエフ )
ギターのための、小粋で優美でお洒落な小組曲。サティ風だったりラテンだったりリズムの饗宴だったり、それぞれが魅力的。演奏もなかなか良いが、自身の管弦楽編曲版Varii Capricci(多彩な奇想曲とでも訳す?)だとさらに第1曲のリズムが際立ち、最後の曲の交響曲とのつながりが明白だな。Naxos
8.573669
(2016-10-06 )
ベリオ :
シンフォニア
(ポンス+シナジー・ヴォーカルズ+BBC響 )
レヴィ=ストロースやらジョイスやら様々なテクストが八重唱で次々と投入される中に、これまたいろんな断片を組み合わせる形の管弦楽が並べられる。第2は声と5つの楽器のための音楽に基づくという。第3部はマーラー2番に基づく有名なコラージュ。そして若き日の歌のベリオによる管弦楽編曲を併録。演奏が秀逸。
HMC902180
(2016-10-04 )
ピーター・ガーランド :
弦楽四重奏曲
(アパートメント・ハウス )
第1番は陶淵明の詠貧士其一に基づく名前、第2番は佐渡の弘仁寺で書き始められ、一休和尚の号である狂雲から名前を取ったと、なかなかやってくれる。ポスト・ミニマリズムだそうで、ミニマリズムっぽい反復技法などを適宜用いつつも、のびやかで包容感がある。ときどき音程悪いのが惜しい。Cold Blue Music
CB0031
(2016-10-04 )
ブーレーズ :
ピアノ・ソナタ第1~3番
(ユンパネン )
今日は終日、ブーレーズをいくつかの演奏でだらだらと聴いていた。集中して聴かないとよく分からないまま流れていってしまうだけではあるが、まぁそれでもいい。敏捷なエネルギーがいろんな姿で飛び跳ねているのをそのまま受け入れる。DG
00028947753285
(2016-10-03 )
萩京子 :
歌劇「シグナルとシグナレス」
(竹田恵子+大石哲史 )
こんにゃく座の宮澤賢治オペラの第1作で、軽便鉄道の信号機シグナレスと本線の信号機シグナルの恋の話。作曲者のピアノ伴奏だけで、歌い手の男女の役割が入れ替わったりしながら進む。歌唱も含め、オフ・ブロードウェイのような素朴で身近な魅力。林光の「ポラーノの広場の歌」などソングも収録されて、これがまた素敵だ。ALM
ALCD-7033
(2016-10-02 )
藤枝守 :
植物文様
(西陽子+石川高+丸田美紀 )
葉の表面の電位変化からプログラムが生成する音に耳を傾けて作ったというシリーズのうち、箏のために書かれた5集。笙との組合せだったり十七絃箏の深い低音や瑟の儚い高音が響いたり。古代竪琴のようでもある。笙の純正調は美しいが十七絃や瑟が変な音程に聴こえるのも音律がどうのだから? 環境音楽っぽいのはもとが植物だから必然ですか。ALM
ALCD-52
(2016-10-01 )
カルロ・フォルリヴェジ :
琵琶のための新曲
(首藤久美子+田中之雄 )
ハスキーな音色は薩摩琵琶だそうだが、ときに打楽器的にもなる多彩な技法を用いて、最後は声も加わる。併録「ボエティウス」も同様の世界。尺八、箏とギターを組合せた3曲では、一定のリズムを刻むところがどうしても浮く。かといって、電子音による3曲も含め、時間が止まったようなのが良いわけでもなく、伸び縮みするのが面白い。ALM
ALCD-76
(2016-10-01 )
モートン・フェルドマン :
ジョン・ケージのために
(豊嶋泰嗣+高橋アキ )
短二度下降と長七度上昇の対話から始まって、少しずつ断片の音を増やしながら姿を変えていく。ピアノが示す課題にVnがハーモニクスやかすれた音、ときにスルポンを使ったりしながら答えようとする感じ。半音上昇が繰り返された後に世界が変わるかと思うがやはり戻ってくる。100分近く、夢見心地。ALM
ALCD-41
(2016-10-01 )