Planet masaka played list

Naxos Music Libraryで聴いてPlanet masakaにメモした最近の曲と2008年からの月別リストです。


  1. * Einspielungに言及、録音、準備の3つの意味があるということで、無理矢理の訳語。20分弱で219ものテンポ変化が指示されているという、ルバートまで作曲したようなVn独奏曲。複雑で隙なく描き込まれているのに《ほのめかし》というのも。併録シャリーノ「6つのカプリッチョ」は気まぐれがやはり隙なく捉えられる。エリオット・カーター「4つの賛美」は正統にして自由な逸脱、ブーレーズ「アンセムI」は鋭い切断音とピチカートが蓄積を断ち切る。aeon AECD1755
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  2. * 順次下降するバスのオスティナートに乗ってゆったり歌われるカンタータは、不意の和音変化や休止で波立つが、また元に戻っていく。ほかマッツォッキ、フェリーチェ・サンチェス、モンテヴェルディら17世紀頃のイタリアの、世俗曲の形で神への愛を歌った曲集。素晴らしく滑らかで透明感がありつつ粒立ちと奥行きがまた見事な歌唱にうっとりする。AeC 7502258850770
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  3. * 布を染める、というよりVnが布を引き伸ばすように音を絞り出す上にClとVcがドリッピングしているような音作り。吳俊凱「11月の風」も引き伸ばされる弦の音に彩色するようなSQ。陳仰平「ストレッチ・オブ・ライト」はハーモニクスとポルタメントが交錯するCb五重奏で空中遊泳しながら歩き続けるよう。陳展霆、李家泰はそれぞれVn、Pf独奏で、凝縮された音を禁欲的に使う。香港作曲家ギルドによるシリーズの5枚目。まとめてどうだとはなかなか言い難い。Navona NV6242
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  4. * Cl+Va+Pfという編成で、クライスラー楽長だとかラロ先生などロベルト・シューマンにまつわる名前をタイトルにした6つの小品の組合せ。内面の不安が密やかに、あるいは突き破って現れてくるのが、シューマンへのオマージュか。併録ヴィトマン「夜の小品」はCl+Vc+Pfでシューマンの作品23と同じタイトル。静寂と長音符から精緻なテクスチュアが紡ぎ出される。さらにシューマンの幻想小曲集、6つの歌、練習曲集の編曲版がこれらを挟み、企画としてはその通りなんだけれども、音楽の組合せは水と油で、プログラムでスキップする始末。Brilliant BC95936
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  5. * ファレイ数列をサンバーストで視覚化し一連のピッチマッピングで音にした素材を用いたという、Cb+Pfのデュオ曲。即興ジャズと言われても不思議ではないような洒落た雰囲気にアクロバット技工が組み合わされてなかなか面白い。併録「サイクルズ」は同じくサンバースト素材によるVc+Pfデュオ。「ニュアンス」はさまざまな弓使いを試すVn独奏、「イコナ」はVn+Pfで3分割を基本にした入れ子行列による素材からつくったという。説明を読むとずいぶん数学寄りだが、音はむしろ自由きままな感じ。Albany TROY1769
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  6. * ハンガリーの著名な詩人のテキスト断片20ほどを無伴奏でさまざまな表情で歌う。作曲者によると、鳴り続けている2つのラジオのチャンネルを切り替え行き来するように表現するのだそうだ。併録は「3つの古い碑」「SKの思い出」「最愛の人のためのレクイエム」、さらに「ある小説からの情景」「7つの歌」「ある冬の夕暮れの想い出に」も。ブックレットPDFがあり、一茶の句は「蝸牛そろそろ登れ富士の山」だった。クルターグの同じ声楽作品が連続して驚くが、こちらのほうがややなめらかで、audite盤の方が切れ味はよいかな。聴き比べられるのはとても贅沢。Avie Records AV2408
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  7. * リンマ・ダロスの詩に基づく15の歌曲で、Sop+Vn+Cb+ツィンバロンという絶妙の編成が“澄んだ悲しみ”を奏でる。抑圧、別れ、夢などから成る小ドラマのようでもある。併録「8つの二重奏曲」「7つの歌」「ある冬の夕暮れの想い出に」はそれぞれVn、Sop、Vn+Sopにツィンバロンが味わい深い彩りを添える。「ゲオルグ C.リヒテンベルクの『スクラップブック』からの断章」はSop+Cbによる短いが個性的な20の歌曲。これは面白いなぁ。歌詞は分からないものの(小林一茶も用いているという)、しみじみと、しかし厳しく、かつ優しい。 Audite97.762
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  8. * 第5集、6集(1997年)からそれぞれ6、9曲、さらに第1、3、7集から各1曲を抜粋。気ままなスケッチ帳という感じは前半の曲集と同じだが、音がもっと自分で動き出しているような気もする。これらをモーツァルトのきらきら星変奏曲とサンドイッチにするという趣向のアルバムで、悪くないのかも知れないけれど、プログラムでクルターグだけを選んで聴いている。col legno CL31CD15001
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  9. * 1973年から書き継がれて2017年に第9集が出ている、日記のような、とりとめなくも個性的なJátékok(ヤーテーコック、「遊び」とも)曲集の前半(抜粋)、一部は連弾。特に初期は子どもたちが自由に制約なく音楽演奏の基本を学ぶための素材として作られたという。素朴で、屈託のない音の連なり。 SWR10083
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  10. * 子供の思いつきの遊びに想を得たという、12曲合わせても6分半という自由な落書き帳のような曲集。併録はラッヘンマン「子供の遊び」、ラモン・ウメト「呪文」、グバイドゥーリナ「音楽おもちゃ箱」。これらは奔放に遊ばれた音というより、そうやって遊ぶ子供を大人が描くというか何か形ができている感じで、クルターグとは方向性が違うか。Ars Harmonica AH109
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  11. * 正弦波を合成するのではなく、すべての周波数帯域が含まれるホワイト・ノイズから、フィルターを利用して彫刻のように音を取り出したり、テープ速度の変化で音程や音色を変えるという逆転の発想による作品。併録は8人の箏が幾何学っぽい管弦楽と対峙する「花鳥風月」、Fl+Pf+2Percの「インター・ポジ・プレイ・ション I」、Clの「ソリテュード」、2Flの「相即相入」。かなり古い録音だがそれもまた時代の記録。Naxos Japan NYNG-008
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  12. * 忙しく走り回る反復音の多いパッセージが沈んだかと思うとまた浮上してまた走り始める。ちょっとからかわれているようでもある。題名Irrlichterの訳がこれでいいのか不明。併録ユーグ・デュフール「秋風」はドビュッシー前奏曲の「霧」と「枯葉」の間に差し込まれるのだと。フィリップ・フェストウの「真髄」は(一部プリペアされた?)ピアノの断片と奏者のつぶやきが交錯する。レイ・アイゼン「12の動機」は十二宮と十二音技法によって火土気水を表すのだと。さらにドミニク・ルメートル「五元素の谺」ロベール・コワネル「南の谺」フランソワ・ロッセ「風と水」。7中5が初録音と意欲的。col legno CL31CD15003
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  13. * Flの楽器音をリアルタイム処理してスピーカーから流すライブ・エレクトロニクスで、ディレイやエコーはもちろん、単音から和音をも生成して重ね合わせる。併録はそれぞれCl、Vc、Fl+Pf、Fgというソロ楽器による電子音楽。Fgの「結合」はかなりアグレッシブに攻めている。Tundra TUN013
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  14. * スリリングな「性格的変奏曲」が思い切りよく奏でられ、ライナーノートが言う通り映画のモンタージュのようにも思える。併録はヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1&2番。心理劇たる「クロイツェル・ソナタ」は切れ味良い演奏。タイトルそのままの私小説っぽい「ないしょの手紙」がやや煮え切らないように感じなのは曲がそういうことか。 ALPHA454
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  15. * ロマンティックながら捉えどころなく風にそよぐようなソナタ楽章、しなやかにうねるスケルツォ、ゆっくりしたCis-Dis-H-Aが姿を変えながら勢いを増していく終楽章。併録アンジェイ・パヌフニク弦楽四重奏曲第3番「切り絵」は音量、リズム、ニュアンス、ピチカート、活発さなどを遊ぶ5楽章。ペンデレツキの弦楽四重奏曲第3番「書かれなかった日記のページ」は、土っぽい舞踊かと思えばひょいと変化し、親しみやすそうなのにするりと逃げていく。演奏もよい味わい。 CDAccordACD252
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  16. * イラン音楽に基づくピアノが《戦いと芸術の両方を好む王が、千里眼と呼ばれる少女を捉えさせ、その話を聞くうちに自らの無力を悟って国を去る》という語りを挟みながら奏でられる。片面太鼓ザルブや打弦楽器サントゥールも部分的に。ピアノでの表現は今ひとつしっくりこない感じもするが。Paraty PTY519240D
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  17. * クラリネット四重奏曲を弦楽アンサンブルとの協奏曲に書き改めたもので、霊妙なClソロから急速なスケルツォ、崩れたワルツ、迷路っぽい旋律などいろいろあるが、割と普通で分かりやすい。併録はVa協奏曲とFl協奏曲のCl版。原曲を知らないのだけれど、Cl協奏曲としても違和感ない。いずれも仄暗い基調だが後者のほうが幅が広く、逆に前者のほうが凝縮力があるという感じか。Arion Music 3325480685415
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  18. * ナイジェリアで処刑された人権活動家ケン・サロウィワの声明を転写したリズム、そのお墓で歌われた賛美歌からの音列、そしてそのインタビューを200回重ねたというノイズによる、不条理で自暴自棄寸前の五重奏曲。併録「杜甫二首」は安禄山の乱で混乱する中の作「春望」と「対雪」を「泪蛋蛋」の旋律を用いて歌い、Cl+Va+Pfがともに嘆く。「鵠~白鳥の歌」は十七絃箏、「子供の情景」は子息の病気を通して子供の視点で書いたという自由で脆く儚いVa四重奏用編曲。 NEOS11901
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  19. * 安酒場っぽい崩れかけたダンス音楽もどきを短いフラッシュライトのようなギミック音楽で挟んだ、ポスト・ミニマリズム。併録「滑る音楽」「快適な音楽」「拡張された演奏」「パラキートのための音楽」「フォーク音楽」どれも不真面目でお茶目で少しだけ実験的な、適当に聞いていると面白いかも知れない音楽。Birmingham Record Company BRC003
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  20. * メソアメリカのケツァルコアトル神話を題材にしたテキストを歌うSopに、Fl、Vnそして打楽器が呼応する。エキゾチックで何だか虚無的な空気。併録はカルロス・サンチェス=グティエレスの「キカイの森」。Sopがパウル・クレーなどのテキストを歌うChance Forest Interludesと打+Pfの対話Ex Machina IIが交互に8組奏される。前者なら機会、後者なら機械ということか。冒頭のジェシー・ジョーンズ「終わりの後、jj.59」はSop+Vib+Pfでゆったりと移り変わる無重力感。New Focus Recordings FCR230
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  21. * 20以上の弦楽四重奏曲を出版しながらほとんど忘れられている中、未出版でBnFに手稿がある1806年の曲が録音された。序奏付きアレグロ、メヌエット、フィナーレという“普通の”楽章の間に“科学的な”フーガを詰め込んだ12楽章、しかもモーツァルトやハイドンのパロディだったり5/8拍子だったり。おまけに全体の予告のような「パントマイム」まで付いている。各曲はそれぞれ見通しの良い作りで閃きを感じるようなものでもないが、演奏は悪くない。Brilliant BC95857
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  22. * イエスの磔刑に使われた木が夢に出てきて語るという8世紀頃の詩をテキストにした、小合唱劇。受難曲というより、若く勇気ある戦士に例えられたイエスを静かに描く。併録は13世紀ペタロンの「地上のすべての国々は」のモダンな編曲版、さらに同時代の作者不詳声楽曲。 NMCD245
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  23. * “7つのなるべく異なる性質を持った打楽器”を用いるという指定で、13の“挙措”をもとに万華鏡のように散りばめられているのだという。併録ロジャー・レイノルズ「分水界I」は皮、金属、変則、木箱の4群打楽器の視覚的配置も音楽の要素にすると。さらにクセナキス「プサッファ」「ルボン」、シュトックハウゼン「ツィクルス/9」、ドナトーニ 「オマール」、フンダル 「メビウス1番」、ヘンツェ「雪国からの5つの情景」という豪華な打楽器の祭典。Metier ZME50802
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  24. * 少し動いたかと思うと長い間が空くのは、滑空してるということなのだろうか、最後は勢いよく羽ばたき舞い上がるような躍動。併録「シグナル」「2つのスケッチ」はPf独奏、「カプリチョーソ」はVn独奏、「絡み込まレ」「音の木」はVn+Pf、「独白V」はリコーダ。いずれも間をゆったり取り、鳴り響く瞬間にそれぞれのメカニズムによる持ち味が濃縮される。「私の美しいモーレア」だけはアルバニア民謡を直接用いているが、他の曲も何らかの形でその要素が生かされている?Naxos 8.579035
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  25. * テープ録音の電子音を導入し、1954年の初演では聴衆から怒号が発せられるスキャンダルになったという、この種の分野の先駆的作品。打楽器のみによる「イオニザシオン」、さらに「アンテグラル」「密度21.5」などのパイオニア作を含む、作品全集。一部うるさい音楽もあるものの、それも時代の証言として、聞き所十分の2枚組。Decca 00028946020821
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