Planet masaka played list
Naxos Music Libraryで聴いてPlanet masakaにメモした最近の曲と2008年からの月別リストです。
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ニコラウス・A・フーバー「天使:
塵」
(マイク・スヴォボダ+シュテファン・フッソング)
Trb+Accrdで空間にまばらに漂う儚い存在を描く。「白と緑」はFl+Clでカルメン・ヘレラの同名の絵画によるタイトル。「ヘルダーリンなしで」はCb+Pfで切り詰めた音の緊張感。「反対の反対」はオケ+テープで古代エジプトの絵画とレリーフの方法を表すという。「ローズ・セラヴィ」も同編成でデュシャンの変名による分割窓がどうしたとか。「アイオン」は4Chテープによるシュールな音の大作モザイクでユングの《元型》概念を調性の機能と結びつけて考えるそうだ。「アルゴル」はその後書きというPf独奏でやはりユングと調性にこだわりがあるようだがもちろん調性どころかほとんど旋律もない。 NEOS12209-10 ()
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ペル・アルネ・グロルヴィーゲン:
乱暴な優しさ
(ディオティマ弦楽四重奏団)
SQ+バンドネオンでじゃじゃ馬的要素のあるタンゴや妖艶あるいは頓狂なミロンガの3章。「ポラコ」も同編成で無機的な音響からタンゴ、ポーランド風舞曲まで。「シュケリピ」はヤン・エーリク・ヴォルの同名詩集のテキストをBar+Vc+Pf+バンドネオンの起伏ある7曲の歌曲集に仕立て終楽章ではルースク(lurk)なる珍しいリズム楽器(Vommol Spellmannslagの開発)も。LAWO Classics 7090020182629 ()
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レイモンド・マリー・シェーファー:
弦楽四重奏曲第8番
(モリナーリ四重奏団)
Pizzとグリッサンドが勢いよく飛び交う中に民謡的要素から導かれた旋律断片が散りばめられ、後半楽章では捉えどころなく姿を変えつつゆっくりとくねりながら進む。「テーセウス」はSQ+Hpでグリッサンドの導入から中間部では分厚く歌う物語へ。「美女と野獣」はSQ+MSのドラマでなかなか劇的。ATMA Classique 00722056605526 ()
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スティーヴ・ライヒ:
バーモント対位法
(クレール・マルシャン+ローレンス・ボールガール)
Picc+2Fl+AFlの四重奏でアルペジオの重なりをずっと反復する、何となく清々しい。武満徹の「遊歴者」「エア」はゆったりした双子のような、「声」は風奏や掛け声も含めた動的なFl独奏。ベリオの「セクエンツァ I」はシリーズの出発点となる1958年作品。エドガー・ヴァレーズの「密度21.5」は初演者が世界ではじてて用いた白金Flにちなみその密度。ライナルド・アルセノーの「幸福」はゆるゆると続く。フィン・モッテンセンの「無伴奏フルート・ソナタ」は序奏-アレグロ、主題と変奏、軽やかな終曲の3楽章で1953年。ATMA Classique 00722056603522 ()
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アーロン・トレイヴァース:
スティルウォーター湿地
(アメリカン・ワイルド・アンサンブル)
Fl+Vcがトリルや細かな上下進行の動きに緩急をつけながら標題の地に住む鳥たちを描く。デイヴィッド・メッテンスの「アバロック・スケッチ」はFl+VcでPizzに乗ったゆるやかな歌から特殊奏法の掛け合いまでの4章。デイヴィッド・リプタークの「2つの夜想曲」はFl+Cl+Vcでパントマイムを思わせる少し奇妙なゆっくりした遊び。マーガレット・ブラウワーの「恐れ、隠れ、戯れ」はFl+Cl+Vcで標題のようにやや悲しげで神経質な絡まりから解き放たれたような流れる動きへ。New Focus Recordings FCR339 ()
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松村禎三:
ピアノ協奏曲第1番
(渡邉康雄+野平一郎+オーケストラ・ニッポニカ)
派手な振る舞いをせず日本風というかややアンニュイな音律で形になりきらない音がじわじわと積み重なりやや騒々しくなったあと最後5分程はPfのみになって消えていく。「ゲッセマネの夜に」はジョットの『ユダの接吻』からのインスピレーションによる音画。「交響曲第1番」は指向性のはっきりした構築の1楽章、Fl独奏に始まりHpが琴のような緩徐楽章、うねうねとした無窮動が発展していく終楽章。1曲めはちょっとオケが不安定だが仕方ない。MClassics MYCL-00030 ()
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ヤニス・クセナキス:
シルモス
(マリウス・コンスタン+アンサンブル・アルス・ノーヴァ)
18弦楽器オケがグリッサンドを駆使しPizzとコル・レーニョが散りばめられる。「クラーネルグ」は4部から成る75分のバレエ音楽で23人のオケにテープを加え管の連打や弦の金属的な音が炸裂する。「オレステイア」はアイスキュロスの悲劇に曲をつけた3部作。「メデア」はCl+CFg+Trb(+Vn?)+Vc+打と男声合唱でセネカの詩を原始的な感じで。「モントリオールのポリトープ」は4群の管弦楽のための音と光の情景だそうで刺激的な高音が続いたあと後半は薄まってかすれたノイズのようになる。1959年~60年代の強烈な作品集。Erato 5054197166907 ()
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ペーター・ルジツカ:
交唱・詩節
(北ドイツ放送エルプフィル管)
25の弦+打で、2層に分けられた群がトレモロでうねりながら次第に接近するアンティフォナと、調弦のような無秩序から始まる12の詩節から成るシュトローフェで構成される。「日は沈む」はニーチェのテキストをBarが歌いマーラー風でもある繊細なオケが伴奏する8つの断片。さらに「5つの断片」「接近と沈黙」「サティヤーグラハ」と続くはずだがNMLでは欠落している :( →権利の問題なんだそうだ NEOS12216 ()
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ウーリ・ヨハネス・キークブッシュ:
太ったベルタと一緒にブラック珈琲
(ギュンター・ゾマー+ウーリ・ヨハネス・キークブッシュ)
Pf+打で低音域の即興。同じ編成の「得点時間」は儚く「シュラクル」はモダンジャズ風。Fl+Va+Pf+打の「深夜」「カルーセル」は神秘的、「ウィーンからの伝言」は動的、「脆い静けさ」は少しフリージャズ、「さよなら」は素朴さにいろいろ闖入。「トリド四重奏」はFl持ち替えのショームを加えた即興的。「銀食器」はVa+打、「息を止めるな」はFl+打、「ひょうたん笛の踊り」は民族楽器。 NEOS12115 ()
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デレク・バーメル:
宇宙の短い歴史
(デレク・バーメル+ジャック四重奏団)
Cl+SQで大きな上下やふわふわした揺れ動きや民族舞踊風の3楽章すべてグリッサンドを駆使し物理学者ニーマ・アルカニ=ハメドの授業での重力と時間を描くという。「イントネーションズ」はSQで魅力的な和音を靭やかに妖艶にジャズ風に。「トラキアのスケッチ」はCl独奏でブルガリアのトラキア民謡を素材にしたくねくねとした無限旋律がどんどん複雑になる。「Vn練習曲集」は表情豊かに軽い遊びから渋い声まで5曲。あとEGuitとSQの「リトルネッロ」も。Naxos 8.559912 ()
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ロバート・パターソン:
弦楽四重奏曲第1~3番
(インディアナポリス四重奏団)
第1番は下降音形にジャズをも思わせるシンコペーションを多用するIとフォークソングのパロディ的IIの要素をIIIでゆっくり甘苦く料理し奔放なポルカのIV楽章で締めくくる。第2番は抽象画からI、デイヴィッド・リンチからII、グリーグからIIIを発想しお茶目なIVからシュルレアリスムというVへ。第3番はグリッサンド多様のツイストI、詩人の声というII、忙しいアメリカンIII、電気ペダルを模したというIV、スポーツ競技での国歌斉唱の模様というV。どれもエッジが効いてストレートに楽しめる。American Modern Recordings AMR1054 ()