music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2016-11
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モンセラートの朱い本
(ミレナリウム+ナムール室内合唱団)
単旋律なのにときどきホモフォニックになるのが沁みる。Polorum reginaとかね。カルミナ・ブラーナなども含めた7枚組で中世の香りをたっぷり満喫できる。CB単体のもあるが、こちらはブックレット付きなのが重要。Ricercar
RIC328
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ボイエルン修道院写本:
カルミナ・ブラーナ
(コーエン+ボストン・カメラータ)
いくつかのネウマ付きは他の演奏でも聴けるが、この研究はかなり独自のようで、フォルトゥーナまで含めているのははじめて。作曲者を示して借用されているものもあり、12~13世紀の名前から何とクレマンシック、ビンクリーまで(しかし白鳥悲歌の怒りの日はちょっとどうか)。演奏は上品。Erato
825646208463
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クルターグ:
カフカ断章
(メルツァー+スターク)
手紙や日記からの断片的な40のテキストをソプラノが歌い、バイオリンが伴奏、というよりそれぞれが音楽のモノドラマで対話する。謎めいた警句のようなテクストとともに跳躍したり囁いたりするSop、特殊調弦も含め無伴奏のような技巧を駆使するVn、演奏も上々で、聴き応え十分。
BIS-2175
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ドイナ・ロタル:
カントゥス・アウステルス
(マリオ・カローリ)
尺八のような奏法やハーモニクス、声との重音などの技法で幽玄な世界を描くフルート独奏曲。Flにこだわりがある作曲家のようで、このアルバムが全てFl曲であるだけでなく、協奏曲なども。SHの第25回委嘱作曲家。Stradivarius
STR37034
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ウェイン・ピーターソン:
弦楽四重奏曲第2番
(アレクサンダーSQ)
ゆっくりとした響きの中でいろんなテクスチュアが絡み合う第1楽章と、ジャズを踏まえながら素材がより動的に組合せられる第2楽章。併録第1番はより凝縮された感じの単一楽章。第3番はPop Sweetの副題通り分かりやすい材料が使われる。1992年のピュリッツァー賞作曲家だそうだ。Foghorn Classics
FCL1994
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ベルリオーズ:
ロミオとジュリエット
(ガーディナー+ORR)
原稿の題材にロメジュリを使った関係で探したらちゃんとNMLにあって、あまりじっくり聴いたことがなかったけれど、改めていい曲だ。ピリオドのくっきりした響きで緻密な音がいっそう引き立つ。それにしてもやはり「ロメオ」なんだな。Decca
00028947839347
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パピノー=クーチュア:
弦楽四重奏曲第1~4番
(モリナーリ四重奏団)
やや新古典主義的な第1番(1953年)、半音階的要素とストラヴィンスキー的なものが交錯する第2番(67)、線的な動きが中心になる第3番(96)、より簡素な方向を目指すような未完の第4番(没後)、三重奏のスラーノ(75)は多様な色彩を求めて技法を駆使。なかなか良い。ATMA
ACD22751
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望月京:
明るい部屋
(カリツケ+クラングフォルム・ウィーン)
ロラン・バルトの同名書に基づくということで、ストゥディウムとプンクトゥムの二重性を表現するのだと。イメージはむしろミロの絵のよう。尺八のようなBFlの「インテルメツィI」ほか「私を含む全ての存在」「シ・ブルー、シ・カル」「キメーラ」が併録。色んな形の素材が組み合わされ、寸劇とでもいうような景色に。Kairos
0012402KAI
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ガデンシュタッター:
コミック・センス
(ミュラー+フォスター+クラングフォルム・ウィーン)
3つの“シーズン”で構成されて、それぞれ協奏的大スケルツォ、細密画の間隔、ミミック・ダンスという副題を持つ複数楽章。おもちゃ箱からいろんな珍品を取り出して次々披露してくれるような、これでもかというウィットに富んだ音の連続。楽器間の丁々発止のやり取りが楽しめる。Kairos
0012452KAI
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ファーニホウ:
地形
(エリジョン・アンサンブル)
恐ろしく緻密に書かれているであろう楽譜を、的確にクリアに音として現前させる。その技量にも感嘆するが、そうすると音楽がまことによく練られたものであることも明瞭になって、これでこそという出来栄え。併録のノー・タイム、イカロスの墜落のある風景、インシピッツ、影の時、どれもお見事。Kairos
0013072KAI
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ジョン・バックリー:
ピアノ三重奏曲
(フィデリオ三重奏団)
ピアノに包まれるようにして2つの弦楽器がしなやかに運動する、なかなか素敵な音風景。併録ジョンストン、クラーク、ボドリーの三重奏曲もみなアンサンブルの委嘱作品で、それぞれ個性的、のびのびとしている。Metier
MSV28556
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ターネジ:
この沈黙
(ナッシュ・アンサンブル)
弦5部+Cl、Fg、Hrという編成で緻密に展開される舞曲、そして哀歌。前者ではジャズ的なものがしっかり消化されて新しい有機体となり、そして演奏もシャープ。やはり鍵は演奏の方にありそう。Vaが加わる「賛辞」、Sopとともに「2つのボードレールの歌」ほか、この室内楽曲集は内容濃くて充実している。
ONYX4005
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ターネジ:
スペランツァ
(ハーディング+ロンドン・フィル)
イタリア語の曲標題のほか各楽章も異なる言語で希望を意味する標題を持つ。民謡などに基づいてじっくり構築されるが、第3楽章は少しジャズを意識しているかもしれないスケルツォ風。これが全く面白くないのは演奏の切れ味が悪すぎるからなのかも。併録のTp協奏曲「残骸から」も、楽譜にも無理がありそうだが、音を出すので精一杯でオケもだるい。
LSO0744
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ターネジ:
4本角のファンダンゴ
(スラトキン+BBC響)
4-hornedは角と同時にホルン4本でもあり、シューマンの小協奏曲を受け継ぐ。途中からカスタネットも加わるけれど、舞曲というよりはリズム遊びという感じ。併録「沈黙の都市」は東フィルの委嘱作品で、ジャズの要素とティペットへのオマージュを持つ。部分的にちょっと詰め込みすぎかも。ほかの曲もジャズは何かこなれない感が残る。
CHAN10018
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カプリオーリ:
オードを歌う前に
(エクス・ノーヴォ・アンサンブル)
弦も管もピアノも特殊奏法のオンパレードで、屋根裏にある大小の歯車がギシギシ音を立てながらゆっくり回っているような、無秩序のようでいて一つ方向に移動していく音。Va独奏を加えた「ジル・ドゥルーズのための小品集」とかMSが入る「束の間の」とか、いずれもよく似た雰囲気。Stradivarius
STR37046
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ブリス・ポゼ:
交響曲第4番 「ジオグラフ」
(ポマリーコ+ケルン放送響)
20分と短いながらPfの活躍も含め複雑に織りなされる音響の中にふいと置かれる静謐、というか止まってしまう音楽。穴だらけ(riddle)の地図を通して現実を見るとは謎掛け(riddle)ですか。併録「いばら姫」はSQ+二重合唱+オケ、これも多数の音が絡み合うより音の少ないところが雄弁。aeon
AECD1652
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ジョージ・クラム:
マクロコスモスI,II
(シュタンゲ)
さまざまな響きとプリペアド、内部奏法、叫びや唸り、口笛などの特殊効果の玉手箱。それぞれ十二宮の名と性格的副題を持つ計24曲が6つのグループに分けられ、各最終曲は図形楽譜というか十字や螺旋だという。遠くドビュッシーが聴こえるところから禅寺のようなのまで、面白さが詰まったファンタジー。
NEOS10815
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ベアト・フラー:
砂漠の本
(クラングフォルム・ウィーン)
何もない砂漠の縁の紅海で神の幻影を見る、そんな経験を古代エジプトのテキストと組み合わせて作られた、歌やナレーションも交えた音楽劇。駒の反対側をこするような特殊な音とか、鳥の声とハーモニクスを重ねたり、色々な響きの組み合わせを並べていく感じ。併録イラ=アルカはBFlとCbと変わった組合せ。いろいろ興味深い。Kairos
0013312KAI
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ペンデレツキ:
夢の海は私に息吹を送った…
(ライスキ+ポドラシェ歌劇場フィル)
ポーランドの12人の詩22篇に作曲した歌曲集で、何というか後期ロマン派といわれても疑わないような、ここまで変わるかと驚くばかり。響きはもう少しモダンなのだけれど、歌の扱いかな。いや、無調なのに滑らかに聴こえるのがいいのか。んー。
DUX0963
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フリードリヒ・チェルハ:
5つの楽章
(ブーランジェ三重奏団)
ピアノ・トリオといいつつ、むしろVnとVcが先に立って音楽を紡いで、そして対話が始まる。少し新ウィーン楽派の香りも残るが、静かな湖面にときどき石が投げ込まれるような哀歌など、詫びを感じる面も。速い楽章はどちらかと言うと手堅い書法。併録VnとVcの6つのインベンションは自由度が高く、各楽章の個性が際立つ。
CAvi8553347
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ファーニホウ:
弦楽四重奏曲第6番
(アルディッティ弦楽四重奏団)
こちらは弦楽四重奏&三重奏曲全集。ハーモニクス、スルポン、ピチカート、グリッサンドなどあらゆる技法を組合せて、あちこちから手裏剣が飛んで来るような、尖った主張を持つ音の連続。三重奏のように無音が大きな役割を占める曲もあるが、これもやはり後期になると密度が高まる感じ。aeon
AECD1335
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ブライアン・ファーニホウ:
レンマ-イコン-エピグラム
(ニコラス・ホッジズ)
新しい複雑性という、恐ろしく難度の高い楽譜で知られる作曲家のピアノ全作品。初期のインベンション、エピグラムから声も入る反自然、最新の渦巻きまで、それはもう手の込んだ音の連続。超絶フレーズはさまざまな有機体が戯れに出入りするよう。前期は比較的間が多く、後期になると有機体の密度が高まるというか。
NEOS11501-02
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シュージュニアン:
弦楽四重奏曲第3~6番
(モリナーリ四重奏団)
各楽章に付けられたタイトルは、全てアルメニアの川の名前だという。古くから伝わる礼拝の歌を素材に、急流になったり穏やかに流れたりする多彩な川の表情が構築されている。モダンな音も組み込まれているが、アルメニアの響きと溶け合って、淀みがない。演奏も秀逸。ATMA
ACD22737
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鈴木輝昭:
情燐戯画
(藤井宏樹+Ensemble PVD)
萩原朔太郎の2編に曲をつけたもので、打楽器とのコンビネーションで合唱が自在な表現を見せる。併録は同じく詞華抄、三善晃のトルスII、鷹羽弘晃のブルレスカ。難しい音を重ねた響きが見事に広がる。ア・カペラは少し不安定かなと思ったら、なんとアマ団体ですか、驚異の水準だな。Nippon Acoustic Records
NARD-5032
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マクスウェル:
セレール
(アリエル・バーンズ+ハイディ・クルッツェン)
チェロとハープのアンサンブル「クーロワール」だそうだ。書くことと自己認識をテーマにしたバレエのための曲だという。静と動いろんなイメージの波動が交錯する。電子音を伴う版もあり、効果が増幅されている。併録マーリーのクリア・ミュージックはタヴナーのモテットに基づき、チェレスタが加わる。Ravello Records
RR7932
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ロベルト・シエッラ:
ボレロ
(ガルバヨ)
プエルト・リコの作曲家だそうだ。2010年代のピアノ曲。柔らかく繊細な音が基調で旋律的でもあるが、かなり激しい打楽器的な(カリブ的な?)部分も出現して、振幅が大きい。少しラヴェルを思わせるか。併録モントゥーノは中間楽章がダイナミックで、プロコフィエフかとも。技法的にはあまり新しくないかも知れないが、なかなか充実している。
IBS-22016
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サーリアホ:
大地のメモリー
(メタ4)
夏フェスで感じたとおり、スルポンやハーモニクスなどありとあらゆる手段で弦の多様な表現を引っ張り出すのがこの作曲家の特色らしい。Vn+電子音の「大地について…」も、圧倒的な多彩さ。Sopを入れたアウレとか、ルトスワフスキー追悼の夜想曲とか。先日ニューヨーカーでもOceanic Musicと取り上げられていて、ホットだ。Ondine
ODE1242-2
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サルバドール・トーレ:
フルートと打楽器の協奏曲「ツォルキン」
(トーレ+ヒメネス)
標題はマヤの暦で、13の数字×20の日付で260日を表すという。この組合せを用いてリゾームだとかいろんな形の音を紡ぎ出していく。作曲者自身がFlを吹くだけあって、あらゆる技巧を用いて多様な表現が試みられている。併録はピアノ、チェロ独奏からバスクラ協奏曲、電子音まで実に多彩で面白い。Urtext
JBCC254-55
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ラーション・ゴーテ:
交響曲第2番
(ブルステード+ヘルシンボリ響)
アエネイスの「ものごとの涙あり」という句を副題にした、重い音楽。神経質な序奏からすぐに激しい主部に移り、闇の中を手探りするような主題と交互に振幅が繰り返される。同音反復の動機は涙なのか。併録「秋の日記」にもよく似た動機が出てくるが、こちらはゆるやかな基調で散文的。「舞踏の神化」はベト7のパロディ。
dBCD172
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ドビュッシー:
艶なる宴
(エヴァ・レシュ+フランソワ・サリニャ)
ヴェルレーヌの詩に作曲した曲集、他に忘れられたアリエッタ、3つのメロディ、マンドリンを収録。軽やかに伸びる歌声が魅力をひきだしている。併録はブリテンがランボオの詩に作曲したイリュミナシオン。Genuin
GEN16430
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