music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2017-05
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ボード・コルディエ:
美しく気立て好く賢く…
(テトラクティス)
14世紀のシャンティー写本にある、ハート型楽譜で知られるシャンソン。3声だけれども下2部はビオールにまかせて一人で歌っている。写本の曲を3巻のCDに収めたIIIで、声、器楽ともにとても良い感じ。Etcetera
KTC1917
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バーンスタイン:
キャンディード
(ロンドン交響楽団ほか)
ちょっと長めで構成からもオペレッタ扱いされがちで、これもややそういう傾向は感じられるが、あの序曲はどれも魅力的な各場面のエッセンスであることがよく分かる。オン・ザ・タウン、ウェストサイド・ストーリー、クワイエット・プレイス、ホワイトハウス・カンタータを収録した豪華7CD。DG
00028947788539
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ジョン・アダムズ:
聖なる風のカンティクル
(ナリー+クロシング)
澄んだ空、透明な風、そして鳥の声。アンビエントといってもいいほどの心地よいア・カペラがゆったり流れる。鳴き声のカデンツァをはじめ、技術的にはかなりの高難度だろうけれど、見事な響きを楽しめる。Cantaloupe Music
CA-21131
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ジョン・アダムズ:
室内交響曲
(アラン・ピアソン+アラーム・ウィル・サウンド)
3つの楽章それぞれテンポもパターンも異なるけれど、一定のシーケンサー的な要素の上におもちゃ箱的に何でもありのパッセージが組み合わされる。カデンツァ的Vnでその流れが断ち切られ、最後に勢揃い。純粋に楽しめばいいんだろうな。「室内交響曲の息子」は第九やら何やらパロディにしたような、さらに楽しい音楽。両曲の前に作曲者も含むトークの解説が収録されていて、これもなかなか良い。Cantaloupe Music
CA-21128
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カミッロ・トーニ:
10人のためのロンド
(ドロシー・ドロウ+サンドロ・ゴルリ+ディヴェルティメント・アンサンブル)
シェーンベルクのピエロを少し思わせるSop独唱と疎なアンサンブルで、「不活発な表現力」というものを獲得したのだという。トラクルの詩を用いた「夜に歌う」「ヘリアン」、さらにFlソナタ、弦楽三重奏など。Datum
DAT90002
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ペンデレツキ:
奇想曲
(ピェクトフスカ+トヴォレク+ポーランド・シンフォニア・ユヴェントゥス管)
Vn協奏曲のほぼ10年前でまだ挑戦的な手法を用いていた頃。パワーというか効果的にはこちらの方がずっと面白い。併録Vc協奏曲はその5年後、これもまた混沌としたエネルギーが迸ってわくわく感ある。後半にVa協奏曲(Vc版)、ラルゴと2000年代の曲が並べられ、変化の大きさにたじろぐ。
DUX1275
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ペンデレツキ:
バイオリン協奏曲第1番
(クルカ+トウォレク+ポーランド・シンフォニア・ユヴェントゥス管)
クラスターなどの前衛要素は影を潜め、半音2つ上昇して増四度あたりから半音下降する主題らしきものを軸に独奏がいろんな姿で絡み合う。併録のビオラ協奏曲にもよく似た主題がより明瞭に使われるが、こちらはさらにメリハリが効いて分かりやすくできている。
DUX1185
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チャイコフスキー:
くるみ割り人形
(スチュワート・グッドイヤー)
よくある組曲ではなく、全曲のピアノ版。これは嬉しいね。明瞭で軽やか、やや硬質の音色ながらニュアンスも豊かで魅力たっぷり。
Steinway30040
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ラヴェル:
夜のガスパール
(スチュワート・グッドイヤー)
贅肉を削ぎ落としてスリムに絞り込んだ、機能美とでもいうようなラヴェル、あまり聴いたこと無いタイプ。豪華で華麗な表現に慣れていると物足りなかったりするかもしれないが、クリアな粒立ちの淀みない流れは、いまちょうど欲しかった音。Orchid Classics
ORC100061
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マックス・リヒター:
四季
(ダニエル・ホープ+アンドレ・デ・リッダー+ベルリン・コンツェルトハウス管)
ビバルディの曲の25%を使って作曲し直したというアンビエント音楽。えー、これ演奏したいの? 気楽なお楽しみにはいいかもだけどねぇ。Vn独奏+弦五部+Hp+シンセサイザー。秋にはチェンバロの音も。DG
00028947927792
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ラッヘンマン:
弦楽四重奏曲第1~3番
(アルディッティ弦楽四重奏団)
音程による旋律という概念を解体し、弓の圧力やら摩擦といったレベルでの発音の組み合わせが生み出す、疎な音楽。第1番《グラン・トルソ》よりも第2番《精霊の踊り》第3番《グリド》と新しくなるにつれ断片が少し長くなって圧力より響きの要素が増え、音の渦のような局面が生まれる一方で静寂との対比が大きくなる。Kairos
0012662KAI
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ラッヘンマン:
慰めI,II
(ヌスバウム+スコラ・ハイデルベルク+アンサンブル・アイステーシス)
Iはエルンスト・トラーの人間のミサにもとづき、IIはヴェッソブルン祈祷書による。断片的なつぶやきのような短い叫びのような湧き上がる声。併録「2つの感情」はアルンデル写本に残るダ・ヴィンチの言葉を読み上げながらやはり断片的な音が周回する。「運動」は硬直に向かうちょっと怖いテーマ。Kairos
0012202KAI
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チェルノヴィン:
冬の歌
(シック+インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル)
低音域七重奏を基本に編成違いのI~IIIからは打楽器を加えたII、10年を経てその上に違う層を塗られたIV、Vを収録。冬ごもりをして埋もれた中でうごめくというか呻くというか、それでも地上に突き出す何かが鈍く叫び続けるような。併録5つのアクション・スケッチも絞り込まれた音が定まらぬ形で漂いながら何かを唱えている。不思議の異型の世界。Kairos
0015008KAI
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ピエルルイジ・ビローネ:
イティ・ケ・ミ
(マルコ・フージ)
ビオラ独奏曲ではあるのだけれど、ECGAという特殊調弦にどこを弾いて音を出しているのか分からない、唸りとも叫びともつかぬとてつもない異次元世界。ゴジラの声を作ったという伝説のあれみたいな。楽譜が公開されている。エクイリブリオ.チェルキオは2015年のVn独奏曲。こちらも「普通の」ところは全く無いが、音のスピード感というか遠近感が。Kairos
0015019KAI
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サティ:
4つのオジーヴ
(ニコラス・ホルヴァート)
モノローグの定旋律の後に和音の平行移動で何通りか反復される、単純なような新しいような。オーレッジ編の新サラベール版を用いた全3巻の全集を出すということで、1890年代までの作品を収めた第1巻。楽器はコジマ・ワグナーが所有していた1881年エラールを使っているそうだ。珍しい録音ではある。Grand Piano
GP761
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ラヴェル:
歌劇「子供と魔法」
(ミッコ・フランク+フランス放送フィル)
歌も管弦楽もしっかりしていて、香り高く魅力たっぷり。ウィットに溢れ磨き抜かれた洗練、こういう響きを求めていた頃が懐かしかったり。Erato
190295896898
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ヴィラ=ロボス:
ショーロス追補
(クラピース+ルヴィノワ)
様々な楽器の組み合わせで書かれたブラジル民俗舞曲に基づく14曲に追加されたVn+Vcの2曲。田舎風の素朴な味わいと洒落たセンスが交錯する第1曲に対し、第2曲は静と動が対比されるが特にLentが味わい深い。併録クシシュトフ・マラツカの詩曲は短い6つの曲合わせて10分程度だがなかなか高密度で面白い。さらにラヴェルのソナタ、クセナキスのディプリ・ジーア、シュルホフの二重奏曲と意欲的な選曲で演奏もしなやか。Fondamenta
FON1402013
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エーリク・ベリマン:
ペトラルカ組曲
(シュヴェッケンディーク+ヴァッレーン+ヘルシンキ室内合唱団)
抒情詩集「カンツォニエーレ」をBar独唱と混声合唱が歌う。無調なのかセリーなのかよく分からないけれどなかなか複雑精妙な響き。最後の曲のため息のようなグリッサンド下降がなかなか印象的。1936~2000という長い期間の合唱曲集で、新しいところではシュプレヒゲザングなども使って面白い一方で初期は地方の合唱コンクールみたいな曲も。
BIS-2252
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オワイン・パーク:
フットステップ
(ナイジェル・ショート+テネブレ)
合唱団結成15周年に委嘱されたア・カペラ曲で、式子内親王、E.ブロンテなど9人の詩を用いて孤独な旅人の四季を歌う。精妙な和声からフーガまで多彩な表現の一方、ユース合唱団も一緒に歌えるように書かれているという。併録タルボットの「奇跡の道」は最初の委嘱作品で、サンティアゴ巡礼路を4つの楽章に充てカリクストゥス写本のテキストなどを用いた。広い音域の印象的な和声。いずれも素晴らしい歌唱。Signum
SIGCD471
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モラレス:
7つの哀歌
(ユートピア)
16世紀スペインの作曲家が書いた哀歌の、現存する7曲すべてに定旋律の聖歌3曲を組み合わせて収録。5人の男声ア・カペラは透明で非常に精度が高く秀演。Etcetera
KTC1538
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藤倉大:
プリズム・スペクトラ
(カックソン+アダムシク)
Va+電子楽器で、作曲者によれば「独奏ビオラが制御する仮想弦楽オケ」を構想したとのこと。電子音は「熱帯の海で泳ぐ魚」だとも。Vc+電子楽器のスピリット・ビーイングスは4つの楽章をいろんな組み合わせで演奏できるそうだ。ミーナはダルシマーを含む5人の独奏+オケ。ワンダラス・ステップスは6人の独奏。Minabel
MIN104
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藤倉大:
オケアノス
(Okeanos)
2001~2010年に書かれた5曲の連作で、Va+Cl+笙+箏+Obが組み合わされ、最後の「そよ風」(作曲は最初)で全部が揃う。笙+Obの第2曲、箏+Vaの第3曲は、それぞれ後者の楽器が変わった扱いでまるで二種類の同属楽器のように響かせる。最後は長い周期の波のような響きに各楽器が絡んで水が流れたり湧き上がってきたりする玄妙な空間。オーシャン・ドラムと鐘の音は、アドリブらしい。打楽器のファントム・パルスは楽しい。表題曲シークレット・フォレストは演奏の切れ味がいまひとつだからか森というより人工的なオブジェみたい。NMC Recordings
NMCD172
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ジョン・ケージ:
龍安寺
(ポテンゴフスキ+G.W.ワーグナー)
ドナウ流域で4万~3万年前の洞窟から発掘された、鳥の骨やマンモスの牙を用いた笛(ボーン・フルート)を再現し、打楽器とともに演奏者2名のオリジナル曲を演奏したアルバムだが、この曲だけが特別。5群15個の岩を配置した石庭を図形楽譜化し、管楽器のグリッサンドと打楽器で表現する。この楽器の場合、表現力豊かとはいえないが、素朴な味わいがある。ほかの曲は古代人と自然の関わりを想定して創作したという。成功しているかどうかは確かめようがないが。Delphian
DCD34185
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アンソニー・ジェンガ:
弦楽四重奏曲第2番
(セント・ジョン弦楽四重奏団)
時を刻む音型に乗ったゆったり気怠い旋律が、空虚な響きで流れをせき止められる、ミニマリスト風の音楽。併録曲もみな軽い感じでさらさら流れていくが、ケニンスの小組曲あたりよく聴くとバルトーク風なところもある。演奏はよく息が合っている。Leaf Music
LM203
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武満徹:
環(リング)
(野口龍+伊部晴美+浜田三彦)
Fl、Gtにリュートという編成で、RINGとそれぞれ名付けられた4つの楽章を自由な順序で、間に図形楽譜による即興を挟んで演奏するという。1961年、一柳を通してケージを知った時期の作品。併録は同じ60年代の室内楽曲スタンザI、サクリファイス、ヴァレリア、それに70年代の管弦楽曲カトレーン、鳥は星形の庭に降りる DG
00028947753810
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武満徹:
エクリプス
(鶴田錦史+横山勝也)
自国文化との関係で葛藤していた武満が、ジョン・ケージの音楽、実演者の実際の響きと出逢うことで生み出した邦楽器による作品の出発点。確定した「合奏の譜」から偶然性による図形楽譜「白の譜」「黒の譜」に移行していく。併録「旅」は多重録音による三面琵琶の曲。秋、ノヴェンバー・ステップスはオケとの共演曲だが、琵琶、尺八のみの演奏での収録。秋庭歌は宮内庁式部職楽部による。DG
00028947159025
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武満徹:
海へ
(パトリック・ガロワ+イェラン・セルシェル)
武満が80年代の“音楽発想の基調音”と述べたE♭-E-A(SEA)がそのままタイトルになった3楽章構成の曲で、A.Fl+GuitのI、ギターの代わりにHpと弦楽オケを用いたII、A.Fl+HpのみのIIIという3通りがある。この曲ではEAの完全四度よりも幅広い跳躍のほうが目立つ。併録ウォーター・ドリーミングでも用いられるが、あまり目立たない。ほか「そして、それが風であることを知った」「エア」と、武満のFl作品集。DG
00028945345925
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武満徹:
ユーカリプス
(ホリガー夫妻+ニコレ+バーゼル・アンサンブル)
Ob、Fl、Hpと弦楽のため、というかこの3人のために委嘱された、ObとFlの可能性をとことん追求した曲。弦なしの三重奏に編曲したIIも収録。Obの表現は併録「ディスタンス」、Flは同じく「声」も聴きもの。「フォリス」はギターのための最初の作品。「ソン・カリグラフィ」は20世紀音楽研究所に加わるきっかけとなった弦楽曲。DG
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