レイ・リャン:
セラシ断片
(アルディッティ弦楽四重奏団) 馬頭琴奏者の色拉西へのオマージュとして書かれ、技巧的だけれども非常に凝縮された音が間欠的に奏される。やや速度を早めたかと思うと元に戻り、最後また速度を早めつつ、線香花火のように終わる。中国名は梁雷だそうで、日本も含めた東アジアの要素を軸に、他の曲も間を重視した音作り。テンポを上げる場面でやや興醒めになることがあるのが残念。Mode Records
MOD-CD-210
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ジェイムズ・テニー:
エルゴドスIII
(マルダー+デンヤー) 偶然性(作曲者によれば予測不能性)を導入した初期のコンピュータ音楽のI、IIは1963/64年だが、このIIIはPf2台で演奏する1999年の作品。事象の確率が長時間のうちに収束するというエルゴード性を扱うらしい。実験以上のものをどう見出すかはなかなか難しいところだが。Mode Records
MOD-CD-185
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アール・ブラウン:
フォリオ
(ネクストワークスほか) 図形楽譜で特に第3曲の「1952年12月」は有名らしい。12音技法だったり素材を作曲して演奏形式は自由(開かれた形式、composed material, open form)だったりと、いろいろなタイプのいわゆる現代音楽らしい作品が揃っている。こういうのを積極的に評価できるときとそうでないときが、もしかしたら気分によって違うかも。Mode Records
MOD-CD-179
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ロジャー・レイノルズ:
プロセスと情熱
(デシャルム+ミリベル) Vc+Vn独奏に両者を電子処理した録音が加わり、自在なバレエの身体が拡張するという感じの表現。Vc+室内オケの「思考、場所、夢」、Vc+Pfの「血生臭い道」とか、間を取りながら繰り出される多彩な技巧の音が、どれも十分な質量を持って外に向かう。Mode Records
MOD-CD-277
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ワルター・ツィンマーマン:
無垢と経験の歌
(ソナール四重奏団) 幼い少女の歌(ブレイクの詩?)を収録したテープが何度か挿入され、それをSQがなぞりながら素材を見出して発展して行き、最後は男の歌に重なる。10のフランケン舞曲はドイツ農民のフォークダンスを全編ハーモニクスで演奏する。フェスティーナ・レンテもハーモニクスとグリッサンドを多用した異空間の4楽章。「不安が川を越えて行く」は45分にわたってVn独奏がゆっくり問わず語りをする。タウラ/ノーヴォ・ベンはVa独奏が、後半は声を出して歌いながら。Mode Records
MOD-CD-245
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チェルノヴィン:
弦楽四重奏曲
(アルディッティ弦楽四重奏団) 素早く姿を変えるかと思うと空虚な間にピチカートや高音グリッサンドが飛び散ったり、かと思うと音を束ねて迫ってみたり、忍者のような感じとでも言うか。木管+Vn+Vc+Pf+打というアファツィムもよく似ているが、楽器が多いだけ効果は多彩。「イーナ」はBFlに録音した6本のFlを重ね、尺八を中心にした怪談のよう。Mode Records
MOD-CD-77
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アルヴィン・ルシエ:
ナビゲーション
(アルディッティ弦楽四重奏団) 各楽器が短三度ほどの幅にある4つの音をそれぞれ奏しながら微妙に幅を狭めて行き、最後はユニゾンにたどり着くという全編微分音の不協和音の15分。1991年作。併録「小さな波」は、水をたたえた6つの器の音をマイクで拾って増幅させSQ+Trb+Pfがそのピッチに向かって音を変化させていくということらしい(たぶん)。他の楽器が微分音で動く中Pfだけが浮いているのが妙な感じ。1997年作。Mode Records
MOD-CD-124
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モートン・フェルドマン:
ピアノ三重奏曲
(サバト+デ・サラム+高橋アキ) 1時間45分にわたって、ぽつりぽつりとシンプルな音が重ねられていく。いちおう15のセクションがあって、P21 S1 M8 B1のようなラベルが与えられているが、どうも楽譜のページや小節番号でしかないような感じ。徐々に音高が変化していき、パターンも同じようでいて一定ではない。Mode Records
MOD-CD-216
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ガース・ノックス:
ビオラ・スペース
(ノックス他) 6人のVa奏者が織りなす巫山戯た楽しい8つの実験音楽室。さまざまなテクニックが面白くも豊かな響きを生む。マレの主題を使った姉妹作のただれっぷりは見事。ClとVcが加わる「ウィーンのワルツ」、Va+Tubaという特殊な組合せの「ヨナと鯨」、ダ・モーレ+5Vaの「オケゲム幻想曲」とどれも凝っていて面白い。Mode Records
MOD-CD-207
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