music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2017-09
スティーブ・ラウズ :
バイオリン・ソナタ第2番
(ベンジャミン・サン+ジヘ・チャン )
アメリカンと呼んでいいのかよく分からないが、わずかなずれを持つシンコペーションに乗っての圧縮した表現と、不思議な叙情の組み合わせ。併録「10の小さな事」はクラリネット+打楽器のさまざまな可能性を試みる。「形が消えていく」もまたいろんな楽器の組み合わせで、取り留めなくも楽しげなところはなかなかいい。Ravello Records
RR7973
(2017-09-24 )
アイヴズ :
バイオリン・ソナタ第4番
(ペッカ・クーシスト+ヨーナス・アホネン )
懐かしい旋律を明に暗に響かせながらのアメリカの歌。併録のピアノ・ソナタ第2番は遥かにモダンかつ神秘的だけれども、「運命の4音」にやはり柔らかな旋律の断片が絡む。ピアノの音色が味わい深い。
BIS-2249
(2017-09-22 )
ダウランド :
流れよわが涙
(カークビー+チェリーズ・コンソート )
エマ様の歌唱もコンソートのヴィオルも素晴らしい。こういう音楽が聴けるのは嬉しいこと。
BIS-2283
(2017-09-21 )
エドヴィン・オステルゴール :
第7の方位
(トリエセン+カールセン+グロー )
東西南北上下に続く7番目は内面に向かうというオーストラリア原住民の智慧に基づくタイトルだそうだ。Va+Vc+女声による、断片的で密やかなモチーフの反復、なんとも神秘的というか。Va独奏の「儀式」(Ritus)も同じ方向を目指すがもう少し雄弁。Vcの「変イで」はそれを倍音に語らせたいらしい。「『今、太陽は昇る』による瞑想」は民俗の調べを用いる。LAWO Classics
LWC1014
(2017-09-20 )
マルチン・ドゥトカ :
鯨の歯
(ドゥトカ自身 )
プリペアド・ピアノによる即興演奏で、海の底を思わせるような不思議な響きとか、打楽器を弦の間に挟むのかへんてこな混合音だとか、ジャズそのもののスタイルとか、いろいろの8章。画家でもあるということで、まぁそんな感じ。
DUX1379
(2017-09-20 )
ペーター・ヤコバー :
サブスタンティー
(クラングフォルム・ウィーン )
通常楽器音と電子音の区別がつかなくなるような、異次元トンネルをくぐっていく感じの音響。併録パルス2は多重録音したVc+α、SQ第1番は弦だけでありとあらゆる音、ナッハ・アウセンはVn+電子音、どれも音響によって語る。Kairos
0015007KAI
(2017-09-17 )
アルトゥーロ・フエンテス :
割れた鏡
(ディオティマ弦楽四重奏団 )
スルポンとハーモニクスを駆使した金属的な響きが波打つ。併録の「液体クリスタル」「氷の反映」「ガラスの歪み」いずれもよく似た冷たい手触りの、まさしくクールな音塊。Kairos
0015015KAI
(2017-09-15 )
グレツキ :
弦楽四重奏曲第1, 第2番
(シレジアン弦楽四重奏団 )
第1番は抑圧され引きつったコラールからエネルギーが爆発するがより静かなコラールに戻る単一楽章。第2番は陰鬱な哀歌の第1楽章、決然とした和音連打が途絶えて静寂になる第2楽章、複調で情熱的に歌い上げながらやはり消えていく第3楽章、民族風のリズムが刻まれるが断ち切られ冒頭の哀歌が戻ってくる終楽章。初期のずっと前衛的なジェネシスI、またソナタSQ版も併録。Mezhdunarodnaya
191773443702
(2017-09-14 )
ステファン・ウィッティントン :
藁葺き屋根の小屋から…
(ゼフィール四重奏団 )
白居易の廬山草堂記から取ったタイトルのようで、隠棲する文人の姿に寄せた7つの楽章。中国風の楽章も少しあるが、基本はシンプルな作りで良く言えば達観の鏡明ということか。併録ウインドミルも同様で、単調な退屈とすれすれ。まぁこのレーベルらしい。Cold Blue Music
CB0048
(2017-09-09 )
ウォルトン :
パッサカリア
(ミヒャエル・ホイペル )
独奏チェロのための作曲者晩年の曲をじっくり、激しく。B.フンメルの幻想曲第2番はカザルスの思い出にC-A-Es-A-EsとB-A-C-Hをモチーフに用いたり。ほかペンデレツキ、クルターク、ロージャ、リゲティと20世紀後半以降のVcソロ。マルコウラキのクレタン組曲は昨年作らしい。Ars Produktion
ARS38231
(2017-09-09 )
藤倉大 :
レア・グラビティ
(ヴィト+名古屋フィル )
フルオケなのに重苦しくないふわりとした感覚。生まれた子が「お腹の中で羊水に浮かび、どんどん大きくなるのはどんな感じだろうか」との想像から生まれたのだそうだ。チェロ協奏曲のアンサンブル版というのもなかなかいい。太鼓とか三味線とかの邦楽器の曲はいまいちしっくり来なかった。Minabel
MIN106
(2017-09-06 )
ハワード・スケンプトン :
メアリー・ウェブの5つの詩
(ウィークス+エグザウディ )
女声4部のア・カペラで、優しい和声が微妙な転調で移ろっていくシンプルで美しい曲。ベッカーが弾くビアの独奏曲もみな協和音中心の簡素な構成ながら味わいがある。このレーベルがなんとMode Records
MOD-CD-226
(2017-09-05 )
マクスウェル・デイヴィス :
最後の島
(ヘブリディーズ・アンサンブル )
調性感はないけれども哀愁の響きを帯びながらずっと伸びていく弦楽六重奏の各声部の線。最後に波が砕けるように忙しく動いた後で潮が引いていく。厳しい冬の海のような弦楽三重奏曲、緩急をつけながら雄弁なオーボエ三重奏曲、さらにVnソナタ、弦楽四重奏楽章、また愛らしい小曲と、多彩で奥深い室内楽曲集。Delphian
DCD34178
(2017-09-04 )
カリン・レーンクヴィスト :
砂丘から助け出してください
(ゾルセット+リーエン )
叫びのようなSopにサキソフォンが呼応する。短いながらなかなか凝縮されている。併録はマーク・アダリー、ホーコン・ベルゲ、ラーシュ・スコグルンド、ビョルン・クルーセと、いずれもノルウェイの作曲家のSax(+Sop)の曲集。ややスピリチュアル系。LAWO Classics
LWC1095
(2017-09-03 )
メシアン :
ミのための詩
(アーチボルド+モルロー+シアトル響 )
宇宙を飛び交う喜びから戦いまで、管弦楽版もなかなかよい。併録「神の降臨のための3つの小典礼」は少年合唱とピアノ、Ondも加わって、鳥の声やらメシアンならではの味わい。Seattle Sym. Media
SSM1016
(2017-09-01 )