music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2017-11
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マイスター・ルメラント:
すべての王、紳士、騎士たち
(アルバ)
原題は王の次にvurstenというのがあるのだけれど、中高ドイツ語でよく分からない。デンマーク王の死を悼んだ親方の曲集から。ミンネザングというよりは「語り歌」になるのか。曲想はそこはかとない憂いを訥々と歌う感じ。Classico
CLASSCD335
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コムテッサ・デ・ディア:
嫌なことでも歌わなければ
(ピラール・フィゲーラス+クレマンシック・コンソート)
女性トルバドゥールのディア伯爵夫人(ベアトリッツ・デ・ディア)がしんみりと恋の嘆きを歌う。吟遊詩人の歌のほか伝記(ヴィーダ)の朗読も含めた1枚(NMLはクレメンチッチという表記が混在して何だよと思っていたら、こちらの方が正確だと。ふむー)Harmonia Mundi
HMG508099
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間宮芳生:
鳥獣戯画
(山田和樹+東京混声合唱団)
合唱のためのコンポジション第5番、いろいろな形の「わらい」を表現する。打楽器+Cb+Gt。ライブということもあって演奏精度は必ずしも高くないが、面白い曲だから。併録はルネ・クラウセンのミサ曲。保守的というか、2度の衝突を多用するも基本的には美しい響きを求めるア・カペラ二重合唱曲。Exton
OVCL-00547
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チェルノヴィン:
ホウライシダ
(インバル・ヘーヴァー)
「声と息のための壊れやすい練習曲」という三部作。Iは大半が息と無音の密やかな世界、IIは短い摩擦音や破裂音がぽつりぽつり、IIIは録音された「対旋律」とともにややつながりのある声のドラマが少し。併録「隠されたもの」は多数のスピーカーから出るさまざまな音に囲まれてSQがピチカート連打やノイズのような断片を繰り出す。摩訶不思議。Wergo
WER7355-2
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マルコム・ウィリアムソン:
ピアノ・ソナタ第1番
(アンソニー・グレイ)
愛らしいはずの主題がどこか壊れ、均整が取れていそうで崩れた、新古典風とも言える作品。セリエを用いて重苦しい第2番とかハイドン風を目指した第3番とか、また映画音楽も作ったというだけあっていかにも分かりやすい旅行記とか、いろいろな芸風を聞かせてくれるピアノ曲全集。ABC Classics
00028948143900
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ボロプ=ヨアンセン:
セイレーンたちの海岸
(ハンセン+オーフス・シンフォニエッタ)
オデュッセイアにも出てくる美しい歌声で航行中の人を惑わすという神話の存在は、Sopギュモエスの声を多重録音したということで、怪しい引力の雰囲気はよく出ている。ピアノ、リコーダ、Org+Cemb、Va+Percといろんな楽器のための室内楽曲集。パッケージ版は映像付きだそうだ。OUR Recordings
6.220620
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アンブロジーニ:
プリューリモ
(ヴァラーデ+アルチウリ+リベッタ+RAI国立響)
2台のピアノが一部プリペアされたりさまざまな技巧と響きできらめき、管弦楽がうまいバランスで絡み合う。混沌としているが、散漫にならずなかなか面白い。併録「接触」はピアノ1台の協奏曲、「カラヴァッジョの死」はFg協奏曲。Stradivarius
STR37086
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ヘイノ・カスキ:
泉のほとりの妖精
(舘野泉)
ほか1ダースほどのピアノ曲は、みな繊細でこわれやすいガラス細工のような抒情詩で、美しく優しいけれど、そこから先はうーんという感じ。それももちろん音楽だけど。Finlandia
639842144667
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ヴォーン=ウィリアムズ:
私たちに平和を与えて
(クレオバリー+ブリテン・シンフォニア)
アニュス・デイに、ホイットマンの詩、ジョン・ブライトの反戦宣言、エレミヤ書のテキストを組み合わせ、平和をと歌う。最後は希望を込めて。併録チチェスター詩篇はバーンスタインがヘブライ語の詩篇100、108、2、23、131、133(多くはダビデの歌)からテキストを選んだ。7拍子、10拍子など入り混じりつつも、父なる神を信頼し柔らかく包まれる。KC Cambridge
KGS0021-D
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ヴェレシュ:
チェロ・ソナタ
(ジャン=ギアン・ケラス)
民謡的といってもよいのかもしれない要素をたぶん利用して、広い音域でほの暗い独白を歌い上げる。バルトーク、コダーイの弟子にしてリゲティ、クルターグの師匠という存在。コダーイのソナタ、クルターグの「サイン、ゲーム、メッセージ」などを併録したハンガリー曲集。Harmonia Mundi
HMG501735
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クルターグ:
サイン、ゲーム、メッセージ
(カシュカシアン)
Vaだけでなく各弦、木管楽器や二重奏、三重奏のために書かれているライフワークのような連作で、さまざまな題材を切り取ってハンガリーと言うかバルトーク語法というか、型にはめられず自由に語る。併録のリゲティ「無伴奏ビオラソナタ」もまた、民謡のような不思議な微分音を持つ音階だったり、捻れた転調だったり。魅力たっぷり。ECM Records
00028947652021
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バルトーク:
弦楽四重奏曲全集
(ファイン・アーツ四重奏団)
素直なと言うか、前衛という力みも民族という泥臭さもない、ちょっと聴いたことがないタイプのバルトーク。思わず楽譜を見直して、そうなのかと納得するなど。1958年の録音で、ショーンバーグがNY Timesで絶賛したのだそうだ。Everest Records
0848033067115
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シャリーノ:
12のマドリガーレ
(新シュトゥットガルト声楽ゾリステン)
芭蕉の6つの俳句をシャリーノ自身が翻訳し、2部構成としたもの。第2部は第1部と同じ句を、共通の要素を用いながらも「不正確な鏡」として変形というか変奏する。シラブルを分解して凝縮した断片的な声が織りなすポリフォニーの、自由に飛び交う軽みの世界。Col legno
WWE1CD20287
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ラッヘンマン:
書
(カンブルラン+SWRバーデン・バーデン&フライブルク)
管楽器の風奏とか短いクレッシェンドなどが筆でこするようなイメージを醸す。後半は間をおきながら咆哮する金管が煩いが、最後はかすれて消えるような書。楽譜がヘブライ文字みたい。併録「ドゥーブル」は弦楽オケ曲で、こちらも短いクレッシェンドの断片が束ねられていく。意外に素直な音ともいえるが、こちらの方が響きはむしろ多様とも。Kairos
0013342KAI
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ファーニホウ:
クロノス・アイオン
(フランク・オルー+アンサンブル・モデルン)
触感のある時間なんだそうだ。音楽が複雑なのはいいが管楽器があれこれ変な音を出すのは煩く感じられる。2008年ドナウエッシンゲン音楽祭の作品集で、ほかにブリス・ポゼの交響曲第5番「踊り子」とかハダドの「崇高」とか。みなそれなりに面白いが、それぞれに煩い。
NEOS10944
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ジョバンニ・ベルテッリ:
ロレム・イプサム
(ゴルリ+カイエリョ+ディヴェルティメント・アンサンブル)
無意味ダミーテキストの代名詞がタイトルであることが示すように、ナンセンスな言葉とパロディやふざけた音を並べて世界を再構築する。併録「愛の母」はパゾリーニ、「たぶん彼らはワームそのもの」はペトロシーノのテキスト、「夏の本」「落下」は器楽で、それぞれやってくれる。Stradivarius
STR37085
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カルロ・アレッサンドロ・ランディーニ:
変化
(アルディッティ弦楽四重奏団)
Changesというだけのタイトルなので、もっと多様な意味を含むはずだけれど。細かな動きの間に挟まれる閃光のような断片はやがて圧縮されて連続跳躍運動を形作るが、徐々に連結部だけが暗闇の中で蠢くように静まる。動きは細紐のようになって上昇し、漂いながらゆっくり落下する残骸は再び力を得るのかと思いきや、むしろ穏やかに包み込む膜に成長するような兆しを見せつつも、そのまま消えてしまう。Stradivarius
STR37077
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ナターシャ・バレット:
微小動物
(作曲者自身)
シェフェール生誕100年に委嘱されて「5つのエチュード」に立ち返って作ったという。アクースマティックだそうだから、何かを表現するというより音そのものをダイレクトに受け止めるのかな。サウンド・アートというべきか。だがまぁ自然の音に音楽を感じるというのも、同じことだとも言える。Aurora
ACD5082
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メシアン:
我らの主イエス・キリストの変容
(ドラティ+ワシントン・ナショナル響)
独奏楽器7+Ten+Bar+合唱+4管編成で90分以上という大曲。第1部はマルコ9:2-8にある「山上の変身」挿話だが、第2部は神学大全のようで三位一体云々と辛気臭い。トゥランガリーラでもおなじみの語法、和声や輝きを表す(たぶん)ピアノなどメシアンらしいが、独特の旋法によるユニゾン合唱が軸になるのは、20世紀の聖歌ということか。ほか「キリストの昇天」「5つのルシャン」「アーメンの幻影」など、CD6枚もあるのでまたいずれ。Decca
00028947803522
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ジョージ・クラム:
小さな真夜中の音楽
(マルカントニオ・バローネ)
アイネクのパロディかと思ったら、セロニアス・モンクの’ラウンド・ミッドナイトの主題を使った一種の変奏曲。内部奏法はもちろん、ブルース風、イタリア語で叫ぶカウントダウンなども。併録はみな初録音で、マクロコスモスIV「天界の力学」、MSが入る「アンダルシアの黄色い月」、さらに打も加わる「昨年」。面白いね。Bridge Records
BCD9476
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武満徹:
ノヴェンバー・ステップス
(岩城宏之+NHK交響楽団)
初演から50年だということなので、改めてじっくり聴いてみた。どうしてもこの曲は琵琶と尺八しか印象に残らないのだけれど、当たり前ながらオケも精緻に書かれている。ただ東西の音の融合というよりは、交互に並べられて隙間に染み込んでいくというか、2つの邦楽器の響きが不協和な長短の音符と対になるというか。さすがにいろいろおもしろい。ほか地平線のドーリア、テクスチュアズ、コロナなど。Naxos
NYNG-003
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バーンスタイン:
セレナード
(グリマル+レ・ディソナンス)
プラトンの「饗宴」を題材にした独奏Vn+弦楽+打+Hpの、いかにもバーンスタインらしい曲。変拍子を織り交ぜてのダンスやジャズ風味を効かせた展開とか、じっくり楽しめる。併録はシュニトケの合奏協奏曲第1番と「ハイドン風モーツ・アート」。諧謔味あるパロディが「告別」のようにだんだん消えていく。Dissonances Records
LD0083D1
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ハンス・ツェンダー:
どこ?
(カンブルラン+ルッツ+コヴァチッチ+クラングフォルム・ウィーン)
デ・ラ・クルスの聖霊頌歌をテキストに、Sop、Vnのソロと室内オケが対置される。シェーンベルクの作品9の引用なども含む、繊細で神秘的な作り。72微分音だそうだ。併録「森」「なぜ?」「クリスタリナ」も、異なる編成ながら同じ頌歌を用いた曲。Wergo
WER7336-2
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チェルノヴィン:
白い風が待っている
(ロト+シュテファン・シュミット+SWRバーデン・バーデン&フライブルク)
オーケストラに独奏ギターが加わるが、協奏曲というわけではない。ホワイトノイズのような音響がいろんな姿で現れ、黄金分割点でシャワーのようにほとばしる。併録は一部声も入る「クレッシェンド三部作」と「我らの凝視の周囲で」。ある種の描写的な音なのかも。Wergo
WER7319-2
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ロジャー・レイノルズ:
変奏曲
(エリック・ヒューブナー)
3つのテーマをコンピュータで分解・変換したりして作られたという複雑な(図形?)楽譜を演奏者が自由度を持って演奏するらしい。併録「追跡」(Traces)は電子処理されたFl、Vcがピアノの音を追っていくという実験的な響きの空間。2枚組CDの1枚目はピアノ独奏曲、2枚目は他の楽器との組み合わせという、興味が尽きないピアノ曲全集。Mode Records
MOD-CD-212
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モートン・フェルドマン:
三和音の記憶
(マリリン・ノンケン)
機能和声とは全く無縁な音の連なりが反復され、踏みっぱなしのペダルによって静かな響きが重なりながら、少しずつパターンが移ろっていく。100分近く漂い続ける行き先の分からない音の旅。Mode Records
MOD-CD-136
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イルダ・パレデス:
カン・シリム・トゥン
(新シュトゥットガルト声楽ゾリステン+アルディッティ弦楽四重奏団)
マヤの呪術や医術を記した写本から採ったテキストに基づくそうで、第1部は鹿、第2部は蜘蛛に魔法をかけるのだという。変幻自在の声と弦に異次元世界に持っていかれる。併録はSQの「ウィ・ウ・タン」、ピアノが加わった「共潮」、アンサンブルのための協奏曲だというAh Paxoo'ob(読み方すら分からない)。Mode Records
MOD-CD-149
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ジョン・ケージ:
スリー
(トリオ・ドルチェ)
3本のリコーダーのために書かれた。「可能な限りレガートで」とされる両端楽章の間にA~Iの9楽章が置かれて任意に選んで演奏できるというものだが、Sop、Ten、Basの各パートが単純な音をさまざまなパターンで順番に並べていくだけの禅問答のような曲。併録は「2声カノンのオブリガート付き独奏と独奏主題による6つの小インベンション」という、ブラウン運動みたいに3声が入り交じる、対照的に饒舌な曲。スリー委嘱のきっかけになったという。Mode Records
MOD-CD-186
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ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:
天の啓示による調和の音楽
(ザビーネ・ルッツェンベルガー+バティスト・ロマン)
デンデルモンド写本に含まれる56曲から11のアンティフォナ、レスポンソリウムなどを抜粋(+別の?作者不詳1曲)。合唱ではなくSop独唱にフィドルなどを組合せて、見事な演奏。Christophorus
CHR77376
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モートン・サボトニック:
両生類の二重生活のための音楽
(モスコ+カラーツ21世紀プレイヤーズ他)
電子音楽を中心にVcと一部Sopを加えた3部の舞台交響詩だそうで、その抜粋を1枚のCDに収めたもの。時空間を彫刻するのだと。音響効果を狙うだけでなく、静寂な時間と空間も重要な役割を果たしており、なかなかのもの。Wergo
WER7312-2
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メレディス・モンク:
丘からの歌
(モンク)
擬音や擬態とでもいうか、素材としての声の可能性を追求する10の小曲。併録「タブレット」は複数の声にピアノ伴奏を加えている。面白い。音楽の原点のある面を捉えているように思う。Wergo
SM1022-50
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