Planet masaka played list 2017-12


  1. * ヒルデガルトの幻視でも重要な役割を持つ火(光)とそれに関連する精霊をテーマにストーリーを構成したという。デンデルモンド写本の他、「おお、何と驚くべき予見が」「おお、幸いなる魂よ」はリーゼン写本から。Harmonia Mundi HMU907327DI
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  2. * 日本に1ヶ月滞在したときに着想したということで、エネルギッシュで饒舌に始まるが、途中(第3変奏?)から急に時間の流れが変わる。確かにアコーディオンの長音は笙のようでもある。動き始めてはまたブレーキを繰り返し、舞のあと潮が引くように閉じていく。併録はリンドベルイら北欧のアコーディオン独奏曲。ECM Records 00028947218722
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  3. * SQ+2本Clという珍しい編成で、微分音やらグリッサンドやらその妙味が追求されるシュールな音風景。 「愛人たちの辞書から」という副題は、併録のClデュオ「愛の対話VI」とも関係あるのか。「シュプール」は弦トリオ+2本Clでさらに響き志向。これも面白い。 NEOS11704
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  4. * クラリネットにVaと打楽器が加わって、それぞれがいろんな奏法の断片を紡いでいく。そこはかとなく無意味っぽい音が後半は禅問答のようになって侘びに至るような。併録アレグロ・ソステヌートはCl+Pf+Vc、ダル・ニエンテはCl独奏で特殊奏法を多用し表現可能性を探る。New Focus FCR196
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  5. * ゆっくり減衰する長い音を各楽器が積み重ねていくのだけれど、スル・タストかつ2弦で同音を弾くのか電気音響効果なのか、水彩画の滲みあるいは霧の中のような疎でもわもわした音空間。ときおり琵琶のようなピチカートが鳴ったりグリッサンドが入ったりもする。ECM Records 00028943719223
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  6. * 鐘がなる広場の雑踏の音で始まり、独奏Vnと弦楽オーケストラがそのざわめきを受け継いでいく。夜の公園で車のエンジン音に高音のソロと虚ろな和音が重なったり、機関車と電子音にはややヒステリックな運動とグリッサンドが応えたり。それらが去ると、鳥の声が聞こえる田園でソロが体をいろいろくねらせて演舞する。併録は15楽器によるアピアランス。 BIS-8019
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  7. * 芭蕉、一茶、漱石、蕪村、子規らの英訳句に作曲したという。調性的ではないけれどもそれぞれの叙情がけっこうしっかり描かれる。表現主義風というか。ペンデレツキやルトスワフスキに近いと言われると、そうなのかなとも。Vaと共演する「詩人になるということ」、打楽器アンサンブルとともにカフカの詩をシュプレヒシュティンメで歌う「春の川」ほか。 NEOS11703
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  8. * 水を満たした法螺貝とか松ぼっくりに火をつけた音とかを組み合わせての即興。「木の子供」はサボテンや黄胡蝶の種など10種類の植物を用いる。ほか「作曲された即興曲」「27分10.554秒」など、何でもありという魅惑のソロ打楽器曲集。Wergo WER7320-2
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  9. * スティールドラムだと思ったらプリペアド・ピアノで、微分音というか音が狂うほど詰め物をして弾くのか。へんてこな上昇音型が訥々と繰り返される。「夢」というペダル踏みっぱなしの変にロマンティックだけれど「デュシャン」の断片が聞こえる曲や、「彼女は眠っている」「花」ほか声入りの曲など、40年代までの作品群。ECM Records 00028947649335
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  10. * いずれも亡くなった知人の追悼として書かれた曲で、静かな悲しみの瞑想、鎮魂の踊りともいうべき運動、そしてアルメニアの歌。旋法的でもあるけれど移ろっていく和声。第1番2楽章でトゥッティで動きながらグリッサンドで上昇するのは印象的。第2番のほうがより感情が前面に出ているか。静かなラルゲットが急に動き出したり、終楽章で静かなピチカートがエピソードを奏でたり。ECM Records 00028947630524
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  11. * SQ+電子音の曲だけれど、弦の音も特殊奏法に加えて電気処理され、多様な音響のパレットを生み出す。サブタイトルはその処理に同じプログラムを用いたシリーズだそうだ。併録は四季をモチーフにしたケージの「4部構成の弦楽四重奏曲」、さらにマデルナの「2楽章の弦楽四重奏曲」。これはじっくり聴いても面白い1枚。ECM Records 00028947242222
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  12. * 下降する3音に他の楽器が反行したりして玄妙な和声をつくりながらゆっくり流れていく。動く要素が徐々に加わり陳腐につくられた中心点を経てまた静に戻る。併録「ポーン」は静の部分がもっと長く和音の変化だけで進み、動の部では"リズム・ユニゾン"で凝縮される。「召使」は最初からこれで攻めてくる。ミニマリズムの音はあまり考えずにぼんやり聴いているのが快適。Signum SIGCD518
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  13. * イタリア語の「アルチェステ」をフランス語にしたもの。“改革オペラ”の一つで端正かつ格調高い。管弦楽も合唱も素晴らしく、冒頭から女声もなかなかのものでこれは、と思ったもののの、Tenが残念でした。それでも全体として高水準で楽しめる。Aparte AP164D
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  14. * 複雑で小魚が目まぐるしく泳ぎ回るようなきらきらした技巧的なパッセージが散りばめられ、どこがカノンかという曲だが、それらの要素が変形されながら追いかけっこ?(インタビューでは「技術の持つ意味」を抽出する、異なるパラメータで結び合わせるのだと)「9つの~」はさらにアグレッシブ、「3つの~」「5つの~」と合わせた連作。「遠近法的統合体」(?Perspectivæ Sintagma)は電子音を加えたカノンだという。かなり強い磁力を持っている。Wergo WER7365-2
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  15. * 三条縦筋絵様というタイトルだそうだが、3つの楽器がそれぞれ起伏を描きながら時に模倣するように絡まったりして進む音絵巻。併録の「変光星」は考え事をしながら歩むような和音の柱の周りをキラキラした何かが飛び回るピアノ独奏。Exton OVCL-00538
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  16. * シュトックハウゼン門下だそうで、面白い音の組み合わせもあるのだけれど、どちらかというと旋律らしきものを基本に据えている感じ。併録のチェロ協奏曲も、それぞれロマン派作曲家の引用があるという。「カレイドスコープ」とか「室内オーケストラのための10の詩曲」を聴くと、情景的というか、ファンタジーの劇伴的なのかも。それは色彩的で楽しめるということでもあるのだが。ABC Classics 00028948164646
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  17. * teaは単に「茶」のほうがいいか。管楽器の奇妙な叫び、バルトーク・ピチカートや鋸のような弦、電子音、さらに女声のつぶやきを組み合わせて、何というか音のインスタレーションのような空間が。併録「グリッサドゥレーション」は、まさに“演奏会インスタレーション”のために書かれたという。他の独奏楽器+電子音の曲は、やや音色が好みでないものも。Wergo WER7347-2
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  18. * メシアンへのオマージュとして《世の終わりのための四重奏曲》と同じ編成で作曲された。終わりに対して「まだつぼみであった音楽的な原形が、ゆっくりと静かに『歌』へと開花していく」時の始まりだそうだ。ただ、花開くというよりはもっと神秘的なまま終わる。併録は旅VIII、X、リート、弧のうた。Wergo WER6860-2
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  19. * ローマ国立中央図書館の(未出版?)手稿Mss musicali 130にある曲を収録したということだがInternet Culturaleの記述では写本に含まれるのは11の詩篇で、それ以外の曲はすでに知られているモテットなどのようだ。4声を4人で歌うアンサンブルはまずまず高精度。Phaia Music K617209
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  20. * ほか「夢の時」「ノスタルジア」「虹へ向かって、パルマ」「遠い呼び声の彼方へ!」と、1977~87年の繊細で調性的でもある中期の作品群。星形の~は、武満を意識し始めた頃に何かの雑誌で新作として紹介されていて、曲を聴く機会はないもののタイトルでいろいろ想像していたのが懐かしい。ABC Classics 00028948149735
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  21. * ジャジーで軽妙な、調性音楽の枠組みに則るようでいながらカジュアルにそこから踏み外していく、第3番はポーランド民謡をはっきり前面に出しつつサロン風の小気味よさ。5番は雄弁にモダンの素振りをしつつ、枠線をいっぱいまで引っ張って異郷の想いを忍び込ませる。ショスタコ的パロディ感がカジュアルを装った衣で包まれているようでもあり、演奏会映えしそうな佳曲。 DUX1286
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  22. * 寂寞とした氷原にぽつぽつと現れる極地の動物のような小さな音塊。ずっと飽きずに何かを確かめる仕草のような反復。何も起こらず当たり前のように一日が暮れていく。ストレイクのパピロスンは、氷のほうが時々軋むような、しかしほとんど静寂。メラン「速度を落としていくエチュード」は女声が入り少し景色が見える。バウクのミサントローピIIIbはかすかに動く氷の表面がときどきパキッと割れる。LAWO Classics LWC1115
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  23. * ベルリンに住む異なる文化伝統の音楽家たちの出会いによる拮抗を“地震計”で記録するようにして音風景を描くという。エキゾチックな要素のごった煮を、予定調和的に整理せずに、自然発酵させたというところか。まずまず面白いが、それでこれからどうするというのもある。Dreyer Gaido DGCD21104
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  24. * オーケストラというより、任意の数のソロが図形楽譜で書かれた好きなパートを好きなように演奏してよいというもので、いろんな音があちこちから適当に鳴り響いてくる、いうなればお化け屋敷あるいはカリブの海賊みたいな。併録クリスティアン・ウォルフの「レジスタンス」は今年初演されたばかりの委嘱作で、ケージの記法を援用したやはり偶然性の音楽。Huddersfield HCR16CD
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  25. * 60年代初に書かれた、当時の前衛に強く影響された曲だが、作曲者が50年後に振り返って「明らかにト長調だった」と述べているのが興味深い。ほか12のエチュード、夜の小品といった60年代作品からバラードなど2000年代まで、CD3枚分のピアノ作品集。Naxos 8.559832-34
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  26. * すこしウェーベルン的な響きの断片が並べられるPiano Pieceと題する作品が1960年代と2000年代にいくつも書かれていて、共通する要素を持ちながらもいろいろ変化する。システム派というのだろうか。ほかアパートメント・ハウスの面々が奏する室内楽作品など。Huddersfield HCR15CD
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  27. * 冒頭と再現部?頭にかなり密度が高く騒がしいところもあるが、そこを乗り切るとClとVcの独奏を中心にした静謐な響きの世界で、「…振動が残る…」という副題のような余韻を残して消えて行く。併録「振動から」はその原型とも言えるCl+Vcのデュオ。「母音韻」はBCl+Vcにピアノが加わり、「…しかし残像がまだ…」はピアノ独奏。aeon AECD1754
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  28. * マネッセ写本のミンネザングを集めた1枚。タンホイザーの歌も2曲ある。管楽器が入ってやや大仰なところもあるが、宮廷だとこれくらいはあったのかも。Christophorus CHE0138-2
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