music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2018-01
-
メレディス・モンク:
リミナル
(スニッフェン+モンク+ヒラシュほか)
素朴な、しかし微妙に崩れた伴奏の上に、ぽつりぽつりと灯いては消える声。併録「ラスト・ソング」はバラード風で大きな跳躍を含む表現力の高い声。「特別な踊り」は小さな祝祭のようでもあり。ECM Records
00028947663911
()
-
ヘレナ・トゥルヴェ:
滴もなく雨もない…
(シレジアン弦楽四重奏団)
冷たく鋭角な怪鳥の鳴き声のような高音が連なり、旋律のようなものも垣間見えるがすぐにどこかに行ってしまい、グリッサンドを交えてうねりながら中低音域に降りてくる。スペクトル楽派っぽいというのか?併録「線」はSopを加えて、少し(エストニアの?)民族音楽的な要素も感じられる。ECM Records
00028947663898
()
-
アルヴィン・ルシエ:
壊れた線
(トリオ・ネクサス)
四分音、長二度、短三度という間隔でゆっくり繰り返されるFlのグリッサンドにPfとVibが縁取りをしていく、奇妙なゆりかご。併録「カーボン・コピー」は水が滴るようなノイズにときおり弦楽器が合いの手を入れるが結局事件は起こらない。「ピュア・ウェーブ~」は淡々と反復される太鼓の響き、「リゾナンツァ」は延々と続く電気的なE音に別の電子音が反響して神経を逆なでする。Mode Records
MOD-CD-281
()
-
ラッヘンマン:
…2つの感情…
(ラブマン+アンサンブル・シグナル)
レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を断片的に読み上げながら、Vc(Cb?)がテイルピースの近くを擦ったり、チューバがすごい音で吠えたりと、例によって特殊奏法のオンパレード。併録の「プレッション」はこの強烈なVcの独奏で静寂から異常な鋸音まで、「グエロ」は自身のPfだけど内部奏法のみ?「ヴァイゲンムジーク」が普通の曲に聴こえる。あと「子供の遊び」。Mode Records
MOD-CD-252
()
-
周文中(チョウ・ウェンチュン):
弦楽四重奏曲第1,2番
(ブレンターノ弦楽四重奏団)
第1番は「雲」、第2番は「流れ」という副題を持つ。なかなか深みのある響きで構造的にも面白いが、墨絵のような渋さ。併録「薄明の色」は管楽器が加わり、巧みなブレンドでいい感じの色彩が生み出されている。Mode Records
MOD-CD-235
()
-
ローランド・ダヒンデン:
弦楽四重奏曲第2~5番
(クラングフォルム・ウィーン)
極端なコル・レーニョ(ミュート付き?)のみで、氷の上を曳きずるような冷たくハスキーな和音がゆっくり連ねられる。珍しい響き。それぞれ視覚芸術家から受けたインスピレーションに基づくらしい。Mode Records
MOD-CD-175
()
-
ベリオ:
セクエンツァIV
(高橋アキ)
4枚組の全曲盤。ほかVIのVa、VIIIのVn、XIVa(と編曲のVIb)のVcがそれぞれアルディッティSQの新旧メンバーで、内容も演奏も面白い。XIVは没後にCbに編曲され同bとして、女声のIIIはMSのカッターで、これらも充実。管楽器の曲は、全曲で並べるとちょっとあれかなと思うのは、まぁ好みの問題か。Mode Records
MOD-CD-161
()
-
ベント・セアンセン:
貴婦人とヒバリ
(チカーダ・アンサンブル)
霞のような弦の音から餌をつつくようなウッドブロックの響きまで、短くも繊細で雄弁な5つの断章。併録「鳥と鐘」「ヴェネタの鐘」ではトロンボーンが超絶技巧とミュートの開閉を駆使して跳ね回る。「さびれた教会の庭」では各楽器が水面を漂ったりきらめいたり鐘に耳を澄ませたり。ECM Records
00028946513521改め00028948173587
()
-
アルフレート・ツィンマーリン:
弦楽四重奏曲第2番
(カルミナ四重奏団)
ピチカートの柱の間を縫う細い紐のようだった音は次第に束になり躍動し始めるが、ピチカートは隙きを見ては降り注ぎ、最後は断片的な旋律のようにも。第1番はグリッサンドを巧みに織り交ぜながら各声部が能動的に攻めていくが、突然音も動きも極端に少なくなって胴を叩いたり擦ったりする音、そしてハーモニクスのピチカートが(電子的に?)強調される。「エウリディーチェは歌う」はOb+Vc+Pf+Sopでラファエル・ウアヴァイダーの詩を。いずれも面白い。ECM Records
00028947632610
()
-
イェルク・ヴィトマン:
5つの断章
(ヴィトマン+ホリガー)
まばらにしか音がない楽章から広い音域を忙しく駆け回るパッセージまで、クラリネット奏者としての表現技術を注ぎ込んだ密度の濃い短編集。併録「エレジー」は精緻に書かれたオーケストラとの協奏曲。ミサ曲は歌なしで、管弦楽が独唱と合唱の役割を担うというものらしい。繊細なところも不必要に煩いところもあるが、これでキリエとかグローリアと言われてもね。ECM Records
00028947633099
()
-
アラン・バンキャール:
迷宮の書
(アルトー+ロビンソン+ガロワ他)
Cl+Fg+Va d'amore+Vc、5本のVcとバス、四分音調律のPfとEns、さらに十六分音調律のPfが加わるEns、電子音と4人の独唱、女声の語りにCl+Vcという6つの楽章。編成だけでも異様だが、うねうねくねくねした奇怪な音や壊れそうな微分音が飛び交うサイケな空間は、廃墟となった後の未来の世界か。Mode Records
MOD-CD-120
()
-
ブーレーズ:
レポン
(アンサンブル・アンテルコンタンポラン+ゲルツォ+ブーレーズ)
CD11枚の作品全集ということで、ほぼ年代順に並べられ、途中で何やってんだろなぁという曲もあるが、ここに来て見通しが良くなる。電子音も妙なノイズではなくPfやVibと並ぶひとつの楽器として普通に参加し、音の幅を広げている。CD2枚分のインタビュー付き。さらに250ページに及ぶブックレットあり。DG
00600753425121
()
-
ペロタン:
地の果てまですべての人は見た
(ヒリヤード・アンサンブル)
最古の四声曲だそうだが、定旋律Tenの上で三声が波打つようにして不協和音を交えながら進む凝った進行で、むしろ斬新。テキストは詩篇98などからとられている。併録はネウマ譜がWikipmediaにある「アレルヤ、マリアの誕生」など。ペロティヌスとも。ECM Records
00042283775121
()
-
ペーター・ルジツカ:
弦楽四重奏曲第3番
(アルディッティ弦楽四重奏団)
「消失の彼方へ」と題されて、微かな音が徐々に広がり中間部では跳ねたり飛んだりするのだけれどまた消えてしまう。最後にマーラー9番の終結部が引用されて、印象がほとんどこれに引っ張られる。併録第1番ではベートーベン、第2番ではマーラー10番と、前衛の鋭さの中にはっきりした引用を含めたりして過去と現在を結ぶというか。第4番ではヴァレリーやアドルノの朗読も。ECM Records
00028946513927
()
-
ベルント・アロイス・ツィンマーマン:
ユビュ王の晩餐のための音楽
(ヒルシュ+ケルンWDR響)
さまざまな曲のコラージュだけで精密に構成された7つの楽章は、愉快さと皮肉が併存するパロディであり、シュトックハウゼンのピアノ曲IXの破滅的な和音連打に「断頭台への行進」「ディエス・イレ」「ワルキューレの騎行」が重ねられる終楽章は暗い警告でもある(初演50周年だそうだ)。そうして聴くと、酷評されたという「1楽章の交響曲」の原典版の大仰な表現も、同じことなのだと分かる。Wergo
WER7340-2
()
-
エリッキ=スヴェン・トゥール:
結晶化
(カリュステ+タリン室内管)
もやもやと漂っているものが結晶のような形に集まりはじめ、冷たい塊が熱を帯びてきたかと思うとそれは見当違いの方向に崩れていく。もう一つできた結晶は、今度は不安定ながらも持ちこたえつつ溶けていく。併録アーキテクトニクスVIほか、弦楽アンサンブルの使い方が際立つ。ECM Records
00028944945928
()
-
ペトル・エベン:
ピアノ五重奏曲
(コシャーレク+マルティヌー四重奏団)
厳しく鋭角的な第1楽章(ジグザグ音型は後でも出てくる)、静謐なピチカートの第2楽章、ジグザグ音型を軸に弦とピアノが役割を入れ替えながら対話する第3楽章、終楽章ではピアノで静かに再現される2楽章の主題が次第にダイナミックなリズムの音楽に成長する。たぶん主題の底には民謡があるのだろう。併録ピアノ三重奏曲、弦楽四重奏曲ともに密度高く隙のない作り。Supraphon
SU4232-2
()
-
モートン・フェルドマン:
オーケストラ
(ルンデル+ケルンWDR響)
減衰する長い音符による和音や旋律的なものの断片が積み重ねられる。併録の「基本的な手順」「お定まりの研究」とともにベケット三部作(委嘱されていたオペラのための素材による)を構成するという。基本的な~は声あり、お定まり~は室内楽編成。Wergo
WER7325-2
()
-
メレディス・モンク:
マーシー
(モンク+ホーレンベック+スニッフィン他)
アン・ハミルトンのインスタレーションとのコラボとして作曲されたものをもとに改作し、ホーレンベックらによるLine 1~3を加えた構成で、6人の歌詞なしボーカルとピアノ、Clほかのアンサンブルによる。音楽的にはミニマリズムっぽいが、声の雄弁な表現がとことん豊か(トラックリストにはオペラとあるが、何か舞台があるはずというつもり?)。ECM Records
00028947246824
()
-
クルターグ:
小オフィチウム
(ケラー四重奏団)
ハンガリーの作曲家セルヴァンスキの追悼に書かれた弦楽四重奏曲。15の短い楽章はどれも切り詰められた最小の簡素な音から生まれる深い情感の結晶で、少し激しい楽章のあと最後はふっと消えてなくなるように終わる。併録「ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ」はその約10年前に書かれた12楽章のSQ。やはり無駄なく高密度だがより振幅が大きい。2Vn+2Vc+Celのリガトゥーラが2バージョン。ECM Records
00028945325828
()
-
ラッヘンマン:
境界上のゆらぎ
(エトヴェシュ+アンサンブル・モデルン)
特集奏法のみの楽器に鉄板を叩いたり振り回したりするノイズも交えて、禅問答のよう、と先日と同じところに。これが70年代で、80年代の「運動」はより音の組み合わせが緻密に、90年代の「2つの感覚」は二人の語り(というか打楽器的な声)も加わっての丁々発止。ECM Records
00028946194928
()