music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2018-03
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ケージ:
讃歌と変奏曲
(タマシュ・ヴェート+アルス・ノーヴァ)
ウィリアム・ビリングスのテキストを、間引きされた途切れ途切れの和音で歌う。暗闇の中でぽつんぽつんと明かりが点いては消えるような、静かな美しさ。「4の2」「ファイブ」は長い音を重ねていくア・カペラ。「居間の音楽」は家具でも叩いているような打楽器楽章に言葉遊びっぽい声のカルテットが挿入される。Mode Records
MOD-CD-71
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サーリアホ:
夢の手引き
(ジェイムズ・ウッド+シャン・ダクション)
ソプラノとコントラの独唱にFl×2、Va、Vc、Hrpという編成。ポール・エリュアールのテキストのコラージュを半分語るようにして歌う女声を軸に、各楽器がからみつく。迷い込んだ森の中で蔓がくねくねと道を指し示しているような。併録「ソラル」は打楽器も含む12人の編成で、一つの不安な和音の周りに音が構築される。「火山灰」はAFl+Vc+Pf、「新しい門」はFl+Va+Hrp。Mode Records
MOD-CD-91
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カルミナ・ブラーナ
(ベッティーナ・ホフマン+モード・アンティクォ)
ベネディクトボイエルンの写本から27曲のほか、十字軍の音楽などCD6枚分の充実した内容。1998年頃の録音なので、演奏様式はおなじみのもので今となってはあまり新鮮味はないが、生き生きしていることは確か。Brilliant
BC9288
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アルベルト・ポサダス:
3つの想像上の絵
(クラングフォルム・ウィーン)
でたらめとすれすれという感じのいろんな音響の羅列だが、ミロの絵のような雰囲気が音になったと思えないこともない。イメージしているのは別の画家らしいが。併録「アナモルフォシス」「解けないものの条約」いずれも攻撃的な音響で、面白さと不快さが背中合わせ。
NEOS11715
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ラッヘンマン:
弦楽三重奏曲
(トリオ・ルシュルシュ)
十二音の要素をトレモロ、スル・ポン、コル・レーニョなど多様な音で組み合わせていくが、特殊奏法というわけではない。有機的で面白い。併録「ゴット・ロスト」はSopの発音/発声がやはり多様な表現を。セリナーデはピアノの不協和な音をペダルで引き伸ばしながら時おり内部双方を交えて水墨画的な音空間を描く。Wergo
WER7367-2
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ブーレーズ:
シュル・アンシーズ
(バレンボイム+ブーレーズ・アンサンブル)
ピアノとハープが3台ずつ、それに打楽器奏者も3人という編成。ハープも優美というよりは力強いものとして扱うそうだ。それぞれが名人芸を要求される3x3のコンチェルタンテで、音は複雑に絡み合うけれども、案外軽やかで聴きやすい。DG
00028948351848
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ヤコブ・テル・フェルトハイス:
弦楽四重奏曲第3番
(オランダ弦楽四重奏団)
ややアンビエント風でもあるが、いろんなグリッサンドが印象的。併録第2番は暗い表情のゆっくりした感情の単一楽章、第1番はディベルティメント的な4楽章構成で、終楽章がその後に続くような瞑想風。Veldhuisはフェルトハウスとも(ヴェルデュイというのもあったがそれはさすがに)。Challenge Classics
CC72138
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ノーノ:
森は若く生命に満ちて
(エリザベス・グラード+ヴォクス・ノヴァ・アンサンブル+キャロル・ロビンソン他)
電子音とClの音響に複数の声が絡み合う。いちおうピレッリのテキストがあるらしいが、大半は不気味な叫びで時に耳を覆いたくなるほど。パフォーマンスと一体になった作品で完成したスコアはないのだという。併録「兄弟はどこに?」はもう少し穏やかな、鐘のような声。Mode Records
MOD-CD-87
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ジョン・ケージ:
4のための音楽
(アルディッティ弦楽四重奏団)
4人が互い違いに鋭い発音で切り込みながらそれぞれ長い音を保持する。中間部では少しジャンプするような様もある。みんな無関係なようでいて、何か寄り添っている。併録は「弦楽四重奏のための30の小品」。こちらは各声部がもっと自由きままになる。いずれも奏者はばらばらに位置して演奏するらしい。これで面白い曲になるのがケージの妙なところ。Mode Records
MOD-CD-17
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ジャチント・シェルシ:
ピアノ・ソナタ第2,4番
(ルイーズ・べセット)
それぞれ1939年、41年に作曲されているが初演は40年以上経ってから。第2番は冒頭かなり過激な音構造でぎょっとするが、静まっていくと神秘的と言うかしっとりした部分もある。第4番は逆に控えめに始まるが、徐々に容赦ない音になっていく。Pfなので微分音とは行かなくても隣接半音が多用されて、常に緊張した響き。しかしいずれも最後は消えて行く。併録の組曲第9番は瞑想的響きが中心。Mode Records
MOD-CD-92
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ヴィトマン:
ビオラ協奏曲
(タメスティ+ハーディング+バイエルン放送響)
オケ内に立つVa独奏が指板やあごあて叩く音から始まる。打楽器、そして徐々に他の楽器が加わってくると独奏はピチカートで。侘しい風が吹く中で低音中心に歌う第2楽章、掠れたやり取りの最後にシャウトする第3楽章、くすんだ色彩で音を刻む第4楽章を経て終楽章は広い音域での歌。併録「24の二重奏」はVn+Vcの原曲をVn+Va/Va+Vcに編曲。最後にシグナム四重奏団によるSQ第3番。ここでもシャウトと言うか掛け声。Harmonia Mundi
HMM902268DI
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ブルーノ・ベッティネッリ:
ピアノ三重奏曲
(トリオ・ベッティネッリ)
ベリオやノーノより10歳ほど上でケージとほぼ同世代。1991年のこの作品は、4楽章構成でそれなりにしっかりした枠組みを持ってはいるが、半音階的(セリー?)で生命力のあるモチーフが各楽器の間で自在に飛び交う。併録のディベルティメント、二人の音楽、叙情的二重奏曲はギターの可能性がいろいろ。さらにVn+Pfの2曲。Naxos
8.573836
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リゲティ:
ピアノのためのエチュード
(内匠慧)
これは難しいだろうなぁ。聴いていても大変そうだが、説明を読むと、音を出さずに鍵盤を押さえた左手をまたいで右手で半音階とか、ポリメトリック+ポリテンポだとか、と思うとジャズのようなものもあり、素材は比較的シンプルなのに挑戦的な技巧に発展していく。うねうねと神経症的なのから、ゆったりと響きの実験のような練習曲まで。演奏はもう一つ切れ味がほしいところ。Sheva Collection
SH183
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スカイ・マックレイ:
たくさんの、たくさんのカデンツ
(スペクトラル四重奏団)
ピタゴラスイッチのような何かにぶつかりながら斜面を転がり落ちるフレーズを、微妙にパターンを変えながら何度も繰り返す。気泡が上昇していくような中間部を経てまた転落パターン。併録レミニックの「祖先のネズミ捕り」、フィッシャー=ロックヘッドの「ハック」もそれぞれ個性的な曲で面白い。ハイドンの「冗談」はこのSQの実力をよく示す。Dorian Sono Luminus
DSL-92198
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