Planet masaka played list 2018-07


  1. * 福音史家を独唱ではなく小合唱が担う。随所に多様な技法が用いられながら全体には堅牢にドラマが展開する。基本は英語だが各曲の最後だけラテン語の合唱があり、コラールのような別の時空が。最後は声無しで管弦楽が「私たちを憐れんでください」と訴えながら消えていく。初演時のライブ。LSO Live LSO0171D
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  2. * Pf+Hp+Vibが鐘のように鳴り続ける中、木管群、弱音器付き金管群、そして弦楽器群がAとC♭という2つの音を中心にした不協和音を淡々と繰り返す。パラメータは少しずつ変化するがひたすら同じ基本にこだわる。いつものように。CPO 999647-2
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  3. * 管弦楽は鮮やかで合唱もよく響いている。グラモフォン誌の評は独唱が人工的だとお気に召さないようだが、全体のバランスからすると悪くないのでは。いろいろ(音の上で)発見できる演奏だと思う。Chandos CHAN9123
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  4. * フランソワ・メイムンによる弦楽四重奏編ということで初めて聴く編曲だが、一つの声部を複数楽器に分割したりピチカートなどの変わった響きを加味したりいろいろ工夫があって面白い。アルデオSQの演奏も、鏡の上を滑るような響きで(時にそれが平板になったりするものの)編曲の持ち味をうまく活かしたなかなかのもの。反復して聴いた。 IBS-112018
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  5. * アソナンス(母音韻)はいろんな楽器による自由な連作で、IIはバス・クラリネットによる独奏曲。BClはオケ曲でもしばしば印象的なソロが与えられるが、この曲はClの繊細さを拡張するような手触り。併録ファーニホウの「時間動作研究I」、シュタウトの「黒い月」、トナトーニの「影I, II」はそこにアグレッシブな要素をそれぞれの濃度で加味する。センドの「瓦礫」は電子音が入ってちょっと異質。Orlando Records OR0031
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  6. * 緻密で、さまざまな表現の訴求力も高い。「3つの断章」のスコアを見ながらも聴いてみた。ルルと合わせて、少しじっくりと取り組みたい。DG 00028942358720
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  7. * シェーファーつながりで聴き始めて、今年はサマーフェスティバルでの演奏もあることだから少し掘り下げてみようと、マラルメ詩集を借りてきたり1、5楽章のスコアを見つけてきたり。楽譜を見ながら第1楽章を追ってみたけど、50段ほどもある巨大PDFで迷子になりそう。これが正確に演奏されているのが驚異だ。DG 00028947134428
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  8. * チェルハ補筆3幕版の1979年初演時の録音(NMLでは曲の名寄せが不完全で最初の検索で見つからなかった)。さまざまな楽器の音が色彩豊かに聞こえるのはさすが。DG 00028946361726
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  9. * チェルハ補筆の3幕版はNMLでは今のところこれだけ(ではなかった)。第3幕はベルク自身が完成させていないとはいえ、オペラとしてはこの幕がないとやはり不十分。演奏は過不足ない表現だと思えるが、この音楽における歌はもっと破天荒で良い気もする。実演だとまた違うのかもしれない。Warner 5099950940059
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  10. * 2台ピアノの作品だけれども一人で多重録音しているのか。疎らな音に混じって不思議な響きが聞こえるのはピアノの弦を釣り糸で擦っているらしい。併録Oneはナンバー・ピースの最初期の作品。ミュージック・ウォークは50年代末の図形楽譜曲でラジオからの声やらいろんな物音やらも混じる。One5は冒頭1分が無音でNML得意のやらかしかそういう演奏なのか、先日ジョストの演奏を聴いたばかりでもよく分からない不思議さ。Mode Records MOD-CD-47
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  11. * 4人の奏者がPf、Vnのほかにレインスティックを持ち、乾いた“雨音”が波のように寄せては引く中で楽器の音がポツポツ、キーンと。ゆったり瞑想の世界。カニンガムの舞踏のために作られた。併録One5はPf独奏、Two6はVn+Pfで、同じく極めて疎な絞り込まれた音ながら、スティックがない分、楽音の幅は広い。Mode Records MOD-CD-44
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  12. * ゆっくりと回転するような不協和な弦の響きに乗せて、絞り出す鋸のような軋みと閃光のような高音のグリッサンドが次々に繰り出されてゆき、回転が高まって最後にパッと消える。併録のSQ「天文学者の死」はその原型のような作品。さらに室内オケの「錆」「壺の中の蛍」フルオケの「水銀」と、いずれも不快で鋭い素材を反復しながら緊密な構成で組み立てられた刺激的な音楽。col legno WWE1CD40417
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  13. * 同じ音程構造、和声といった素材を用いながら全く異なる表現が与えられる対が3つ。それぞれが現代の作曲家へのオマージュとして書かれている。ゆっくりと静かなものからジャズ的なリズムのものまで幅広い。併録の「オイリュトミー練習曲」も静と動が対比される。さらにピーターソン「4つの前奏曲」、ウォーリネン「ハルーン・ピアノ・ブック」、エリック・モー「ハニー・モンキーの踊り」と、現代アメリカの「大渦巻」たるピアノ・アンソロジー。Nimbus NI6360
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  14. * エミリー・コーウィンの、ティーンヴォーグ誌の記事から選んだ単語のみを残して他を消し、単語位置をそのままに配置したという詩を題材に、選ばれた中でも水、涙の印象を表現したと言う。併録はリヨンスの「骨の針」、スティーンベルグの「四風」、ロシア政権への批判詩によるジョリーの「良心の囚人」、いずれも曲もさることながら歌唱が見事(コンテンポラリー・ヴォーカルを間に挟むこともある。NMLでは“コンテポラリー”)。New Focus Recordings FCR203
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  15. * パーカッシブな電子音の隙間をVn+Vcがうねりながらすり抜ける。シンコペーションのリズムや旋律的な要素もいくつかあるが、それらもコラージュされていく。併録はいずれも電子音とFl、Hp、Clなどを組み合わせたもの。セリーっぽい複雑な部分とアンビエント風の響きが混在して、いろいろちょうど具合良い。Ravello Records RR7986
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  16. * ニューヨークの冬景色をイメージしたというピアノ四重奏で、鋭くクレシェンドする抜き身のような弦(吹き付ける寒風?)を各所に散りばめながら、刹那的な楽想が次々繰り出される。Fl+Pf「迷宮の渦」、Vc+Pf「二つの映像」、Va独奏「戸外にて」を併録したサントリー音楽賞受賞記念ライブ。Pf低音部ほかがやや雑に聞こえる気がするのはそのせいか。LiveNotes WWCC-7501
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  17. * 3Fl+Vn+Va+Vc+Glo+Vib+Hpに3Sop独唱という編成で、高音域やハーモニクスが多用されるキラキラした音感と、中音域のもやもや微温的な部分が対比されつつ、三度程度の狭い範囲で揺れる長音と細かな装飾的リズムが各声部で絡み合い、呪詛的な感覚。タイトルはジョン・キーツの詩からで、この一節は第2楽章「讃歌」の末尾で歌われるが、言葉のイメージと異なりとても劇的。willing eyesは訳しにくいが、ジョイスが『ユリシーズ』でも使っていて、丸谷訳は「目をそらさない」。併録も「世界の根源」「夢の水の中で」「描かれた星」など詩的主題をなかなか面白く扱っている。Fuga Libera FUG706
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  18. * Fl+Va+Hpというドビュッシー由来の編成で、何かが始まり各独奏がそれぞれ主張する小さな出来事があってまた元通りにもどるという物語というか。弦のハーモニクスやスルポンの音色をFlと調和させたり、微分音も出てきたり。併録は「弦楽三重奏曲」と「7つの言葉」。Decca 00028948340095
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  19. * Sop+Perc+Tp+Cl+Vn+Vcに琴+アコーディオン+Pf(さらに各人ハーモニカ)という編成で、北米インディアンのテキスト断片を用いた9つのバレエ曲。タイトルはシェイクスピアのソネット第67番の《本物の美があるのになぜ偽物(絵に描いたバラ)を真似るのか》という一節からということで、音自体がそういう主張を鋭く演じてみせる。併録「メッセージ」は同アンサンブル+MS+Br+語りで、さまざまな演劇的声に導かれる音物語。どれも張り詰めて尖った表現。Neuklang Records NCD-4183
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  20. * サルディーニャのカステルサルド会での聖週間礼拝に伝わる、男声4人が肩を寄せ合い密に歌うことで高域倍音から五度の音Quintinaが聞こえる=マリアの顕現=という不思議な現象をメタファとして、密集するSQと電子音で表現するという曲。キメラみたいな何かが超常的な信号を発しながらゆっくり移動するような。併録は室内アンサンブルによる「深淵」「見出されたもの」、アコーディオンの「他のことに煩わされる如く」、いずれも倍音強調などの加工が施される非現実空間「音のフィクション」。Metier MSV28564
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