Planet masaka played list 2019-04


  1. * なんだ、ミニマルか。と思うのだけれど、同じリズムパターンが延々と繰り返されながら、和声は少しずつ変化し、旋律に相当する上声部もさまざまな表情を見せ、時に非和声音も混じる。106の反復可能なパーツから成り、楽器編成も自由。「人生を変えてしまう」かどうかはともかく、ミニマリズムでもこれだけの表現がある。 Tomoko0004
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  2. * 分裂気味のピアノに重ねられる背景音は多重録音かライブエレクトロニクスかシンセサイザーを並べて弾くのか。しかしうまく組み合わされている。田中カレン「テクノ・エチュード」リズミックで技巧的。トゥーク・ニューマン「ビロード」は連続打鍵の上で動いては休み、最後は暴力的な140(?)連打で静まる。野村誠「たまごを持って家出する」は平和に安定しているように見せかけて捻れていく流れに後半は五歳児だか老女だかの人工的な詩が重なる。権代敦彦「ブラック・ミサ」は打楽器や刺激的電子音を重ねながらシーケンサーのようだったりランダムだったり。インスタレーションに囲まれた演奏パフォーマンスだったらしい。 Tomoko0002
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  3. * Iはプリペアド、IIは打楽器を横に置いて叩いたり声を発したりしながらそれに対応するピアノも弾く。グバイドゥーリナのソナタは内部奏法などふんだんに用いながらもリリカルで、最後はジャズっぽい。さらにヴァネッサ・ランのインナー・ピース、ウストヴォリスカヤの第6ソナタとヘビーな破壊音楽、最後はメレディス・モンクのダブル・フィエスタで楽しく口遊みながら。これはこれは。しかも自分のレーベルと来た。Tomoko Mukaiyama Tomoko0001
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  4. * 厳しい名曲だが、合唱の精度が高いといっそう素晴らしい。併録は「春の交響曲」「5つの花の歌」。この数日はちょっと没頭していたのでこればかり繰り返し聴いていた。DG 00028945950921
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  5. * プリペアしたピアノにスルポンやコル・レーニョを駆使するVa、Vcとやはり特殊奏法のClが断片的な冷たいつぶやきを発し、ときに絡まり合うけれどもまたばらばらになる。「エウリディーチェ」はほとんどFl独奏のモノローグながら最後にVn、Va、Vcが遠慮がちに崩れた和声のようなものを加える。「激変II」はチェンバロをバックにローザ・ルクセンブルグの詩の断片とカイロのタハリール広場の旗に書かれていた落書き?を延々と呟くという妙なメッセージ。Stradivarius STR37121
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  6. * ヤンドル、リュームなどの言葉遊び的前衛詩を60近く選び、短い曲を3つのグループにして構成した。ふざけて諧謔的なナンセンス音楽劇でありつつペーソスもあり、どうやら周到に計算されたアバンギャルド。Kairos 0015028KAI
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  7. * 雨が降った時に地面から上がってくる匂いだそうだ。ぽつんと落ちる音に反応して飛び散ったり、単音をいろいろな強度で反復して響きを変化させたり。最後の方でやや荒っぽくなるのはもったいない。併録「4番目の独白」は静かな和音の中で音を立ててペダルを踏むというアクセントが。これも後半うるさいのが残念だが、ピアノの響きがうまく使われる。「月の時」は星、太陽、空の3楽章からなるディベルティメント。「2つの序文」は初期のピアノ協奏曲。Kairos 0015041KAI
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  8. * SQ1番は静かでしっとりした和声的世界と躍動する軽妙な機知の対比。SQ2番は繊細な旋律とガラス細工のようなスケルツォからパーセルへのオマージュとしての深遠なシャコンヌへ。SO3番は模糊とした現素材が成長したり崩れたり、少し引きつった笑顔になったり、そして切ないパッサカリア。3つのディベルティメントは若々しく諧謔味かつロマンのある佳品。さらにパーセル「4声のファンタジア」6~10番も併録。Chandos CHAN20124-25
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  9. * 懐かし気な旋律的要素があるのだけれど、おかしな不協和音が散りばめられるかと思うと変な調性に向かって崩れていったり、歪んだリズムだったり。新しい音楽と肩肘張るわけでもなく、適度に外してくれるこういうのがちょうどリラックスできる今日このごろ。3つのピアノ・ソナタなどを含めたチェコの作曲家のピアノ曲全集。Supraphon SU4259-2
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  10. * 6つの古代文明の音楽素材を土台にした連作の最後で、メソアメリカの発掘された楽器で出せる音に基づく和音だとか中央アメリカの打楽器を用いたと。粗削りの素材や自然倍音を寄せ集めたような無骨さの中に素朴な静謐さが混じる。ヴィンコ・グロボカールの「亡命第2番」は「100の亡命詩」からとったテキストを歌ったり叫んだりするSopに13の楽器が呼応する。ドラジチェヴィッチの「発疹」はホワイトノイズとライブエレクトロニクスを加えた楽器の対比。ニコディイェヴィッチの「ジェズアルド・ダブ」は反重力的にふらふら漂うところに時々硬いものがぶつかるピアノ協奏曲。 NEOS11829
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  11. * ソロ打がさまざまな楽器を操り(何か語ったり)24人の各楽器が荒唐無稽な音を発しながら丁々発止で対話する、というか交錯する。さらに電子楽器はヤマハのKX/TXを博物館から借りて必要とされる微妙な音を出したという。妙なタイトルはクレーの版画を参照していて、1995年の作。ケージの「龍安寺」は独奏Fl+アンサンブルでの演奏。途切れ途切れの偶然性。ファーニホウの「イカロスの墜落のある風景」は超絶技巧の独奏Cl+アンサンブル。題名はブリューゲル由来。これらは1980年代。 NEOS11825
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  12. * 何もないところから擦ったり叩いたりする音がゆっくりと(カノンだそうだ)加わる。Timpの上でマウスピース無しで吹くClを合図に荒々しい管楽器が入り混じるが、切れ目には両端2本の弦だけプリペアしてダンパーを外したピアノが共鳴する残響。そしてハーモニックスやスルポンによる硬質で外殻だけの響き。風奏(たぶん)の上でClが消えていく。2は神秘的な電子音を伴奏に24声のアンサンブルがささやきやハミングで妙なる響きを組み立てていく。繊細で触ると壊れそうな音工芸品。Wergo WER7379-2
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  13. * 単音を繰り返すだけだったり嘆き節だったりするバス独唱にVn+Cbとかツィンバロンとか変わった編成も加味したアンサンブルが呼応する。併録はSop独唱+より色彩的な合奏の「4つのカプリッチョ」、月に憑かれたピエロを思わせる「R.V. トルソワ女史のメッセージ」、ベケットによる「なんと言うか」、合唱も加わるルーマニアの歌「コリンダ・バラー ド」、作品27の2つの協奏曲、ギターに始まる「シュタインの墓」など、歌ものを中心に約40年間の創作をたどった3枚組。独自、多彩、圧巻。ECM Records 00028948128877
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  14. * シチリア民謡の素材を、時に複雑な重音で、またしっとり暖かい旋律として、あるいはバロック風の動きで、多様に奏でるVa独奏に、打楽器が寄り添い、録音された民謡が重なる。併録「ヴォーチ」は、同じ素材をより技巧的に展開し、精緻な管弦楽と協奏する。トゥッティの強奏でもうるさくない。そして実際のシチリア民謡の収録が間に挟まれる。素晴らしく味わい深い。ECM Records 00028946180822
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  15. * 1980年代前半に書かれた8曲(+2つの追加曲)からなる連作で、Pfを含む室内オケの編成。IRCAMの解説で「象形文字のような」とあるごとく謎めいた記号が連なる感じ。間はたっぷり取られているのにラッパ族の強奏とそれに呼応するPfや打が耳障り(好みによる)。それがないIV、VIIIあたりはまぁいいかもだが逆に捉えどころがないともいえる。CPO 777169-2
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  16. * 通常ピアノとプリペアド・ピアノを用いた即興演奏を多重録音。かなり激しい打撃音とグリッサンドで始まり、佗び池に雨が降って波立つようなのとか、猫が忍び歩いているようなのとか、音色が混淆して広がり面白い。シリーズIは通常ピアノのみの多重即興で饒舌。併録ケージの「ソナタとインターリュード」も良いプレパレーションとテンポでまったり寛いで聴ける。ECM Records 00028947282822
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