リシャルト・ラインフォス:
ブロック・ボイス
(アイヴズ・アンサンブル) ダルムシュタット・ヘッセン州立博物館の7部屋にあるヨーゼフ・ボイス作のインスタレーションに触発されたという。第1室はPfを弓擦などしたテープ+2打+2Pf+7弦の不規則な金属的響き、第2室は木管、3Tpも加えた21楽器とコンティヌムによる作り込まれた音楽、第3室は木管、Pfが抜けボイスの講演テープが加わる。第4~7室は2と同じ編成(Cont.なし)で24の展示ケースとオブジェクトを表現というのだが、むしろ通路を歩くと小さな仕掛けが次々飛び出すおもちゃ館のような感じ。Hat Hut Records
888831582687
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近藤譲:
ウィンゼン・ダンス・ステップ
(アンサンブル・ラール・プール・ラール) Fl+Guit+Vibという変な編成で、GとVの重なりが冗長ながら妙な広がりをみせるというか。「二重奏曲」はHp+Guit、「言葉」はFl+Cl+Hp+Pf+打、「水彩」はPf+打、「島の様式」はFl+Cl+Hp+打、「歩く」はFl+Pf、「老人のホケット」はFl+Cl+Hp+Pf+Mrmb、「振子」は打。分節されない音が次々に湧いてつながり、ずれたり重なったり。Hat Hut Records
888831582236
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ユディト・ヴェグマン:
時の息づかい
(ヴェグマン) (部分的な?)プリペアド・ピアノを用いた即興的演奏で、ゆらゆら漂う水面のような通常ピアノ音にいろいろな金属的響きが合いの手として入り混じる、夢幻的な空間。Hat Hut Records
752156020226
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コーネリアス・カーデュー:
論文
(ベイカー+ビオロ+ロンバーグ=ホルム+オルーク+ランジ) テキストによる指示が一切ない193ページの図形楽譜(ただし各ページの下部に何も記入されていない2段の五線がある)という曲なので、どんな音になるのかはまったく演奏次第。ここではCl+ASax+Vc+Pf+Vib+打+電子楽器という編成で、2時間21分かけての実現。2017年のドクメンタ14ではこの楽譜がインスタレーションに使われている。原題はTreatise。Hat Hut Records
888831585497
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ジェイムズ・テニー:
フォームI~IV
(ムジークファブリーク) 同じ音をいくつもの楽器で交互に鳴らすI、ゆっくり低い音域で交互に鳴るII、同一音から分離していくIII、低音域から上昇していくが常にppのIV、それぞれ近しい作曲家の思い出に捧げられている。併録はケージのSeven、フェルドマンの「ナンバーズ」。ヴァレーズの「オクタンドル」とヴォルペの「トランペットと7つの楽器のための小品」はよく似た始まり方。Hat Hut Records
888831614951
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ハウベンシュトック=ラマティ:
インターポレーション
(エベルハルト・ブルム) Fl独奏+テープ(Fl)だが、断片が点線で結ばれる楽譜は題名通り「挿入」して自由な順序で演奏でき、最初と最後に置かれたver1と2では構造が全く異なる。ルイス・デ・パブロの「コンディシオナード」はAFl独奏で、やはり条件によって演奏が異なるのだろう。ver1と2がそれぞれ両端から2番め。ベルント・アロイス・ツィンマーマンの「話す時間、楕円の個」(?)はFl/AFl/BFlを吹き分ける独奏曲。同じ仕掛けでver1と2が内側に。そして真ん中に置かれたトナ・シェルヘンの「In」はもしかしたら「陰」だろうか、仙人風のゆったりした曲で長く伸ばす音がさまざまに変化する。Hat Hut Records
889176569838
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アルトゥール・ルリエ:
シンセシズ
(シュライエルマッハー) スクリャービン風でもあり十二音技法風でもある、ふわふわとなかなか魅惑的な響きの5曲。「大気のかたち」も近い響きで、小節線がなく全休符部分は空白になるという風変わりな楽譜。ほか「2つの詩曲」。併録ニコライ・ロスラヴェッツ「5つの前奏曲」は同時代の悩ましくペーソスが感じられる音空間。アレクサンドル・モソロフの夜想曲、小品、舞曲はよりスクリャービンあたりに近いか、鍵盤を深く押し込む感じ。プロトポポフのピアノ・ソナタ第2番は重心低く圧迫感のある濃密度の音がゆっくり鳴る。Hat Hut Records
889176561375
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コルネリウス・シュヴェア:
ポコ・ア・ポコ・スビト
(フェルス+キーブラー) Vc+Pfがぼそぼそと単音の対話を始め、たまに突然バンと大きな音がするが、全体にはゆっくり静かで題名の通り。「クイントゥスI」は打も加わったアンサンブルだが相変わらず静か。「しかし格子の美しさ」はPfが入ってやや大きな音も鳴るが、基本は断片の対話。「それが私にとって何を意味するか分かるかい」はPf独奏、「踊らない者は動きをあざ笑う」はVn+Va+Vcでギシギシいわせたり胴を叩いたり急に弦を鳴らしたりこれが一番おもしろいかな。Hat Hut Records
889176573842
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ジョン・ケージ:
Two4
(アイヴズ・アンサンブル) VnとPfもしくは笙のために書かれており、ここでは笙を用いて素晴らしく幽玄な世界。Two6はPf+Vnで微分音の短い旋律と静寂。Five2はEHr+2Cl+BCl+Timp、Five5はFl+2Cl+BCl+打でいずれも5分ほどの短い曲。SevenはFl+Cl+Vn+Va+Vc+Pf+打で弦ほかの軋んだ音にPfがポツポツと合いの手、Seven2はBFl+BCl+BTrb+Vc+Cb+打という低音楽器が静かに訴える50分強。(NMLでは音源の順序を変えたのにラベルが元CDのままで2~5の曲名が間違い)Hat Hut Records
889176573880
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ジャチント・シェルシ:
組曲第8番
(マリアンネ・シュレーダー) 副題Bot-Ba。静かな鐘はすぐ葬送行進曲とも思えるような重苦しい響きになり、重心が低く、濃く暗い密集和音によるホモフォニックな音が支配する。テンポが上がり激しくなる部分もあるが、最後まで刺々しい和声の連打。チベット僧の修行と踊りだともいう。併録ピアノ・ソナタ第2番も激しく不協和な連打から始まるが中間楽章や終結部は落ち着いて対比される。第3番は逆に静かに謎めく中で時おり湧き上がる。Hat Hut Records
889176533457
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アール・ブラウン:
ホドグラフI
(ブルム+シュライエルマッハー+ウィリアムズ) Fl+Pf+打が断片的に呼応しあう。ややテンポの速い同ver2、「オクテットI」はテープのコラージュ。これらを両端に置き、「4つのシステム」は1頁4段の図形楽譜でフォリオのひとつらしい。ケージ「作曲された即興」のスネアドラム版と「変奏曲II」は11枚の透明な図形楽譜を重ね、ここではFl+打。クリスティアン・ヴォルフ「Pairs」もたぶん図形楽譜でFl+Pfのver1と+打のver2、さらにフェルドマン「デンマークの王」は打、「インターセクションIII」はPfで3段の升目に数字記号を記入した図形楽譜。Hat Hut Records
889176561153
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ジャチント・シェルシ:
オカナゴン
(ウィッティ+シュミーア+シュルコフスキー) Vc+Hp+タムタムという妙な編成で、低い響き+擦りノイズから胴体たたきまで。「マントラム」「夜」はCb独奏、「そして今、あなたの番です」はVc+Cb、「3つの小品」はTrbの超絶技巧、「Wo-Ma」はバス独唱、「マクノンガン」はCb版、Tuba版、声版と、低音楽器にいろんな音を出させる変わった曲の集まり。Hat Hut Records
889176548154
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アール・ブラウン:
フォリオII
(エベルハルト・ブルム+ジャン・ウィリアムズ) Fl+打のデュオで、くるくる回る1991、フラッターの「アンに」、入り組んだ音の1980の3章、ver.1と2があり後者の方がゆったりしている。「エッジ」もFl+打でver.1と2があり、前者はBFlか。息音多用。さらにジョン・ケージ「変奏曲III」もver.1と2があり、前者は打、後者はFl+声。前半がver1でこの順序、後半はver2で逆順に収録されている。Hat Hut Records
889176569678
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ジャチント・シェルシ:
ピアノ組曲第9,10番
(マリアンネ・シュレーダー) 第9番「Ttai」は低音域の静かな動きが大半を占め、瞑想的と言えばそうではあるが。第10番「Ka」は捉えどころのないくにゃっとした動機が静かに呟いたり勢いよく跳ね回ったり。いずれも、よくも悪くも素材のまま。Hat Hut Records
889176173936
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シュテファン・ヴォルペ:
戦いの曲
(ダニエル・セール) かなり分裂気味に音が飛び散る主題を中心にした7楽章。「ピアノのための励まし」という副題を持つ。併録フェルドマンの「廃墟の静寂」はゆっくり静かな和声の移ろいにポツンポツンと雫が落ちる。ヴァルター・ツィンマーマン「砂漠の逍遥」は比較的シンプルな動きをオクターブ跳躍の反復がずっと支配する(なぜ「隠居」と訳されるのか?)。ダニエル・セール「夜の小品」は節約された音が忘れた頃にやってくるが、ほとんど何も起こらない。Hat Hut Records
888831590927
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