Planet masaka played list 2020-08


  1. * ダルムシュタット・ヘッセン州立博物館の7部屋にあるヨーゼフ・ボイス作のインスタレーションに触発されたという。第1室はPfを弓擦などしたテープ+2打+2Pf+7弦の不規則な金属的響き、第2室は木管、3Tpも加えた21楽器とコンティヌムによる作り込まれた音楽、第3室は木管、Pfが抜けボイスの講演テープが加わる。第4~7室は2と同じ編成(Cont.なし)で24の展示ケースとオブジェクトを表現というのだが、むしろ通路を歩くと小さな仕掛けが次々飛び出すおもちゃ館のような感じ。Hat Hut Records 888831582687
    ()

  2. * Fl+Guit+Vibという変な編成で、GとVの重なりが冗長ながら妙な広がりをみせるというか。「二重奏曲」はHp+Guit、「言葉」はFl+Cl+Hp+Pf+打、「水彩」はPf+打、「島の様式」はFl+Cl+Hp+打、「歩く」はFl+Pf、「老人のホケット」はFl+Cl+Hp+Pf+Mrmb、「振子」は打。分節されない音が次々に湧いてつながり、ずれたり重なったり。Hat Hut Records 888831582236
    ()

  3. * (部分的な?)プリペアド・ピアノを用いた即興的演奏で、ゆらゆら漂う水面のような通常ピアノ音にいろいろな金属的響きが合いの手として入り混じる、夢幻的な空間。Hat Hut Records 752156020226
    ()

  4. * テキストによる指示が一切ない193ページの図形楽譜(ただし各ページの下部に何も記入されていない2段の五線がある)という曲なので、どんな音になるのかはまったく演奏次第。ここではCl+ASax+Vc+Pf+Vib+打+電子楽器という編成で、2時間21分かけての実現。2017年のドクメンタ14ではこの楽譜がインスタレーションに使われている。原題はTreatise。Hat Hut Records 888831585497
    ()

  5. * 同じ音をいくつもの楽器で交互に鳴らすI、ゆっくり低い音域で交互に鳴るII、同一音から分離していくIII、低音域から上昇していくが常にppのIV、それぞれ近しい作曲家の思い出に捧げられている。併録はケージのSeven、フェルドマンの「ナンバーズ」。ヴァレーズの「オクタンドル」とヴォルペの「トランペットと7つの楽器のための小品」はよく似た始まり方。Hat Hut Records 888831614951
    ()

  6. * 色とりどりのモービルが降ってきて流れにぶつかり音になる。リズムパターンがモービルの形だそうで、飛び込んで少し黙考してからポンポンと弾けるように音が生まれ成長する。最後はややしつこい。ネイサン・デイヴィス「胸のきしみ」は高音の刻みからグリッサンドで落ちてきて弾けていたものが塊に。ダニエル・ウォール「グリッチ」は電子音+SQで普通っぽい旋律的背景にさまざまな不合理な音が重なる。トリスタン・ペリッチ「インターフェイス」も電子音+SQ。テッド・ハーン「最も大切に守るもの」はppの中に埋もれていたものが目を覚ましまた眠る。アンドリュー・ノーマン「ザビーナ」もppから生まれまた帰っていくが、より情熱的に。PentaTone PTC5186942
    ()

  7. * Fl独奏+テープ(Fl)だが、断片が点線で結ばれる楽譜は題名通り「挿入」して自由な順序で演奏でき、最初と最後に置かれたver1と2では構造が全く異なる。ルイス・デ・パブロの「コンディシオナード」はAFl独奏で、やはり条件によって演奏が異なるのだろう。ver1と2がそれぞれ両端から2番め。ベルント・アロイス・ツィンマーマンの「話す時間、楕円の個」(?)はFl/AFl/BFlを吹き分ける独奏曲。同じ仕掛けでver1と2が内側に。そして真ん中に置かれたトナ・シェルヘンの「In」はもしかしたら「陰」だろうか、仙人風のゆったりした曲で長く伸ばす音がさまざまに変化する。Hat Hut Records 889176569838
    ()

  8. * スクリャービン風でもあり十二音技法風でもある、ふわふわとなかなか魅惑的な響きの5曲。「大気のかたち」も近い響きで、小節線がなく全休符部分は空白になるという風変わりな楽譜。ほか「2つの詩曲」。併録ニコライ・ロスラヴェッツ「5つの前奏曲」は同時代の悩ましくペーソスが感じられる音空間。アレクサンドル・モソロフの夜想曲、小品、舞曲はよりスクリャービンあたりに近いか、鍵盤を深く押し込む感じ。プロトポポフのピアノ・ソナタ第2番は重心低く圧迫感のある濃密度の音がゆっくり鳴る。Hat Hut Records 889176561375
    ()

  9. * 叫びというか奇声というか、仙人が歌っているというか、独特の表現手段による20曲。Cb、ダブルリードSax、リコーダー、打を伴うものもある。平山+シェルシのコンビが協力して作曲したもので、楽譜に記されず口承でしか伝わっていない(平山しか再現できない)演奏の細部などもあるという。全身が歌になっている感じですね。Wergo WER6686-2
    ()

  10. * Vc+Pfがぼそぼそと単音の対話を始め、たまに突然バンと大きな音がするが、全体にはゆっくり静かで題名の通り。「クイントゥスI」は打も加わったアンサンブルだが相変わらず静か。「しかし格子の美しさ」はPfが入ってやや大きな音も鳴るが、基本は断片の対話。「それが私にとって何を意味するか分かるかい」はPf独奏、「踊らない者は動きをあざ笑う」はVn+Va+Vcでギシギシいわせたり胴を叩いたり急に弦を鳴らしたりこれが一番おもしろいかな。Hat Hut Records 889176573842
    ()

  11. * VnとPfもしくは笙のために書かれており、ここでは笙を用いて素晴らしく幽玄な世界。Two6はPf+Vnで微分音の短い旋律と静寂。Five2はEHr+2Cl+BCl+Timp、Five5はFl+2Cl+BCl+打でいずれも5分ほどの短い曲。SevenはFl+Cl+Vn+Va+Vc+Pf+打で弦ほかの軋んだ音にPfがポツポツと合いの手、Seven2はBFl+BCl+BTrb+Vc+Cb+打という低音楽器が静かに訴える50分強。(NMLでは音源の順序を変えたのにラベルが元CDのままで2~5の曲名が間違い)Hat Hut Records 889176573880
    ()

  12. * 副題Bot-Ba。静かな鐘はすぐ葬送行進曲とも思えるような重苦しい響きになり、重心が低く、濃く暗い密集和音によるホモフォニックな音が支配する。テンポが上がり激しくなる部分もあるが、最後まで刺々しい和声の連打。チベット僧の修行と踊りだともいう。併録ピアノ・ソナタ第2番も激しく不協和な連打から始まるが中間楽章や終結部は落ち着いて対比される。第3番は逆に静かに謎めく中で時おり湧き上がる。Hat Hut Records 889176533457
    ()

  13. * サーミ語の雪にちなむ18単語を合唱が歌い、弦楽オケが答える。風が強かったり道が凍っていたり雪遊びだったり何もない白一色だったり。ラーシュ・ペッテル・ハーゲン「嘆き」は合唱+打+電子楽器で心洗われる瞑想。アルネ・ヌールハイム「オーロラ」は打が増えSATB独唱も加わり、詩篇139番と神曲最終歌をテキストに主を求めてさまよう。久しぶりにこういうのが聴きたかった。 BIS-2431
    ()

  14. * Vn+Va+Vcがスルポンほか奇怪な奏法で間欠的に繰り出すのこぎりのような呻き。ちょっとした怪獣もの。「2つのアルベリ」はASax+打で、倍音を鳴らすこれまた破壊的な吹奏。35分あるが最後まで聴くのはかなり苦痛。これもある種の表現ではある。Kairos 9120040732257
    ()

  15. * チャウサーのテキストを軟体動物のようにささやく声の背景でVnがギシギシした低音を延々と奏で、最後の1/5ほどで浮上する。「アポストロフィ1」はppppppと指定された2本のBClがモゴモゴと幽玄に蠢く。「透視写真での姿勢」は3つのトイピアノを操って脆くも情熱的な線香花火的。「クラッチ」は100音ちょうどで書かれたVn独奏(短いが一番ダイナミックレンジが広い)、「ハイフン」はクロタルを鳴らしては長い余白。いやどの曲も長い間がある。Kairos 0015069KAI
    ()

  16. * 音高場(pitch-field)という考え方で、短7度↘短6度↗短7度↘のように移項していく形を軸に据えるのだという。これが第1部の厳しい音楽にも第5部の柔らかで瞑想的な調べにもなる。「ソナタ:反対に」はVa独奏で、7度重音を多用する正攻法、静謐な微分音、ピチカート、深い歌、そしてまた静謐、重音正攻法。シリアスな音作りに正面から取り組んだ力作。Kairos 0015067KAI
    ()

  17. * Fl+Pf+打が断片的に呼応しあう。ややテンポの速い同ver2、「オクテットI」はテープのコラージュ。これらを両端に置き、「4つのシステム」は1頁4段の図形楽譜でフォリオのひとつらしい。ケージ「作曲された即興」のスネアドラム版と「変奏曲II」は11枚の透明な図形楽譜を重ね、ここではFl+打。クリスティアン・ヴォルフ「Pairs」もたぶん図形楽譜でFl+Pfのver1と+打のver2、さらにフェルドマン「デンマークの王」は打、「インターセクションIII」はPfで3段の升目に数字記号を記入した図形楽譜。Hat Hut Records 889176561153
    ()

  18. * イェイツの詩に触発された、Modalysで生成した電子音との協奏曲で、タワースピーカーを独奏者の位置に置くという。マーリン・ボング「軽率な反乱の破片」はこのドナウエッシンゲン音楽祭2018のオケ作曲賞作品。ノイズ的さまざまな奏法にタイプライターや歌などが組み合わされる。アガタ・ズベル「室内ピアノ協奏曲」はジャズ風要素も含むごった煮、イヴァン・フェデーレ「エア・オン・エア」はバセットホルンが面白い。フランチェスコ・フィリデイ「バラータ第7番」はガラス細工のような作りに時々素朴野蛮な要素が闖入。ほかミレラ・イヴィチェヴィッチ「ケース・ホワイト」そしてヘルマン・マイヤー。 NEOS11914-15
    ()

  19. * 曲の副題から名前をとったという演奏団体による。A-H-Dis-Eという和音が分解されて4音動機ともなって展開される単一楽章。ヤナーチェクぽい感じも。1980年作。ペンデレツキのSQ3番「書かれなかった日記のページ」はG-B-Gの三拍子モチーフが何度も登場し、2008年作ながら暗くメッセージ。スタニスラフ・モニューシュコのSQ1番は1906年の出版で、第3楽章にショパンのヘ短調協奏曲終楽章と同じ動機が使われるなど、そういう時代の音楽。 DUX1586
    ()

  20. * ピアノ四重奏と思いきやVn奏者の一人は実はダンサーだという、軽やかに遊び心溢れ、緩急自在。「メ・デュー・サ」は電子音と蛇のような装置を頭につけたSop(声がさまざまに加工される)。「エコーとナルキッソス」はSop+Alt+Cl+Vc+打+電子、「メッセンジャー」はアップライトのプリペアドピアノから伸びるコードを体に結びつけ、「あなたの最適な選択」はVn+Va+Cl+Pfに電子音。どれも風変わりな音を並べ、音以外の要素も加勢して面白い時間をつくりだす。Wergo WER6432-2
    ()

  21. * 2台のピアノの音が電子変調されたり滲んだりしながら、時に打楽器や声も加わる。さすが聞き飽きない。TMD Records 8718011594730
    ()

  22. * Fl属+Pf/Cel+鍵盤打が、C-G-A♭-E♭という動機から少しずつ形を変えて、反復すること4時間半。聴く方はながらでも何とかなるが、これをまともに演奏するのは苦行だろうな。Hat Hut Records 889176544217
    ()

  23. * Vc+Hp+タムタムという妙な編成で、低い響き+擦りノイズから胴体たたきまで。「マントラム」「夜」はCb独奏、「そして今、あなたの番です」はVc+Cb、「3つの小品」はTrbの超絶技巧、「Wo-Ma」はバス独唱、「マクノンガン」はCb版、Tuba版、声版と、低音楽器にいろんな音を出させる変わった曲の集まり。Hat Hut Records 889176548154
    ()

  24. * Fl+打のデュオで、くるくる回る1991、フラッターの「アンに」、入り組んだ音の1980の3章、ver.1と2があり後者の方がゆったりしている。「エッジ」もFl+打でver.1と2があり、前者はBFlか。息音多用。さらにジョン・ケージ「変奏曲III」もver.1と2があり、前者は打、後者はFl+声。前半がver1でこの順序、後半はver2で逆順に収録されている。Hat Hut Records 889176569678
    ()

  25. * 第9番「Ttai」は低音域の静かな動きが大半を占め、瞑想的と言えばそうではあるが。第10番「Ka」は捉えどころのないくにゃっとした動機が静かに呟いたり勢いよく跳ね回ったり。いずれも、よくも悪くも素材のまま。Hat Hut Records 889176173936
    ()

  26. * ニュス、ホプキンス、アンドレーエフの詩を用いた3部1時間強の大作で、Vn+Va+Vc+Cl+Fl+Ob+打にシンセサイザーを加えて、軽妙洒脱で多彩な音が飛び交う中に、少人数声楽が少し気怠く香り高く加わる。さらに「光には我々を運ぶ腕がない」はPf+打のセンス溢れる対話、「カッサシオン」「レーブス」はアンサンブルが増え、「5つの歌」はSopが入るシャンソン、ほか見事に充実した2枚組。NoMadMusic NMM052D
    ()

  27. * Sop+グラス類+室内オケで、声は木管高音と入り混じって鳥の鳴き声のように魔法の森をめぐる。ヤン・マッティン・スモルダール「(ハード)スタディ」はPf入室内オケで、音が徐々に溶けて崩れていくかと思えば不条理な和音の反復、そして変なのがポッと現れ数歩進んで消えていく。デュロ・ジヴコヴィチ「心を護ることについて」邪悪なものから心を守るという宗教的表現を、けたたましい啓示のあとでさまよって何かそれらしいものに至る。ヤン・エリク・ミカルセン「狩人」何かのコラールが演奏されようとしながら完全に破綻する。LAWO Classics 7090020181998
    ()

  28. * かなり分裂気味に音が飛び散る主題を中心にした7楽章。「ピアノのための励まし」という副題を持つ。併録フェルドマンの「廃墟の静寂」はゆっくり静かな和声の移ろいにポツンポツンと雫が落ちる。ヴァルター・ツィンマーマン「砂漠の逍遥」は比較的シンプルな動きをオクターブ跳躍の反復がずっと支配する(なぜ「隠居」と訳されるのか?)。ダニエル・セール「夜の小品」は節約された音が忘れた頃にやってくるが、ほとんど何も起こらない。Hat Hut Records 888831590927
    ()

  29. * 核となる「星」を中心に動くFl、Vc+Pf音の単線が受け継がれてつながっていく。複数の線が同時に鳴ることは稀で、一種の音の一筆書き。「メイズリーさん」はSop+Pfの伝承バラード、「ヘイワースからの手紙」はMS+Cl+Vc+PfでC.ブロンテのテキスト。「上向く流れ」は絶えず音が湧いてくる木管五重奏、「洞窟の口から」はSop+Vn+Clが近接した音で絡み合う。「嘆き」はOb+Cl+Fgで限られた動きの組み合わせ。どれも禁欲的で修行僧っぽい。Metier MSV28588
    ()

  30. * ベケットの『マロウンは死ぬ』に触発され、またタイトルをその詩「ゆく道は砂の流れ」から取ったそうで、精妙なつくりの音群が揺れ動く。「シャガールへのオマージュ」はピアノ三重奏曲、「時間の層」はピアノ四重奏曲。「エレジー」は詩人エドワード・トーマスの墓参りから生まれたVc独奏曲。驚くような斬新さはないかも知れないが、けっこう納得感のある職人的音作りかと。Metier MSV28591
    ()

  31. * ボリス・ヴィアンの「黒猫のブルース他短編集」の作品に基づく、独奏Vcとライブエレクトロニクスあるいはテープによる10曲。楽器に加えて声を用いる曲もある。単純な技法を崩したものから特殊奏法のみのギークな表現まで、それぞれのテキストの印象に応じたということだろう、自由な音楽ではあるがエコーがちょっと安易なのは惜しい。Metier MSV28594
    ()

  32. * グリム童話を題材にしたバレエ音楽からの8章。魔法やドワルフといった素材がそれらしく。「キャッツ・アイ」は8人の奏者が左右のPf、HPの周りに並び、初演時はfantascopeなる幻灯機のような装置で幻想的映像を投影したという。これも舞台音楽と言っておかしくない。「4月\3月」は時間が逆行するということだそうだが、まぁそんな謎掛け遊びっぽい音楽。最後の「間に」はなぜかライナーノートにない(元CDに含まれない)HP独奏曲。 NMCD251
    ()

  33. * Vn+Vaのデュオで、鋭く厳しい音が湧き上がって空間を所狭しと跳ね回り、ぶつかって消えてはまた現れる。クララ・イアンノッタ「リムン」もフラジオ、スルポン、グリッサンドの無重力空間だが、譜めくり担当の2人がハーモニカで加わるという仕掛けも。デイヴィッド・バード「ベジェ」は音を無造作に投げ出すかと思えば波のようなアルペジオあり掠れるフラジオあり。同「アポクリファ」は電子音も加え、宇宙空間で未知の物体が接近し何かが起こるような、と思ったら「惑星ソラリス」に触発されたという。New Focus Recordings FCR233
    ()

  34. * メロディの中の風景、逆に風景からメロディへの写像、そしてそれらの総合という3楽章だそうだが、単純で舌足らずな舞曲未満が変な音程で奏でられ連なっていく、アナーキーな世界。「10のフランケン舞曲」はフラジオのみのSQ、「25のケルヴァ旋律」は調子外れの2Cl、「20の姿=舞」は2Cl+Tp+2Vn+Cb、「地球=水=空気=音」はプリペアドPf+Tb+グラスという具合の3枚組。無から湧いてくるのではなく、田舎の鼻歌のような材料を解体・変形し、そのまま「地元の音楽」のふりをしてみせる。Mode Records MOD-CD-307
    ()

  35. * Pfを中央に6人の打奏者を配置して対話する3楽章。上昇する動機を中心に軽妙にやり取りするかと思えばヘビーなジャズ風のセッションも。併録「星座」は9つの星座を題材にし、神秘的だったりコミカルだったり。 INNOVA031
    ()

  36. * Sop+Fl+Vcで、禅寺的にときどき凝縮された音が鳴り、囁きや叫び声が入る。「トリオ・フルイド」はCl+Va+打で、Mrmb中心に比較的密な構造からClが前面にでてより模糊とした空間へ。弦楽三重奏曲は緻密に計算された気まま。Naive MO782023
    ()

  37. * 四分音アコーディオンと各奏者1の室内オケが、手裏剣のように走り抜ける音というかノイズを次々に繰り出す。「ペドラ・デブリス」は室内オケのみでより間欠的・瞬間的。SQ第2番はアルディッティが登場。「批判II」はプリペアドVnだそうで音ならぬ軋んだ苦悶、「ゲシーベ」は同Va+Tenリコーダー、「llif」はBFl+BCl+Vc+Pf+打でシンバルを弓で擦ったりPFの弦を引っ掻いたり、もう何でもありのアバンギャルド。いやはやKairos 0015060KAI
    ()

  38. * 自ら開発したハイパーバスフルートなるとてつもない楽器とテープを組み合わせて、6つの氷河を描く。CFg並の大きさで、出てくる音は低速回転再生したような唸りに似た超重低音。そこに息音や唸り声?などが重なって、吹きすさぶブリザードのよう。よく注意するとキーを動かしてモゴモゴしている音も聞こえる。col legno WWE1CD20254
    ()

  39. * クロマティックは色であると同時に半音階でもあり、短二度↘三度↗短二度↘という形のVc原音形がさまざまに姿を変えながら80分にわたって繰り返される。とはいえ単なる反復ではなく、微分音あり、Pf中心のリズムパターンあり。例によってだが、原音形が妙な動きを持つだけに、その遷移は聞き飽きない。Wergo WER7382-2
    ()

  40. * 微分音調弦したチェンバロとグリッサンドやフラジオレット全開のSQが生み出す危険な世界。ベント・セーアンセンの弦楽四重奏第3番「天使の音楽」も音が矢のように飛び交う空中戦。リンドベルイ「クラリネット五重奏曲」は積極的に音をつぎ込む高密度から徐々に軽みが。サーリアホ「秘密の花園III」は電子音とSQが醸す氷上を流れる冷たい空気。これは充実している。ちなみにNMLはティエンスーをサーリアホと誤記 Montaigne MO782033
    ()

  41. * ウェーベルン風の響きにグリッサンド多用。独奏曲はFlの「スケッチ」、Va「3つの楽章」、Cb「オーシャン」とそれぞれなかなか面白い。重奏はFl+Pf「モザイク」、Fl+Vn「二重奏曲」、2Vn「デュオ」、Guit+Mndl「二重奏曲」、2Guit「海が岸と出会うところ」、さらに木管五重奏曲、弦楽四重奏曲と、どれも短いので、ぼんやりしているとすぐ終わってしまう。SQの微妙なのは微分音なのか音程が外れただけか不明。 ClaudioCC4325-2
    ()

  42. * 残響13秒というオスロのヴィーゲラン美術館で歌うプロジェクトのために書かれたシリーズで、当然ながらゆっくり間をたっぷり間とった音楽。少し音を変えるだけで残響と重なって不協和音が生まれ、その効果はこの曲の3声でちょうどよいところ。「TRY」は5声だがポリフォニーは無理で声部も和音の範囲内でないと動きにくそう。ただ厚みは見事。「雲と雲の間に」は3声ながらポルタメントも導入。「音の墓所」は4Vcが加わり人声と合わせた倍音の響きは他では聞けないもの。音をぶつけ発声法も変えているらしき部分は、2声の「反響と影」にも通じ、こちらは互いの自由度を生かしての試み。2L 2L155SABD
    ()

  43. * ピタゴラス音律で調弦したというEギターによる、壊れそうなアルペジオもどきが延々と繰り返されるミニマル音楽。第1部では電子的効果音が重なり、第2部ではギターはいったん退いてFlが単調なドローンの反復やヒャラヒャラした装飾を重ねる。併録「ホワイトチャペル・ブラス変奏曲」は音以前の音でヒャラヒャラやドローンを奏するTpが多重化される。まぁこれはこれで。Foom Music 0700461734161
    ()

  44. * 内部奏法(微分音調弦も?)を含むPfと鳥の声など自然系に至る電子音。Pfも間を生かしながら魅力的だが、電子音がよく調和して効果的。併録も全て作曲者による電子音/楽器を加えており、「夜が明ける時」は+Vnでスキャットのような効果から冷涼な夜明け前の空気。「オルランド断片」はSop+Fl+Cl+EHp+Pfでヘンリーッカ・タヴィのテキストでV.ウルフの小説に触発されたという。「恐怖からの自由」は+Obで、アウンサンスーチーのインタビューを「翻訳」したものという。昨日は不作だったが、これは良い。Ravello Records RR8021
    ()