Planet masaka played list 2020-09


  1. * 二次元のモービル楽譜を縦横斜16通りに読む16声のカノンということで、4~16台のピアノのためにとあるから多重録音か。とりとめない感じの音の反復があちこちから響いてくる。「キャッチ2」は2バージョンが収録され、v1はほとんどが無音でときどき呟くような音、v2はねずみ花火のように断片が飛び散って、全く異なる。「ピアノのために」は叩いたり内部奏法だったり打が加わったり。「テネブレ」は内部奏法と/のテープに少し実音が加わる。「ピアノ・ソナタ」は節約された音が展開するといえばする。「ピアノ小品I」はこれらに比べるとまともに聞こえる1965年の作品。Hat Hut Records 889176574986
    ()

  2. * Sop、Barそして両者が素朴な民俗風に歌いかけ室内アンサンブルが応じる。「三重奏曲第1番」はFl+Cl+Vcがくるくる回り、「トラマドール・クリアンノ」はPfがジャズ風に。「マラプロ」はVn+Pfが執拗なパターン、「クアマクッチ」はFl+Cb+Pfがくねりながら、「縁」はBar+Pfが呼応する。「レブルアラ」はSop+Bar+打としてのPf、それに電子音で合成された合唱などが加わり、のびのびと開放された音。面白い。 NEOS12016
    ()

  3. * バージョン5/8は1970大阪万博の委嘱作品だそうで、電子音+Fl+Va+Trbで、たしかに当時の前衛という感じの音作り。バージョン1/8も併録されている。さらに「変化の過程」「ナイト・トラック」はラジオを通したような無機質な人の語りに電子音が重ねられる。 NEOS12012
    ()

  4. * ジャズの即興にクラシカルのもじりや前衛もどきがまぶされる。トム・ジョンソンの「タンゴ」は単純な繰り返しの遊び。ニコラウス・リヒター・デ・ヴロエ「ガブロ」は躓くようなリズムでひよこが戯れるか。スヴェン=アーケ・ユーハンソン「平等なものと不平等なもの」は2つの音の単純な繰り返しにノイズが混じる。シュテッフェン・シュライエルマッハー「クラヴィーアとクラヴィエーレ」はPf+テープで細かい音のアルペジオから徐々に破壊的な要素が加わり、最後はテープとプリペアドぽい音の交錯。面白い一枚。Hat Hut Records 888831585534
    ()

  5. * これは三和音の記憶なのか、はたまた三拍子か三角関係か。例によって少しずつ変化していく淡々としたパターンが、メシアンのようにも響く。流しておくのにちょうどよいので、この数日鳴り続けていた。併録の「ピアノ」は疎らな和音がとりとめなく流れる、なんとなくホモフォニックな曲。Hat Hut Records 752156020523
    ()

  6. * 1945年に書かれた、最初期の作品。全部で10分未満の短い曲で、セリエルを学び始めてまだ成熟していないものの、片鱗は伺える。併録はピアノ・ソナタ第1~3番。Hat Hut Records 888831581895
    ()

  7. * Enactmentsの訳としてこれでいいのか分からないが、Pfが3台指揮者付きで、音があちこちに飛び散る複雑な曲。前半は速いパッセージの難技巧、3、4楽章はテンポが落ちてプリペアドも用いたモザイク、終楽章はフーガ的動きという標題のようにモチーフっぽいものが細かく神経質に扱われる。併録「行進曲と変奏曲」は初期のPfデュオ。ほか。Hat Hut Records 888831582021
    ()

  8. * 他にエベールト・ヴァスケス、アーリーン・シエラ、レイ・リャンが加わって、ホルヘ・ボルピの4つのテキストにそれぞれ音楽をつけたSop+Guit+Pf+打の「室内オペラ」。どれも少し民族っぽい要素を取り入れながら各楽器をうまく生かして、小劇場で楽しめる感じ。Bridge Records BCD9473
    ()

  9. * Fl+Vc+Pfのトリオで、各楽器が寄り添ったり自由に羽ばたいたりしながら、ややエキゾチックな香りの世界を構築する。以下Fl+Pfで、シュラミト・ラン「楽園の鳥」は飛び回ったり隠れたり踊ったりする。エイミー・ウィリアムズ「ファースト・ラインズ」は詩から受けた印象を綴る短い15曲、タニア・レオン「アルマ」は風に舞うようにさまざまな表情。ブーランジェ「夜想曲」「春の朝に」は1910年代、そしてなぜかクララ・シューマンの「3つのロマンス」と1853年の曲も。Furious Artisans FACD6826
    ()

  10. * 元は管弦楽曲の4手Pf版で、ジャズ風かと思うと無限軌道のように音が続いていく。フレッド・ラーダール「静かな音楽」は一定の流れでアルペジオが舞い音が紡がれる。アーリン・シエラ「危険と記憶について」は二人の奏者が即興的に対話するような。中間部は強迫的な反復音に支配される。アイヴズ「2台のピアノのための3つの四分音小品」はダリの絵のように音が溶けて流れる。マイケル・ドアティ「ラウンジ・リザーズ」は打2が加わり、作曲者がジャズピアノを弾いていた学生時代を回顧する4つの楽章。スティーヴン・ベックとスーザン・グレイスによるデュオの演奏。Bridge Records BCD9486
    ()

  11. * 1949年の無調作品。動機の一部を休符で置き換えていく"displacement"手法を用いるというがよく分からない。基調は仄暗く雄弁。「無伴奏Vnのための2部の小品」は伸びやかに舞いそして活気づくパントマイムのよう。ほかに習作、デュオなど。Bridge Records BCD9452
    ()

  12. * Vc+Pf+打となっているが、Vcのロングトーンに四分音程度の違いの別の弦が重なり、ポツンとPfの単音、グラスハーモニカのような音、鐘などが加わる。ミニマルな静謐。「スリー・イン・ワン」はBFlとテープに収められたFlが少しずつ音程を変えながら進み最後にふわっと浮き上がる。「シーケンスII」はVc+テープでやはりロングトーンの重なり合い。五度から半音ずれつつ滲みだんだん厚みが増す。Hat Hut Records 889176569357
    ()

  13. * カニンガムの著作と彼がよく言及する書物からとったテキストを材料に、単語を各行に並べて途中の文字を縦に読むというメゾスティックス詩法だそうだが、歌(ボイス・パフォーマンス)は唸りというか奇声というか、なんだかさっぱり分からない。狂気と紙一重の世界。全体で93分のうち1/3程は無音。Hat Hut Records 889176540028
    ()

  14. * カフカの日記や手紙からの断片が、難度の高い跳躍を駆使した節回しで歌われ、民話・神話のように聞こえる。Vnは文字通り伴なって奏され、ギシギシいったり飛び跳ねたり、変幻自在。いいね。Bridge Records BCD9270
    ()

  15. * そんなわけでプーランクの歌曲を探したら、2013年のプーランク没後50周年に出た20枚組という膨大なものに出くわしたので、とりあえずその中からアポリネールの詩によるものを選んで聞いている。歌はアレックス・ロスのおすすめパーカーの他にアメリング(Sop)、スゼー(Bar)、バキエ(Bas)など。フランス語が耳を撫でて通り過ぎていく、ふわりと気だるい時間。Warner 5099997216551
    ()

  16. * さらに「硬い沈黙」「夜間飛行」「七角形」「白い影」「黒い円」「四分円」「魔女の踊り」「遠い灰色」と続く、即興的な打楽器ソロ。イタリアの城の一面真っ白な部屋でのセッションだということで、そこに音で色を付けていくのだそうだ。切れ味良い打音に神秘的な擦音なども加え、それぞれテーマを設定しての味わいある音造形。Hat Hut Records 889176233456
    ()

  17. * 編成はCl+Trb+Va+Cb+打およびクラクドゥス+シンセサイザー+電子楽器(?)“ジャスパー・ジョーンズのための”という副題があるようだが、むしろポロックのドロップのような音が各楽器から飛んでくる。奇妙な音はクラクドゥスかな。併録「オータム'60」はジャズっぽい要素、「君への思い出」はPfと記されつつ鍵盤の音は最後の数秒、「マテリアル」はVc+EGuit+Vib+Pf、「論文」は声入りで11分と短い。Hat Hut Records 888831582267
    ()