Planet masaka played list 2020-10


  1. * 低いEオクターブの連打で暗く始まるが、ひらひら舞ったりバルトークっぽかったりグリッサンドがあったりと多様な9つの楽章(なぜかNMLはIIで始まるように記されているが録音はちゃんとIから)。併録は組曲第8番Bot-Ba。減五度の落ち着かないアルペジオ、隣接音を重ねた反復打、トリルなどで音をにじませながら、ゆっくり進んでいく。Wergo WER7328-2
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  2. * ドミニク・ランベールの16の「俳句」をSopが歌いVn+Vc+Pfがさまざまな表情をつける。砂だったり海だったり旅だったり。その合間にVn+Vcの「鳥」やPfの「ディダリアルの鳥」などが挟まれ、ひとつの絵巻物のように。よい。さすがはHarmonia Mundi HMM902667DI
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  3. * アイルランドの伝承から現代詩までをテキストに、電子音のドローンとSQをバックに古風な旋律をしっとり歌う。「ハーザ(家)」はその伴奏部分を独立させたような曲。「ディスコルディア」はカンナ・ソノラという一見チューブラー・ベルのようなアルミパイプ打楽器+電子音だがほとんどノイズ。「キリエ」はボコーダー使ってるのか人工的な音の渦巻。「フリドゥール(平和)」はPf、「爆発する星」はVnを用いる。どれも電子音の厚い膜に覆われて、必要以上に癒やし系に響く。NMC Recordings NMCD258
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  4. * ラモー、ガムラン、ボブ・マーリーからのインスピレーションで作られたという、グリッサンドする主題が鬼ごっこするような独奏Vn+弦楽の曲。併録はビーバーの「バッターリア」、これも過激で面白い。それからブリテンの「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」はBつながりだからか。Daphne Records DAPHNE1063
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  5. * Hr+Vn+Pfの三重奏曲で、同じ編成の曲があるブラームスの生誕150周年に書かれた。Hrが超絶技巧。1楽章はベートーベンの告別の引用から、2楽章は執拗な上昇音階、3楽章はずれていくリズム、終楽章は深い悲しみから絞り出される。併録はPfの練習曲集第1巻、第2巻。これも難曲。New Focus Recordings FCR269
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  6. * 鍵盤を拳で叩くような密集音塊を上下させる原始的というか子供の遊びというか。これを最初はミットを嵌めて、次にそれを取ると手袋で、最後に素手でと3回繰り返す。まぁ確かにタッチは変わる。「昇降機」は超低音の蠢きで始まり徐々に最高音域まで上昇していくモザイク的パターン。「時の果てに」はプリペアド・ピアノでEsを反復しながらアルペジオなど。「共和党のバガテル」はベートーベンとアイヴズの変奏の変奏ということで硬軟織り交ぜて組み合わされる。Hat Hut Records 889176091353
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  7. * 星図の星を音符に見立てた音列から86のパートを構成したという図形スコア。演奏方法は任意で、ここでは1人でPicc、Fl、AFlを奏している。暗い天空に光る星を渡り歩く如く、ポツリポツリと音が鳴る。Hat Hut Records 889176544484
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  8. * 韓国の伝統楽器センファン(笙簧)とアコーディオンのデュオで、どちらが雄か雌かよく分からないが、翼を広げたり踊ったりという神秘的な儀式を描写する。セオドール・ウィプラッド「ムーダン」、ウィリアム・デイヴィッド・クーパー「ピリと弦楽のための2つの小品」、リー・ウンヨン「バグーニ」はそれぞれピリ(篳篥)もしくはセンファンとSQあるいはVn+Vcという組み合わせで、民族っぽい響き。ガミン・カン&ネッド・ローゼンバーグ「ジュンモリ・ブルース」はピリ+BCl+BSax+打。ピリは生々しいというか露悪的なビブラートが伝統なのか、かなり強烈。 INNOVA261
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  9. * Vc+Pfでハーモニクスを多用する薄い響きに装飾的なピアノの音形。最後に深いところにも降りて素朴な歌になる。「亡霊」はVn+Pfで同じように薄い響きで始まるが揉め事のような対話も含む。「ソアヴォディア」はCl+Pf、「悲しい鳥」はPicc+Pf、「せめて翼を」「ラベスコ」「月の賛美」はFl+Cl+Vn+Vc+Pf(+Vib&打)で、静かだったり動きがあったりするがどれも薄い響き。「ラチェルト」もほぼ同じ編成だがやや騒々しいカオスを含む。演奏/録音の印象もあるが、総じて儚い感じ。楽譜がほとんど全てPDFで公開されている。Da Vinci Classics DV-C00121
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  10. * HCABのモチーフがずれたリズムで奏されながら変化していく。バッハの逆読みで、実際に念頭にあるのかどうかは不明だが、想起させないわけにはいかない。併録「クラリネットと弦楽四重奏のための2つの小品」はハーモニクスとピチカートの薄い音にClが答える離散的で儚い響き。2つのバージョンが収録されている。Hat Hut Records 888831582076
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  11. * ザラザラした打と早口で打のような息音を連発するシュプレヒシュテンメ。2バーション収録。「バッテリー」はいろいろな打の組み合わせ。「デシシオン」はFl+Trb+打で特にFlが複雑で激しい動き。「アローン1」はBFl+BTrb+打で低音で絞り出される断片的つぶやきにギロのような軽い乗りと大太鼓。これがけっこう面白い。Hat Hut Records 888831584650
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  12. * せせらぎと鳥の囀りのテープ音にB-C-Ges(-Es)のモチーフ、妙な電子音、そして割と生真面目な打が順に加わり、拡大しながら徐々にズレが生じる。制約の中で即興してみようともがくPfと淡々と安定した打に隠然と支配するテープ音。中間部はそのバランスが崩れて偶然性に委ねられるものの、壊れたマーチから執拗な反復パターンが冒頭のモチーフに回帰していく。「ないしょの話」は気だるく始まるがだんだん興が乗ってくる対話。「ヴィザージュI」「ソナチネElyb」はPf独奏で自由な分裂感。驚くようなことはないが、Pf的にはこちらの方が面白い。Hat Hut Records 888831581710
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  13. * ずっとペダルが踏まれているような模糊とした響きの中に、とりとめなく、旋法的でもある音列が散りばめられる。併録「ハーブの草原で」「オレンジ色の爪で作曲するために遅くまで座っている」「ピンクの薔薇にキスをして」という具合で、耽美っぽい装いの中でずれていくというかいかないというか。最後の「沈黙は…」がまったく無音なのはそういう意図なのかNMLの失敗なのか、はて。Hat Hut Records 889176544507
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  14. * 二度、三度の並行和音上下反復を基本にしたパターンが、例によって少しずつ変化しながら繰り返されていく。ずいぶん長いこと演奏してるなと思ったら、全部で5時間も(6時間かかる演奏もあるという)。それでも単調な感じはなく、退屈はしない。まぁ、ながら聴きだが。途中のスクラッチノイズや音飛びは、そういう曲なのではなく音源の問題だよね?Hat Hut Records 889176642036
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  15. * 暗闇の静寂の中でときどき刃が光るように走り抜けたり、薄暗がりになってただよったり、墨絵のような世界。併録「テナー・リコーダーのための~」は(事前録音された?)基音に向かって、あるいはそこからの上行グリッサンドをゆっくり繰り返す。「Quelli che vivono」(生きている人々?)は電子音(あるいはいろいろぶつかる音)と木管&弦&打8人による、切り詰められた音(の消失点)の重なりで、まさにタオという感じ。不思議。Stradivarius STR37122
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