Planet masaka played list 2020-11


  1. * 五線がねじ曲がって交錯したり輪を描いたする楽譜で、Pf、Guit、Flなどいくつかのバージョンがある。小さな断片がさまざまに波打ち、確かに宇宙空間に吸い込まれていくような感じではある。ルイジ・ノーノ「進まねばならない、と夢みつつ」はカミナンテス3部作の一つで、無の中から浮かび上がってきて時折炸裂してはまた無に帰る研ぎ澄まされた世界。さらにジョルジョ・ネッティのSQから楽器を減らしていく連作「包囲のチクルス」からVnデュオになる第3曲「イノルトレ」は苦しげにうねる掠れた緩急のトレモロが軋みながら消えていく。濃密で圧倒される3作。 NOSAGCD240
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  2. * 深刻ぶっていたりネズミ花火のようだったりピチカートを駆使したりする個性的な短編6つからなる組曲。ハンス・アドラー「5つの関連した小品」は緩急のある5曲。カーリン・バートシュ・エードストレム「Asthmose」は鳥が民話を語るとでもいうか不思議な懐かしさ。ブリッタ・ビューストレム「一斉射撃」は口笛も交えて戯れる。マリー・サミュエルソン「2つの命」五度長音の周囲のターンが成長して飛び回っては戻ってくる。いろいろ自在なVnデュオの第5集。 NOSAGCD236
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  3. * 通常のピアノと1/4音低く調弦された微分音ピアノを一人で弾き、四分音トレモロからただれていく歌のない聖歌が奏でられる。「受肉の神秘」はSop+Vn+オートハープが加わり、14世紀の詩人シリアのエフレムのテキストを用い、秘教の祭儀のような突き抜けた音が繰り広げられる。「父よ静かなる精霊を与えよ」は作曲者の祖父の賛美歌をスウェーデン語にしてSop+Pfで寂しげな民謡風。けっこうインパクトある1枚。 INNOVA049
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  4. * クラリネット独奏のみの版もあるがこれは21楽器のアンサンブルを伴うもの。楽器は6つのグループに分かれ、その間を独奏者が移動して対話する。Clの特殊奏法も各楽器の音色も多彩で、面白い。「二つの影の対話」はその派生作品だそうでCl+テープに録音したClのデュエット。併録ミカエル・ジャレルの「アソナンス」は、やはり他の独奏やアンサンブルの版もあるようだが、ここではCl独奏。間の多い前半から忙しい中間部を経て瞑想的な末尾部へ。ブルーノ・マントヴァーニの「バグ」はさまざまな技巧を駆使するCl独奏曲。Klarthe Records KLA101D
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  5. * さまざまな標題をもつ19の短いエピソード(CDに収録されていない弦六の曲が他に1つ)であれこれ実験的遊び、というか謎掛けか。ベケットの詩による「… Pas à pas – Nulle part …」はBar独唱と打が加わる。「ヘルダーリン歌曲集」はBar独唱による6曲で3曲目だけTuba、Trbが参加。どれも細部が多くを語る凝縮されたつくりだが、演奏は見事にそれを表現している。ECM Records 00028948173709
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  6. * 古き良きアメリカのミュージカルに数々の名曲を提供したカーンのスタンダード・ナンバーを、素敵にストレートな声でしっとり歌う。アムステルダム通りにあったピアノ・バー(名前忘れた。2~3回行っただけだが)を思い出す。ほか「ミス1917」の音楽など。Decca 00028944212921
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  7. * 1959年の録音というからほとんど初演当時の記録ということか。曲を知り尽くした演奏で悪かろうはずはないのだろうけれど、録音状態が悪くて音が割れたりするので、聞き辛い。切れ味が甘いような気もするのは、きっと録音のせいだろう。Universal Classics 00028948179435
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  8. * ClとVibが独奏2楽器(Vibは半ばを過ぎてから参加)ではあるが、各トリオ(Hp/Cemb含む弦+木管+Sax含む金管)群もそれぞれソリスティックで、17あるというセクションが多彩な音色の洪水で埋まる。「復元された時間」「…偶然の彼方に」「歌に次ぐ歌」はブロッホの『ヴェルギリウスの死』に基づく連作で、独唱/合唱といろいろな楽器群による前衛。さらにテープの実験的作品「エチュード」、フーコーに勧められてニーチェのテキストを用いた「セカンス」そしてピアノ・ソナタと、3枚組の圧巻全作品集。CPO 999569-2
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  9. * 密やかなフガートから荒々しく攻撃的に畳み掛け、重力から解放され、また髪振り乱し、暗い力あふれるロンドで終わる。併録はバルトークのSQ5番。見事な演奏。ECM Records 00028947657798
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  10. * ヴェルレーヌのテキストをSopが歌い、Vcが答えていくのだけれど、なんと両方を一人で奏している。併録ペトリス・ヴァスクス「チェロのための本」のVc独奏も見事だが、ポルドフスキの歌曲でもアン・ソルディーヌの跳躍など魅力的。ストラヴィンスキーのイタリア組曲も懐かしく楽しい。最後のミャスコフスキーのソナタはなぜ紛れ込んでいるのか不思議。 SWR19102CD
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