Planet masaka played list 2021-08


  1. * Trb+Pfだけれど、ふざけたようなワウワウミュートを用いたりPfを叩いたりしながら戯れる。タイトル通り哀れみのある。「スノードロップ」はVnが加わって崩れた上昇/下降音階の繰り返しにTrbがぼんやり答える。「ペギー」はTrb独りだけれど録音と重ねているのか。「エッジズ」はTrb+Va+Pfで微かなハーモニクスや内部奏法音が続いた後に欠伸するようなTrbととぼけたPf単音などが少々。Hat Hut Records 889176561344
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  2. * パターン反復ではあるのだけれど、積極的に不協和音をfで響かせたり5連符のフレーズを絡ませたり速いピチカートを並べたりして、けっこう変化があり退屈しない。ビブラートがないのでハモンドオルガンのような音にも聞こえる。Hat Hut Records 888831581444
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  3. * 副題は“4つの風”で各楽章が秋~夏に吹く西北東南の風となる。2012年作。きめ細かで自由な素材と要所をおさえた不協和音の扱いが小気味良いと思っていたらなるほどルトスワフスキに学んだのか。SQ第1番は“ダンジェネス夜想曲”、第2番は“クリスタル・ダンス”は1970年代だけれど自在なつくりは既に確か。「GAD」は2017年のVn独奏曲で、飛び跳ねてみては立ち止まって考え込むパントマイムを見ているかのよう。Metier MSV28603
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  4. * 初期のコンピュータを用いて偶然性を導入したという1964年の実験音楽。静寂の中で打楽器の音と合成された音が時々混じり合う。「マキシミュージック」は65年で、微かな金属的ノイズの他ほとんど何も無いかと思うと突然狂ったように太鼓類が乱打される。「たぶんパーカッションのための、あるいは…」は70年で微かな合成音が流れる中で信号的な別の音が少し。「機械からの神」は82年で銅鑼が徐々にcrescしつつ何かの録音が重なる。途中の拍手もテープ?後半はサイン波のFis。「公案」は71年で“打楽器のために一音も書いたことがないので”とふざけた副題があるが、銅鑼がcrescしてdimするだけ。Hat Hut Records 888831582144
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  5. * ゆっくりと何もなさそうな反復がよく聞くと細かな変化。柔らかなピチカートやハーモニクス。Hat Hut Records 752156015529
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  6. * 自作の映画音楽「レッド・バイオリン」を引用した色彩豊で技巧的な作品。ストラヴィンスキーの「Vn協奏曲」は新古典主義のちょっととぼけた味わい。NoMadMusic NMM073D
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  7. * ややジャジーなシンコペーションの民族っぽい旋法からゆっくりした中間部は独特の外れ音を持つコラール。アナ・ソコロヴィッチの「コンメディア・デッラルテ III」は仮面即興劇の素敵に道化けたキャラクターをグリッサンドや同叩きが。ウォルフガング・リームの「弦楽四重奏曲第4番」は鋭く厳しいユニゾン動機から甘えを許さない響きが次々。ブライス・デスナーの「アヘイム」は激しい導入のあと執拗な反復音形の変奏、そしてだんだん冒頭に戻る。ファジル・サイの「弦楽四重奏曲」は鬱なテーマの強迫的反復。Berlin Classics 885470015279
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  8. * グリッサンドで動いたり刻んだりするSQにVc独奏が加わって囀ったり踊ったり。「弦楽四重奏曲第2番」は副題“伝説の4人”で、ハーモニクスのアルペジオや各楽器の独白。「ピアノと弦楽四重奏のためのコンチェルト・グロッソ」はシュールな中に少しロマン的な香りを混じえてみたり否定したり。「弦楽四重奏曲第1番」は各声部が密に絡みつつやはりロマンとその否定の混在する響きも。Claves Records 829410502061
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  9. * Fl+Cl/BCl+Vn+Vc+Pf+打で、シェーンベルクの「ピエロ」に編成も近く、いろいろ意識しているという。メシアン的な和音進行も。「ウィンザー・ジャムス」はAFl+BCl+Vn+Va+Vc+Pf/Cel+打にMSが加わるが歌詞はない。「イベント・シナジーII」は2Fl+2Ob+Ci+3Cl+BCl+2Fgに4Vn+2Va+2Vcで書かれているが異なる編成も可能とされていて、CDには2バージョンが収録されている。五線はあるが音の長さや変化が配置だけで示されるタイプの図形楽譜。どの曲も意欲的な実験精神で楽しい。Hat Hut Records 888831581840
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  10. * 各楽器がゆったりと交互に自由な無調旋律を歌いながら徐々に相互作用を増していったん凝縮するがまたそれぞれの道を。「詩人の日記」はVc+Pfで、ウンガレッティの詩に基づく無言歌のような曲。無調ながら切々とした旋律がある。「ピアノ四重奏曲」は速めのテンポでフレーズは短く細かな絡み合いを持つが後半は微分音を使う静かな湖。「ピアノ五重奏曲」はミステリアスな導入からリズミックな主部、冒頭モチーフが悲歌のようになる中間部を経て逆をたどるブリッジ型。Claves Records 191773533885
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  11. * 3つの打楽器が静寂の中でポツポツと語り合う。微かな金属音が風になる竹の葉のよう。「指の気まぐれ」は2打楽器が太鼓に始まり擦り音を交えたり鐘を鳴らしてみたり最後に何故かキラキラしたGlock。「欲望」は独りでGlockを奏しつつ太鼓やシンバルなども操り始める。「エロスの断片」も独奏で長い間を取りながら金属系打楽器の余韻を重ねる。「ヒメロス」はHp+打にラウドスピーカーとCDプレイバックという組み合わせで途中まで精緻に組み立てられるが途中で鳴り出すサイン波には耳を覆う。 NEOS11823
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  12. * ボーレン・ピアス・クラリネットという一種の微分音スケールで調律された特殊なClおよびTenor Clに41音Eギターのトリオで、実に奇妙な世界を生み出す。ほか同「ヤヌスの鳥」、ゲオルク・ハイドゥ「燃えるガソリン」「地平線の彼方へ」、アコス・ホフマン「デュオ・デズ」、ノラ=ルイーズ・ミュラー「モルフェウス」、サーシャ・リノ・レムケ「パ・ドゥ・ドウ」、ベンヤミン・ヘルマー「前奏曲とパッサカリア」、マンフレート・シュターンケ「聖キルダの鳥人」、フレデリク・シュヴェンク「夜の鷹」とみなこの調子で、ボーレン・ピアス調弦のVaやCbが加わるのもあり、超面白い。詳しい楽器説明あり。Genuin GEN20695
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  13. * 鋭いスルポンのトレモロやsfzが飛び交い半音階で上昇/下降するパッセージの合間に憂いの表情が抑制的に置かれる。「喧騒と影の」は鋭角的な音のうねりと冷徹に振幅するコラール、そして哀歌。「2つの運命」は上昇/下降音形で分節されるスピード感のある音と悲しげな中に暖かみも宿る歌が対比され、やがて重なる。「アリア」は透徹したハーモニクスの中に浮かぶ抒情。余計なビブラートを廃したクリアな演奏が美質を最大限に引き出す。Brilliant Classics BC96118
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  14. * “ベートーベンのオマージュ”だそうでハンバークラヴィーアのモチーフを奇数楽章で利用しながら独自の世界を組み立てていく5楽章。「バイオリン・ソナタ」はBACH(G-Fis-A-Gis)モチーフを用いる無伴奏で、技巧的なシャコンヌ、瞑想的アンダンテ、BACHによるフーガとコーダで構成される。R.E.の演奏とは違って堂々たる曲。「ペール・ヘンリク・ノルドグレンの思い出に」もVn独奏。「霜」はVn+Pf、「哀歌」は2Vn、「前奏曲、トッカータと後奏曲」はVc+Pf。いずれも古典的手法を香らせながらその先に突き抜ける。 BIS-2186
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  15. * Iは1991年作曲のVn独奏、IIは97年にそれを発展させライブエレクトロニクスと“協奏”する。細かな音形に反応する複雑な対話も見事だが、第1部の弦楽合奏が伴うかのような効果はどうやって。「二重の影の対話」はヴィトマン兄のClがやはりライブエレクトロニクスとの組み合わせで、トリルや連続タンギングなど細かな動きを多用し、音が左右に素早く動く効果など、多彩な可能性を開く。 NEOS12104
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  16. * Fl+Cl+Vn+Va+Vc+Pfで、威圧的なPf独奏で始まり異なる楽器の組み合わせで描かれる9章。それぞれ叫びに近いというか声との重音を含む刺激の強い特殊奏法が多用される。「リゾチーム・シンセシス」は少しジャズの要素も含むPf独奏でやはり左手は打楽器的な強いアクセント。「フルクサス、渦巻―推力」はギター四重奏でハーモニクスや胴叩きを多用しつついろんな音がするがデュオで十分という感じも。 NEOS12022
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  17. * MS+SQで冷たく厳しい弦の響きとともにクルト・エブリの詩を多様に歌う。6つの楽章がそれぞれ(たぶん)テキストと結びついた表現を追求し無駄がない。「弦楽四重奏曲第5番」は“真夜中”と題され、かつ第二夜の祈りのための音楽との副題を持つ。ハーモニクスを駆使するやはり冷徹な響き。「星のダンス」は“バセットクラリネットとSQのための追悼の音楽”で絞り出すような暗い空気が徐々に動き出して遠くに星が見えるという感じか。末尾にバッハのBWV 797が引用される。 NEOS12101
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  18. * アコーディオンと十七絃箏の組み合わせはすれ違ったり噛み合ったり。掛け声やら箏の弦を何かで擦ったり、実験と音楽の境界を行き来。「ああ野生のバラが花開く…」はFl+Cl+Vn+Vc+Pf+打でF音のこだわりとグリッサンド。「常に…と決して…の間で」はAccd+Vn+Vc+Pf+打。無音に耐えきれずときどき楽器が鳴るが当たり外れがある。「気流」はSop+Fl+Guit+打で空白の中に稀に音が揺らぐ。禅問答よりも寡黙。「陰影」はSax+Accd+Vcでやはり音は少ない。「画架のそばで」は2Sax+テープ。残念ながら不快。 NEOS12020
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  19. * 十二音技法による緊密な4部構成で、短いながらも中身が濃い。なぜかVnがもうひとりクレジットされている。「月に憑かれたピエロ」では何とコパチンスカヤが歌を担当し、素晴らしく豊かな表現(こちらがメイン)。「6つのピアノ小品」は凝縮された短い曲集。ウェーベルンの「VnとPfのための4つの小品」もやはり極小形式の高密度な作品。さらにシェーンベルク編の「皇帝円舞曲」という超懐かしいものが。 ALPHA722
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  20. * 何でも楽器になるんだと言う感じでいろんな音が小気味良く鳴らされるが、楽章ごとに木、金属、グラス、プリペアド・ピアノのテープなどが用いられて最後に勢揃い。音色の変化も楽しい。「壊れた」は機械がゆっくり壊れていく様子を3人の打奏者が表現するという。「マレット四重奏」はMrmb、Vibなど鍵盤打楽器がミニマリズム的ながら中間部で大きく変化する。「4つのマリンバのための音楽」はその続編的に一部共通のモチーフ。SibaRecords SRCD-1024
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  21. * シベリアの渡り鳥で英語名はgreat knot。その飛行経路を作曲のモデルにしたということでノイズやおもちゃの音を組み合わせたサウンドコラージュ。後半は壊れたように同じパターンを繰り返す行進曲。「ゆりかご」は忙しくダイヤルを回すような電子音と安っぽいEピアノ。「平面移動式埋立地」はノイズ的電子音にいろいろな打楽器を即興的に組み合わせるのかな。「ホーム・オルガン」は6人の打楽器奏者が好きなように出す音が電子変調される。みな滅茶苦茶だけれど、かえって清々しい。Mode Records MOD-CD-319
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  22. * ある中心をめぐる渦巻が打楽器で分節されながらずっと続いていく。ときにしつこく煩いほど。「遠くても近くても」はPf独奏で短短長3音のモチーフによる断片的な形が語りに成長する。「回想の木」はオーソドックスな手法をベースに自由に歌う独奏Vnをそのハーモニクスを加工したらしいテープと組み合わせることで拡張する。「ピエール・ブーレーズの思い出の交唱」は2Flが即興的に絡み合い途中から2Clが加わる。「共鳴するパッセージ」はPf+テープで一部内部奏法も使うか。「最小限の色」はリリカルな調性的Pf独奏曲。収録はこの順でNMLのトラックはまたしてもでたらめ。Ravello Records RR8030DIG
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  23. * 冒頭の変な和音と変拍子からアナーキー全開だが中間楽章の物憂げな感じも悪くない。終楽章のうねるユニゾンはわざと中途半端なのか。「小さな肖像」は3人の女性をエレガントに大胆に描く。「突然の目覚め」はFl+Vn+Vc+Pfでもわもわした眠りからまどろみつつ徐々にはっきり主張し始めるが起きても気怠そう。ちっとも突然ではない。「エフェメラ」はCl+Pfで“スケッチ帖のページ”と題する6つの小品。気ままななぐり書きみたいなつっけんどんさ。「サーカディア」はPfトリオで朝-午後-夕べ-再目覚めという空虚な4楽章。Centaur CRC3801
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  24. * どこまでが即興か分からないが、フリージャズの良さが活きている感じ。「第101番」はSaxが加わり、ゆっくり目のところはまぁ良いが、テンポが速くなると音階を滅茶苦茶に動くだけで興ざめする。「第99番B」はASaxのみで冒頭はなかなかでブロウもよいが最後は結局スケールの上下。「第107番」はTrbも加わったトリオで表現の幅はずいぶん広くなるが三者ばらばらな感じがするところも。テンポが速くなると単調なのは同じ。Hat Hut Records 889176462580
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  25. * ごく最小限の音を内部奏法(あるいはプリペアド)を交えて組み合わせていく。Pf弦のハーモニクス効果。バージョン2もある。「TANGOという言葉によるタンゴ変奏」はH-As-G-B音列が色々絡まりながら現れては休み延々と反復される。「ファイゲンバウム・カスケード」はppの単音からfの和音まで全てをペダルで引き伸ばし残響の上にゆっくり音を重ね終盤に力を増していく。「7分の3の梨の形をした小品」は右手と左手のリズムのずれ具合が3/7なのか。「ピタゴラスの木」は落下とジャンプの断片が交互に続く。「最初の11の素数の音楽」はゆっくり静かに音が時たま。素数をどうするのかよく分からず。Hat Hut Records 888831581796
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  26. * 声+AFl+電子楽器という構成で、擬態音だったり単なる五度上下だったりする声とノイズ的楽器音が静寂の隙間を埋める。「ジェフとエリザのための音」はFl+BCl+Pfでハーモニクスなどを使いながら空虚な和音をゆっくり並べる。「レイヤーズ」「ティル」「ピアノのためのソロ」はやはりゆっくりした流れの中でPfがぽつりぽつりととりとめない音を紡いでいくとかゴワゴワ低音を開放した弦に響かせたりとか。初めて聴いたときより面白い印象。New Focus Recordings FCR260
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  27. * 気さくな感じでいちおう調性を持っているのは仮の姿であることが激しい終楽章では明らかに。ハーモニクスが口笛のように聞こえる。「花のカタログ」は歌曲からの編曲。シャルル・ケクランの「ビオラ・ソナタ」は緩急緩急の4楽章でスケルツォは比較的面白いが全体に地味。ジャン・フランセの「ラプソディ」はオケ伴名人芸曲のPf編曲版。演奏ちょっと高音の音程不安定。Musicaphon M56976
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  28. * ぼんやりした和音と独特の音律による上昇音がゆっくり反復される。5台もの楽器を動員するがそれによってどんな効果が得られているのか不明。あとはピアノ独奏で、「インターミッション V」は珍しくffの不協和音で始まるがあとはほとんどその残響。ほか「2つのインターミッション」「インターミッション VI」「最後のピース」「ピアノ小品」は例によってのふわふわ徐々に変化する微小な音世界。Hat Hut Records 889176549007
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  29. * ブーレーズ風のセリー的な細かな動きと無調コラールのようなフレーズが競り合う“統制された即興”。「オマージュに」「エピタフ」は不協和音が鳴り続ける中で、バッハやヘンデルの断片が現れたり、モーツァルトのニ短調幻想曲を繰り返し引用してパロディにする。「ミゼレーレ・メイ」は憐れみのテキストを英語とラテン語で唱えつつ後半はTpと銅鑼が前面に。「変容」でも同じ不協和音の反復を基調にウネウネとしたフレーズが挿入される。World Music Records 3616405672147
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  30. * 高い空から舞い降りてきて煌めき宙返りしてまた飛び去ったり、森の中で鳴き交わしたり、色々変化する5楽章。アンジェイ・クシャノフスキの「ソナチネ」は軽快な小気味よさと味わいのあるゆったりした響きの急緩急緩。高橋悠治の「水牛のように」はエキゾチックな音律の付点モチーフにアルペジオが飛び跳ね時々びっくり音が。さらにオーレ・シュミット「トッカータ第1番」とインガ・プルヴォヴァルスカ「テクラ・バダジェフスカによるパラフレーズ」。Ars Sonora Studio 5908276892563
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  31. * 第1番は無調のアナーキーな感じで運動量が多い。第2番はVcの2分近い哀歌から始まり、テンポが速くなってもその気分が引き継がれる単一楽章。「クラリネット五重奏曲」はClの音色が加わることで無機的な厳しさの中に少し入っていける部分が生まれる。「BClとSQのためのコンチェルティーノ」は意外に珍しい組み合わせで面白い響きが得られる。曲想もやや親しみやすい。NMLではクーリス。Etcetera 8718011614315
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  32. * フォークソングの香りを強く持ちつつそこから少し離れていく。終楽章の冒頭は最も遠くに行く感じだが、最後は懐かしさをたたえて終わる。コープランドの「バイオリン・ソナタ」も最初のフレーズから憧憬がいっぱいでそれが生き生きしたリズムに乗せられていく。ジョン・コリリアーノのソナタもずっと親しんだ思い出がこもるがはみ出し方も大きい。 DUX1744
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  33. * ミリアム・フリードの詩による、少しアンニュイで滑らかな無調の歌曲。「ピアノ・ソナタ第2番」は複調的な感じも含む儚さの彩り。ジェイムズ・プリモシュの「純粋な仕掛け、絶対的な贈り物」はPf独奏曲でスティーヴン・クレインの詩のタイトルをそれぞれ冠した5曲。「降下/回帰」はスーザン・スチュワートの詩による歌曲。さらに「年老いた天文学者」「投手」「それが私だと誰が言った?」それぞれしっとり味わいがある。Sopの声質もよい。Albany TROY1818
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  34. * (ピアノ)四重奏曲第3番で、六度下降のモチーフを基調とし、調性は揺れ動くがロマンチックな感覚が強い単一楽章。前半はゆったり後半で少し動きが出る。「チェロ・ソナタ」もかなり調性感がはっきりしたロマン調だが甘ったるくはない。「3つの楽章」はPfトリオ、「エボルツィオーネ第5番」はVn+Pfで、色調は暗め、調性の磁力からはみ出す力が強まる。「VnとClのための練習曲」はより高い自由度を滑らかに得てウィット溢れなかなかのもの。Vn+Vaで奏している。Brilliant Classics BC96287
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  35. * 南バルカン地方の民族的要素を強く持つVnの旋律にPfが違った角度から装飾的に応じる。終楽章はポルタメントを多用して調性感がますます遠のく。「移動中に」はVnとPfががっぷりと。「海の変化」はVa+Pfで多彩な表現、「月が戻る」はFl+Pfで漂う感じがなかなか。「5つのモーメント」はVc+Pfで微分音的な重音からコミカルな反復運動まで。スマートではないが聴き応えあり。Albany TROY1817
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  36. * Fl(もしくはdizi)+Vib+打で反復音をつないで曲線を描き、休止の後GlockとなりFlはポルタメントで上下し東洋風モチーフも。「足りないことが分かる」と「老年の転倒」はSop+Fl+Vib+打でパーリ語の儚い歌。ピーター・マクナマラの「深淵の声」はWW2の日記の朗読とPfや打、「雪解けにて」はSop+AFl+Vib。エリザベス・ユーナンの「ジェスチャー」はVib+Sax+テープ。サラ・エリーゼ・トンプソンの「ミュージック・ボックス」はVib(とテープ+ライブエレクトロニクス?)によるオルゴール。ケイザ・ヤップの「軌道」はVibとテープ。Wirripang Wirr103
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  37. * 冒頭で全体を圧縮するかのような細かい動きを見せた独奏は、二度で行き来するだけの単純なモチーフを半音ずらして繋いだりポルタメントとハーモニクスを駆使したりしながら拡張してゆき、オケはモチーフをなぞったり和音の反復を少しずつ変化させたりして答える。ビブラートなし。いつものフェルドマン流でありながら独奏が加わって格段に面白くなっている。1979年の作品。ECM Records 00028947649298
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  38. * レクイエムの入祭唱、奉納唱、リベラ・メ、ラクリモサのテキストを往き来して、2S4T2Bの合唱とSQで奏される、ゆっくり静かな深々とした音楽。調性はないけれども、旋法的動きと半音階的動きが滑らかに組み合わされ、不協和音を生み、ときおりアクセントが加わったり遠くに連れて行かれそうになったり。途中libera eas de ore leonisやde morte aeternaの辺りで結構激しくなる。最後の方で弦が大きく動くが"libera"を静かに反復し"et lux"で消えていく。歌も弦もビブラート一切なしで透明な響きが見事。ECM Records 00028948115860
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  39. * 連作歌劇「光」の4番目「木曜日」の第2幕をTp+Trb+AFl+2Cl/バセットホルン+打+シンセサイザーにしたもの。歌はなく、Tpがミヒャエル、バセットがエバ役(スーパーフォーミュラ)で、各地を旅し一心同体となり天に昇る。乾いたちょっとシュールな響き。光=Lichitは「これ以降のシュトックハウゼンは、多くの器楽曲・声楽曲をこのオペラに流し込むパーツのようにして作曲を進め」(沼野p220)たという全曲演奏に一週間かかる大作。ECM Records 00028943718820
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  40. * アコーディオンとVn+Vcで民族的というか旋法的なフレーズ断片を反復したり変奏したり自由な世界。「カンタータ」はSop+2Accordで微妙に変化するロングトーンの上で多様な表現の声が遊ぶ。「トリオ、シマノフスキへのオマージュ」はVn+Guit+Accord、「Acc-1」「アッコタンゴ」はソロ、「ポジムク」はリコーダーとAccordにSopとナレーターを加えイルジー・スタフルスキのテキストを宙吊りにされたように奏でる。「アコーディオンのための強いられた眠り」はトマシュ・フォプケの詩を自動合唱と2Sopで歌う遊び。「いじわるな小川」は打と陽気に。 DUX1598
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  41. * ショーレム・アレイヘムの短編を原作にした2幕もので、ヘンリー・コッホが11楽器用に編曲したもの(原曲の編成はよく分からず)。無調の部分もあるが筋の運びに必要なのか調性音楽(のパロディ)的な要素がけっこう多い。かなり饒舌でレチタティーボもふんだんにあり割と昔ながらの型を踏まえている感じはする。Oehms Classics OC990
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  42. * ルッカリなどサーミの詩人のテキストを用い、寂しげながら艷のあるMSとチェレスタが印象的な透徹した室内管弦楽。全体にややミステリアスな北の春という感じだが神が動くのかかなり高揚する場面もある。「サルヴォ(聖なる土地)」はSSax独奏が足元で操作するエフェクトを加えるという協奏曲で、神秘の響きから低い叫びのような重厚なトゥッティまで。Ondine ODE1353-2
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  43. * Pfの低音連打から始まってVnと激しくやりとりする第1楽章や微妙な和音のPfにPizzが答える第2楽章の一部など面白い部分もあるが、2楽章の旋律とか第3楽章は平凡。Vnソナタ作品7(第1番)も同じく両端楽章のメランコリーと題した旋律が陳腐。Vn協奏曲も途中までいいのに旋律主体になると途端に。「クレオパトラ」はマルトーへのオマージュとして書かれたそうで、アラビア風のモチーフを技巧的にあしらう。Naxos 8.574085
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  44. * 偏執狂ぽくうねうね音を並べるPfを伴ってTpが特徴的な跳躍シンコペーション旋律を奏でる。「Ob、Va、打のための三重奏曲」はD音反復で始まりObが祈祷のような身振り、そしてVaが挑み打が受ける。「トリオV.C.P.」はVn+Hr(Corno)+Pfで下降2音の動機がいろいろ発展する。「室内劇」は木管Q+SQ+Pf+打でChamberはベルゲンの警察署のことだという。やはりプリミティブな素材とシンコペーションを組み合わせるへんてこな音楽。LAWO Classics 7090020181783
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  45. * ギリシャの民俗舞踊ジアをVn+Vcのデュオ(ディプリ)で奏する活きの良い荒ぶる小曲。ニコス・スカルコッタスの「VnとVcのための二重奏曲」もやはりギリシャ風で、十二音技法を用いて処理したり、特徴ある音律のまま激しく踊ったり。コダーイの二重奏曲はおなじみの民族風。オネゲルの「VnとVcのためのソナチネ」は新古典風の急緩急3楽章。 CAvi8553982D
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  46. * コンチェルトとコンサートを掛けているのだそうで、導入のあとに序曲、Vn協奏曲、休憩がありその後に4楽章の小交響曲があってエピローグと、それぞれが切れ目のない曲(楽章)になっている。初演時には、観客が入ってくるときにすでに導入が鳴り始めており、自作のVn協奏曲の第1楽章は独奏者が客席で弾き初め、休憩では人々のざわめきの録音が流れ、交響曲終了後に席を立つと演奏会の録音がスピーカーから流れるという具合だったという。曲全体はオケコンの名に恥じない色彩感で管弦楽がいろいろな表現を聞かせる。LAWO Classics 7090020181776
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  47. * ドロシー・パーカーの詩を用いたSop独唱でミュージカル仕立てというか“キャバレー・ソング”。クルト・ワイルの「7つの大罪」も同じ文脈で。アイヴズの「5つの歌」は歌曲「ソロー」「川のほとり」「平穏」「東へ」「子守歌」のジョン・アダムズによるオケ伴奏版。なかなかよい歌声(時たまかかるビブラートが縮緬なのはご愛嬌)。「答えのない質問」はTp+4Fl+弦合奏。LAWO Classics 7090020181868
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  48. * 室内オケの各楽器群が独奏と拮抗するような緊密な作りで、冒頭のClの跳躍音形からいろいろな姿の三連符が組み合わされる単一楽章。レネ・エースペレの「フルート協奏曲」はドリア旋法的なモチーフを持つ三楽章で土臭いというかもっさりした要素も。バルトーク「15のハンガリー農民の歌」の編曲版は魅力なし。Pan Classics PC19069
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  49. * ロルカの詩《ギターのなぞなぞ》に触発されたという十二音技法を用いつつギターらしい味わいが生きている作品。アロイス・ブレーダーの「5つの詩」はE.ボルネマンが集めた子供の戯詩にもとづく演奏会用練習曲集。カール=ヴィーラント・クルツの「夢の庭」はジョヴァンニ・ダ・カッシャを巡る9つの断章で微分音もときどき。さらにレオ・ブローウェルの「永劫の螺旋」「悲歌 - 武満徹の思い出に」と武満徹の「ミュアー・ウッズ」。Pan Classics PC19068
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  50. * 語り口というか奏法は割とオーソドックスなのに無調で気持ちの赴くままに方向が変わっていく感じ。レオ・ブローウェルの「カンティクム」は不協和音の連打から始まって短くうねるフレーズが素早く上下する。「3つのスケッチ」「タラントス」「鐘のなるキューバの風景」「舞踏礼讃」もそれぞれ少し捻れた魅力あるギターの味わい。コルト・マイエリングの「11月」はふわふわSop+しっとりギターが急に呪いの踊りに。など。Pan Classics PC19067
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  51. * 百人一首からの7首を数秘術的に分析してセリーとしたという(日本語のウェブページもある)。フィリップ・ルルーの「密集した…巻き込まれた」は少し歪んだ空間でふわりと踊っている。小林聡の「鏡」は滑らかな鏡面を滑っていたのが徐々に弾けて飛び跳ねるような。クリス・ポール・ハーマンの「瑠璃」はトイピアノを一緒に(多重録音)しているのか、あちこち飛び回る。「イン・ダ・クラブ」も少しずれた音が重ねられる。久留智之「バロック・プリーツ」は軽快で心地よい流れが途中で外れて。アレクシーナ・ルイ「ファストフォワード」は左手反復上昇の上で推進。小櫻秀樹「ライネ・リーベ」は新旧混在。中田喜直「雨の夜に」は何?Nippon Acoustic Records NARC-2155
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  52. * ふわりふわりと緩急をつけて揺らめく歌にPfが微かな彩りを添える。少し言葉は聞き取りにくい。石桁真礼生の「レクイエム」は服部芳樹の詩による切々とした歌。三善晃「四つの秋の歌」は素直、坪田豊治郎「秋」は語りに近づく生き生きとした歌。小林秀雄の「落葉松」は健康的。田村の声の質やビブラートなしの歌い方はとてもよいが、時々音が上がりきらず(たぶん普通はビブラートでごまかす)ちょっと惜しいところ。Nippon Acoustic Records NARC-2152
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  53. * ロングトーンしつつポルタメントでくねる弦楽器(Vcか?)2にPf内部奏法、それに打と電子音が図形楽譜をなぞる。「残酷そして普通」はSQ+電子楽器でサイレンのようにくねくねするポルタメント。「破綻したアプローチ」は大太鼓、ゴングほかの低音域打楽器に目覚まし時計やホワイトノイズなどが重なる。「ダイナミック・アーキテクチャー I」はCbに無理やり出させた音を電子処理。「夢102」はBFl+BCl+Va+Vc+Pfに電子楽器でずっとA周辺の音を伸ばしているとあれこれ出来事が。Hat Hut Records 752156020028
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  54. * 《ナチス収容所パブロス・メラス、テッサロニキ 1941-1944》という副題を持ち、元は同名の映画のために作られた音楽。Cl+Vc+Pfという編成で、静かな諦念、そして突然襲う絶望、一転して希望が見えそうだがまたゆらぎ、厳しい課題に直面しては考えそして語る。映画では諸事情により一部のみが用いられたというが、これはオリジナルの全曲。 Phasma019
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  55. * 穏やかな序奏の後いきなり暴れだす2本のVnが神秘的な響きから奇想天外なフレーズまで駆使して歴史的な対話を表現。「ヴィジョン」はVn+テープで、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの旋律を電子処理して用いているという。「ピアノ組曲」は12音の神秘的な導入から飛び跳ねたりクラスターを使ったり、最後はフーガをもじったり。「未知の島」はPf入り室内オケで伝統音楽ぽいところがあるかと思うと荒唐無稽なフレーズが連発され怪しげ。かなり変(褒めてる)。「エコー」も近い編成だがPfなしで、派手なスペクタクルの遠くにギリシャの伝統がこだまする。 Phasma014
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  56. * 第1楽章「ムクドリ」は6台のマリンバ+ウッドブロックで沢山の囀りが呼び交わす。第2楽章「雲」は金属打弓奏、Glock、Vibなどにプリペアド・ピアノできらめき移りゆくく空。第3楽章の「バッファロー」は太鼓、シマントラ、うなり木を用いる。Oberlin Music OC20-03
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  57. * 林望の詩を男女の対話劇のようにし、Guitの伴奏とFlのオブリガートを加えて構成した。良い曲だとは思うのだが、クラシカルな歌い方だと、特にTenはきれいごとの作り物に聞こえてしまう。長めの音があれば自動的にビブラートをかけるのではなく、歌詞や流れに応じて使い分ければずっと説得力あるだろうに。MSのほうが違和感少ないのは声の質というか音域が語りに近いからか。器楽のみの各間奏曲はとてもしっくり来る。LiveNotes WWCC-7907
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  58. * 仏教思想を踏まえた6楽章で、Vc協奏曲でもある。地獄道、餓鬼道は暗く重く、畜生道はスケルツォ風、人間道はほぼ独奏のモノローグ、天道(と阿修羅道?)は落ち着かない分裂フレーズから重量級のトゥッティを経て第二転回のpp三和音で閉じる。アンプリファイドVc(電気Vcとどう違う?)なのはオケが分厚すぎるからか。「愛と悲しみの歌」はタイトル通り物悲しくちょっとウェットな歌曲。Ondine ODE1356-2
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  59. * 1管編成+2Picc+CFgに弦はVnなしの室内管に独奏Vnが1本という編成で、オケのみの序奏である第1楽章に続き2楽章以降が技巧的で才気あふれる協奏曲。第5番は管が少し拡大され弦はVaが独奏になってオケからなくなる。若干いびつな追い立てられるような感じで最後は増員された金管が輝く。第6番は逆に少し縮小された編成にVa.ダモーレが独奏で、ソロの比重が高いしっとり感ある佳曲。第7番はオルガン協奏曲で、残念ながらその気分でない。Ondine ODE1357-2
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  60. * 基本パターンを少しずつ変化させながら延々と繰り返すミニマリズム曲だが、多重録音でパートが微妙にずれてまた戻ったり、リズムの音を1つずつ減らして行ってまた順番に戻していったり、各パートがそれぞれリズムの一部を欠いて合わせ技にしたり。第1部は太鼓、第2部はマリンバに少し声、第3部はグロッケン、そして第4部でこれらが合奏する。Linn Records CKD582M
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  61. * 旋法的にところどころ半音高まる民族主題を何度も呼び交わす。素材に愛情を込めて豊かな名人芸で歌い上げる。「無伴奏チェロ・ソナタ」はそれを深め、哀切と渋面の踊りが楽器の奥から湧き出す。リゲティの「無伴奏チェロ・ソナタ」は第1楽章が学生時代の作というが、哀歌が王道の技法で書かれ、後年加えられた第2楽章は民族旋法を細かい音で弾き続ける造形。Naxos 8.574202
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  62. * サブ・バスから極小までのリコーダーを駆使する協奏曲で執拗なオスティナートやライブエレクトロニクスぽいものも含めた魔術的世界。最後のビッグバンド風は下手すると安っぽくなりそう。「暗闇の4つのレッスン」は電気チェロの協奏曲で神秘的な静寂と太鼓を伴う汚く不快な大音響の両端の間で。「教条的楽しみ」は子供向けミュージカルみたいな調子で始まるが徐々に霧に迷い込む。スケールとかB和音とか低音からのオスティナートとか同じパターンをいろんな形で繰り返す3曲構成。Naxos 8.574015
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  63. * キリキリと鋭いスルポン、ハーモニクス、ピチカートが飛び交う。副題が「モービル」なのでこれもモービル楽譜か。静かな緊張感ある曲を中心にA-B-C-D-C-B-Aの対称配置。エーリヒ・ウルバンナーの「SQ第3番」はゆっくりした単一楽章。さらにウェーベルンの「5つの楽章」「6つのバガテル」「弦楽四重奏曲」と、ABQの機能全開。Warner Classics 190295224844
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  64. * 揺らぐポルタメントに始まり低いDとEsをゆっくり往き来しながら次第に上方への動きが加わっていく。ギリシャの作曲家アントニノウの追悼として、同じ題名のフルート独奏曲が66曲も作られた。作曲家をいちいち列挙しないが、どれも哀歌なのでゆっくりしっとりしたもので、AFlやライブエレクトロニクスを使うのもある。このCDと032、033にそれぞれ22曲を収録。 Phasma031
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  65. * 複雑な無調のうねりからリズミックなもの、内省的な表現、はては内部奏法までさまざまな技法を駆使するまさに高度な練習曲。演奏は切れ味良く味わいもあって見事。 Phasma034
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  66. * リチャード・ダッドの《お伽の樵の入神の一撃》の世界をFlと高弦の高音中心できらきらした響きで描き唐突に終わる。パトリック・ジョン・ジョーンズの「楽しみは終わらない」は散りばめられた管の音に弦が随時応答する図形的な感じ。クリスチャン・ドリューの「ゆっくりした青を見よ」はCl系中心のゆるい和音を打が縁取る。ステフ・コナーの「頭への讃歌」は白鯨の頭だそうで物々しい金管合奏。エマ=ケイト・マシューズの「遠隔の重なり合い」は弓奏GlockとPf密集和音が微分音Clを呼ぶ。クリス・マコーマックの「銀の痕跡」はPf四重奏+2打がとりとめなく響き合う。雑多な寄せ集め。NMC Recordings NMCDL3046
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  67. * チンパンジーが宇宙飛行士になった61年の打ち上げを描いているというポップもどきのSQ+Cb。アレクサンドラ・ヴレバロフの「私の砂漠、私のバラ」は濃い目の弦の絡み合いが徐々にリズムを伴って高揚する。エフサン・マトーリはイランの打弦楽器サントゥールを加えた「テヘラン一人の時」ほか2曲。ブランドン・リデノアの「ニューパック・カノンとジーグ」はパッヘルベルのパロディ。ウィリアム・ブリテル「フューチャー・ショック」はジャズ、マルク・メリッツ「グルーブ・マシン」はミニマリズム風。ピート・シーガー「花はどこへ行った」が最後を締めくくる雑多な演奏会。Bright Shiny Things 712885473205
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  68. * ペルーの日常や景色の“ミラクル”に触発されたという8曲からなるSQ。民族音楽の要素もたぶん含んで変わった音律や野性的なリズムなど。「レジェンダス:アンデスの徒歩旅行」はより民族色が濃いがむしろ東洋風にも聞こえて不思議。Pizzと弓奏とハーモニクスをユニゾンにしたりポルタメントを挟んだり、いろいろな効果が雰囲気十分で楽しい。Bright Shiny Things 738715291856
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  69. * でたらめのようなシュールな単旋律のオクターブユニゾンからペダルで滲ませたりトイピアノを持ち込んだりする5曲。「バージョニング」も即興のようなユニゾンのPf、「スイッチ」はPfにMarbとトイピアノ、Eピアノが交代で使われる6曲、「チョイス」はPfのゆっくりした不協和音、「プロクシミティ」はフェンダー・ローズのワウワウ感が気持ち悪い。Veal Records 810430016379
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  70. * “すべてを加算する”と題された4手Pf曲で、調性とポスト調性を軽やかに行き来する。「旅の日記」は打アンサンブルのいろんな楽器が寄り集まっておもちゃの国のような旅行。「思考する気候」は真面目で調性的な小カンタータを装いつつ微妙に逸脱を潜り込ませる。Bridge Records BCD9447
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  71. * まぁいつもの通り反復されるパターンが少しずつ変化していくわけだが、短二度の重なりや二度の往復がすこし目立つような気がする。Bridge Records BCD9446
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  72. * Pfを含む10楽器アンサンブルで、低音の蠢きから始まって捉えどころのない高音部が姿を見せるがよく消化されないまま低音が戻ってきたりする。Nightshadeを冠する三部作になっており、第2は「交響的夜想曲」と題した室内オケ曲、最終は「夜のアダージョ」というフルオケで時間もだんだん長くなる。音域の高い楽器が寄り集まってごにょごにょするところは、音を少しずつずらして滲ませたり苦しげな和声で支えてみたりするが、やや独りよがりかなという感じ。Bridge Records BCD9433
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  73. * キタラ、代用キタラ、ダイヤモンドMarb、クラウド・チェンバー・ボウル、ハーモニック・カノンなどの独自楽器が大集合して中近東風の音楽が生まれる。「月の周りの輪」はMarbとハワイアンのような“応用ギター”のグリッサンドなどで例の43微分音(パーチ音律)。「野生の馬さえ」は言葉がほんの少ししかない3幕8場の劇で、バスMarbを様々なマレットで奏したり微分音がいっぱい出てきたりクラクションが鳴ったり。ボーナストラックは1953年「ダンス・シアターのためのサテュロス劇の音楽」の初演放送での紹介トーク。Bridge Records BCD9432
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  74. * もちろんブリテンを下敷きにしたパロディのようなものだけれど、ベース、ギター、ピアノ、ドラムなど楽器の紹介のほかデューク・エリントン風、ベニー・グッドマン風、ディジー・ガレスピー風などスタイルごとの変奏もあって結構楽しめる。ラトル+バーミンガム市響による管弦楽入門も併録。Warner Classics 190296990632
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  75. * 詩篇、エゼキエル書を中心にしたテキストを用い、当初はオラトリオとして作曲されたという、7にこだわった大作。4管編成オケ+2SMsTB+語り+混声合唱に別働隊4管という巨大編成で、暗く重い色調だが、分厚い響きだけでなくpでの重要な部分も多く声が前面に出されている感じでややショスタコ的でもある。IVは低音から重要な主題、Vは打が重要な役割。下降を繰り返すトムトム(かな?)が印象的。合唱が最後力尽きたかフラット気味なのが惜しい。Wergo WER6647-2
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  76. * Fl+Vn+Va+Cb+Pf+Hpで、古琴を模すHpからFlの風奏や弦のグリッサンドなどゆっくり開く花の中華芝居風表現という感じ。「ゴビの栄光」はモンゴルの旋律を用いたSQ。「セラシ断章」もやはり民族楽器を念頭に置いた鋭いSQ。「湖の風景」はVibにプリペアド・ピアノの音とSopがシンクロし「同 II」はMarb、Vib、弓擦Cymの打三重奏で同じ景色を。「竹光」は鋭い切れ味を持つ4つの室内オケ曲。Lei Liangは雷身。Bridge Records BCD9425
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  77. * BFl独奏で、トレモロ、エオリアン・トーン、キー・パーカッションなどの技巧を駆使し、幽玄の世界。「反対の偶然」はAFlで冒頭のフラッターが印象的。「新しい天使の恐れ」「スッコラリティ」はFl、「無限は」はさらにSopが加わる。「クルタークが歌う」はPiccで微分音も。 NEOS12011
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  78. * Va+打でゆったりした和音の交差に浮かぶ祈りと中東の音律を用いた舞曲。佐藤聰明の「歪んだ時の鳥たちII」は民謡のような懐かしさを持つVn+Pf曲をVa+Vibにした。リョーヴァの「影と光」はミニマリストにも通じそうな民族的な音の反復を生かした4曲。ジョヴァンニ・ソッリマの「ラメンタティオ」は野性的なリズムがさまざまな姿、そしてジャズに近づくVaのオブリガート。Bridge Records BCD9469
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  79. * 朗らかで基本は調性的ながら少しだけはみ出してみるような小品。アイデアのスケッチ帳というピアノ小品集は、ちょっと変わった実験の「CGのためのラグもどき」、繊細な「かすかに光る」、揺れ動く「モーニングサイド」、スウィングする「崖の散歩」など。Bridge Records BCD9463
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  80. * Fl+Cl+BCl+Vn+Cb+Pfという編成で、十二音ぽい音列があちこち飛び跳ねたり静かに揺らめいたりする。1977年。「Vnソナタ」は92年の急緩急3楽章でより分裂性が高い。「回想」は2002年でASax+Pf、「5つの幻想的小品」は13年でOb+弦3、「雲の上」は14年でVa+Pf、「そよ風」も14年のCl+Pfトリオで、少し歌心も。「鳥の夢」は1944年のPf独奏で調性と無調の間を揺れ動く。42年の「Pfソナタ」はかなり調性的。Bridge Records BCD9457
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