music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2022-03
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デイヴィッド・リプターク:
チェロ・ソナタ
(スティーヴン・ドーン+バリー・スナイダー)
儚くたゆたう独奏を少し距離感のあるPfが支えるIと打って変わって敏捷な動きで密に絡むII。「即興曲」はVn+Pfで跳躍の多い動きに叙情的な歌が挟まれる。「ダヴの歌」はSop+Pfでリタ・ダヴの詩による空を漂うような6つの連作歌曲。「ため息」はギター独奏でラモーからの引用や連想をキーにそれぞれ標題を持つ7曲。New Focus Recordings
FCR224
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マシュー・シュロモヴィッツ:
線と長さ
(スプリンター・リーズ)
Ob+Cl+BCl+Fg+Saxというリード楽器属五重奏で、ポルタメントや跳躍を多用した短いパターンの組合せで少しおどけた不安定さ。カーラ・ハーホの「演習」は交互に顔を出す遊びのIと民族風牧歌のII。エリック・ワッベルズの「聴覚シーン分析II」はハーモニクスから狂騒的断片交錯へ。テレサ・ウォンの「友人への手紙」は打的音や交互オクターブなどの実験。ヤニス・キリアキデスの「仮想の島」はノイズをまとった様々な響きの試み。スカイ・マックレイの「チョッピー」はこの組合せが如何に不快な音を出せるかの見本。New Focus Recordings
FCR222
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アレクサンドル・コシチュフ:
四俳諧
(ヨアンナ・フレシェル+ウカシュ・フジェンシュチク)
Sop+Pfで《若葉して》《丈六に》《いざ行む》《霧晴れて》の芭蕉(最後は正しくは越人)4句を侘び寂びというのか無調ながら繊細に歌う。「文房四宝」は墨紙硯筆をそれぞれ表現する4曲でCl+Pfが幽玄だったり素早い動きだったり。「5つの物語」はA♭E♭Dの3音のみや同じ動きを反復したりするミニマリズム的Pf曲。「既視の苦悶」はVn+Pfで捻れた苦しい感じが茫洋とした空間に広がり中間は病的な速い反復。「ガラス」はVn+Pfで冷たく静かで細い線の6曲。「挽歌」はCl+Pfの暗くしっとりした歌。Muzyczny Chopina
5903600615689
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アルフレード・アラシル:
軌道
(リュイス・マルサル+マヌエル・ガセント)
中庸のテンポで奏されるVibの十二音列の狭間に高低4音の打が挟まれ、様々な組み合わせを連ねて《無限宇宙》が構成される(1時間近い演奏の最後はまだ続くというようにふっと切れる)。「天国第2巻―あたかも幾何学者のごとく」はこの元になったもので、《無限宇宙》の上にロマン派コラールのようなダンテ「神曲」第33曲が重ねられる捻じれた世界。Columna Musica
1CM0402
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サンディープ・バグウォーティ:
宮城俳句
(ガブリエル・ダルモー+カン・ジウン+マティアス・バウアー+ピーター・エヴァンス+デイヴ・テイラーほか)
東日本大震災を受けて構想された“音楽による俳句”17句を、奚琴+Cb+声、Tp+2BTrb、Sax、Vn+Vc+Pf+打、Vaという5つの楽器(群)で奏したシリーズ。各曲(句)は5-7-5小節の3行で構成され、17句はリズムと旋律の有無および即興や拍の厳密さによる5もしくは7句のグループに分かれる。スコアを見ると例えばNo.1-5は五線譜、6-12はリズム譜の即興で13-17はきっちり書かれた楽譜を解釈に委ねるなど。それぞれの奏者がどんな音にしているかも興味深い。Dreyer Gaido
DGCD21113
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ペール・ヘンリク・ノルドグレン:
夢を見ているように
(マルコ・ユロネン+オストロボスニア室内管+ユハ・カンガス)
ゆっくり奏でられるVc独奏の長音がチョーキングのように微分音で揺れ動きホモフォニックに不協和音を重ねる弦楽合奏と拮抗しジグザグを経て静かに閉じる。Pf伴奏のオリジナルからの編曲で“旋律的=多声楽的クラスター”だそうだ。「チェロ協奏曲第3番」は泥臭さと調性感が混在する独特な感覚で連綿と展開していく4楽章。「Va、Cbのための二重協奏曲」は独奏2楽器と弦合奏+打+Pfで静謐から混沌まで起伏があるがノルウェイの民族音楽要素なのかやはり土臭い感じを纏う単一楽章。Alba
ABCD435
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ルイス・カーチン:
夢風景
(ジャクリーヌ・ルクレア+ミランダ・クックソン)
Ob+Vnのデュオが不思議な空気を醸しながら繊細なバランスで響き合う。「反射」はその響きを凝縮させて緩やかな流れ。「狂詩曲」はVn+Pfが三度下降モチーフを核に軽やかにまたゆったりと。「3つの警句」「抒情詩」はPf独奏で、前者は細かく複雑な動きを持つ急緩急の3章、後者は特殊な音や即興的なフレーズも持つ2章。「暗い山々/遠くの光」「祈り」はVn独奏でゆっくりした動きから多彩に変化する。New Focus Recordings
FCR225
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ローリー・アルトマン:
吟遊詩人の音楽
(フェファーコーン+ペトコフ+ミオリン+キューンリヒ)
Cl+Vcに13弦ギターを加えMSがギロー・リキエの詩をメランコリックに歌う。「冬の小路」はVc+Pfでで儚く移りゆく景色を。「眼の光」は13Gで邦楽かという響きもあるがぼんやりしている。ほかこれらの組合せで「3つのミニアチュア」「スタンダード・ツィスト」「日本組曲」「前奏曲第17番」など、どれもソフトジャズに少し手を加えた微妙な感じで、部分的には面白いものの、ヒーリング系と紙一重というか。
NEOS11907
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マデレイン・イーサクソン:
七つの渓谷
(ケルスティン・フレーディン)
ファリードゥッディーン・アッタールの詩「鳥の言葉」で伝説の鳥シームルグに出会うための旅としてうたわれる探求、愛、知、孤独な自由、団結、惑い、疲弊という7つの谷を描くリコーダー独奏曲。シンプルな音で始まりさまざまな技巧を駆使してまた静かな音に戻る。Daphne Records
DAPHNE1072
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ワインベルク:
室内交響曲第3番
(アン・ドゥチマル=ムロツ+ポーランド放送アマデウス室内管)
調はないがしみじみとした響きが透き通った無ビブラートでゆっくり奏でられ、くるくる変化する速い踊り、悲歌を経てゆったりした儚いワルツで終わる。「第1番」は穏やかに始まり繊細な調べから対照的な動的終章で締めくくる新古典主義的4楽章。「フルート協奏曲」は急緩急でクレズマー音楽につながる少しとぼけた味わいから陰りある歌そして絶えず波打つように動く舞曲に。いずれもオケは弦楽合奏。
DUX1525
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陳銀淑:
ピアノのためのエチュード
(フー・メイイ)
ハ調、セクエンツァ、トッカータなどの表題がつけられた6曲で、高度な技巧で自在に姿を変えていく。リゲティの「ムジカ・リチェルカータ」はバルトーク風民族要素を持つ11曲でほとんどA音のみの第1曲から順番に音を増やし最後に十二音音列になる。グバイドゥーリナの「音楽おもちゃ箱」は親しみやすい表題を持つ14の小品で子供のための作品ながら自由な広がりが懐深い魅力を持つ。Odradek Records
0855317003028
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ティエリー・エスケシュ:
メカニク・ソング
(レ・ヴァン・フランセ)
木五+Pfで低音Cの上のくねる旋律(作者によればバロック風)が魔術的に広がっていく。2006年。フィリップ・エルサンの「復活祭の歌」も古風な旋律で始まりいろいろ変奏されるが2016年という割に調性的。アンドレ・ジョリヴェの「セレナード」木五版は1945年、ミヨーの「ソナタ作品47」はFl+Ob+Cl+Pfで1918年だが速い楽章には面白みがある。ニールセンの「木管五重奏曲」は1922年だがお目出度く牧歌的。アルベリク・マニャールの「五重奏曲」は木管+Pfで1894年はさすがにロマンチック。Warner Classics
190295548407
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ペルットゥ・ハーパネン:
人形の庭
(デフネセンブ)
Fl/AFl/Picc+Cl/BCl+Vc+Hp+Pfにライブエレクトロニクスで、コキコキポキポキした素材に呼吸の音を強調した組合せで前半はそれなりだが半ば過ぎのピークは耐え難い不快な音になる。アスタ・ヒュヴァリネンの「あり得ないこと」はBClやVcなど低音楽器で始まりと鋸ノイズに電子音。クリスティアン・ウィンテル=クリステンセンの「4つの超現実歌」は単調な音階上下などの素材とノイズの組合せ。サミ・クレモラ「頂点」は雑音。木山光の「Death Metal Rock~」も汚い音で滅茶苦茶弾いてみせる。これらのアプローチはあってもいいが不毛な感じが漂う。Alba
ABCD508
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ピエルルイジ・ビローネ:
顔
(アンナ・クレール・ハウフ+PHACE+レオナルド・ガルムズ)
Fl+Cl+Va+Vc+Cb+EG+Pf+Sax+2打+暫定の11奏者に声を加え、茫漠とした中に時おり奇怪で凶暴な音(EGとかSaxとか)を闖入させ、疑似古代ギリシア語だという文に妙な指示がたくさんあるテキストを野生的に唱えたりする。最初聴いた時はパスしたが凶暴音をスキップすればまぁ実験としてなら受け入れられなくもないか。Kairos
0015040KAI
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エドワード・カウイー:
歌が生まれた場所
(サラ・ミネッリ+ロデリック・チャドウィック)
Fl+Pfの4巻各6曲で、オーストラリアの鳥の様子を描く24の小品集。さまざまな跳躍やフラッター、風奏、声などを組合せていろんな姿の鳥が飛び交う。Metier
MSV28620
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アンドレアス・ハインツ・ヒューゴ・ズベルク:
レオナルド・ツィクルス
(ダニエル・グローガー+オラフ・ツショッペ+ズベルク)
レオナルド・ダ・ヴィンチの写本の余白に残された予言的メモを素材にした「金属について」「皮について」「剣と槍について」などの9章。カウンターテナーの呪術的な歌に打+電子音ノイズ、さらに曲によってトランペット、アルプホルンを加えて、プリミティブな音を積み重ねて神秘的というか不気味というか、奇妙な世界が展開する。Wergo
WER7380-2
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ミシェル・ペトロシアン+アラム・ホヴァニシアン:
7人、シンジャールの天使たち
(ブルーノ・マントヴァーニ+アンサンブル・オルケストラル・コンタンポラン)
1週間かけて神が7人の天使を創造するというイェジディの神話によるバレエ。12奏者の小編成アンサンブルで、尺八のようなFlの長い独奏(土曜=ヌライル)に始まり異なる楽器がそれぞれの天使を描き、金木水…と逆行して孔雀天使マラク・ターウース(日曜)でトゥッティに至る。クルド人の少数派だということで、その地方の伝統につながるテーマが用いられていると。PA Monte-Carlo
3770005867232
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ウォルフガング・リーム:
線についてVII
(ラシェル・コブリャコフ)
無調ながらしみじみしたVn旋律が悩ましく発展し広い音域を駆使して動きながらまた消えていく。マティアス・ピンチャーの「《ヴェールについての考察》への習作第3番」はトゥオンブリの絵をめぐり高音ハーモニクスの戯れから幽霊めいた虚ろな音まで。オルランド・バスの「Vnソナタ」は込み入った上下運動をしっとりまた激しく。終楽章はPizzのみ。ブーレーズの「アンテーム」は静かなDからトリルを交えた上下運動そしてPizzと変化し静と動が交錯する。ヒンデミットの「無伴奏Vnソナタ第1番」は超絶技巧と沈思を組合せた急緩急緩急5楽章。Orlando Records
9120040737443
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ミシェル・メルレ:
四度の遊び
(マシュー・オーデル)
ストラヴィンスキーのカルタ遊びをもじったタイトルでこだわりの響き。「パッサカリアとフーガ」は師オーバンの名からとった主題が展開する。トリスタン・ミュライユの「別離の鐘、微笑み」はメシアンへのオマージュ。ブーレーズの「12のノタシオン」は12曲すべて12小節で十二音技法を用いているという初期作品。メシアンの「鳥の少スケッチ」は鳥のカタログの余韻とでもいうか1985年の短い6曲。そして前奏曲の6番と幼子イエスの第10曲で全体が挟まれる。Albany
TROY1759
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スティーヴ・ライヒ:
警句
(シナジー・ヴォーカルズ+コリン・カリー・グループ)
ヴィトゲンシュタインの「何と小さなひとつの考えなのか、人生全体を満たしてくれるのは」を繰り返す3Sop+2TenにEOrgを重ね途中からVibのシンコペが加わる。「マレット四重奏」はVib+Marbの3楽章、「木片のための音楽」は木打のシンコペ、「手叩きの音楽」はその名の通りのリズム遊び、「パルス」はFl+Cl+Vn+Va+Pf+BGでエコーのように滲みつつ上下するパターン反復。Colin Currie Records
CCR0003D
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アンドリュー・ノーマン:
ソネット
(ケイトリン・サリヴァン+ヴィッキー・チョウ)
自然倍音ハーモニクスのみを使うVcにPfの下降音律も寄り添うがなぜか最後はPf和音のみ。以下Vc独奏でパオラ・プレスティーニ「オフィーリア」はFEDのような下降が耳につく音律。ガブリエル・カハネ「私の墓は底のない空気だろう」は大きな跳躍で味のあるアルペジオ。ニコラス・ブリテル「最後の問」はCFC'という上昇からのしみじみとした歌。サラ・カークランド・スナイダー「予約されたもの、寡黙なもの」は深い波が次第に激しく。マリー・クユムジャン「星の反乱」はアラブ風に電子音など混ぜ。ティーモ・アンドレス「速い流れの川」はOrg付きメロドラマ。New Amsterdam
NWAM113
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ヨハネス・シェールホルン:
アナモルフォーシス
(リミックス・アンサンブル・カーサ・ダ・ムジカ)
フーガの技法から6つの対位法(フーガ)と2つのカノンを選び、Cl+BCl+Hr+Tp+Trb+Tub+Vn+Va+Vc+Cb+Pf+Accordという編成での新しい表現を生み出した。微かに始まるフーガVI、笙のようなAccordに導かれるIV、各楽器が細かく掛け合うIX、ジャズも響く拡大/反行形カノン、神秘的にXI、倍速で飛び回るX、忍び足で呼びかけ合うVIII、そして丁々発止の八度のカノン。一体感は少ないかも知れないが、よく作り込まれていて面白い(ちょうどバッハの誕生日だし)。PA Monte-Carlo
PRI019
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マルク・モネ:
動きなく、世界なく
(マルク・コッペイ+リエージュ王立フィル+クリスティアン・アルミンク)
4つの楽章の前に代替/スケッチと呼ばれる導入や間奏曲を置く10部構成のVc協奏曲。ゆっくりした三度の動きと滑り落ちる速いパッセージあるいはその逆行。「動き、予見できない、そして…」はシャルル・ペンネキンの詩から受けた印象に基づくというVn協奏曲で細かな音がくるくる回転する単一楽章。PA Monte-Carlo
PRI020
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カルロ・フォルリヴェジ:
孤独と静寂の中へ
(重成礼子+佐藤紀雄)
微分調弦のギター+箏デュオで擦ったり叩いたり面白い響き満載。「雨月」は尺八+ギターで一定の動きのあとカデンツァ。「バラの生活」はCl+PfにIはVc、IIはVaと室内オケが加わる幻想空間。「沈黙の月」は琵琶+声でジャコモ・レオパルディの詩をなぜか日本語で。「新しいモテット集」は2、3声のア・カペラ。「心臓の右側の点」は内部奏法を駆使するPf独奏。「鏡のむこうに」はその冒頭に似たPfに始まり鳥の声や電子音など8chの合成。「要素」はコンピュータ合成音でゴルトベルクも響く。「2つの装飾」は室内オケの短い実験2曲。あとOrg入の曲もあるが不要。Tactus
TC970601
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カイヤ・サーリアホ:
4つの瞬間
(リナ・ヨンソン+アンネ=マリー・リプソネン)
アミン・マアルーフの詩《願望》《苦痛》《瞬間の香り》《余韻》の4曲で、全体にゆったり神秘的で夢の中のようだが第2曲は強い叫びも。ロルフ・ヴァリーンの「リルケの3つの詩」は《愛の歌》《栄光の仏陀》《最後の一片》の変幻自在な3曲。ペア・ノアゴーの「3つのマグダレーネの歌」はハネ・グロースとノアゴー自身の詩によるやや感傷的に揺れ動く歌。
AMC006
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バーナード・ランズ:
ピアノ協奏曲
(ジョナサン・ビス+BBCスコティッシュ響+マルクス・シュテンツ)
2013年だけれどもどこかで聴いたような古いふわふわした感じが漂うのは減七を多用するからか。「ショウコのための音楽」はEHr+SQでオケとの協奏曲の第2楽章「朝の詩」の編曲。「太陽の歌」はボードレール、ランボオ、オーウェルなどの14の詩を用いて夜明けから夕暮れまでを歌うモヤモヤとしたオケ伴歌曲。1983の曲で同じ感じ。Lyrita
SRCD379
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メリッサ・ヒュイ:
現実の地図
(フリクション四重奏団)
細切れの微分音的和声やポルタメントあるいはノイズなど異なる5つのテクスチュア。ダン・ベッカーの「ロックダウン」はリズミックに交代するホケットが推進する。ジョン・ハルの「球体」は上行音形の反復がいろいろと変形されていく。ベリンダ・レイノルズの「オープン」は単純な動きが強弱の起伏をつけながら進む。エド・ハーシュの「トリル」はD音トリル上のシンコペから広がっていく。キャロリン・ヤーネルの「独白」は間欠Pizzだけからその上での叙情に。マルク・メリッツの「弦楽四重奏曲第3番」はゆったりした子守唄。ランドール・ウールフ「運なければ幸なし」はうるさいだけ。
INNOVA024
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ラモン・ゴリゴイティア:
届く範囲で…
(サラマンカ現代音楽工房)
Mezzo, Fl+Cl+Vn+Va+Vc+Cb+Pf+打にMSの歌でとりとめなく漂う中に時折出来事が。「八つ裂き」はCl独奏でいろいろな音色を組合せて動きたまに声も。「不屈」はCl+Vn+Vc+PfにAltoの歌でちょっと安っぽい響き(録音)。「星の大空II」は混合合唱+器楽にビデオプロジェクションを加えゆっくりポルタメントで上下する。「無線(機)電話II」は2FlでD♭音中心の反復が徐々に変化。「すでに演奏した明日」はASaxとアンサンブルでジャズ風のセッション。弦の入る曲は特にVnの音程が悪く興ざめ。Da Vinci Classics
DV-C00333
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シルヴィー・クルボアジェ:
過ぎ去った時
(マーク・フェルドマン+クルボアジェ)
Vn+Pfの夫妻デュオでジャズをベースにした緩やかな流れに内部奏法なども取り入れカデンツァを散りばめる。「オーネットのための破片」は速い技巧的Vn。フェルドマン(モートンではない)の「歌ではない、他の歌」はPfの肘和音を入れるかと思うと神経質に動き回ったり。共作の「別の世界への郷愁」はハーモニクスを生かし「地下回廊」「有用の限界」は内部奏法に打も加えた音の遊び、「盲点」はグリッサンド駆使、「青い真珠」は緩急の即興的エネルギー。Intakt Records
INTAKTCD326
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ミェチスワフ・ワインベルク:
ピアノ・ソナタ第1~3番
(ピオトル・サワイチク)
第1番は1940年(20歳頃)の作品5で調性をはみ出し引っかかりが残る4楽章。第2番は42年の作品8で順次進行を用いたフレーズが目立つ4楽章。第3番は46年の作品31でやはり調性的な部分要素が歪みながら連なって疎外された哀愁のようなものを感じさせる3楽章。Polskie Radio
5907812242527
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クリスティアン・オッフェンバウアー:
ヤンナ・ポリツォイデスのために
(ヤンナ・ポリツォイデス+アンサンブル・ディ・ライエ)
SopとPfにFl+Cl+BCl+弦5各1+Hp+打のアンサンブルで、ほとんどがA-E音を中心にしたロングトーンのみの伴奏にほんわり独奏が乗りゆっくりと変化していく。「ピアノ小品2018」はゆっくりと滴る重音のパターンが徐々に変化しそこはかとなく水面で漂うようなランダムなつながりになる。Paladino Music
9120040733124
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アレン・ブリングス:
フルートとピアノのための二重奏曲
(クリストファー・モリソン+ステファニー・D・ワット)
バッハのインベンションの素材を用いているという無調の急緩急3章。リー・アクターの「VnとVcの二重奏曲」は丁々発止でやり取りされ次々に表情を変えていく無調の単一楽章。シドニー・ベイリンの「青い嘆願」はBCl独奏でブラームスのクラ5第2楽章(むしろショスタコ5みたい)を変形したようなモチーフ。スティーヴン・ケネディ「マリアン」はVn+Pfで完全に調性音楽だが時々外れていくように聞こえるのは音程の問題だけではないはず。ピーター・グリーヴ「アリア」はTp+Orgで半ば過ぎまで陳腐だが突然爆発してまた元に戻る。全体的に意味不明のごった煮。Navona
NV6227
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ウォルフガング・リーム:
狩猟と形式
(フランク・オルー+バイエルン放送響)
2本のVnが細かな動きで戯れるうちに他の楽器が加わり細かな三連符を中心とした動きが複雑に積み重ねられていく。1995/2001に最初のバージョンが書かれたがこの録音はよりリッチに手を加えたという2008年版。Guit、Hp、Pfも加わるのに対し弦は各1本のみで管もソロの動きが目立ち一種のオケコンのよう。BR-Klassik
900640
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ウォルフガング・リーム:
研究の成果
(タマラ・ステファノヴィッチ+バイエルン放送響)
Pf+Hp+2Cb+2打という編成で、ゆっくり静かに断片が重ねられて行く重心低めの曲。「スターバト・マーテル」はBar+Vaと珍しい組み合わせが寄り添ったり離れたりしながらしみじみ歌う。「男性から男性へ2」はCl独奏と2Va+Vc+2Cb+2Hp+Pf+打で微分音を交えゆらぎくねりながら繊細な音を紡いでいく。BR-Klassik
900639
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ルイス・デ・パブロ:
解剖学
(マリー・テレサ・プフィス+フアン・ガルシア・ロドリゲス+サイール・エンセンブレ)
Va独奏+2Cl+Hr+Trb+Hpという変わった編成の室内協奏曲でピカソの素描から着想を得たという。独奏がさまざまな素材を繰り出す1楽章、ゆっくりHpの伴奏に乗る2楽章、タランテラのような終楽章。「エロス」はVcとPfを独奏にした二重協奏曲で自然倍音ハーモニクスがしばしば使われその周りに展開するような印象。「室内協奏曲」はPf独奏と18楽器が色彩豊かに生き生きと動き回る。
IBS-12019
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クルターグ:
破片
(マリアン・マルツィ)
短く即興的な感じのピアノ小品4曲。3曲目以外はゆっくり。ツィンバロンで演奏されることもあるらしい。ギューラ・チャポの「究極の目標」はゆっくり歩みながら時々風が吹く。ゾルターン・イェネイの「リチェルカーレ」「砂漠のアルチュール・ランボー」は極低速の十二音技法風。バルトーク「3つのブルレスク」は20代半ばの気紛れな小品。コダーイ「7つのピアノ小品」「ドビュッシーの主題による瞑想曲」はハンガリー風ドビュッシーというかメロウに弾かれると陳腐。ほかリゲティ「練習曲集」、ラースロー・ライタ「Contes」から各1曲。Odradek Records
0855317003073
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レザ・ヴァリ:
カリグラフィーズ
(プントス四重奏団)
四分音を含むシュールというペルシャの旋法を用いたなんともエキゾチックな3曲。「愛の歌」はPfQでこれもペルシャ民謡だそうだがちょっと俗っぽい。サディ・ハリソン「世界一古い歌」は2Vaで古代アラブとシリアの素材による不思議な味わいのデュオ。ケヴィン・ビショップ「朝の歌」はヒンドゥー音楽によるSQ、「アフガニスタン組曲第2番」はゼルバガリと弦五でタイトル通り。ジラード・コーエン「10の変奏曲」はOb+SQ+Pfで色々混合されたエキゾチシズム。モハネド・アリー・ファラグ「狂詩曲」はSQ+Pfでエジプト伝統音楽が素材という。Metier
MSV28589
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ロバート・モリス:
前方に描かれ
(イレラ・ブラザーズ・デュオ)
Vn+Pfで十二音技法によるらしい途切れ途切れのフレーズをつないでいく。「変奏の中で」は上下跳躍の幅が大きい主題が緩急自在に動く。「…徐々に…」はハーモニクスを用いた提示から間を取りつつやや密やかな手触りで音を探っていく。Centaur
CRC3696
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スピロス・マツィス:
無限を見つめて
(ネオ四重奏団)
C音の周りで滲んだりクラッシュしたりしながら広がっていくSQ。ハリ・カナキスの「弦楽四重奏曲第2番」は自動記述で書かれたという無調単一楽章。デュミトリス・コストプーロスの「戦場のイメージ」は少し物悲しい。ジョルゴス・パパミトルーの「アクア」は水の姿を雨粒、波、流れの3章で描く。エレーナ・パパリの「弦楽四重奏曲」は憧憬とPizzの踊りが行き交う。ハラランボス・プラタヌーの「弦楽四重奏曲第1番」は気紛れな旋律が暖かい。ディミトリス・シンパノスの「弦楽四重奏曲第1番」は各楽器が忙しくまた鷹揚に戯れる。
Phasma007
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スコット・ブリックマン:
バガテル
(イヴォナ・グリンカ)
AFl、Fl、Piccの3章で八音音階の十二音技法。ダニエル・アダムズの「蛇紋石の輝き」はBFlでマヤのククルカン神殿の印象だという。デイヴィッド・ドレクスラーの「電気」はフラッターや指変え微分音などを用いる。ハリ・カナキス「オウムの秘密」もフラッターで始まる。ホセJ.A.ソウサ「ホログラム」はAFlが漂う。フィリップ・サンデ「ヴィジョン」「ディオニュソス」「バブルトーク」は神秘的。ジェイソン・タウリンス「マーシャス」はギリシャ神話。トラヴィス・リグビー「蝶々」は夢想。フレデリック・グレッサーの「贈り物」は哀歌。ほか調性的Pf伴奏曲は割愛。
Phasma005
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エリカ・フォックス:
弔問客の通る道
(リチャード・ベイカー+ゴールドフォールド・アンサンブル)
Fl+Ob+Vn+Va+Vc+Cb+Hp+打で、各楽器が思い思いにモチーフを並べるが方向は定まらず微分音的不協和音になったりして拡散したまま。「ほぼ一つのカデンツァ」はCl+Hr+Pf、「サンミケーレのストラヴィンスキーの墓を訪ねるにあたり」はPf独奏、「憂鬱な軍人」はVn+Va+Vc+Pf、「カフェ・ワルシャワ1944」はFl+Ob+Cl+Vn+Vc+Pf+打、「万華鏡」はFl+Vc+Hp+Vib。どれも捉えどころのない断片の集積で奇妙な感覚の世界を構成する。NMC Recordings
NMCD254
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ヤニス・クセナキス:
夜
(グループ・ヴォカール・ド・フランス+トランシャン)
12人のア・カペラ混声合唱で、シュメール語から古代ギリシャ言語のコラージュによるというテクストをポルタメントや叫び声など多彩な表現をくねくねと重ねていく。メシアンの「5つのルシャン」も12声部のア・カペラでサンスクリット語風の創作言語とフランス語の歌詞が野性的な旋法とリズムで歌われる。「おお、聖なる饗宴」は静かなコラールの和声が消え入るように沈んで行き再び浮き上がる。Arion Music
3325480680847
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武満徹:
カシオペア
(ツトム・ヤマシタ+日本フィル+小澤)
エキゾチックな打楽器をたくさん並べて禅問答的な間を取りながら鳴らしオケはジグザグ音形のモチーフなど硬質な音で応える打協奏曲。石井眞木「遭遇 II」は雅楽アンサンブルとの協奏曲でクラスターの上に和楽器がいろいろ鳴る。Warner Classics
190295413347
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ニコラス・シンプソン:
弦楽四重奏曲
(ゼルコヴァ四重奏団)
「ト短調」はゆっくり静かに回転するようなモチーフが時折調を外れつつ回帰ながら強い響きに向かい、シンコペーションの効いた踊りの中間楽章を経て穏やかに揺らぐ終楽章は結尾で捻れた強度を示すも静かなDesそしてG-moll。2013年。「ハ長調」は変ニ短調の遅い序奏からハ短調の弾む主題が古典的に展開し、調性の曖昧な緩徐楽章から終楽章は1楽章の主題が変ロ長調で提示されてどんどん変化しCに収まる。1994年。「思い出の音楽」はキャスリーン・レインの詩をゆったり歌うSopを加え調もSQの動きも揺れ動く。1988年。Stone Records
5060192780871
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アンナ・ソルヴァルドスドッティル:
推移
(アンネ・ランツィロッティ)
ハーモニクスや軋み音、胴叩きなどがゆっくり遷移する中で分散和音や微分音的重音を奏でる不思議なVa独奏(原曲はVc)。アンドリュー・ノーマンの「ソネッツ」はシンプルで繊細あるいは偏執な動きで対話するVa+Pf。「サビーナ」は緩やかなアルペジオが動きを増し軋むVa独奏。キャロライン・ショウの「あなたの手の中に」も調性的なアルペジオを軸に軋んだりはみ出したり。アンネ・ランツィロッティの「灰色」は硬質打楽器が波打つ中でVaのゆっくり長い音が滲む。New Focus Recordings
FCR231
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ジャニス・マコーリー:
3つの小品
(アルティウス四重奏団)
急緩急の個性的3楽章は適度に踏み外したコントラスト。ジョナサン・ニューマーク「頭に縁飾りのないトム・ドゥーリー」は短いながら気の利いたパロディ。アラステア・ホワイト「弦楽四重奏曲のための2つのパネル」も短いが面白い遊び。ベス・メホチッチ「ピカソの飛行」は熊蜂の飛行のパロディかと思いきや中間部には歌あり。フェルプス・ディーン・ウィッター「弦楽四重奏曲第4番」は単純な音を操ってはいるが2楽章は凡庸。ゲイリー・スマート「アフリカ系アメリカの歌による3つの幻想曲」はブルースを基本にポルタメントなど少し工夫。ブルース・バブコック「今の瞬間」は平凡なメロディと少しリズム。ノラ・モロー「薔薇の月」は平和な調性的3章。Navona
NV6239
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エリオット・カーター:
ピアノと木管のための五重奏曲
(ルティエク+ブルグ+カザレ+ヴァレーズ+デゼール)
Fl+Ob+Fg+Hr+Pfで無調の複雑な模様が緩やかに描かれる。Hrが独自の役割。1991年。「VnとPfのためのデュオ」は目まぐるしく変化するVnをPfがなめらかに支える。1973年。「風に書く」はFl独奏で91年。「思慮深い軽さで」はCl+Vn+Vcで90年。「内なる歌」はOb独奏で92年。「荒い精神/優しい精神」はFl+Clで84年。「グラ」はCl独奏で93年。「魅惑のプレリュード」はFl+Vcで88年。Arion Music
3325480684951
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セアン・ニルス・アイクベア:
夏草や
(シュナイダー+リューツェン+クラルップ+グリューステン=イェンセン)
広島の被爆者に芭蕉の句を重ねたPf四重奏曲で、575を和声やリズムの原素材とし、静謐と苦悩を行き来する。「荒廃」は木管+弦+Pfで重く荒々しい音からやや民族的に展開する。「破片」はピアノコンペ課題曲として書かれた19のさまざまな技巧、表現の集まり。(NMLは曲名入れ違えている)「ネフェルティティ」はちょっと魔術的なロマンティシズムという感じのPf独奏。Dacapo
8.226556
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フランチェスコ・ホッホ:
新要素の透明性
(グルッポ・ムジカ・インシエメ)
室内オケの楽器が単音や半音階上下運動をそれぞれ投げ出す。「ある言葉の本質を考察する」はより厚みを増したあるいは落差を持った音の交錯。「示される図」はいくつかの群をなす繊細な音あるいは図形がとりとめなく組み合され(反復され)る。「砂丘」はVn+Vc+Pf+2打の乾いた音に囁く声が2人。「観客へ」はア・カペラ自動合唱が頼りな気な声がランダムに動く。Musiques Suisse
MGB-CTS-M9
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ロベルト・ズーター:
管弦楽のためのソナタ
(パウル・ザッハー+バーゼル放送響)
次々に上昇するモチーフがファンファーレのようにもなる1楽章、ゆっくり底から湧き上がる2楽章、細かな破片が飛び散って水面に浮かぶような3楽章。「下降」は3Clが超高音で絡み合うところにGuitが侵入し中音域から低音へ。「FlとObのための二重奏曲」はトリルやフラッターで主張し合いながらもつれる。「音楽の日記第1番」はFl+Ob+Fg+Vn+Va+Vc+Cbで遅い合奏の両端の間に木管/弦のみなどの組合せの舞曲(ただし中央は遅いドルチェ)とAltoがホフマンスタール/トラークルの詩を歌う4曲が交互に置かれる11曲構成。Musiques Suisse
MGB-CTS-M103
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デイヴィッド・フィリップ・ヘフティ:
おお、星よ!
(ファビオ・ディ・カソラ)
高音域で動き回るかと思うと微分音で下降する自在なCl独奏。ミカエル・ジャレルの「類韻」は広い音域を自在に動き回る静と動。ピエトロ・ダミアーニの「悲歌とブルレスカ」は少しドビュッシーも思わせ装飾音豊か。ハンス・ウルリヒ・レーマンの「モザイク」は19のシーケンスから成るという。ルネ・ゲルバーの「バッハの名による幻想曲とフーガ」は練習曲かという詰込み。マリオ・パリアラーニの「一部不明瞭な点」はF音反復からの広がり。ジャン・アントーニ・デルングスの「Clのための3つの小品」は楽器の持ち味よく生かす。アンドレ・ジョリヴェの「禁欲主義」は詩的と思えば狂気のふりもする5章。Musiques Suisse
MGB-CTS-M103
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ユルク・ウィッテンバッハ:
アンコール!
(ユディス・ケラー+トーマス・デメンガ)
アルフォンス・アレーのテキストをMSが演劇的に語り歌いVcが相方役者のごとくぼそっと弦を鳴らしたり楽器を叩いたり。ハーモニカも動員される。「3つの暴力の歌」はVn独奏者が砕けた歌を歌いながら合いの手のように楽器を奏でる。「オマージュあるいは“フロイ(ン)デ!こんな音ではなく…”」はTrbが独奏がやはり語り歌いながら。「ラメントローソ」はCl奏者6人がラブレーのテキストを語り歌ったり何かを叩いたり。これら歌との組合せはすこぶる興味深い。あと「セレナード」はFl+Clが時にすれ違いつつまったりと戯れる。Musiques Suisse
MGB-CTS-M37
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エドゥ・ハウベンサク:
5つの関連
(トマス・ベーヒリ)
協奏曲のカデンツァかと思うような豪華な始まりはすぐに微分音ピアノの響きと分かる。正確には白鍵と黒鍵を異なる音律にした六度調弦というもので、絵画の陰影法に比する強弱の対比により摩訶不思議な世界が描かれる。「ピアノ組曲」は平均律の五度をそのままに半音を循環的にずらすという七度調弦。「6つのワルツ風小品」はロバート・ワルサーの警句をSopとVnで秘密めかして奏でる。「97弦のための間違った演奏会」は24のスコルダトゥーラ弦楽器を5群に分けて各々20セントずらし、かつ各奏者は途中で調弦を下げまた上げるという。グリッサンド応酬で“正しい”音はますます不明に。異様な面白さ。Musiques Suisse
MGB-CTS-M118
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ロルフ・ウルス・リンガー:
雑多な練習曲
(ベルンハルト・エルネ+チューリッヒ室内合唱団)
諺的なテキストを抑揚をつけて語り歌うア・カペラ話合唱。I-IVに続けてV-XIIが「Chari-Vari-études」。「6つのピアノ小品」はドビュッシーからの直接引用を含み語法もそっくり。「明日の記憶」「記憶II」はSop+Fl+Vn+Va+Vc+Hpでこれまたドビュッシーのような柔らかい音に包まれつつ少し旋法風なところも。「ずっと、ずっと昔」はA-E音を中心にゆったり流れるFl独奏。「残響」は映画音楽崩れっぽいオケ曲。経歴にはダルムシュタットとかあるが、どんなものか。Musiques Suisse
MGB-CTS-M29
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ジム・グリム:
室内協奏曲
(ヘンネベルガー+アンサンブル・フェニックス・バーゼル)
Fl+B/Cl+Tp+Vn+Va+Vc+打であまり騒がず余白をとって少しずつ音をミックスさせる。一部銅鑼がうるさくなる。ベアト・フラーの「スティル」はより大きな室内オケでスピードのある硬質の音が次々繰り出される。ファウスト・ロミテッリの「溶解する欲望」は17楽器で滑り落ちてくる音を繊細に扱っているのに途中から暴力的雑音に。ホルヘ・サンチェス=チョンの「ベネノ第5番」、アレックス・ブエスの「分裂症の幽霊」は耳を覆う騒音。Musiques Suisse
MGB-CTS-M110
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トーマス・ミュラー:
歩く.31 前後運動
(クラウディア・リュエッグ)
プリペアド・ピアノが様々な音色でうごめく。「歩く.断章」はCl+Vn+VcでPizzや短い音が断片的に繋がっていく。「速度の最後の兆候(第1章)」はFl+Ob+Saxは変遷する音の周囲を3つの楽器が漂う。「2つのシーケンス」はCl+3Trb+Vn+Vc+Pfで禅問答的なIと動き始めるII。「エフォイ II」はFl独奏で即興に聞こえるがシューベルトを引用しているらしい。「私はその記憶を失った」はFl+Cl+Vn+Vc+Pfでポツポツとした動きだがこれもシューベルトからと。Musiques Suisse
MGB-CTS-M65
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アンリ・スコラーリ:
弦楽四重奏曲
(シネ・ノミネ)
特殊奏法を用いず和声とソノリティで新しい表現を追求するといえばよいか。同フランク・マルタンは民族風だったりアリアだったりするやや古風な4章。ミシェル・ホステットラーは半音階的にうごめく3章。ジャン・ペランは無調ながらかっちりした緩急緩急の4章。ジュリアン=フランソワ・ズビンデンはやや脱力系の3章。ジャン・バリサの「失われた黄金」はコクトーの詩を朗読してからSQが切り込む7章。ウィリアム・ブランクの「断章I」は途切れ途切れの要素が寄り集まり焦点が見えてくる。Musiques Suisse
MGB-CTS-M57
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モリス・クリップハウス:
鋸歯
(アリステア・サング)
VcのハーモニクスやPizzによる素朴な音にテープ音を重ねる。カシム・ナクヴィの「青白い風景」はVcの無機的な音を電気処理して何かやってみている3章。アリステア・サングの「横流」はポルタメントや分散和音を電気増幅。モリー・ジョイスの「視野狭窄」はA音の刻みや切込み連続から徐々に広がる。アールト・ストロートマンの「砕かれたカノン第2番」もミニマリズム的戯れ。チェロと電子音の組合せでいろいろ試みるも残念ながらチープ。7 Mountain Records
7MNTN033DIG
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ジャック・ヴィルドベルガー:
ある時は自由に、ある時は厳密に
(ワルター・グリンマー)
胴叩き、コル・レーニョ、Pizzなどを組合せ自由と厳密の間を行き来するVc独奏。パスカル・デュサパンの「常に」は音色を刻々と変えながら微分音も含めてじっくり語る3章。ハンス・ウルリヒ・レーマンの「演習」は奇数楽章で技巧的に、偶数楽章で語る6章。クラウス・フーバーの「ラザラス」は一部プリペアド、内部奏法も多用するPfを加えて広がる空間。尹伊桑の「7つの練習曲」は技法的にはオーソドックスな無伴奏Vcながら深々とした十二音技法。Musiques Suisse
MGB-CTS-M67
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ディーター・アマーン:
聞かれた形(オマージュ)
(モンドリアン・アンサンブル)
Vn+Va+Vcのトリオでポルタメントで下降するI、細かな音が交錯するII、強弱を繰り返しながらPizzとコル・レーニョになだれ込むIIIの3楽章。クセナキスの「イコール」も弦トリオで交互に引っ掻くような音から激しい衝突まで。Ikhoorとは神の血液らしい。ミシェル・ロトの「内面化」はVn+Vc+Pfで冷たくゆっくり始まり高揚する。マルティン・イェジの「シェブカ」はCbを加え微分音的で模糊とした動きからだんだん激しく。ジャチント・シェルシの「弦楽三重奏曲」は4つの楽章がそれぞれB、F、H、Cの各音を中心に微妙な音程で揺らぎ楽章が進むほど幅が広くなる。Musiques Suisse
MGB-CTS-M88
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ミッシャ・ケーゼル :
柔らかな朝、都市」を、トリオ・コンテクストの演奏で。(ジョイスの?)テキストを読み上げたテープを極低速で再生する上でBFlが呪術のようにつぶやき徐々に音域が上昇して打を重ねて動き出し音声も聞き取れるようになる。ウィリアム・ブランクの「明るい音
(トリオ・コンテクスト)
BFl+2打でゆっくりしたもやもやの中で尺八と鐘のような幽玄の境地が。ベッティーナ・スクルチプチャクの「宙吊りのトッカータ」はFl+2打で機敏な動きをしつつふっと立ち止まって様子を見る。ディーター・アマーンの「緊(持)張」は風奏を多用してゆっくり始まるFlと金属打や鍵盤打が対話し踊りだす。Musiques Suisses
MGB-CTS-M129
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