music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2022-05
ジョージ・クラム :
ブラック・エンジェルズ
(ハンソン四重奏団 )
出発、不在、帰還の3セクションから成る“暗黒界からの13のメッセージ”は、冷たく凍った静けさが多くを支配するだけにギシギシのスルポン連続が強烈。叫び声や銅鑼やディエス・イレも用いられる。「マクロコスモスIII」は2Pf+2打で神秘的な繊細さが成長して行き不思議旋法の並行やスライド笛や内部奏法など5部の“夏の夜の音楽”。B Records
LBM040
(2022-05-31 )
カムデン・リーヴズ :
タングル=ビート・ブルース
(トム・ヒックス )
ブルース的要素がその名の通りもつれ絡み合い時に不協和を示す跳躍の大きな分散和音パターンのエントロピーが増大していく。「ブルー・サウンズ」はよりしっとりした瞑想的に進むが突然ブルースから離れた爆発があったかと思うとはかく消えていく。「9つの前奏曲」は即興的な取り止めないフレーズが飛び回ったり幻想的にくねったりきらめいたりするがよく聞くとタングル~にあった分散パターンがところどろこで素材になっているような。ショパンの前奏曲が念頭にあると。Metier
MSV28604
(2022-05-31 )
ジョージ・アンタイル :
バイオリン・ソナタ第1番
(パトリツィア・コパチンスカヤ+ヨーナス・アホネン )
穏やかそうに始まりながらすぐに素っ頓狂な脇道に逸れていって洒脱な遊びというかアナーキーというか1923年のパリという感じの4楽章。併録モートン・フェルドマンの「VnとPfのための小品」と「エクステンションI」はいずれもポツポツと呟くPfの間にVnが入り込む形で後者のほうが形になる。ジョン・ケージの「夜想曲」はぶつ切れながらも意外にまとまりある。そしてアンタイルが好んで演奏したというベートーベンから「Vnソナタ第7番」ははっきりしたアーティキュレーションでなかなかワイルドな演奏。Alpha
ALPHA797
(2022-05-30 )
カローラ・バウクホルト :
シュラムフロッケ
(エンノ・ポッペ+アンサンブル・ムジークファブリーク )
1管のアンサンブルだがハーモニクスや鼻笛も用いて蛙やら猿やらいろんな動物の鳴き声を模倣する。ブライアン・ファーニホウの「地球の終わり」は6人の声を加え細かく複雑な断片が退廃的な感じで絡み合う。クラウス・ラングの「イエスとノーの海」はD音とE音が長く無機的に続くと思えばPizzが飛び跳ねたりトーン・クラスターのようになったり。ホルヘ・E・ロペスの「ゴンザレス、地球を食らうもの」はワグナーチューバ独奏+EHr+BCl+Va+Vcで奇妙で苦しげな音がグリッサンドしながら交錯する。Wergo
WER6864-2
(2022-05-30 )
ヴィト・ジュライ :
変換する者
(ブラッド・ラブマン+南西ドイツ放送響+同声楽アンサンブル )
混声合唱+管弦楽で欧州での磁器の発明者である錬金術師フリードリッヒ・ベトガーの足跡をアレシュ・スティーガーのテキストたどるという複雑精緻な大規模曲。マイセン陶器ベルなどの楽器が用いられ、その倍音構造は微分音のピッチ構造と結びつくのだと。「i-フォーメーション」は2群のオケが滑り落ちたりコル・レーニョの嵐だったり風奏だったりと多種多彩に入り乱れる。「アラヴォ」はおとぎ話を題材にしたパトリック・ハーンのテキストをSopが歌いPfとオケが彩っていく30分以上の大曲。ナチュラルHrが印象的。NEOS Music
NEOS12102
(2022-05-27 )
平野義久 :
下降する龍
(ヴィルタス・クヮルテット )
密度濃いというかいろんな音を目一杯詰め込んで時どき鋭い切込みを入れる感じだが緩急もありグリッサンドが頻用される。アニメ音楽や舞台音楽の作曲家だそうだ。曲名はDescending Dragon。武満徹の「ア・ウェイ・ア・ローン」は海をモチーフにしたというゆったりした作品。幸松肇の「日本民謡組曲第3番」は4つの民謡ベースで箱根八里は比較的こなれているがどれも素材がそのまま出てくるのでそれはちょっとごちそうさん。ALM Records
ALCD-7182
(2022-05-27 )
鈴木治行 :
沼地の水
(松平敬+橋本晋哉 )
ネタバレのように音名や奏法を歌詞したBarをTubaが追いかける。松平頼暁の「ローテーション I」は楽譜を上下逆に読むとSop+SaxのIIになるという。近藤譲の「花橘(3つの対位法的歌と2つの間奏)」は千載和歌集からの3首をテキストにした対位法。田中吉史の「科学論文の形式によるデュオ」はBarの論文をTubaが理解しようと復唱するも内容が専門化しすぎてついていけないというような。山根明季子の「水玉コレクション第12番」は人工的な音程で1音ずつ発声するBarにTubaが必死で追随する。神長貞行の「デジタルボックス1」は奥の細身を素材に様々な声音や形を試みる。間にルネサンス曲も挟んだ低音デュオの意欲的アルバム。ALM Records
ALCD-106
(2022-05-26 )
ゲオルク・カッツァー :
Bへの追記
(イェルク・ウルリヒ・クラー+ベルンハルト・パルツ )
Vc+Pfでベートーベンのソナタを研究し再考したという素材を微分音も含む無調の自由な3つのバガテルに。「…歌う時だけ花が咲く」はSopを加えて自身のテキストを繊細に歌う7曲。5曲目では打も。「談話」はオケ曲で微分音を含む短三度上下モチーフが拡大し精緻に書かれた断片が交錯する。「パーカッスム」はベルやガムランから音程のあるウッドブロックや太鼓まで打四重奏曲。「リスニングの学校5」は“新音楽”への入門としていろいろな音素材を並べてみせ最後に組み合わせをという趣向の5部。NEOS Music
NEOS12004
(2022-05-25 )
ジョナサン・ハーヴェイ :
スリンガラ・シャコンヌ
(ペーター・ルンデル+アンサンブル・ムジークファブリク )
インド伝統的美学/舞踊のナヴァ・ラサで恋情を表すシュリンガーラを題材にしたという15楽器のHrなど時どき超絶技巧な曲。エンノ・ポッペの「破片」は121の断片を組み合わせるという実験色の強い作品。カイヤ・サーリアホの「光についてのノート」はVc協奏曲のアンサンブル版で溶けるようにあるいは転がるように下降するモチーフと反対に上昇する音が印象に残る5楽章。エマニュエル・ヌネスの「ケセド I」はカバラで愛/慈しみを表し波打つ弦と2Fl+4Clが4群に分かれ密度を変えつつ複雑ながら静的というか張り付いたような織物をなしていく。Wergo
WER6862-2
(2022-05-24 )
譚盾 :
火の儀式
(エルドビョルク・ヘムシング+オスロ・フィル )
戦争犠牲者への典礼として書かれ胡弓のようなVnにポップ的な打が絡んだり怒りや悲しみを表現するような管弦楽が表れたり部分的に声が用いられたりする。「狂詩曲とファンタジア」はヒップホップの間に甘々のマリンコニーアを挟んだ第1楽章と京劇の素材を用いた第2楽章から成る。どちらも(敢えて?)キッチュな俗っぽさに満ちた劇場的なVn協奏曲。
BIS-2406
(2022-05-22 )
陳銀淑 :
グラフィティ
(ピーター・ランデル+アンサンブル・ムジークファブリク )
繊細で複雑な動きが忙しく大きな跳躍に移っていく《羊皮紙》、仄暗い響きを金属打の灯りが彩る《都市の夜想曲》、忍び歩きのようなテーマが複雑系の展開で多彩な音になる《パッサカリア》の3章。Graffitiはここではストリートアートらしい(壁画はちょっと)。オルガ・ノイヴィルトの「…ミラモンド・ムルティプロ…」は万華鏡のような5楽章のTp協奏曲でここでは器楽アンサンブル版。サン・ラの「外部の無状態」「プレイアデス」は前衛フリージャズをSax+アンサンブルに編曲。Wergo
WER6861-2
(2022-05-22 )
ウォルフガング・リーム :
デュオモノローグ
(アレクサンドラ・グレフィン=クライン+フリードリヒ・ガウヴェルキ )
VnとVcが神経質に大きく上下しぴったり寄り添うが不協和な対話という感じのI、ハーモニクス中心の静謐な世界に時どきアクセントが加わるII。「稜」はVc独奏が微分音的重音、鋭いPizzからグリッサンドまで用いて最弱音から徐々に動きを強めまた静寂に帰っていく。「遠方から」はVc+Pfで最弱音の朴訥な対話に時折鋭いアクセントが。「弦楽三重奏曲第2番」は節約された音が間欠的に切れ味鋭く響く。17歳の作品だそうだ。「同作品9」はその2年後で響きは似ているがより動的で密度も濃い。Wergo
WER7402-2
(2022-05-21 )
ニルファー・ヌールバフシュ :
ベールで覆われた
(アマンダ・グッキン )
イラン風の香りもするVc独奏に電子処理された女声が重なる。アレックス・テンプルの「触覚」はVc奏者が作曲者のテキストを囁きながら合間にギシギシした音を奏でさらにライブエレクトロニクスが。パオラ・プレスティーニの「ストーリーを語る」はスーザン・ソンタグのインタビューを題材にやや古風な独奏と女声の声が厳しい音と電子音に変化していく。カマラ・サンカラムの「内臓」は肌に感じる不快感を攻撃的な音の独奏と部分的な声で表現する3章。シェリー・ワシントンの「沸き立つ」は激しく始まる独奏がフット・ドラムのリズムが現れると落ち着いたり躍動したりする。意欲的なVc曲集。Bright Shiny Things
738715292365
(2022-05-19 )
マーティン・サックリング :
エミリーの電子的な不在
(オーロラ管メンバー )
は圧電変換という事象を音楽に適用するという奇妙なプロジェクトの産物だという弦楽五重奏で細かく動き回る線に強い圧力の断片が入り混じったり微分音的ハーモニクスの冷たい響きだったり哀歌だったりする4楽章の間にエミリー・ディキンソンの詩が朗読される。「彼女の子守唄」はVa独奏の静かで深々とした歌だが純正律調弦ということで奇妙な重音の響き。「ノクターン」はVa+Vcで深々した響きからスルポンの尖った音まで用い微分音にも踏み込んで対話する。「チューニング」はMS+Pfでマイケル・ドナヒーの詩を歌うしっとりした響きの5曲。Delphian
801918342356
(2022-05-19 )
武満徹 :
ノヴェンバー・ステップス
(鶴田錦史+横山勝也+ハイティンク+コンセルトヘボウ管 )
弦+打+Hpが左右2群に分かれ、中央に2Ob+3Cl+2Tp+3Tbを置いて琵琶と尺八を独奏に据える。冒頭の弦は細かく分割されて左右から時差で聴こえてくる。2分ほどして独奏の対話、そこに微かに弦や管打が刷毛のように彩りを加える。独奏譜はいずれも図形譜だが琵琶の方は時どき2~4本線になり弦ごとに指示があるらしい。併録はメシアンの「われ死者の復活を待ち望む」で管打のみによる5章。暗い響きで始まるが第3、4では鳥が描かれトゥランガリーラを思わせる響きもある。Decca
00028948308019
(2022-05-17 )
クリスティアン・ウィンザー・クリステンセン :
ほとんどト調で
(セナテット )
Guitや弦楽器ハーモニクスなどが弦にテープを巻いたPfとG音を中心にやり取りしつつそのテープを順次外し音色が変化していく。「六重奏曲」は鋸を引くようなノイズの上にバラードの断片が微かに。「コラール」は前2曲の合成のような音づくり。「弦楽三重奏曲」は第九などのパッセージを下降グリッサンドやハーモニクスの断片に分解。「夜の音楽」は空白の合間に時どきコル・レーニョやPizzなどのパラパラした音が混じり最後に荒々しい並行上昇和音。「アプ・サーカーであること」も密やかで打的な音。「4つの超現実歌」はテープの音が実際の楽器演奏で呼び出されるというやはり細かな断片のコラージュ。col legno
WWE1CD20444
(2022-05-17 )
ヴァーフン・ホルンボー :
弦楽四重奏曲第2番
(ナイチンゲール弦楽四重奏団 )
(デンマークの?)民族風の香りと少しバルトーク的な野性味を持つ急緩急緩急の5楽章。1949年。「同第14番」は弱音器をつけたVnの長い哀歌風独奏で始まりやはり民族風の語法で物悲しさが漂う緩急急緩急急の6楽章。1975年。「穏やかな四重奏」は未完の遺作でペア・ノアゴーが補筆完成した渋い2楽章の作品。Dacapo
6.220717
(2022-05-16 )
ヴィクトル・カラビス :
弦楽四重奏曲第1番~第7番
(コチアン四重奏団 )
無調でありながら順次進行のモチーフが中心で優しげなふりをする第1番(1949年)。音もリズムも複雑さを増して代表作と呼ばれる第2番。謎掛けのような独特のフレーズの第3番。バッハが引用される単一楽章の第4番(ここからツェムリンスキー四重奏団)。ユダヤ的という音律と勢いのある第5番。よく似た開始の装飾音符が重要な働きを持ちマルティヌーの思い出によるという第6番。そして細かな動きが支配する単一楽章の第7番は1993年。Praga Digitals
PRD250262D
(2022-05-16 )
ウィレム・ペイペル :
2台のピアノのためのソナタ
(ルーカス・ユッセン+アルトゥール・ユッセン )
無調ながら後期ロマン派の香りのする不思議な3楽章。ルイ・アンドリーセンの「シリーズ」は音列があちこちに跳びはねるミステリアスな12章。ヤン・ヴィッセの「クリスタッリ」も謎めいた音列が動き回る3章。テオ・ルヴェンディの「一緒に」は跳躍のエネルギーと細かなうねりの動きが組み合わされる3章。レオ・スミットの「ディベルティメント」は印象派風調性曲の3楽章。ハンス・ヘンケマンスの「4手」は民族風要素を持つ調性曲4章。ジョーイ・ラウケンスの「ユニゾンで」はジャズなど雑多な要素の映画音楽みたいな協奏曲。すべてオランダの作曲家。DG
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(2022-05-14 )
ジョン・ハービソン :
弦楽四重奏曲第2番
(エマーソン弦楽四重奏団 )
バロック風の枠組みを用いながら自由でモダンな動きと響きを自在に組み込む5楽章。1987年の曲。リチャード・ワーニックの「弦楽四重奏曲第4番」は渋い不協和音で始まりやや分裂気味のアレグロ、スケルツォ、アリオーソが続く2楽章。1990年。ガンサー・シュラーの「弦楽四重奏曲第3番」はより分裂の度合を増した速い部分とアダージョの暗い深さとの落差が大きい3楽章。1986年。DG
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(2022-05-13 )
マイケル・トーク :
チョーク
(バラネスク四重奏団 )
一定のリズムに乗った穏やかでシンプルな合奏が刻々と調性を変化させて景色が変わり少しずれた音も混じる捻れたメリーゴーランドのような感じで突然終わる。デイヴィッド・バーンの「ハイ・ライフ」はずっと同じ(アフリカ風)伴奏の反復上でくだけたジャズのブルース。ロバート・モランの「月の塔からの音楽」は平和でシンプルな調性素材を組み合わせた4章で最後のみ少しだけはみ出す。ジョン・ルーリーの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は映画音楽からの抜粋に2つの即興を加えたジャジーで個性的な6曲。Decca
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(2022-05-12 )
尹伊桑 :
賢者
(カール=ハインツ・ミュラー+エルンスト・ゼンフ合唱団+ベルリン器楽アンサンブル )
Bar+混声合唱+小オケによるカンタータで老子や旧約聖書のテキストを即興的で軟体動物のような器楽に乗せて歌う。「入口で」はBar+女声合唱にFl+Ob+Tp+Tb+打+Orgでアルブレヒト・ハウスホーファの聖書に基づくソネットを歌う冥界を彷徨うような音楽。「ピリ」はOb独奏が韓国の篳篥を模してゆったり揺れ動く。さらに「チェロのための7つの練習曲」から第2番と第5番。Int'l Isang Yun Gesellschaft
IYG004
(2022-05-12 )
クラウディオ・アンブロジーニ :
シリアの射手のごとく
(ダニエレ・ルッジェーリ )
Fl独奏で緩急自在の名人芸。「拡張されたカデンツとコーダ」は2つの電子楽器を伴いちょっと機械的で煩くなる。「アルプスの植物標本(2つの架空の雑種を含む)第1巻」はPf伴奏による多彩な表現の10曲。「世界最短の1000の音の分類」「Flのためのもう一つの耐えられない曲」はFl独奏で特殊奏法や超絶技巧。「トロンプ・ルイユ」はVib伴奏のトリックアート表現。「ニーソスとユーリヤルスの顔において」は+Cl+電子音で静寂の中にうねりや重音ハーモニクス。Stradivarius
STR37098
(2022-05-06 )
アゴスティーノ・ディ・スキピオ :
3つの静かな断片
(チーロ・ロンゴバルディ+ディ・スキピオ )
《表面から奥底へ》と副題があり、ピアノの弦を叩かない程度に押さえたキーの動きから徐々に実音に至るがまた消えてしまい森の雑音のような電子楽器が包み込む。「6つの習作」はPfが一部プリペアドでより具体的な音を鳴らすというか反復する。「7番目の習作」はその続きのような形。「chpn3.2」は“自己感知型アクチュエータ”と呼ばれる装置を使ってショパンのピアノ曲の録音をピアノの弦に注入し連鎖的反響を生み出すのだと。「底から」はピアノのキーから作ったノイズが渦巻き変容していく中に微かなピアノ音も。Stradivarius
STR37100
(2022-05-06 )
ウロス・ロイコ :
声
(ロイコ+ユハルト )
Des音を中心に長音と揺らめいたり転がったりする音の組み合わせで、この曲以下すべてCl+Accrd。「ほぼ新自由主義」はくだけたジャズ的要素の合間に息の静寂。「気持ちの記号として」はHr+Accrdからの編曲で微分音含む長めの音によるエール交換。ルカ・ユハルトの「解き放たれた」は息の音や声を埋め込んだり微分音を使ったり。イリス・テル・シフォルストの「ミニチュア」はくだけた感じの様々な奏法による小品10曲。NEOS Music
NEOS11816
(2022-05-05 )
ラモン・ラスカーノ :
突き出した手
(ヨハンナ・ジマー+マヌエル・ナウリ+ランスタン・ドネ )
BCl+Vn+Vc+Pf+Accrd+Guit+打のアンサンブルがハーモニクスやグリッサンドで描く繊細で刹那的な音を背景にSopがエドモン・ジャベスの謎めいた詩を歌う9章。「誰に対して」はFl+Ob+Cl+Vn+Va+Pf+打に6人の声でやはりジャベスの詩を歌う15章。よく似た響きだがさらに動きが抑制されつつ表現の幅が広がる印象。Odradek Records
0850869006763
(2022-05-05 )
アタク・セゼル :
同時性の相対性
(トリオコリオリス+バイエルン放送響メンバー )
2群の弦楽三重奏が長/短調的響きを持つ各々のスコアを同時にまた別々に奏するというものでハーモニクスやグリッサンドが飛び交う。「反対になった鏡」はケメンチェのエキゾチックな旋律を弦のグリッサンドが取り囲む。「インフィニティマル」はFgとTrbを独奏にPfを含むアンサンブルが対話する特殊奏法のオンパレード。「色調メリスマの白黒写真」は19分割弦楽器群がハーモニクスを駆使しつつ一体となって動き時にヤナーチェクの引用ぽい姿も。「時間ループ」はPfやAccrdも含む音群の中からEギターが独奏として浮上する。「Aサークル」はAccrd+弦三重奏がグリッサンドや旋法的に上下する。NEOS Music
NEOS11814
(2022-05-04 )
シュテファン・シュルツキ :
ピアノ協奏曲
(ヴィンセント・ネープ+バイエルン新音楽ユーゲントアンサンブル )
控えめなPfの不協和音を引き受ける薄い管弦に時おり電子音が絡む静かな景色が急変して忙しないやり取りとなり浮き沈みを経て最初の世界に。「反映II」はSSax+ハモンドOrg+電子の即興的空間。「ベルトルト・ブレヒトの名による3つの警句」は声を変調しPfと電子音で最後は少し歌。「時と部屋」はFl+Va+Hpで繊細な短い5章。「魔王」はゲーテの詩を歌うBarにプリペアドPf伴奏。「政治的な歌2011」はノルベルト・ニーマンの詩を鼻歌、朗唱、叫びなどいろんなスタイルで歌う隙間に破壊的なガラクタ音が。NEOS Music
NEOS11812
(2022-05-03 )
ルイジ・ノーノ :
プロメテオ
(マルコ・アンジウス+アンサンブル・プロメテオ+トスカニーニ・フィル+パルマ王立劇場合唱団ほか )
ホール内に配置された声と楽器の“音の群島”が観客を包みそれぞれがライブエレクトロニクスで迷宮のように繋がれ、リブレットも3ヶ国語の引用を網の目状に配置することで物語を浮かび上がらせる「聴く悲劇」。暗く鋭い音響が闇の中から降り注ぐ大作オペラ。Stradivarius
STR37096
(2022-05-02 )
エドワード・グレグソン :
弦楽四重奏曲第1番
(ナバラ四重奏団 )
不協和音の上昇主題で始まり無調のふりをしてみせるが分かりやすい要素も多く時どきロマンチックが顔を出す、というかそんなこと承知の上での69歳にしての第1番。「同第2番」は柔らかな和音とグリッサンドから不安な動きに移りまたシシリアーノが戻ってくる単一楽章。「三部作」はVn独奏で厳しく技巧的な《ディオニソスの対話》から《愛の悲しみ》そして躍動に静止が紛れ込む《無窮動》の3曲。「ジヴェルニーの庭」は1964年、「ベネディクトゥス」は88年のベタなロマンチック曲をそれぞれEhr、ASaxとSQ用に編曲。Naxos
8.574223
(2022-05-02 )
ジョアン・ペドロ・オリヴェイラ :
天使のロック
(フェルナンド・ドミンゲス+イヴァン・マンツァニッラ )
BCl+Marb+電子で記憶の中の80年代ロックを音にしたと。グラシエラ・アグデーロの「あの回転する時」はCl/BCl+打で時を象徴する土星の神話に触発されたと。イグナシオ・ボカ=ロベラの「量子的飛躍II」はCl/BCl+打+電子でスラップタンギングや声も混ぜたり。アレハンドロ・カルドーナの「リッキタ・コンゴ・イェリ・コンゴ」はBCl+打でジャマイカの歌から。ヘオルヒナ・デルベスの「月の高さは」はCl+Vib他打でスラップから高音のきらめきまで。ロドリゴ・シガルの「オブトゥーラ」はCl+打+電子でさまざまに変調された音が飛び交う。Urtext
JBCC329
(2022-05-01 )