Planet masaka played list 2022-07


  1. * 第1番は下降音形にジャズをも思わせるシンコペーションを多用するIとフォークソングのパロディ的IIの要素をIIIでゆっくり甘苦く料理し奔放なポルカのIV楽章で締めくくる。第2番は抽象画からI、デイヴィッド・リンチからII、グリーグからIIIを発想しお茶目なIVからシュルレアリスムというVへ。第3番はグリッサンド多様のツイストI、詩人の声というII、忙しいアメリカンIII、電気ペダルを模したというIV、スポーツ競技での国歌斉唱の模様というV。どれもエッジが効いてストレートに楽しめる。American Modern Recordings AMR1054
    ()

  2. * 自作のオラトリオ《ヨラム》で用いた上昇モチーフ(中東の民謡に基づくという)を含む特徴的な旋法で繰り広げられる4楽章。「田園変奏曲」はCl+Hp+弦楽でやはりユダヤ風の主題と6つの変奏からなるが順次進行的な要素が多い。「3つの無言歌」は中東の旋法でくねくねと上下するSopをときに劇的な弦が支える。「弦楽のための音楽」もヨラム動機が使われずっとユニゾンの第1楽章に始まりカノン、夜想曲、アリア、終曲と続く。CAvi-music CAvi8553566D
    ()

  3. * ローベルト・ゲルンハルトの詩を語り歌う音楽劇風で深刻な身振りから第九のパロディへ。ミヒャエル・F・P・フーバーの「森の頂へ」は激しいアルペジオを繰り返すVn独奏と民族舞曲的動きから素朴な民謡やヨーデルみたいなのが紛れ込んでくる(タイトル不詳)。エルヴァン・ボレクの「ク・ラッシュ」は手拍子+打に室内オケによる戯れ。カタリーナ・ブラスニッヒの「調律」はチューニングそのものから始まりずっとA-Eを基調にした長音ばかり。マルティン・オアヴァルダーの「パブリック・ビュー」は煩めのビートポップの間に刹那的なバラード風を含むメカニカルな曲。Musik Museum MMCD13056
    ()

  4. * 急緩急のオーソドックスな形に不思議にねじれた音感の要素が埋め込まれる。「メタモルフォージ」はVa+Pfで暗い色調をベースにした緩急緩急の4楽章でグリッサンドやPizzの遊びなども。「悲しみの歌と踊り」はVc独奏でゆっくりした哀歌のあと広い跳躍で忙しく動く。「五重奏曲」はPf四重奏+Tpという珍しい編成で、もやもやした世界から立ち上がってはまた沈みワルツの断片をはじめ壊れた素材の継ぎ接ぎで構成される単一楽章。Dreyer Gaido DGCD21139
    ()

  5. * 故郷の街を訪れて耳にした雑踏やら路面電車やら鳥獣の声などを表現。「リポスト」は増幅器付Cb&打+オケでテールピース側を弾いたりする金属的な音やギロのような音にノイズなども絡めトンネル内を歩いた様子を表現すると。「軽率な反乱の破片」はタイプライターの音にノイズやオケの調弦の様子&団員の声などを加工して重ねる感じ。「イリミ」はOb+Cl+Sax+Trb+Hp+Pf+打+弦各1で(木と金属の)楽器の表面に合気道のような身体の動きを組み合せるんだそうで、ザラザラした手触りのおもちゃの楽隊みたいでもある。 NEOS12211
    ()

  6. * 亡くなった夫人の詩をテキストにその思い出を描くという作品で湿っぽさはなく5声+オケ(各楽器ソロ×合奏)がゆっくり靭やかに厳しい音を含みながら動く。「パークアベニュー432」はセントラルパークから見たのっぽビルの宣伝文句をBarが語り歌いBCl+Fg+Trbが街の騒音の録音とともに混沌とした音を作る。「アストロノミカ」は天文学教科書のテキストを用い4声+Fl+Cl+打+Vcがそれぞれ中心になる4つの楽章と全奏にノイズも加えた終楽章で構成される。いろんな要素をバラバラにつなぎ合わせていく感じ。 NEOS12110
    ()

  7. * プリペアド・ピアノをリズミックに弾き始めたかと思えば蓋やらペダルやらをパチパチと鳴らしたり声で擬音を出したり。「ソロI~IV」はそれぞれVib、Mrmb、声と身体、声とSDによる即興的な独奏。「調和とは何! 調和してないのか」はFl+Saxが意識と無意識の間を行き来する二羽の鳥として。「地球の音」はFg+Vc+打が同音を同時にffで鳴らしたり交互にずれてつぶやいたり。「弦楽四重奏曲第3番」は《出没する楽章》と題され神経質な硬い音がppからffまで動き回る。「構造 I」は《青のエロス》と題されるアンサンブル曲で協和音になりそうな素材が分解されて漂う。 NEOS12124
    ()

  8. * B-A-C-Hを組み込んだ十二音列を用い遅い変奏曲と緩急のスケルツォから成る短い3楽章。1938年の作品28。アルバン・ベルクの「弦楽四重奏曲」はゆっくりしたソナタ風の1楽章とロンド的2楽章の構成で緻密な無調の網目が折り重なる。「抒情組曲」は十二音技法を導入した6楽章で、手稿譜にボードレール『悪の華』の詩が書き込まれていたという終楽章はSopによる歌唱を加えたバージョンも収録されていて興味深い。Praga Digitals PRD250161D
    ()

  9. * C-Gのドローンを滲ませたり軋ませたりしながらノイズも重ね歪な音空間がどんどん壊れて行き最後に雑踏の中でバロック的ソナタが。マリオ・ディアス・デ・レオン「スムナ」は霞んだ分散和音から硬質の呟きへ。ダイジャナ・ウォーレス「影」はD音を中心に、キャロライン・ショウ「御身が手に」はA-Dを軸に不協和と調性の組み合わせ。ヴィンツェント・カリアンノ「救済マシンについてのノート」は下降分散和音が移り変わっていく。これらをカイヤ・サーリアホ「雪」の硬質な各章が挟む(8Vc版で多重録音?)。冒頭にはビーバーの「パッサカリア」が置かれ、ひとつのリサイタルという構成。New Focus Recordings FCR325
    ()

  10. * Vc+Pfで幻想的な無調のバラードとやはり調におさまらない舞曲の2部。ドロシー・ラッド・ムーアの「夢と変奏」はDのオクターブ反復から調をはみ出すワルツ主題が姿を表して重い感じの展開。「挽歌と救済」は重苦しい足取りのあとタランテラ風に動きさらにじわじわと訴える無調。イ・ヘギョンの「遠い記憶」は素朴な要素が徐々に変化していく。ジェイムズ・リー3世の「アブラハムの息子」はVc独奏の追想曲。このレーベル玉石混交だな。Navona NV6437
    ()

  11. * パブロ・ネルーダの詩に基づく5曲で冒頭“ツグミのトリル”は前衛的な苦悩、最後の“川”もモダンな表現だが中間3曲がバッハを思わせるような重音コラールを用いていて興味深い。「弦楽四重奏曲第2番」は子供の頃の印象にある川、木、浜を標題に持つ3楽章でバランスの取れた響き。「最後の7つの言葉」はテキストに基づくロルフ・シュタインの7枚の絵画を受けてVn独奏が深く厳しく表現。Navona NV6412
    ()

  12. * ハーモニクスの単音が交互に入り乱れるパターンが反復されるオープニング、半音で重なりながら動いていくフーガの技法みたいで禁欲的なパターンのクリアリング、動きの範囲が上下に広がりトレモロも加わるものの相変わらず静かに淡々とパターンが繰り返される逃げ穴。5分、23分、33分と時間も伸びていくがテンポは変わらずどこまでも続く光景。Huddersfield Contemporary Records HCR27CD
    ()

  13. * 12音技法を用いた緩急緩急4部構成の単一楽章で短いながらニュアンスに富んだ曲。ラヴェルのト長調協奏曲はやや淡白かも知れないが落ち着いた感じの演奏。メシアンの「異国の鳥たち」は弦なし小オケとの協奏曲のようなつくりで多彩な打を伴っていろんな鳥をきらびやかに表現する。PentaTone PTC5186949
    ()

  14. * 古代についての4つの「講義」はそれぞれ金管による序奏的なBrass Linkと硬い岩、北方のオーロラ、巨人の大釜といった北方的標題を持つ長めの部分でできている。特殊奏法を含むいろいろな技法を組み合わせながら情景を描いていく連作シンフォニエッタ。 BIS-2516
    ()

  15. * 暗い音から始まってトレモロやスルポンで揺らぎながらうごめくVcに滲むような色合いをライブエレクトロニクスのような感じでまぶしていく。「プレ」はハーモニクスやトリルが電子的に増幅される間を太い音が縫ったり金属的な音に生の電子音がこぼれてきたりする3章。「スピンとスペル」は変則調弦Vcのハーモニクス分散和音や脆く壊れそうな重音。「7羽の蝶々」は冷たく硬いVc独奏による7つの姿で最後は太い音。「雪」は8本のVcがクラスターのようにして色彩を変化させたりソロが絡み合ったりする5章。12本Vc版もあるという。 DUX1686
    ()

  16. * 3つの獣から始まりミミズ、蝿、スズメバチ、虫やら鶴、亀、鳩やらチェルベロやらマスチフ犬やらを歌う。マッテオ・フランチェスキーニの「煉獄篇の動物の声」は鷹、犬、神の子羊、蜂、コウノトリ。アレッサンドロ・ソルビアーティの「天国篇の動物の声」は鷲、蛇、鳥、羊、ペリカン。ダンテの「神曲」に出てくる動物をSop独唱として作曲したという、奇妙ながら面白い連作。Stradivarius STR37207
    ()

  17. * マース・カニングハム振り付けによる2幕13場の舞踏劇のためのピアノ独奏曲で、第7場にはカニングハムの詩の歌/朗読も入る。joHn CAGEから取った5音を軸とした儚くミニマリズム的に反復する要素に強い原始的リズムの踊りが混じり次第に力を増していく。1944年。Fuga Libera FUG793
    ()

  18. * 星の王子さまに基づく交響曲だというがラヴェルを思わせる色彩的なつくりで序章と標題のある12の変奏および間奏曲からなる。「オーボエ協奏曲」、「Vn協奏曲第3番」はひねった感じの主題が詩的に展開する3楽章。「クラマヴィ」はオネゲル的な趣で少し影もある3章。なかなか楽しい。Claves Records 7619931304526
    ()

  19. * お経の鐘のようでもある多様な打が飛び交いその隙間に微細音程の管弦や掛け声などが交じる。マルティン・スモルカの「木の雲」は奇妙な音律にやはり梵鐘のような打が混じったりハーモニクスだったり。カローラ・バウクホルトの「幸せなパーチのための声」は擦るような音や声が矢のように発されたりぐにゃっと変化したり少年の朗読やパーチ自身の声の録音が混じったりする。オクターブを43音に分けたハリー・パーチの特殊な楽器を用いた曲集。不思議と和む。Wergo WER6870-2
    ()

  20. * 11楽器が細かな複リズムでランダムに重なる楽器群を音程太鼓が分節する。「エペイ」はEHr+Cl+Tp+2Tb+Cbがくねくねとグリッサンドや半音階で絡み合う。「ディクタス」は無秩序な複音階を並べるPfと不条理な跳躍とグリッサンドを入れ替えるVnがそれぞれ勝手にやっているようでいて磁力に引っ張られる。「アカントス」はグリッサンドしながらギシギシ鳴らす弦やPfおよび管の8楽器と無意味に叫ぶSopのやり取り。1976-79でいずれも極端にとんがった挑戦的作品。Wergo WER6178-2
    ()

  21. * Vn+Va+Vcで互いにグリッサンドしたり半音階反復したりPizzしたり密集不協和音になったり忙しく呼応する。「解放」は同様にグリッサンドやトレモロや細かく複雑な動きのVnにPfが呼応する。「我らは木になる」は高音ハーモニクスに始まるVnの長音やアルペジオをライブエレクトロニクスでさまざまに重ねていく。「立ち止まる静かな眠り」はVn+Vcでやはり高音ハーモニクスに始まりゆっくりした静けさの中でときどき動き出す。「山の言葉は雨である」はSQで逆に密集した音からハーモニクスやPizzが溢れ出してくる。小気味好い切れ味。New Focus Recordings FCR327
    ()

  22. * 17楽器でグリッサンドやキリキリしたスルポンの弦の隙間に硬い打が巡り管が音を打ち込む。後半第2部はより動きが大きくなる。オスカー・ベッティソンの「未開の書」はある種の古代舞踊を描くような執拗なリズムを持つ3章で春祭に近い感じもある。ブライアン・ファーニホウの「イカロスの墜落のある風景」は狂ったような超絶技巧Cl独奏とアンサンブル。少し整理された。悲しい心に情緒的な音楽がフィットするわけではなかった。Wergo WER6869-2
    ()

  23. * 特殊奏法を駆使する独奏楽器+電子楽器という組み合わせで無重力的空間をつくる。「F」はFlでフリオ・コルタサルの「再会」によるストーリ、「V」はVcでアンデス系音楽の“シクリ”の要素、「K」はClでやはりシクリ的素材、「P」はPfで西洋音楽的要素、「S」はBSaxでパンフルートの一種であるj’achaの音構造に基づいているという。NEOS Music NEOS12121
    ()

  24. * SopとBarが儚いアンサンブルを伴って登場人物5人の夢や嘆きを歌う5つの小歌曲。シュテッフェン・シュライエルマッハーの「驚愕の咆哮がこだまする」は管中心に無秩序で刺激的な断片が飛び交い隙間をバルトークPizzやうねるPfが埋めている感じ。ミヒャエル・ヴェルトミュラーの「制御された拮抗作用」は汚い音色のSaxなどが飛び交うフリージャズ風。Wergo WER6868-2
    ()

  25. * 闇の中でクレッシェンドを繰り返す呼び声がふっと表に出てきたり急にスピードを増したかと思うとまた身をかがめる。11の楽章は基本はゆっくり長い音の変化だが真ん中のVIに速い動きを置いて対称形になっているような。「追憶」はルチアーノ・ベリオの思い出にという静かに不協和音が連なるPf曲。「ピアノのための2つの小品」は暗い森の池がときおり波立つようなゆっくりとした静けさ。「ヘルダーリンの「生の半ば」による」はVa+Vc版でこれも暗く冷たい静けさの中でため息。New Focus Recordings FCR336
    ()

  26. * 2巻で2時間半近くある巨大なPf曲だが、これでも全3部10時間の「葉の覆いに私を縫いつけよ」の第1部なのだという。短い序曲のあとクリストファー・ミドルトンの詩によるかなり狂気的な強度を持つ章と独立した間奏曲が交互に50近く配される。激しく複雑で技巧的な曲なのかと思えば静謐というか古典的ですらある佇まいが続いたりまた突然波長になったりと落差も大。それぞれ緊密に関連しているというのだが、全体に暗い色調で圧迫感があるためじっくり聞くのもなかなかしんどい。緊張感とエネルギーに満ちた力作であることは確か。New Focus Recordings FCR335
    ()

  27. * 4年ほど前に聴いたMC105と同じ演奏だが、そちらは消えてしまったようで再発はありがたい。ゆっくり考え込みながら時に激しい音が飛び出す21の断章。マタイのような動機は未だよくわからず。「14の小品」「5つの断章」も研ぎ澄まされている。New Focus Recordings FCR334
    ()

  28. * Va独奏がハーモニクスの分散和音からイラン音楽的主題を奏でグリッサンドとスルポン刻みを駆使して妖しげに姿を変えていく。バハール・ロヤエーの「墓石」はさらに軋みながら変化する音色を駆使して凄みと深みのある表現。アリレザ・マシュアイェヒの「異形」は即興変奏曲的な独奏、「Vaソナタ」はPfを伴いエキゾチックな音律で変化していく3章。モズガン・カヒアンの「ハニとシェ・ムレド」はバローチー民話のキャラクタを描いたという4章。ニルファー・ヌールバフシュの「隠された」はグリッサンドに始まり多重化される音に声も加わる。ショワン・タヴァコルの「カマルト」はケマンチェ+アルトの造語で前半はルーミーの詩による歌も加わる。New Focus Rec FCR315
    ()

  29. * 高音域まで重ねられた7つのClがゆっくり波打つようにクレッシェンド/デクレッシェンドを繰り返す“音楽と静寂の拍-潮”。「小さな無限空間の一体性」はオルガンやシンセの古い録音と木笛などの新しい録音テープからD音を中心とするスペクトルのようなノイズ的世界を合成。「内時間/外時間」は高音域のCl群と低音域のFl群が隣接音を反復してスペクトルを生み近寄ってき濁ったりという感じだが、元はFlのための外時間とその音程を逆転させClとしただけで同一の内時間があり多重化ているらしい。Mode Records MOD-CD-339
    ()

  30. * Cl+Fg+Hr+弦5で、細かくグリッサンド上昇する音を重ねてながら“主要音”を軸にした展開に至るがその中心は変化して行きそれらもグリッサンドで動く。持ち味の出ている78年作。「六字大明呪」は仏教テキストを用いた5部のオラトリオで瞑想的な部分はなかなかのものだが強音になると古臭いのは64年作だからか。「炎の中の天使」は最後の管弦楽曲(1994)でSop+女声合唱を伴うエピローグが加わる。ゆったりと動く中に短三度上昇グリッサンドののモチーフが含まれ打が乱舞するところもあるが古臭さいカオスは(ほぼ)なくエピローグは穏やか。Int'l Isang Yun Gesellschaft IYG011
    ()

  31. * 2打+2Pfの編成で、Es音を中心に反復運動をするMrmbの周囲からPfとドラムの強いリズムが導く中間部そして囁くような高音の中でVibが浮かぶ後半そしてこれらが柔らかに集まる。ブラッド・ラブマンの「タンジェント」はPfの細かな反復上昇の動きにVibとMrmbが絡まるミニマリズム風モチーフがドラムも交えてダイナミックに変化していく。ポール・ランスキーの「織物」はやはりミニマリズム風反復モチーフを用いるが8つの章から成りそれぞれ異なる遊びを見せる。Furious Artisans FACD6829
    ()