Planet masaka played list 2022-10


  1. * アンビエントな心地よい音楽かと思っていると妙なところにグリッサンド転調して鏡が歪むようになったり舞曲風ながら崩れた音が紛れ込んだり。「そして、そう」「別の歌」は歌入り。「青写真」は哀歌のようだがやはりぐにゃりと歪みあらぬ方へ。「エバーグリーン」はカナダのガリアーノ島の木に捧げるという苔、茎、水、根の4楽章でシンプルで静謐な音にときどき薬味。「夜明けを見る時」は12世紀フランスのテキストによるエキゾチックで美しい小曲。Nonesuch 075597913491
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  2. * Cl/Sax+SQ+Pf+打という編成で一部電子音も交えながら怪しげに軋み揺らめく音が紡がれていくシュールな空間。「ボズキル」はSQでやはり無秩序な断片が突き刺さったり微分音的に交わったり。「クサントス」もSQでグリッサンド的なくねくねの比率が高まる。「格子散乱」はFl+Pf+電子楽器でさまざまなアクセントの交錯。「普通のこと」はCl+Fg+Tp+Tb+Vn+Cb+打+電子音で何やら叫んだり呟いたりしながら。「パンデモニウム」はいろんな音を電子加工、「エレベーターの漸近線」は電子音による打的なバリエーション。New Focus Recordings FCR343
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  3. * Fl+Cl+Fg+Vn+Va+Vcで全編ハーモニクスの音響の中ときおり鋭いグリッサンドなどの切り込み。以下弦はほとんどハーモニクス。「五重奏曲第1番」はCl+SQで細かい引っ掻くような音。「ラ・マリンコニア」はVn+Vaで沈黙の中に微かな音。「神意の沈黙」はFl+Ob+Fg+Hrで儚い音が徐々に忙しく。「コンキリエの理由」はPf五重奏で掠れ捩れる音に混じるPfのアクセント。「プルプレウス写本」はSQでやはり空白の間に掠れた音。「五重奏曲第2番」は木五で息とハーモニクス。「海のケンタウロス」はPf五で少しだけ音が多く絡み合う。徹底的に切り詰められた音の集まり。Arion Music 3325480686894
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  4. * Fl独奏が微分音を駆使した奇妙にくねる山あり谷ありの旋律を延々と奏でる。一部声も重ねる。リーティス・マジュリスの「スケール」は多重化したFlが上行音形を少しずらしながら奏でだんだん範囲を広げていく。ユステ・ヤヌリテの「詩篇」はやはり多重化Flがゆっくり不思議な和音を動かしていく。Fundacja Automatophone 5904892557978
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  5. * Sop独唱+Cbで哲学的なような22の断片を自由自在に歌い間に短い語りを挟む。電気の放電現象を転写した《リヒテンベルク図形》で知られる科学者のアフォリズム集だという。キャスリーン・バルクの「フレーズ」はランボーの4つの詩を硬軟取り混ぜて。ジョン・アイルワードの「ティーアガルテン」はリルケの詩でCbはハーモニクス分散和音などかなり超絶技巧。エミリー・プレトリウスの「広大な」はダフネ・オラムのテキストを口笛や鳥の声も交えつつゆっくりしたポルタメントと禅のような間で瞑想的に。なかなか味わい深い。New Focus Recordings FCR329
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  6. * Fl+Cb+Pfという編成で例によってふざけたような真面目なようなジグザグであちこちから音が飛んでくる短い6曲。「情景」はFl独奏で少し民族風の香りもある14曲でそれぞれ《鳥の言葉で》など副題。さらに「サイン、ゲーム、メッセージ」をFl独奏、Fl+AFl/BDl、Fl+Pf、さらにBar+Flと編成を変えて。Stradivarius STR37228
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  7. * 冒頭和音のビブラートが気持ち悪くてそっぽ向きそうになったが徐々にアナーキー度を高め2楽章のPizz連打あたりから調子が乗ってきて最後の第3楽章は荒れ具合が面白い。「同第6番」は冷たいレントから少し民族風ながら調子外れのアレグロが現れ両者の要素が交互に用いられながら最後静かに収まっていく。間に置かれた「弦楽五重奏曲」はVaが2本になり奇妙な旋法が早く動き回ったり冷たくゆっくり不安を漂わせたりしながら支離滅裂気味になり最後はやはり消えていく。奏者の音程が悪いのかわざと不安定にしているのか不明。Praga Digitals PRD350037D
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  8. * 第1番は「不一致」と題され民族風でもあるリズミックな部分と不思議な感覚の和音が変遷していく静かな部分が組み合わされる3楽章。第2番は少し人を食った感じで始まる短めの2楽章。第3番は重い和音連打のカデンツを冒頭においてずらされた音が付かず離れず絡み合っていく3楽章。併録の「12の前奏曲」は(一見)叙情的だったりジャジーだったり弾けていたりと様々な性格作品。Brilliant Classics BC96414
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  9. * ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ、ニコラウス・レーナウの詩をBar+室内オケが奏でる24の歌曲集で、ややマーラー風でもある滑らかな響きだが調性ははっきりせず仄暗い森を歩くような。今週のNew Yorkerにアレックス・ロスのThe Ghostly Songs of Othmar Schoeckという記事があったのがきっかけ。シェーンベルクの言う「さまよう調性」(hovering tonality)だと。CPO 999472-2
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  10. * ふわりと漂いながら崩れる幻から最後は霰が飛び交うようなメカニックな姿になる3章。3Pfの4~6番も別にある。逝去の報に接し追悼に。高橋悠治の「ピアノのための《光州1980年5月》」は暗く密かに始まり韓国民謡をベースに。三善晃の「海の日記帳」は子供のための優しい28曲でそのうちアラベスクなど4曲。矢代秋雄の「ピアノ・ソナタ」は大きな連続跳躍で始まる緻密な3楽章。武満徹からは「雨の樹 素描」と「フォー・アウェイ」。加古隆の「ポエジー」はグリーンスリーブスによる幻想曲のような。BIS BIS-CD-766
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  11. * 無伴奏Vcがバロック組曲の枠組みでハーモニクス、スルポンを駆使し微分音も含む荒々しい素材を放り出し磨き上げる。同じ曲に電子音響を加えた「VIb」はさらに奥行きが増して豊かなオーラが漂う。「組曲II」はほぼ自然倍音ハーモニクスのみの《虹》から始まる4章。「パルティータ」は曲線的な音の矢が速度や向きを変えながら飛び交うという感じの4章。この数日くり返し聴いた。Kairos 0015115KAI
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