Planet masaka played list 2022-11


  1. * ClとPfが対話する急緩急の3楽章で調性は大きく逸脱するもののどこか軸が残り最後はジャズ風でもある躍動。1974年。ペンデレツキの「クラリネットとピアノのための3つの小品」も短い急緩急で音があちこちに飛び散る。56年。ワインベルクの「クラリネット・ソナタ」は物悲しくゆったりした1楽章、フォークソング風ながら愁いのある2楽章、重く悩みを抱える3楽章で45年。そしてプロコフィエフのVnソナタ第2番のCl編曲版。これが案外ぴったり来る。DUX DUX1783
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  2. * 微分音調弦のハーモニクスで揺れ動くギターにSopが芭蕉の句を少し重ねる。5曲のうち3曲で句が用いられ特に3番目は歌のみで多彩な表現。ただ何の句なのかよく分からず。「李白の歌」は音程を定めずゆらゆら上下するSopを疎なギターの和音がさまざまに変容しながら支える。「ギター四重奏曲のための8つの小品」は微分音調弦による不思議な分散和音が緩急いろいろな形で。さらにジョン・ケージ「マルセル・デュシャンのための音楽」のギター四重奏編もハーモニクスを駆使。どれもすこぶる興味深い。Kairos 0022007KAI
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  3. * 3Pf+Cel+6打でいろいろな音のうねりが連なってドラマを構築して行き最後になにやらロマンチックな断片が顔を出す。ベンヤミン・ラングの「オルブスアゥの渓谷」も同じ編成で鍵盤の低音がモゴモゴしながらいろんな音を呼び起こす。サルヴァトーレ・シャリーノの「30年のざわめき」は松の枝やら皮やら水の音を用いて春雨の印象を表現したという。石島正博の「楽園歌」はエレクトロニクスも用いながら禅のような空間。Stradivarius STR37216
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  4. * BFl+BCl+Vc+Guit+Pfにエレクトロニクスを加え、各楽器のさまざまな奏法から生み出される音素材を組み合わせて幻想的ともいうような空間を描き、最後は微分音的に滲むギターとピアノが響く4章。2005年の愛知万博で初演されたという。「ブロート」はFl+Cl+Vn+Vc+Cb+電子音で、Cl幻想曲のような1楽章と怪しげな舞曲の5楽章の間は幻想的。「ハヴァマールからの歌II」はFl+Ob+SQ+PfにMsが不思議な歌。「光」はFl+電子音。「エントロピー」はFl+Cl+Vc+Pfでちょっと偏執狂的な反復音。Dorian Sono Luminus DSL-92259
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  5. * Cl+Vc+Accrdというちょっと変わったアンサンブルのための、少しフォークロア的香りもする3楽章。ウロス・ロイコ「石の風III」は不思議な音律の分散和音的、ユッカ・ティエンスー「プラス IV」は辺りを窺いながら悪戯をする、フリードリヒ・ゴルトマン「落ち着いて、少し躊躇して」は忍び足で、ルネ・クワン「自由の想像」はゆったりした流れの中で小さな仕掛けが。ゲオルク・カッツァー「蛸」は自由に遊びを交えて生き物のように動く8章。全体に音が鄙びているのに対してけっこう挑発的な音が妙にアンバランスな面白さ。Genuin GEN22803
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  6. * ヴィシュヌ神の化身を主題にした重心が低く荒々しいPf独奏。「カプリッチョ」は派手目な動きながら変な音の重なりと揺れ動きの落ち着かない気分。ジャン・フランチェスコ・マリピエロ「共鳴」はピアニスティックな分散音がたゆたう4曲で1918年。ルイージ・ダラピッコラ「アンナリベラの音楽帳」は短く実験的というかとりとめのない11曲で1952年。マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ「緑の光線」は1916年、「糸杉」は1920年で一時代前の感じ。ニーノ・ロータ「15の前奏曲」は1964年だそうだがロマン派そのもの。Stradivarius STR37214
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  7. * 細かく動き回り跳躍するアルペジオに彩られて春祭冒頭の主題がぼそぼそと戯れのように浮き沈みする。「起きろ」「巣作り」「神秘の鳥」はアルペジオがぽつぽつ泡立つ湖面や編み目のよう。「桃」「尾羽根」「飛び立とうとする金の若鳥」は跳躍がより自在に幅広く。「二羽の鳥との出会い」は対する低音が沈める寺のようでもある。「凹地での夜」は少し寂しく「輪」は儚げで「永続しないもの」はアルペジオが止まって静かな推移に。やはりある種の環境音楽だが個性も。Bright Shiny Things 738715292686
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  8. * VdGmb+エレクトロニクスという変わった構成で、ガンバをチェロのように機能的に扱いながらグリッサンドや長い単音/重音の合間に舞曲風のパッセージを交え電子的なエコーを添える。「露出された」「パッセージ」「小道」「面影」「生命」「魂」「足跡」「記憶」「礎石」とそれぞれ動きがあったり瞑想的だったりざわめきやせせらぎの電子音が組み合わされたりしながら、何かの思い出を綴る。環境音楽ぽくもあるがもう少し味わいがある。Birmingham Record Company BRC017
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  9. * Pf+16人アンサンブルの小協奏曲でルース・アサワの彫刻に触発されたという即興的な断片が微分音も含みながら絡み合う3章。「自然界」はグリッサンドや点描的音で森に潜むさまざまな生き物を模すような音の景色。「無と無効」は打を加えた奇妙な調律が混じるアンサンブルで短編無声映画Stump the Guesserの音楽として作られたというシュールな情景。Kairos 0022008KAI
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  10. * ハンス・カール・アルトマンの詩をSopがゆったり分節しながら雅に歌い微分音も含むGuitがハーモニクスや打音を交えながら寄り添う。「私の心」は鄭澈のテキストをやはりゆっくり分節しながら拍子木を鳴らしつつ。「ノッホ … III」はローゼ・アウスレンダーの詩によるSop+Guit。「炎のサイン」はゾフィー・ショル他の詩でSop+打。「河の歌」は自在に揺れ動くFl独奏、「古い修道院での休息」は尺八のような風奏も聞かせるBFl独奏、「睡蓮―根の体系」はコムンゴのための曲をギター編で。そして「空虚ゆえ」はSop+Fl+Guitが揃って老子とヨアヒム・ハインツのテキストを瞑想的に歌い交感する。Kairos 0015083KAI
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  11. * 薄い膜の無効で揺れるようなPfの仕草でヴェルレーヌ、ゴッホ、ドビュッシーを題材に描く。「5つの招待」も非常によく似た形で始まりながらもう少し形式が意識されているような。「8つの小品」は広い音域を目まぐるしくあるいはぼけたように動いたり捉えどころなくさまよったり。「2幕のフィナーレ」はまばらな和音断片の連鎖から点が徐々に激しく動き出す。2台Pfによる「前奏曲」は不協和なアルペジオ的動きの暴力的とも言える連続。「アルベール・カミュ」はゆっくりとした疎な上下運動、「アクション・ペインティング」は不規則に変化する音をペダルを踏み込んで響かせる。Editions Hortus HORTUS218
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  12. * シリーズ作品の中のVn向けでバッハ、ケージ、菊地裕美などへのオマージュを含む17の短いながらすばらしく豊かな曲集。ただここでは楽譜と曲順が異なり、終曲「用いられたサイン」が無かったり中心とも言える「イン・ノミネ」が最後に置かれたり。そしてその前にアイダ・シラジの「サイン」、ケイ・リーの「ゲーム」、ウィエ・ジュンユンの「メッセージ」、ガブリエラ・レーナ・フランクの「モブセスのためのメロディア」、さらに「イン・ノミネ」と強い関係があるバルトークの無伴奏Vnソナタ第3楽章「メロディア」が配されている。ボーナストラックにコダーイ「VnとVcのための二重奏曲」ライブ版。New Focus Recordings FCR347
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  13. * 神経質で引っ掻くような断片の間に波打ったりハーモニックスを擦ったりするVn独奏の3楽章。「フランス組曲 II」は異なる独奏楽器のための連作の1つでゆったりした構えの中に厳しく歪んだアルペジオなどが。「スリリングな翼」は細かく波打つ音に時折鋭い切れ込み。「エレットラ」と「フランス組曲 VIb」は5弦エレクトリックVnを用い、通常Vnに近い技法からフェンダーを用いたような歪んだ音まで電子加工して異様な空間を持ち込む。Kairos 0015120KAI
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  14. * Vc+Mrmbのデュオで中間部では撥と弓を交換して立場がひっくり返る。「わずかな移動」はハーモニクスやスルポンを多用するSQ+Pfに途中からFl+Cl+打が加わる。「ビット・ロット」はFl+Va+Pfで細かな動きが掠れたゆっくりした動きと交錯。「より優れたフィルタリング・アルゴリズムについて」はFl+弦5+Pfでグリッサンドや打的な音が飛び交う。「同時発生する糸」はFl独奏のさまざまな技工が長い残響でかすかに反復され。「可変長配列」は金管も加え断片だったりリズミックだったりする要素をやや脱力気味に。「競合する要求」はPf独奏が打的アクセントの間を神経質なアルペジオで埋める。Kairos 0015118KAI
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  15. * 微分音調弦したギターを弾いたり叩いたり擦ったりしながら細かな断片を組み合わせて紡いでいく。エリオット・カーターの「変化」はギターの持ち味をよく生かしたカーターらしい不思議音。ジェイムズ・ダショウの「アイピース」は電子音も交えてこれもギターが生きており面白い。ジョン・ケージの「部屋」プリペアド・ギター編曲版は面白い音。「夢」のGuit編曲版はたしかに眠くなる。スティーブ・ライヒの「電子的通奏低音」はつまらないミニマリズム反復だけど途中で少し雰囲気が変わる。Naxos 8.574394
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