music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2023-01
シャリーノ :
白の探求II
(マルコ・モーミ+オピフィチョ・ソノーロ )
Fl+BCl+Vn+Guitということなのだけれど、BClがまるで獅子が吼えるようだったりして、他の特殊奏法とともに静謐な中に異次元の空間。「青い放浪者」はAccord、「地平線の壁」はAFl+EHr+BCl、「ポルヴェーリ・ラテラーリ」はPf独奏、「アルバ・モエニア」はFl+Vn+Guit、「森と言葉」はMarmb+ベル・プレート、「ガラスの物体の動機」は2Fl+Pf、「ブッリへのオマージュ」はAFl+BCl+Vn、「5声のアリオーソ」はFl+Cl+Vn+Vc+Pf。いずれも静けさの中での特殊奏法でさすがの味わい。Brilliant Classics
BC96683
(2023-01-31 )
サミ・セイフ :
オリエンタリズム
(エレス四重奏団 )
アラブの音階要素を持つSQで鋭角的かつ多様に変化する単一楽章。ジューディス・L・ザイモントの「弦楽四重奏曲:フィギュア」 はゆったりした影と生き生きした光を対比する2楽章で不協和音中心ながら調性的にも聞こえる。ジェイコブ・E・グッドマンの「弦楽四重奏曲第1番」は急緩急で分かりやすいようなひねくれたような。ダニエル・ギルの「3楽章による和解」はカバラの哲学だという3楽章で終楽章冒頭は祈りの声も。ジョン・サマーズの「弦楽四重奏曲」は少しジャジーで聴きやすい3楽章。Navona
NV6483
(2023-01-30 )
シャリーノ :
ヴァニタス
(デュオ・アルテルノ+マドレーヌ・シャピロ )
Sopが伸ばした音を揺らしながら上下するのにVcがスルポンやハーモニクスの掠れた音で絡みPfが短い和音を添える。「メランコリア I」が発展した全曲は6部から成るモノオペラだが収録は最後のUltime roseのみ。ブルーノ・マデルナ「ヴェルレーヌの詩集」はちょっと妖しげな2曲。エンニオ・モリコーネ「散らばった墓碑銘」は最大9楽器を組合せられるというがここではPfのみで19曲中6曲抜粋。アダ・ジェンティーレ「ベティー・ブープの一日」は語る劇のような。ベリオ「4つの民謡」はシンプルながら不思議な音律。カルロ・モッソ「12のピエモンテの歌」はより民謡そのままでここでは2曲。Stradivarius
STR33743
(2023-01-27 )
シャリーノ :
メランコリア I
(ハウス・オン・ファイアー )
Pfの断片的な和音の上にVcが漂う不思議な空間で後半に強打してすぐ止め余韻を響かせるのが印象的。後に声楽曲「ヴァニタス」に発展する。ほかウェルス・レング、ケイト・ムーア、マイケル・フィニッシー、エヴァ=マリア・ホウベン、アダム・ズーカーマンのPf曲が収録されているが比べ物にならない駄作で一体どうなっているのか。4Tay Records
4TAY-CD-4069
(2023-01-24 )
ピオトル・A・コモロフスキ :
誰がために鐘は鳴る
(ザレンブスキ・ピアノ三重奏団 )
ヘミングウェイに触発されたということで短めの訴えるようなイントロ、プリペアドや引っ掻きハーモニクスも用いて出来事を描く中央部、そして簡潔でリズミックな終結部の3部構成。「音の中心への旅」「シナジー」は2打+テープで物語。「春の風景」は弦楽オケで比較的分かりやすい。「海」はSQ+テープ、「隠れた世界」はAccrd+テープで環境音楽風。「ダイアローグ」は2打+弦楽オケで緩やかな即興のI、霞から徐々に激しくなるII、打のカデンツァからやや陳腐でポップなリズムの終曲という4部構成。
DUX1878
(2023-01-23 )
マックス・ジョンソン :
ミネルヴァ
(ルーシー・ハテム+ローレン・コーリー+カリー・フレイ+マリア・ハッジ )
Cl+弦3で無調の謎めいた絡まりが奥深い森の魔法使いの屋敷のようとでもいうか。「9時に通りは静かだった」も同じ編成でクラスター的な弦の上に悩ましく動くClに始まり黒魔術みたいな弦のくねくねが変化していく。「弦楽三重奏」は無調ながら変に後期ロマン派っぽい湿っぽさ。「記憶のこだま」はCl+Va+Pfで乾いた透明な響きが徐々にロマンティックな厚みを帯び最後は儚げな哀歌のようなものになっていく。New Focus Recordings
FCR354
(2023-01-21 )
松平頼曉 :
反射係数
(太田真紀+甲斐史子+中村和枝 )
皆川達夫のテキストで民謡風だったり子供の遊び歌だったり素朴な素材をVaとPf(プリペアド)を伴って歌う超越した時間。「アーロンのための悲歌」は叫び声から始まり語り歌う独唱。「歌う木の下で」はCbを伴いゆったりと、「ローテーション II」はSaxとともにさまざまな発音で、「時の声」はEギターの滲んだ音を従えて。「サブスティテューション」はPf伴奏で微分音から語り、絶叫まで。声の可能性が究極まで試されつつしっとりした音感。ALM Records
ALCD-125
(2023-01-16 )
松平頼暁 :
24のエッセーズ
(中村和枝 )
奇数番号の曲はA,B,C..で始まるタイトルを持ち無調的、偶数番号曲はZ,Y,X...で旋法的につくられ、総音程12音和音を乱数で選ぶというピッチ・インターバル技法が用いられているという(第23曲だけはシュトックハウゼンからのコードの引用だそうだ)。「ミケランジェロの子犬」は子犬のワルツのパロディ的断片化。「エクササイズ」はシュールな味わいの4手連弾。1/9に亡くなり追悼記事に「安易な感情移入を拒む」とある通り。清々しい。ALM Records
ALCD-86
(2023-01-13 )
アーロン・キャシディ :
弦楽四重奏曲
(ジャック四重奏団 )
引っ掻いたり滑ったりさまざまなノイズ的緩急断片の組み合わせ。「空間の共和国」は3打でアド・ホックな楽器を用いてやはり引っ掻き系の音が遠慮がちに繰り出される。「3奏者のための文法学習」はOb+Vn+打でノイズ的断片の禅問答。「幽霊の作り方」はSax、Trb、Pfなどを加えたアンサンブルで即興的なでたらめによる耳障りな音も含むやり取り。「かつての境界線の残骸」はCb、ASaxの独奏、Eギター+電子音という3部の破壊的即興で後2者は不快極まる音の攻撃。Kairos
0015073KAI
(2023-01-10 )
イク・ヘンネマン :
無の証明
(バウヴィーン・ファン・デル・メール+ヘリー・マイエルス+ヘリコン四重奏団 )
インゲボルク・バッハマンの3つの詩をSopがSQ+Hp+Orgという変わった伴奏で歌う。やや虚無的というか不条理というか。アンネリーズ・ファン・パリスの「メデイア」はガエア・シューテルスの詩で神秘劇のよう。モニク・クルーズの「私は生き、私は死ぬ」は叙情的な3章。リリ・ブーランジェの「ピエ・イエズ」という1918年作品がなぜかおまけのように。Etcetera
KTC1782
(2023-01-09 )
エンノ・ポッペ :
記憶I
(クラングフォルム・ウィーン )
G・アペルギス「シーソー」、P・ビローネ「縦動」、B・フラー「ゼノの場面」、O・ノイヴィルト「水の中の場所」、G・F・ハース「深部」、B・ラング「モナドロジーVII」、J・M・シュタウト「1楽章と5小品」、B・ポゼ「室内協奏曲」、シャリーノ「ファノファニア」、H・ツェンダー「どこ?」、F・チェルハ「夢」、K・ラング「資本、インタビュー」、M・ピンチャー「音食第3部」、C・カマレロ「音色交響楽II」、M・ソテーロ「音の壁」、J・サンチェス=チョン「最後の女2009」、J・E・ロペス「小室内管交響曲」、O・アダーメク「Bロウ・アップ」、M・ランツァ「#9」、C・ディーンツ「金バラを折った…」の6枚組。Kairos
9120010281808
(2023-01-08 )
ベリオ :
ジェスティ
(ジュアン・イスキエルド )
リコーダの指、息、タンギング、さらに声がそれぞれ数字や記号で指示され忙しく動き回ったり多重化されたりする。1966年の画期的な作品。アレックス・アルテアガ「テメノス」は無機的に断片化した音を多重録音する。マヌエル・ベレンゲル「マキーナ 3」、メルセ・カプデビラ「ポルス」、アルトゥーロ・モヤ・ビレン「セクエンシア XII」、ガブリエル・ブルンチッチ「…ざわめきを乱すことなく」はシャッターなど様々な打音を模す電子楽器を伴う。ビレン「狩りの版画」はアルトぼそぼそとした対話(多重)始まって最後はソプラノリコーダーが駆け回る5曲。La Ma de Guido
SON039
(2023-01-07 )