music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2023-04
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シェーンベルク:
弦楽三重奏曲
(グリンゴルツ+パワー+アルトシュテット)
3部の間に2つのエピソードが挟まれた構成で厳しくもニュアンスに富んだ十二音技法の緻密な構造。弛緩することなく静と動が交代し最後に消えてなくなる。演奏も鋭い切れ味。コンスタンティン・レガメイの「クラリネット五重奏曲」はFg+Vn+Vc+Pfを加えるちょっと変わった編成で、主題と変奏、ロマン的間奏曲、ロンドの3楽章。若干の諧謔味と(第二次大戦期のレジスタンスという背景にもよる)幾分かの民族風要素が混在している感じではあるがあまり面白くはない。Alpha
ALPHA948
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マルティン・ヘルヒェンレーダー:
詩と変奏
(クス・クァルテット)
Vn独奏の瞑想的な主題がゆったり示されSQが繊細だったり神経症的だったりする変奏楽章を重ねる7楽章。「ルバイヤート」はFl+Pfで声や深いタンギング、また一方で孤独な旅のような独奏も聞こえる5楽章。「波」はFl+Org、「オリオン」はVc+Orgで神秘的というか宇宙的な広がりに向かう。「テンペスト」はシェイクスピアによる想像上の劇場ということでFl+Guit、さらに「テルツァタッケ」はFl独奏なのだけれど、最初聞けていたのになぜか403エラーが出るようになって、相変わらずNML意味不明。NEOS Music
NEOS12215
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エドアルド・ダドーネ:
腐食術の練習
(サンドロ・ゴルリ+ディヴェルティメント・アンサンブル)
フランチェスコ・フランコのエッチング版画に触発されたという、引っ掻いて削り取っていくような音の断片の連なり。「シネ・ソーレ・シレオ」は魅力的な音が生まれそうな繊細な出だしからすぐ躓いてドタバタに陥るSop+CT+Barを伴う音劇で巧みな色彩構成。「溝」はVa独奏でPizzと短い重音の繰り返しが複雑に発展していく。「脊索動物門」はそれにSop+6楽器を加えT.S.エリオットの「荒地」を素材にエッチング的な要素も伴って。「三部作」は第6弦を変則調弦、第5弦に接着パッドを貼り付けたりしたギターから妙な響きと正統派超絶技巧の融合体で多様な表現を引き出す。Stradivarius
STR37252
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アレッサンドロ・ミリア:
今の時間、一息
(バンジャマン・マヌイロル)
BCl独奏が長い息遣いのブレスで微妙なポルタメントなどさまざまな表情が移り変わっていく。「イコロ」はCb独奏がikoroという古代ナイジェリアの太鼓を伴ってゆっくりと唸るように。「強迫観念的な水平線」は変則調弦で3つの弦をプリペアドしたギターが太鼓とのデュオかと思うような不思議にたゆたう流れを。「ピアノ・ソナタ」は強い低音と反復打鍵に始まりゆっくりと推移していく。「ソナツォス」はカウベルを意味するスカンジナビアの言葉だそうで、金属系打にTimpも加えて動物と対話するようなシグナル。Stradivarius
STR37251
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アナスタシス・フィリパコプーロス:
ピアノI~III
(ニコラス・ホルヴァート)
シンプルな音列に基づいて単音がゆっくり積み重ねられていく。石庭のようでもあるが音に切れ目はなくむしろ絶えない川の流れか。「4つのピアノ小品」は和音に導かれたあとまた素朴な反復だがこちらはところどころ空白がある。「2つのピアノ小品」は2つのバージョン、「ピアノ小品」は8つのバージョン、というより2011年から2018年まで書き継がれた8楽章というべきか。いずれも静かでゆっくりと切り詰められた音の連なり。1001 Notes
3617055663479
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ザ・リム:
受胎告知の三連祭壇画
(クリスティアン・マチェラル+西ドイツ放送響+エミリー・ヒンドリクス)
自然倍音のようなHrの信号に始まり、ギターやHpの響きを伴いながら軋みつつ寄せては返す脆くて崩れてしまいそうな弦と管、第2部はより混沌とした重心の低い響きの中でTimpやPfの低音が反復され、第3部では呼び声のようなユニゾンに囁きが返されエテル・アドナンの詩を歌うSopが加わる。神秘に満ちた音絵巻。Kairos
0022003KAI
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高橋渓太郎:
風鈴
(ルーカス・ユイスマン)
一部ラバーミュートのプリペアド・ピアノでカタカタと風や鈴を形容しながら儚い音の断片が時に荒々しくなったり。「嶺谺」はもう少し曇ったプリペアドで奥田元宋の紅嶺からの印象を描く。「疾薫」は4手で短い和音をペダルで響かせながら。西村朗の「星の鏡」は1滴の水紋が広がるようなペダルの上で繊細な音。「3つの幻影」は幻想的なアルペジオの水、低音域でうごめく炎、D音の鐘の響きに乗る祈祷の3部。「法悦の鐘」は最低音域で深海の鐘が響いた後に空中を飛び回る。Piano Classics
PCL10243
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カタリーナ・ブラスニッヒ:
継続的創造
(ゲルハルト・ザマー+チロル室内管)
いくつかのゆっくりした重ね書きの線が絡み合いながら何かが開くような方向に向かうかのようでもありつつ不完全なまま堂々巡りするというか。ヘルムート・ヤスバー「天地創造」は語りを交えながら小さな劇のような5楽章。フランツ・バウアー「ある楽園」は民族的色彩も感じる奇妙な空間のCl協奏曲。アンドレアス・トレンクヴァルダー「エクソダス」は中東風味付けでノイズや環境音も用いるVc協奏曲。マヌエル・ツヴェルガー「約束の地」はSopに語りも加えた小さな音劇。Helbling Verlag
9783990698396
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