music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2023-05
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スティーブン・ガーバー:
弦楽四重奏曲第1~3番
(アマーネット弦楽四重奏団)
第1番(1973年)は十二音技法のようなくねくねしたユニゾン音列に対比音群は断片的な音を散りばめたり違う方向にユニゾンでくねったり。第2番(81年)はもっと複雑なセリー風に各楽器がやり取りする3楽章。第3番(88年)はどこかの民族音律を使ったのか捉えにくい4音動機から始まる。併録「スピリチュアルズ」(2000年)は弦楽合奏曲のSQ版でドボルザークやラヴェルへのオマージュとかドローン上のフォークソング風とかの合間にモダンな断章も交じるへんてこな10章。Albany
TROY1931
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リネ・チェルンホイ:
人間性を失ったもの
(ポール・ヒリアー+シアター・オブ・ヴォイシズ)
シャルロッテ・サロモンとアルフレッド・ウォルフソン、オスカー・ココシュカとアルマ・マーラーという両大戦間の4人の芸術家の極限状態を描くア・カペラ劇。喜びや光が扱われる場面もあるが全体に厳しいシリアスな表現。標題はenTmenschT。Dacapo
8.224739
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フーギ・グズムンドソン:
マリアによる福音書
(ホルズル・アウスケルソン+ベリト・ノルバッケン+オーフス・シンフォニエッタ+レイキャビセンシス・スコラ・カントルム)
BClの長い独奏に始まり調性ははっきりしないものの順次進行的な波打ちを伴いながら古いスタイルのコラールが穏やかに奏でられるがところどころで不安な音が紛れ込みSopが美しく悲しくやはり部分的に崩れる福音テキストを歌う。オラトリオの形を取って独奏楽器の瞑想、Sopのアリア、コラールそして劇的な要素も含む福音が組み合わされる。独奏などには面白い旋法が使われたり繊細な工夫はあるが大きな冒険に踏み込むことなく最後は調和的に。Dacapo
8.224736
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メッテ・ニールセン:
一緒に
(ヌォヴォ四重奏団+ヨナス・フロルンド)
SQ+バセットクラリネットで、微分音を駆使したくねるフレーズに不協和音や硬質の軋む音が絡み合う。「分かれて」はSQのみで、「単独で」はバセットクラリネットのみで、その要素を奏でる。さらにSQのみで「凍りついた瞬間の概念」はハーモニクスの分散和音やグリッサンド、「1楽章の弦楽四重奏曲」はD音がずっと反復され、「歌の思い出による四重奏曲」はPizzと軟体動物的な線の交錯に押しつぶすような鋸音が乱入する。面白い。Dacapo
8.224745
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シャーラ・ノーヴァ:
タイトレーション第1~3番
(ドナルド・ナリー+クロシング)
1滴ずつゆっくり混ぜ合わせるという意味(これはアルバム全体のタイトルでもある)で、柔らかに下降するハミングや賑やかな笑いが穏やかに響く。生きの良い「感情の輪」や「頭にきて爪を吐き出すほど」から癒し系の「この意地悪な世界で、私はどうやって気持ちを保つのか?」などなど。相変わらず見事なア・カペラ。Navona
NV6504
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ヒナステラ:
3つのアルゼンチン舞曲
(バラージュ・フュレイ)
全部で8分強の短い舞曲で作品2という学生時代の作品だが、複調を用いたりして非凡な特質が早くも発揮されている。ルトスワフスキの「民謡集」は12のポーランド民謡を子供の手でも弾けるようにアレンジした平均1分とやはり短いがややメランコリックで味わいある。バルトーク「ルーマニアのクリスマスの子供の歌」、コダーイ「マロシュセーク舞曲」は素朴な民族調。あとグリーグ「スレッター」(ノルウェーの農民舞曲)の抜粋となぜかガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」のPf独奏版。Hungaroton
HCD32874
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ジェルジ・リゲティ:
ピアノ練習曲集
(チェン・ハン)
3巻に渡る第1番~18番それぞれが「無秩序」「開放弦」「悲しい鳩」「白の上の白」などの標題を持ち、剛から柔、遅から速までさまざまな組み合わせでピアノの表現を引き出す。軋むような不協和音はないがどれも少しずつずれを孕んで調和からは外れいていく。どちらかというとメカニカルな動きが中心ではあるものの一見幻想的だったり淡い懐かしさを感じさせるものもある。併録はユーモラスな「カプリッチョ第1番」とバルトーク風でもある「同第2番」。Naxos
8.574397
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アンジェイ・クシャノフスキ:
弦楽四重奏曲第3番
(アンタリャ四重奏団)
仄暗い情念を感じさせる密な不協和音が発散してグリッサンドを多用する開空間に時々密集和音が回帰する。より動きのある第2楽章、そしてゆっくりと悲しげでやはりグリッサンドが特徴的な第3楽章で締めくくる。1988年作品。併録は妻であるグラジナ・クシャノフスカの弦楽四重奏曲で「第2番」はPizzからゆっくり始まる寂しげな音楽が舞曲や抗議するような動きになりつつ戻ってくる。「第3番」は逆に激しく始まりながらワルツ、コラールと推移する。「アダージェット」は色々と表現主義的に表情を変える。DUX
DUX1891
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スティーヴ・ライヒ:
18人の音楽家のための音楽
(シナジー・ヴォーカルズ+コリン・カリー・グループ)
2Cl/Bcl+Vn+Vc+4Pf+3Mrmb+2Xylo+Vib+4女声という18人の編成。例によって基本パターンが波打つように繰り返されながら徐々に変化していくミニマリズム的作品だが、1時間以上続く大曲で11のセクションと前後に“パルス”が置かれる。演奏はとても難しいそうだ。先日のオペラシティ公演は惜しくも聞き逃してしまったが同じグループによる演奏。Colin Currie Records
CCR0006D
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ペンデレツキ:
弦楽四重奏曲第2番
(メッコーレ弦楽四重奏団)
鋭い不協和音から氷のようなスルポンのゆらゆらしたグリッサンドそして細かく回転する動きに高速Pizzと短くも目まぐるしい。第1番は打的乱舞から叫びのあと静寂に浮かぶ衝撃で声も。楽譜は縦線がないらしい。第3番は例の特徴的なリズム。第4番は哀歌のあと舞曲そして民族的に。「弦楽三重奏曲」は激しいさと寡黙さが交錯。さらに短い「壊れた思考」と4楽章の「クラリネット四重奏曲」。またしても途中から403で一部のトラックが再生できなくなったが、Firefoxだと問題なかったりする。Capriccio
C5493
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ロバート・ホンスタイン:
可能性の指標
(ティーグ)
3人の打奏者が植木鉢やら鐘太鼓やらを操る5楽章。「下町の赤ん坊」は太鼓に始まり声が混じりリズミックなビートに。「遺失物」は1人の打奏者がマリンバから鐘太鼓や鈴まで扱う7章。NFRにしては平凡。New Focus Recordings
FCR318
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