music & knowledge sharing
Planet masaka played list 2023-08
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ジェフリー・ギャヴェット:
浮遊する子供の概念証明
(バーン:コーザー:デュオ)
Sop+Tpでグレイシー・リーヴィットの詩をフリージャズ風に自由な感じでやり取りする。特に第3曲の半音階下降する反復は秀逸。アレシャンドリ・ルンスキ「ソリス」は詩というより音の遊び風。ベス・ウィーマン「それはあなたから離れて浮かぶ」は魚を巡る3つの詩。リ・キ「孤独な墓」は蘇軾の十年生死两茫茫か。ヴィド・スモーク「ここでは皆歓迎」は少しとぼけた味わい。クリスティアン・キャリー「一人の女性」、リャン・レイ「湖」はゆったり、クリス・クレスウェル「残るは土と空だけ」は電子音を交えアレシャンドリ・ルンスキ「2つのパッチ」はワウワウが声にマッチする。どれも面白い。New Focus Recordings
FCR378
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湯浅譲二:
花鳥風月
(若杉弘+読売日響ほか)
箏とオーケストラのためのプロジェクションという1967年曲でポルタメントを多用して響きが軟体動物のように移っていくが演奏が貧弱で音程も不安定、70年代の在京オケだとこんなものかという。「インター・ポジ・プレイ・ション I」はFl+Pf+2打(録音では1人)で数字が書かれた楽譜から不確定的な全体が(71年)。「クラリネット・ソリテュード」は12音セリーをモチーフとする80年曲。「相即相入」は2Flの禅問答のような63年曲。「プロジェクション・エセムプラスティク」はホワイトノイズにフィルターを掛けて彫刻のように音を取り出すのだそうで1964年放送初演。行けなかった作曲家の個展の代わりに聞いた。まぁ確かに実験工房ではある。Naxos
NYNG-008
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藤倉大:
Va協奏曲
(アンネ・ランツィロッティ+佐藤紀雄+アンサンブル・ノマド)
ポリネシアの航海法で星や海の満干、風、鳥などから方向を定める手法に触発されたというので副題はWayfinder。オーケストラ(ここでは室内管)の音が星や風、太陽を表し独奏はそこに漂う船だという。さまざまに揺らぐけれども荒れ模様になったりはしない海。「チャーピング・バード」は金属打を中心とした高い声の鳥、「パスト・ビギニングス」はフォルテピアノのモデラートペダルで音色を変化させる。「ゆらぎ」は尺八、「ブラスト」は高音域の遊びで始まるCb、「ドーン・パッサカリア」はVn、「さわり」は三味線、「クイル」はマンドリン、「ハーフムーン」は琵琶の独奏。「サンドパイパー」はFl独奏曲をClで演奏。Minabel
MIN113
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フランク・ホルヴァート:
タイの人権擁護者たち
(ミヴォス四重奏団)
A-Gの二度の反復、A-mollの分散和音から始まって少しずつ異なる単純パターンを繰り返す短い楽章が連ねられていく。人権擁護の中で命を落とした35人のHRDについてそれぞれの名前に含まれる音名だけを用いてオマージュを捧げるというもの。一種のミニマリズムのような切り詰められた音からは根源的な問いというか今読んでいるグロイスの「アート・パワー」に通じるものを感じる。ATMA Classique
00722056657723
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スティーヴ・ライヒ:
チェロ・カウンターポイント
(アシュリー・バスゲート)
事前に録音された7声のVcと独奏Vcでc-mollとEs-durの間を交錯する反復の上で鋭く切り込む両端楽章の間にメランコリックな中間楽章を置いて切れ目なく演奏する。フィヨラ・エヴァンスの「オーグン」はハーモニクスを多用する上声部にグリッサンドやトレモロが重なる。エミリー・クーリー「アセンブル」はややノスタルジック、アレックス・ワイザーの「柳の歌」はゆっくり上昇を繰り返す短い歌、「シマー」はその上昇を速い反復で重ねずらしていく。いずれも録音済み声部と独奏を組み合わせるVc曲。New Focus Recordings
FCR373
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