昨日のメモにISBNの再利用は「認められている」と書きましたが、そういう運用をしてしまっている例があるというだけで規定では再利用は禁止されているので、訂正します(短時間にうろ覚えの知識で書くとこういうことになる。自戒)。これを確認するために調べている過程で、ISBN番号を拡張して13桁にするという話が目に入った。
10桁のISBNは、最後のチェック桁を除く9桁で10億点の書籍を識別できるはずだが、実際はその9桁内で地域コード(1桁)、出版社コード(可変桁)、個別コード(可変桁)という区分があり、現実にはフルに使うことはできない(IPアドレスをクラスA~Cによるネットワーク番号で割り当てていたのと似ている)。また、ISBNは流通コードとしての機能があるため、版が改められると同じ本でも別のISBNを割り当てることになり、ますます番号がたくさん必要になる。それで、遠からず番号が枯渇する恐れがあるので、今から手を打っておこうというわけだ。
12桁+チェック桁で1兆のアドレス空間になるのか、と思ったら、どうもそういうことではなくて、とりあえず同じ規模のアドレス空間をもう一つ作るという対応らしい。具体的には、次のような拡張だ。
ISBNをバーコードとして書籍に印刷する時は、ISBNの前にEAN国際商品識別コード(=JANコード)の書籍を示すプレフィクス「978」を加えて13桁番号にする。このとき、最後のチェック桁は10桁の場合とは違ってくるので、これだけを再計算して割り当て直す。手元の書籍のISBNとバーコードを見比べてみると、この関係がわかるだろう。たとえば『ユニバーサルHTML/XHTML』のISBNは4-8399-0454-
5
、バーコードは978
483990454
8
となっている。
13桁ISBNは、書籍に割り当てられているもうひとつのEANプレフィクス「979」も使うようにし、「978」もしくは「979」と合わせた13桁を新ISBNとして扱うようにしようというもの。ただし、979はすでに楽譜などのISMNが利用しているので、割り当て可能な番号は10億より少なくなる(EANプレフィクス一覧参照)。
既存のISBNについては、単純に頭に「978」を加えるだけではなく、最後のチェック桁を計算し直さなければならない(バーコードはそのまま使える)。時期については、今年第3四半期までにISOでの承認を受けた上で、2007年1月1日導入となっているが、アメリカでは2005年のバーコードシステム統合の機会に新ISBNへの移行を始めるとされていて、物議を醸しているようだ。
まあ現実解ということだろうが(ISBN Revision FAQのなぜこの方法を採用するかという説明を参照)、改めて識別子の設計は難しいものだと考えさせられる。
- 書籍の識別子と全国書誌番号 (2004-02-27)