阪哲朗指揮によるカペレのブラ1の演奏会。初練習の時は、かなり面白いことになるかと期待がふくらみ、その後もまずまず的確にポイントを押さえて練習が進んだ。テンポ設定も、ほぼ納得のいくもの。本番でのメンバーは予想以上にパワフルで、なかなか熱気溢れる演奏でもあった。
しかしその割に、幕を閉じたあとの印象としては、何というか、悪くないけど凄くもないという感じ。個別要素としてはかなり明確に指揮者の意志が伝わってきたし、自分として曲をどう料理するかについても、今までになくきちんとポリシーを持って音を出すことはできた。その一方で、オーケストラ全体としてこの曲をどんな方向に持っていくのかという点は、いまひとつうまく共有されていなかったように思う。
それは、指揮を見ることでつかみ取るべきものなのかも知れない。阪さんは確かに雄弁な指揮はしていた。しかし、そこから曲全体をどう構築し表現したいのかまでは、よく見えなかった。だから、演奏中にも、ソロがとてもいい雰囲気で吹いたとかいった断片は伝わっても、トータルとしてみんなが何らかの音楽をつくったという感じには至らなかった、というところか。
うーむ、これは期待値が高かったから無い物ねだりをしているのか。無邪気なレベルでいえば、いい演奏だったのだろうし、実はそういうことも含めてもっと高いレベルでもうまく行っていたのかもしれない。あるいは、自分のコンディションに左右されていたということもあるだろう。本当のところはよく分からないのだが、ただ演奏を終えてそれほどハッピーではないことは確かなのだ。