今夜のFMではハーディングとマーラー室内管による来日公演(2003-09-09)。アテネの廃墟、交響曲6番、交響曲5番という意欲的なオール・ベートーベン・プログラムだ。

Vn対向配置、ティンパニや一部管楽器にピリオド楽器使用、ノン・ビブラートなど、ハーディングがHIPでベートーベンをやったからといって今さら驚くことはないが、一昨年聴いたDKBとのブラームスから一層進化して、非常によく磨き込まれた演奏だった。もう手段のための手段といった雰囲気は一切感じられず、作り上げたい音楽と演奏法が見事に調和している。響きも透明感と暖かさがあって美しい。若いマーラー室内管がここまでできるというのも素晴らしいことだ(若くて先入観がないからかえっていいのか?)。

田園のしなやかさもよかったが、5番の集中力と推進力は素晴らしい。3楽章のトリオでヘミオラをあれだけ強調する演奏は珍しいが、納得のいくつくりだった。思っていた以上のベートーベンを聴いて、嬉しくなるとともに、ハーディングの今後が楽しみになってきた。

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